・名前 水鏡ちせ (Mikagami Chise) <D>

・希望サイド アッシュサイド

・属性 地

・能力値 魔/12 精/13 速/5 体/8 

       所持オプション/  ヒーリングF

・デッキ AFDGA FBIGD

・簡単なプロフィール

 ひょんなことから体内に膨大な数の虫を宿すようになった少女。
以来彼女の成長は殆ど停止し、二十歳を数える今となっても外見は少女時代のまま変わっていない。
そのせいか体つきには少年的な面影が残り、胸や腰に付くはずの肉を著しく欠いている。
先に兄をひょんなことで亡くしており、その形見としてごっつい鎖付きの首輪を自ら身につけている。
戦いの時には身体から触手(虫)を排出して攻撃する。

・備考
 ボディデザイン
 乳房の膨らみがない。肋が浮いている。とにかく細い。
肩幅が比較的広く、少年の様な体型。全体的に肉を削ぎ落としたような感じ。
 あと常に裸足。

 衣装デザイン
 スリットが大量に開いたデザインの上下。生地は薄い。色は黒。

 目の色とか
 目の色は黒、髪も黒で濡れたような質感、肌は白い。
左目は常に見開かれた様な感じで、瞳孔が開いており、よどんでいる。
そして、たまに寄生虫がここから姿を覗かせている。
左目の視力はない。

プレイヤー名 「ProjectD(Pekiya&Muska)」

 

 

 

※ 裏設定↓

誕生〜debut〜


 夢を見よう。
 茶色いとっくりの広がった口から中をのぞき込むと、見覚えのある居間がそのなかにあった。見覚えのある居間の中では知らない女の人が暖炉の前に置かれた安楽イスに座ってお腹をさすってる。ぽっこりと膨れた大きなお腹は、それがその女の人が疲れた顔をしている原因でもあって、そして生きている理由でもあるんだろうと思った。
 しばらくそうやってのぞいていたら、居間の扉が開いて知らない男の人が入ってきた。優しい声で女の人を呼ぶと、女の人はスゴク嬉しそうな顔をして振り向いた。うーん、きっと二人は愛し合っている夫婦なんだろう。
 知らない男の人の後ろから、あたしの小さな兄がついてきた。兄は目一杯の明るい顔で知らない女の人をママと呼んで駆け寄った。知らない女の人は兄の名を呼んで微笑んだ。あたしの兄はあの知らない女の人の子供なのかな。みんな、スゴク幸せそうだった。
 これ以上のぞいていたら悪いかな。
 そう思って、柔らかい気持ちになったあたしはとっくりから目をはずした。
「薄気味悪いガキだ」
 お父さんがカプセルの中のあたしにむかって機械的に言った。
「お前の兄がどうなったか見ていたくせに、お前も同じに目にあうかしれん。よくそんな無表情で居られるもんだ。泣くとか、喚くとか、他の実験体のようにもっと人間的な反応をしないのか」
 カプセルの中で、首まで硬質ゲルに浸かったあたしは指一本動かせずにお父さんを見つめた。お父さんはあごからぴょこぴょこ生えてる無精ひげを一本一本指先で抜こうとしながら、難しそうな顔であたしから目をそらした。
「それだ、その目だ。お前は実の兄が虫に食われていく様をその目で見ていたな。お前の兄が人でなくなっていく有り様をまじまじと見ておった。あまつさえその化け物を繋いでいた首輪を、お前は自分の首にはめた。決して外そうとしない。ゲルの不純物がどれだけ実験の妨げになるかしらんからそうしていられるのだ。できうる限り裸で居るべきなのだ。実験体は綺麗でなければならん。その首輪のせいで実験が失敗したらどうするつもりだ。お前も兄のようになりたいのか」
 お父さんはあたしに向かって神経質そうに実験、実験と繰り返す。お父さんの言ってること、分かるよ。兄は虫になった。兄の身体から真っ白な線虫がどんどん飛びだしてくるの、あたしはずっと見ていた。今度は兄があたしのナカに入ってくる。
 ちせはお兄ちゃんになるんだ。
「相変わらずの無表情か。自ら実験を望んでおきながら、その首輪と発意だけは非協力的な奴め。本来ならもう2年は成長させた方が具合が良いというに、だが本人の意思が不確定要素に含まれることを考えれば、お前の希望は低ストレス条件に合致する。千鶴子に産ませたお前の身体はベストなのだ。いいかよく聞け、実験は必ず成功する。絶対成功だ。分かったな」
 実験は成功した。




変身〜Kafka〜


 カプセルに入れられた少女が薬の効果で昏睡すると、やがてカプセルの中に黄色く澄んだゲルが流し込まれ始めた。首から下を固定する硬質ゲルが少女の身体との間にわずかながら残していた隙間をゲルは埋めていった。注入口から流れ続けるゲルは少女の首をうずめ、鼻をうずめ、頭の先までをすっかりひたらせた。
 一人の男が神妙にその様を眺めた。
 次の一瞬にゲルはすっかり硬化した。硬化とともにゲルの色は全く消え、もとからそうであったかのように、少女の少年じみた肉体は氷柱標本となってカプセルの中に浮いていた。
 男は落ち着いて手元のパネルを操作する。
 少女の足下が薄暗くなった。透明な硬質ゲルの柱を、底部から伸びる真白い線が幾筋も昇った。線は波を打ち、らせんに捻れ、ランダムに軌跡を描いて少女の指先へ至る。長い線に短い線、太さ細さも様々だった。
 男は眉をひそめて視線の真剣味を増した。
 白い線たちは少女の脚部にまとわりつきながら上を目指す。次から次へとカプセルの底辺から沸き上がる線は次第に勢いを増していった。
 男は少女の右足に先端をたどり着かせた線の一本が、親指の爪の隙間にもぐり込んでいったのをしっかりと確認していた。
 他にも、身体の様々な部位から線はもぐり込んでいった。手足の爪の隙間。間接の内側。あらゆる付け根。排泄口。性器。臍。背筋。うなじ。側頸。顔の全部品。首輪の裏側まで潜り込み喉元を穿った。
 白い胴体を無表情にくねらせる線虫たちは少女のあらゆる部位から皮膚の内側へと侵入した。わずかでも壁の薄い表皮に先を争って群がっては食らいつき、皮下に身を埋める。
 硬質ゲルに身体を封じられ薬で昏睡させられている少女はもちろん身じろぎ一つしない。文字通り人形と化した少女のまっさらな肌を、真っ青なミミズ腫れがしぐれにのたる。微動するまぶたの裏に白い尻尾が見え隠れしている。膨大な数の長虫は更にその数をいや増してゆく。
 一時は少女の全てを覆い隠すほどに数を増していた線虫が這った痕跡は、さらされた肢体の先述したあらゆる局部へと続き、消えた。
 少女は人柱の中で先と毛ほども変わらぬ真白な裸体を男の前にさらしている。男は点検するようにカプセルの周囲をぐるりと歩き、少女の身体をしげしげと睨み回した。
 全ての生命が少女の体内に身を隠したことを確認してパネルに戻る。右端のレバーを下端まで下げると、ゲルは粘性をもった液体に変わった。
 固定する支えを失った少女はカプセルの床にへたり込み、ゆっくりと目をひらく。
 少女は黒く澄んだ右目で男を見る。
「…失敗か」
 そう呟き、男は少女の左目に眉をひそめた。