その日の午後、アッシュ卿の前に一人の人影が
姿を現した……

「……アッシュ」

「……?
いよう!ひょっとして『レス』か、オメー!
随分美人になっちまって、解らなかったぜ!」

「……相変わらずの様だが…
余りよい趣味とは言えんな」

「へっ、暇つぶしだよ。ひーまーつーぶーしー!
それによ、有る程度の能力が有る魔導士は
一通りここで始末出来るんだ。悪い話じゃねーだろ?」

「だが、お前は悪目立ちし過ぎだ。
自ら名と存在を広めるような真似をしてどうする」

「問題ねー問題ねーって!
どーせ後数十年もしねーうちに『この身体』とは
オサラバなんだからよ!」

「……」

「そもそもオメーは生真面目すぎるんだよ。
そんなんじゃー途中で気をやっちまって、大ポカしちまうぜ?」

「途中……それは『終焉』が存在する事象にのみ
使用する言葉だろう」

「……オメー、もしかして『後悔』してんじゃ
ねーだろーな?今更」

「笑止な…
……後悔など、『あの時』にし飽きた」

「なら良ーけどよ…オメー見てっと、なんか…
『終焉』を求めているように感じるぜ?」

「……アッシュ」

「忘れんなよ。その『終焉』を世界から永遠に除去するために
存在するんだぜ、俺達『評議会』はな」

「無論だ」

「ったく、張りつめ過ぎてっからそんなんなっちまうんだよ。
どうだ?気晴らしにオメーもここで一戦、やらかしていくか?」

「……笑えん冗談だ」

「…絶対ダメ?」

「……今、この場で『その身体』の寿命を
終わらせて欲しいか?」

「…ゴメンナサイ、もう言いません」

人影は、現れたときと同じように、
音も立てずにアッシュ卿の前から姿を消した…。

「残念…♪」

その十数年後、アッシュ・ヴァイザー卿の死去が確認され、
しめやかな葬儀が執り行われた。
「無限の寿命」を持つと言われたアッシュ卿の死はちょっとした事件として人々を賑わせたが、
数年も経たないうちに人々の記憶から忘れ去られていった。

「澱みの塔」にて敗北し、軟禁されていた女魔導士達は解放され、
新たなる強力な魔道の血筋を後世に残すことになったと伝えられている……。

果たして、その血筋の幾人が闇の魔法祭典『サプリーム・ソーサレス』の
犠牲となったのかは、定かではない……。

 

サプリーム・ソーサレスZERO

END


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