開放されたのは…



「大丈夫ですか、ヴァイオラさん?」

「問題ない。まだまだ戦える。」

心配する私に、彼女は微笑んだ。

あれだけ戦って息が乱れていない。精神的にも余裕がある。

凄い人だと思った。身体も心も強い。羨ましい。

私達は脱走しました。自由になる為に。奴隷という束縛から解放される為に。



家はとても貧しかった。

両親は必死に働いたけど、5人もの子供を養うのは難しかった。

このままだと両親が過労死するか、弟や妹達が飢え死にする。

家族を守る為に私は家を出ました。

1人減れば、少しは楽になるはず。そう思ったから。

まだ13歳の子供だった私は、世間の厳しさや危険を知らなかった。

騙されて捕まり、奴隷商人に売られた。

初めて男性に身体を犯された日は覚えている。

身体の痛み、心の嘆き。

何かが壊れた。そんな気がした。

人間の慣れは怖い。犯される事も、人間扱いされない事も…慣れてしまった。



オークション会場に出品された私は、美しい女性達に出会った。

私と同じ出品された奴隷だったけど、何か違うと思った。

外見だけでなく、心の輝きが違ったのかもしれない。

彼女達の目はうつろだった。だけど、目の奥に強い意志を感じた。

進行役の解説を聞いていたら、有名な冒険者達だったらしい。

高額な値段で彼女達は売られた。私とは比べ物にならない。

当然だよね。私はただの田舎の村娘。



幸運なのか分からない。

私は彼女と同じ男に買われた。彼女の名前はヴァイオラ。

美しい女性達の中で、私が目を奪われた女性。

長身で無駄のない引き締まった身体。炎のように真っ赤な髪。

美しい褐色の肌。貧弱な私の胸と違って豊満な胸。

とても綺麗だった。



私の仕事は館の掃除と、彼女の世話だった。

知らない男達の相手をする娼婦館よりは良いと思った。

掃除は大変だったけど、彼女の世話が出来て嬉しかった。

時間がある時は、よく冒険の事などを話してくれた。

その時だけ、自分が奴隷という事を忘れられた。



彼女の体力には驚かされた。

やっぱり鍛え方が違うのでしょうか。

奴隷商人達の調教で、弱っていた身体は元に戻りました。

もの凄く元気です。

最近は「物足りない」と、夜伽が終わった後に呟きます。

日ごとに痩せていく男が、何故か哀れに思えてきました。



館の壁に大きな大剣が飾られています。

彼女の愛剣「悪鬼の大鉈」。

彼女が買われた時に、この大剣も一緒に買われた。

とてもじゃないですけど、私には持てません。

いえ、この大剣を持てる者は館に誰もいない。

彼女以外は。



奴隷になった私に、恋人が出来るなんて。

彼の名前はビスタ。館で馬の世話をしている人。

気さくで明るくて優しい。

私が奴隷と知っていて愛してくれた。

でも、この事が知られたら。そう思うと怖い。



悲鳴、破壊音、彼女の高笑い?

目が覚めて部屋から出ると、彼女とビスタが暴れていた。

ビスタは彼女の後ろで、物を投げていただけのような気もしますけど…。

この時に初めて見ました。

悪鬼の大鉈が唸る瞬間を。凄い破壊力です。

私は頭が狂ったのかもしれない。

彼女が暴れる姿を美しいと思ったから。

そして、3人で脱走しました。



「追っ手なし!」

ビスタが笑顔で戻ってきました。

「ご苦労さん。」

彼女が笑顔で労います。

私は水袋を渡して、ビスタの汗をタオルで拭きました。

全力で走ってきたのか、汗は止まることなく、息も荒いです。

「あり?もうないか。」

半分ほどしか入ってなかった水袋は、あっという間になくなりました。

よほど喉が渇いていたのでしょう。

「汲んできますね。」

近くに湖があるのを思い出して、私は立ち上がる。

「お、おい!危ないって!」

「追っ手はなし、ですよね?」

「そ、そうだけど。」

「大丈夫です。直に戻ってきますから、休んでいて下さい。」

私は水袋を受け取って、湖に向かいました。



「はぅ…。」

この時ほど、自分が情けないと思った事はありません。

まさか道に迷って遅くなるなんて…。

彼女もビスタも心配していますよね。

早く戻って謝らないと。

「あれ…?」

先程の場所に2人の姿が見えない。

ひょっとして私を探しに湖に?

そう思って湖に戻ろうとしたら、声が聞こえた。

向こうの草むらから。彼女とビスタ?

ゆっくりと静かに近づいた私が見たものは…。

「ちょ、ちょっと、ヴァイオラさん!」

「何?気持ちいいだろう?」

彼女の豊満な胸が、ビスタのペ、ペニスを挟んでいます。

ちらりと自分の胸を見て、真似出来ない事が悲しくなりました。

い、いえ!それよりどうして2人が?

「だ、駄目です!」

「あら?またイクのかい?いいよ、たっぷり出しな。」

妖艶な笑みを浮かべて、彼女はビスタを射精へと導きます。

大量に射精して、精液が彼女の顔や胸を汚しました。

あんなビスタの表情を見たのは初めて。

恋人同士になった私とビスタですが、関係が発覚するのを恐れてした事がありません。


そ、そのセックスを…。

羨ましくて、怒りが沸いて、私はその場で震えていました。

「もう1回しようか?」

「えぇっ!?次で4回目ですよ。」

まだするんですか!?よ、4回目って…。

「でも、アニタが戻ってきたら。」

もう戻ってきています。ちなみに【アニタ】というのが、私の名前です。

どうしよう。出るに出れない状況です。

「大丈夫、大丈夫。3人で一緒にするから。ね?」

彼女は私の方を見て微笑みました。

ば、ば、ばれてます!?

ゆっくりと彼女は、こちらへ近づいてきます。

あの、その、ヴァイオラさん…目が怖いです。

服を掴まれた私は、ビスタの方へ引きずられて行きます。

凄い力です。これが悪鬼の大鉈を自由自在に扱う事ができる彼女の力。

「ヴァイオラさん!や、やめて!お願いです。」

「黙りなさい。」

彼女の笑みを見て悟りました。抵抗は無駄という事が。

「ア、アニタ!?いつからそこに!?こ、これは、その…。」

必死にいいわけを考えているビスタを余所に、私は服を次々に脱がされていきます。

「や、やめて下さい!ひいぃっ!」

「よいではないか、よいではないか。」

な、何ですか、その台詞は!?

それにどうして…脱がすのが上手なんですか!?

裸にされ私は押し倒されました。彼女は私の身体を見て一言。

「ふむ。胸は小さいわね。」

グサッ!今の一言は痛いです。

それに気がついたのか、彼女は自分の胸を私に触らせました。

うわぁぁ。こんな感触はじめて…。

「揉んだり、舐めたり、弄ると大きくなるわよ。」

揉むのは聞いたことありますけど、それ以外は…。

「ビスタ!助け…て…ひいぃっ!」

いつの間にか近くにビスタがいました。

それだけなら悲鳴を上げません。

そ、その、目に入ったのは、そそり立ったペニスでした。

「あら?元気そうね。」

満足そうな笑みを浮かべて、彼女は残酷な宣言をした。

「2人でタップリと可愛がってあげましょう。」

「はい!!」

「い、いやあああああああああああああぁぁぁぁっ!」

私の悲鳴が辺りに響いた。

あの後の事は語りたくないです。ごめんなさい。許して下さい。



街に着いた私とビスタは、彼女と別れました。

「やり残した事があるから。」

彼女はそう言って、行ってしまいました。

彼女と出会えてよかった。

心から思います。会っていなければ、今の私はいないから。

また彼女と会える。そんな気がします。

それまでに自分を研かないと。

彼女のように輝きたい。

私はビスタと、生まれ故郷に向かって歩き始めました。



終わり。