『暗闇で笑う者』(シャーリィ・ヘッドの場合) チャボッ、ピチョン もうもうたる湯気が上がり、心地よい水音が岩間に響く。 湯気をそっと押しやるように、小柄な白い姿が現れる。 長い赤毛をタオルにまとめ、 恥ずかしげに小ぶりの胸と、へその下を隠しながら、 おずおずと岩をまたぎ、湯の中に華奢な足を沈めた。 「ん・・・っ」 思わず青い目を閉じ、じいんとしみ込む熱に、 一瞬動きを止める。 よく見れば、白い肌のあちこちに、 無数の傷跡が隠れている。 それも、昨日今日のものではない。 ゆっくりと、細い足首から、長いつややかな腿が沈み、 小ぶりで盛り上がった尻から、強烈にくびれた胴が、震えながら熱い湯に浸る。 赤く淡い茂りが、恥ずかしげに湯の中でゆらいだ。 わずかにアバラの浮いたみぞおちから、まだささやかなふくらみ、 薄いピンク色の乳首が、処女もまだ固いつぼみであることを物語る。 「んうっ、はああ・・・・・」 何とも色っぽいため息をつき、 シャーリィ・ヘッドは湯の中にしなやかな身体を伸ばした。 2時間にも及ぶぶっ続けの訓練は、 筋肉に悲鳴を上げさせ、関節もかなり痛んでいる。 湯に包まれた身体は、 まだまだ女性の成熟には程遠く、 若木のように、細くしなやかで、そして清楚だった。 痺れるような痛みに耐え、そっと手を伸ばしてみる。 かなり筋肉はあるが、決して太くは無く、 巨大な模擬刀を、凄絶に振り回す腕力には思えない。 身体が悲鳴を上げるまで、 必死に独自の訓練を施し、限界まで自分を追い、 彼女は、その小柄な身体に、不相応な戦闘力を身につけてきた。 自然、回復を早めるために、 温泉のあるこの山によくこもることになった。 彼女はそれしか、やり方を知らなかった。 『こうやって、迷宮を制覇し、邪悪な魔道師も倒したのだ。』 そのプライドと経験だけが、彼女の支えだった。 だが、所詮彼女のやっていることは、我流の無茶だ。 師にもつかず、肉体の限界を知らず、 異常な訓練を精神力だけで続けた身体は、 次第に成長から萎縮へと、マイナスへ進み始めている。 成長点ぎりぎりを見極め、 無駄なく、萎縮をさせぬように訓練させるのが、 『師』といえる本物の指導者の役目だ。 消えぬ痛み、次第に頻繁になる痺れ、 それらが、シャーリィをいらだたせ、 さらに死にもの狂いの訓練へ駆り立てるという、 どうにもならぬ悪循環へ落ち込んでいた。 「まだ、まだだ、私はもっと強くなれるはずだ。」 ほてった肌を胸まで出し、 意外に細い首を激しく振りながら、 誰もいない自然の湯船で、一人声を上げていた。 「強くなれるはずだ?」 せせら笑うような声がした。 「だっ、だれっ?!」 思わず、真っ赤になりながら、首まで湯に沈む。 「全身痛みまくり、手足は痺れて使い物にならず、 それで強くなれる?、ケケケケケ」 その最後の笑い声に、シャーリィは聞き覚えがあった。 絶対にもう聞くことの無いはずの声。 『そんな、そんなはずは無いっ!』 「『そんなはずは無い』だと、ケケケケケケケケ」 かつて、彼女が倒したはずの、 魔王を自称する高慢な魔道師、ルイ・グレーテル・ユンゲの声!。 「どっ、どこだっ、どこにいる、ユンゲ!」 「俺様を呼び捨てとはいい度胸だな、一人で何か出来ると思うか!」 ズアアアッ 急に、湯が渦を巻き、竜巻状になった。 「うぶぶっ、ううっ、うううっ!」 ガボッ、ゴボボオッ 水に完全に包まれ、渦巻きにめちゃくちゃにされながら、 シャーリィはあがき、のたうった。 竜巻が、急に止まり、 水が、水死人の顔のようにブヨブヨしたものに変わった。 その口の中にシャーリィがいた。 喉を押さえ、悶え苦しみ、 水中に長い赤毛がふわりと散った、 若木の白さと、かすかに固さを帯びた女の身体は、 苦痛と必死に暴れ、その裸体を鮮やかにひらめかせた。 ザアアアッ 水の顔が、口を大きく開くと、 ようやくシャーリィは息が出来た。 「ぜはあっ、ぜはぁっ、はあっ、はあっ、はあっ、」 青ざめ、必死に空気を吸う。 ザザザザッ 水が4箇所急激に盛り上がり、見る見る透明なローブ姿の人間を形作る。 太った体、ブヨブヨした顔、水であること以外は、 忘れようの無い姿。 「いいざまだな。」 「所詮戦士一人、貴様に何ほどの力があろうか。」 「一対四で散々に殺してくれたな。」 「今度は逆をしても文句は言えまい。」 目の下にクマを作りながら、 あがくように身体を起こすシャーリィ。 「こっ、この豚があっ」 冷たく残酷な目が光る。 ザアッ 水が膜状になり、シャーリィの頭部を覆った。 「口を慎め、小娘が。」 水の中で、今吸ったばかりの空気を泡立たせ、のたうちまわる。 びくっ、びくっ、びくっ、 脚が痙攣し、背中が海老のようにそった。 サブッ 「げはあっ、げはあっ、はあっ、はあっ、」 必死に息を吸う薄い唇。 ズビュルッ 水が触手のように伸び、 血の色を無くした唇と、小さな鼻に突き刺さる。 「ごぶっ、ごぼおっ、ぶぐっ、ぐふっぐふっぐふっ!」 浅い水の上で、青ざめた裸体が絶息し、痙攣を繰り返す。 腰を逆にエビぞらせ、濡れた茂みを突き出し、 脚をもがき、腿をすり合わせ、 白目を剥きながら、首を引きつらせてのたうつ。 豚のような顔が、喜悦と淫蕩の笑いを浮かべていた。 ジュルジュルジュル 「ぜっ、ぜっ、ぜっ、」 口と鼻から、ようやく水の触手が抜け、 浅い水に横たわったシャーリィは、ほとんど息も絶えだえだった。 自分が全裸であることも、 だらしなく手足を投げ出して横たわっていることも、 命のギリギリまで絞られた身体は、感じる暇すらない。 ズビュルッ 太めの触手状の水が、また襲った。 「うぐうっ!」 生温かいそれが、口を貫き、喉へねじ込んだ。 「げぼっ、ぐふっ、げほっ、げほっ、」 喉に筋が浮き、気道へめり込むそれに、 必死に歯を閉じる。 だが、そのとたん、それはただの水に戻った。 「XXX!、XX!」 気道が水であふれ、酸欠が肺を襲う。 顎が外れそうに広がり、空気を求めたとたん、 気管と肺に広がった水は、触手状態へ戻った。 「ゼヒュウウウッ、ゼヒュウウッ、」 触手の隙間から、空気が入ってくる。 口を閉じれば、その瞬間に窒息し、目の前すら真っ暗になる。 喉を嬲られながら、もう閉じることすら出来ない。 それは屈服であり、全面的な服従だった。 「バカめが、己一人の小ざかしい力など、 どれほどのものが、思い知ったか。」 「だが、思い知った程度で許すわけにはいかん。」 「身体にも魂にも、徹底的に刻み付けてやらねばなあ。」 力なく開き気味の足を、太った腕が容赦なく掴み、広げた。 絶息寸前の身体には、抵抗する力も意思すらもほとんど無かった。 小さな白いふくらみと、わずかなピンクのスリット。 それが、抵抗をなくしたシャーリィの全て。 力なくあえぐ身体は、もはや戦士のそれではなく、 全裸に剥かれ、喉を犯されながらあえぐ、 無力な少女でしかなかった。 「刻み付けてやるわ。」 グリュリュリュリュリュ 水のそれが、股間からそそり立ち、 急激に色を帯びて、グロテスクな黒と赤の脈打つそれに変わる。 青い目を向け、身体を動かそうとするシャーリィ、 だが、喉を押さえられていては、 何をすることもできはしない。 女性の腕ほどもあるそれが、奇怪に瘤をつけた亀頭をボコリと膨らませ、 ぐねりと、蛇のように動き、鎌首を向けた。 「んうううっ、うううっ!」 とたんに、気道を生温かい物がぐねり動き、 せきと絶息にわなないた。 のしかかる感覚が肌にヒヤリと迫った。 ブチブチブチブチ 「−−−−−−−−−−−−−−−−!!」 裂ける、引き千切れる、弾ける、壊れる。 衝撃と残酷な痛覚が、下半身を真っ二つに引き裂く。 『痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいいいいいいいいいいっ!』 絶叫が、突き上げる痛みとなって、喉に詰まった。 広げられる、突かれる、突かれる、突かれる、 さらに広げられ、叩きつけるように蠢き、律動する。 水しぶきにまみれ、痛みに震え、 引き裂かれる衝撃が、シャーリィの目をかすませる。 『なにっ、なんだっ、なんなのっ、そんなっ、痛いっ、痛いいいっ!』 しゃくりあげる動きが、シャーリィの肉体を突き上げ、 腰が跳ね上がり、脚がガクガクする。 胸が激しくのけぞり、 背筋が引き絞られた弓のようにそり、 赤毛が跳ね、顔にまきつく。 口がさらに犯され、喉が蹂躙され、 白い首が何度も青ざめる。 目が白くなり、意識がぼやけ、  ズブッズブッズブッズブッズブッ 突き上げる痛みが、血のしぶきを上げて、容赦なく引きずり起こす。 いっそ舌を噛んで死にたい、 だけど、口いっぱいの触手が、容赦なく責めたてる。 水を指先がかき、 爪が岩に裂ける。 広がった腿が血に染まり、 粘膜を描き出されるような、ゴリゴリと音を立てる動きに、 意識が、理性が、壊れていく。 あそこが裂ける、壊れる、 広がりきった尻がわななく。 脳天まで響くように、膣底が何度も突き上げられ、 意思に輝いていた瞳は、濁りかけていた。 「うむっ!」 うめきが、脈動となって、 一杯にめり込んだ中を走った。 それが、何なのか、処女だったシャーリィに分かるわけも無い。 ドビュグッ、 何かが、異常に熱く、そして残酷に冷たいものが、 ドビュグッ、 生臭く、そして蠢くものが、 ドビュグッ、 シャーリィの無垢だった膣の最深部に、 生々しくほとばしった。 『ひ・・・・・・・・・っ!!!!』 広がる白い波が、ようやく乏しいシャーリィの性知識にも届いた。 蠢くそれ、ビチビチと跳ねるそれ、 何かが薄い白い腹部の奥にいっぱい、なだれ込んでいく。 「ううううっ!、んううっ!、ふうっ!、んふううううっ!」 悔し涙で潤んだ目と、激しいうめきが何度も口から漏れ出た。 だが、腰を反らせた太った男は、満足げに締め付ける膣の底へ、 あるだけの子種を存分に注ぎいれてから、ようやく引き抜く。 「これからぞ」 ユンゲは4人いた。 二人目の太った男が、まるで人形を扱うように、 M字に細い足を広げさせ、 破瓜の血と精液にピンクに染まった秘所を広げさせる。 必死にあらがおうとしても、びくともしない。 力も喉を深く犯されると、絶息と失神が襲ってくる。 ズブブブブウッ また、同じほどグロテスクで、容赦ない感覚が、 身体を刺し貫いてきた。 『ま、またあっ、いやだあああっ!』 拒絶に絶叫する身体は、処女の痛いほどの締め付けで迎え入れる。 「ぐふふふ、すごい締め付けじゃ。 メス奴隷にふさわしい穴よのお。」 ズグンッ、ズグンッ、ズグンッ、 痛みを帯びた衝撃が、脳髄まで掻き回す。 白濁にまみれた粘膜が、 異形の巨根にえぐられ、掘り返すように引きずり出され、 貫かれたばかりのヴァギナが、悲鳴を上げて締め付ける。 ぬめる濁液にまみれ、黒々としたコブだらけの巨根が、 血と充血に赤い粘膜をこすり、無理やりに押し広げ、 シャーリィの下腹部がもり上がるほど、 深く、突入し、えぐりぬく。 「んうううっ!、ううううっ!、んふーーーっ!」 悲鳴はくぐもり、かすれ、周りに響きすらしない。 小ぶりの胸が、激しくあえぎ、突き上げる衝撃にのけぞり、 これ以上広がりきれぬほど腿は広げられ、 むき出しの粘膜がゴリゴリと、ひき潰され、引きずり出され、 充血しながら絡みつく。 ビクッビクッビクッ、 細いつま先が、何度も屈曲を繰り返し、 さらけ出された秘所は無残に、際限なく蹂躙されていく。 『壊れる、壊れるうっ、お腹が裂けるうううっ!』 膣底にぶち当たる衝撃が、意識を壊し、理性を破壊し、 削岩機のように、叩き込む。  ウオオオオオオオオッ 獣じみた咆哮が、いっそう深くねじ込まれ、 一瞬シャーリィの息が止まった。 ブシュルルルルルルルルルウウウウウ 膿汁のような濁液が、無数の塊のようになって、 充血した赤い粘膜を蹂躙する。 絶叫が、喉に押し込まれ、 叫ぶことも出来ない絶望が、身体の中を這いずり回る。 ビチビチビチビチビチビチビチ 無数の跳ね狂う何かが、膣をあふれ、奥へ、内部へ、 押し寄せるように駆け巡った。 『いやあっ、いやああっ、やめて、やめて、やめてえええっ!』 絶望するシャーリィの奥へ、その何かが蠢き突入していく。 パシャリ 何かが壊れた、人形のようなありさまで、 シャーリィの身体が、汚濁と水にまみれる。 「まあだ、これで終わるわけが無いと、思い知れや。」 青い目を、かすかな恐怖と絶望が潤ませる。 身体が折り曲げられ、どろどろに汚れ、あふれ、滴る秘所が、 顔の上に上げられる。 顔に、精液に血がわずかに混ざり、ぼたぼたと落ちてくる。 ヒュウウウ、ヒュウウウ かすかに、あえぐだけのシャーリィ。 「お前など、単なる穴だと、思い知れ。」 ズブウッ ズブブブルッ 「いぎいいいいっ!」 アナルが裂けた。 血が吹き出し、痛みがさらに激しく走った。 膣がゴリゴリと広げられ、極悪の衝撃が深く突入してきた。 二つの巨根が、同時にシャーリィの前門と後門を犯した。 泡を吹いてのけぞる彼女に、 にやりと笑うと、猛然とのしかかり、突き上げた。 「あががっ、あがっ、ああっ、ひぬっ、ひんちゅあううっ!」 目の前でザクロのように裂けた肛門が、ゴリゴリブチブチと犯され、 赤くはれ上がったヴァギナが、粘膜を引きずり出され、また巻き込まれ、 脳天までダブルの衝撃が突きぬけ、目に焼き付けられていく。 口に押し込まれた水の触手は、彼女を捕らえるだけではなく、 死ぬことすら許さぬ拘束具だった。 「グヒエヒエヘヒエヘ、感じろ、さらに絶望して堕ちろっ!」 ミチュルッ、ズブブブッミチッミチッミチッ、 ガクッガクッガクッガクッ 足が突っ張り、腰が跳ねた。 突入をかけた巨根が、突起を猛烈に伸ばし、 迷路の奥にある子宮口を、えぐった。 『いやああっ、いやああっ、いやああああああああああっ!』 肉の細い道が、聖域の通路が、 犯され、広げられ、貫かれる。 ゴブリッ 異様な音を立てて、子宮の内部に巨根の枝が突入し、 赤い肉を無理やりに広げ、粘膜の聖域を犯した。 「んうううううううううううっ!」 ゴリュッゴリュッゴリュッゴリュッ 異様な音は、もはや彼女の全てが蹂躙されていることを、 身体に焼きつけ、ねじ込んでいた。 −−−−壊れた、コワレタ、こわれた、kowareta・・・。 ドビュドビュドビュドビュドビュドビュドビュドビュ・・・・ 歓喜し、跳ね狂う無数の存在、 子宮の粘膜を直撃し、喰らいつき、もぐりこむ何か。 シャーリィの中に、次々とほとばしり、植え込まれるそれに、 明滅する、意識が壊れ、理性がばらばらになっていく。 痙攣する肉体に、放心した顔に、 精液のしぶきが、次々と襲い、浴びせ、溺れさせていった。 完全に屈服したシャーリィに、何かが胎の奥までざわざわと侵入していった。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「XXXX!!・・・・?!」 宿屋のベッドで、シャーリィは汗まみれになって目を覚ました。 あまりにおぞましく、生々しい、そして身体に重く残る夢。 まるで全身が鉛のようだった、特に腰が・・・・。 ・・・・・・いや、悪夢は終わっていなかった。 目の前に白く突き出した、丸いそれが、消えない悪夢のようにあった。 身体が重く、動かすことも出来ない。 恐怖で青い目は、完全に見開かれていた。 その白く丸いものは、彼女の下腹部を中心として、 大きくせり出し、膨れ上がり、びくびくと動きすらしていた。 「ひぃ・・・・・っ!」 空気が漏れるような、細い悲鳴を上げた。 意識が混乱して、恐怖で全身がしびれる。 「どうかした?」 部屋の前を通りかかった、知り合いの冒険者が、 彼女の声に足を止めた。 「な、何でもないっ、気にしないで。」 時間は真夜中すぎ、声が必死に抑えたそれと気づくには、 彼女は寝ぼけていて、分からなかった。 「そお?」 そのまま共同のトイレに向かう。 もし、こんなものを他人に見られたら生きてはいられない。 シャーリィは恐怖の奴隷となって、おびえていた。 ビクッ、ビクッ、ビクッ、 それが動き始めた。 「−−−−−!」 必死に毛布を噛み、声を殺す。 恐怖と、悲鳴と、そして苦痛を。 汗がびっしりと額に浮き、 身体が痙攣し、下腹部が煮えたぎるように熱く、痛い。 ミリミリミリ 絶望と恐怖が、女の中心を食い破り、表れようとしている。 それは同時に、シャーリィの心中を焼けただらせる。 毛布が裂け、痛みと血の匂いが沸き立ち、 地獄の絶叫が身体を引き裂いた。 ブシャアアッ ザリザリザリザリザリザリザリザリ 悪夢のような感覚が、お腹の底から無数に際限なく噴き出し、 固く生臭い虫のような感覚が、 意識を完全に切れさせた。 「・・・・・・・」 目がぼんやりと何かを映し出した。 木のくすんだ天井。 宿屋の、小さな部屋。 目が恐怖に開かれ、恐る恐る周りを見た。 悪夢のようなものは、どこにも見えない。 恐怖そのものの白く丸いものも。 身体は鉛以上に重く、顔はやつれ、ほおはこけていた。 あれは悪夢なのだ、現実じゃない、 そう言い聞かせ、きしみ、激しく痛む腰を無理やりに起こした。 噛み痕と破れ目がついた毛布、 そして、・・・・・・・その下の光景に、悲鳴が漏れそうになる。 赤い、無数の痕。 細い糸と虫の足跡を組み合わせたような、 細く長い、数十とも数百ともつかない痕。 シャーリィの股間を中心に、びっしりとついたそれが、 まぎれもない悪夢の証拠となって、目の前にひろがっていた。 げええっ、うげええっげえっ、げえっ、げえっ、 シャーリィは、近くのツボに吐いた、 吐くものも無いのに、苦く黄色い胃液だけが、 後から後から突き上げ、吐き続けた。 『淫馬魔獣』というサキュバス・インキュバスの変種のことも、 古代魔法の実験から偶然生み出されたと言われる事も、 シャーリィには、何一つ知りようが無かった。 それは、寝込みを襲う普通の淫魔と違い、 通り魔のように、出会った相手の影に忍び込み、 緊張が解ける瞬間を狙って精神を強姦する。 『おぞましい種馬』という別名を持つほどで、 あらゆる種族の夢に入り込んで、その種を植え付け、 屈服した相手を、本当に孕ませてしまう。 たとえ肉体は犯されていなくても、 その胎内を即座に清めないと、非常に高率で妊娠してしまうのだ。 いったいどんな子供が生まれるのか、 母親にされた者たちは、死ぬまで誰も何も語ろうとしないという。 シャーリィもたった一人で、 恐怖を抱いたまま、口を閉ざし続けるしかなかった。 その日から、勇敢な戦士だったシャーリィの深部に、 恐怖という悪魔が巣食うようになった。 迷宮の一角で、激しい戦いが起こった。 無数の愚劣な男たちが、 欲望によだれを流し、陰茎を膨らませて襲い掛かってくる。 『数が多いっ』 恐怖が、シャーリィの身体を鎖のように縛った。 赤い血の痕の記憶が、目の前に広がる。 おびえた彼女の動きが止まった。 「シャーリィィィィィッ!」 PTの仲間が叫んだ。 『わたしはこんなにも無力だったのか!? またこんな外道どもにすら勝てないとは…い、いやだ、戻りたくない! あんなところにはっ!』 FIN