前期01PTメンバー 後日譚 〜物語の後、無数に枝分かれした結末のひとつの形〜 「ここだね」  すらりとした細い肢体、黒瞳黒髪、服地に覆われぬ肌は  健康的な肌色をした盗賊の娘は一人呟く。  闇から覗き、眼前に立つのは、ある建物の前。 「待っててよ、セリカちゃん」  かくして、盗賊の娘、いや、今や竜騎士の若妻たる盗賊は潜入を開始した。  盗賊の娘の名はラフィニアという。  かつて、ワイズナー討伐に登録した冒険者の一人であり、直接にワイズナーを討つという、 《使命》を果たす事は適わなかったものの、一度として、陵辱の憂き目に遭うこともなく、 終焉の日を迎え、ハウリ王子が国主となった後、恋仲であった幼馴染の竜騎士と結ばれた。  そして、幸福感に包まれた初夜、その幸せに浸りながらも、彼女には胸にしこりと なっていたことを夫となった幼馴染に告げた。 「ねえ……あなた、一つだけ御願いがあるんだけど、聞いてくれるかな?」  名を呼ぼうとしたが、そう呼ぶ事よりも今ではより 適切と思えた呼びかけをして語りかける。 「何だい?」  やはり屈託のない、幸福感に包まれた口調の問い返しに、 口にしたら、怒らすのだろうな困ったような表情をしつつも、 決心しつつ口を開く 「……あなたと結婚できて本当に良かったと思う…… だけど、結婚してからでも、やりたい事があるの…… だから、その時には止めないと約束して欲しい…… んだ…ううん、欲しいの……」 「………それは危険な事だね?」  恋人でなく、幼妻となった者からの言葉に夫は 触れ合う身を少しだけ硬くしつつ、呟く。 「……うん、多分」  少しの間の後、ラフィニアは頷いた。 「……行方不明になった仲間がいたんだよね」  思案の後、夫は言葉を紡いだ。  妻は自分を助ける為にワイズナー討伐に参加していた、その事を知って、 結婚前に激しく喧嘩し、彼女が無事だった事に心底、安堵したものだ。  何せ、竜騎士の一員である自分が及ばないと思った事もある、名だたる 同僚の女傑までもが、悉く、ならず者の餌食となり、帰ってこなかったのだ、 当然の事だった。  妻の仲間も又、同様の道を辿った事を喧嘩の際に知っていた。  そして、彼女がそれをどう感じているかをも………。 「…………」  自分の言葉に触れ合う妻の肌が震えた。 「……ごめんなさい……こんな日にこんなこと口にしちゃいけない事も…… クルルミクの竜騎士の妻らしくないよね……分かってるんだ、 分かっているの……だけど、だけど……」  夫の胸に顔を埋め、ラフィニアの紡ぐ言葉が自然と震える。 「……うん……」  すぐに明確に言葉では答えずに頷きつつ、触り心地 が良い黒髪を大きな手が撫でる  幼馴染から妻となった女性の心を慰めるように。 「……陛下が即位されても、戦は減るかもしれないけど、  完全に絶えることはないと思うし、今回の戦ではぐれ竜も出てるから、その処理に  出るかもしれない……竜騎士だから、どうしても共にいられない事もある、  だから、その時にやりたい事をして欲しい……でも、それ以外は一緒にいたい……」  「……あなた……」  夫の言葉にラフィニアは戸惑う。  正直、許して貰えるとは思わなかったから。 「……うん、私は竜騎士の妻だから、おっしゃる通りにします……」  きゅっと竜騎士の夫を抱きしめ、言葉を返す。  本当にこの人と結婚出来て良かった、そう思いながら。  こうして結婚しても、盗賊としてのラフィニアは健在である事を心がけた。   竜騎士の妻としてありながら、日々の訓練を欠かさずに、情報を収集していた。  キャティ、セリカ、フリーデリケの名を持つ女性を。    無論、直ぐに情報は入ってこなかった。  だが、程なく、キャティは性奴になったものの運良く救出されたという事を 知る事ができ、無事、再会を果たす事が出来た。  精霊の判定で放逐という事態があったものの、あまりぎくしゃくとする事もなく、 会話が出来たのはキャティの人柄のお陰というべきか、と思った。  ミノタンロースの迷宮に挑んだ顛末を聞いた時には、キャティらしさに苦笑を禁じえなかったが。 「それじゃ、又、ラフィニアちゃん、あ、いや、今は竜騎士の若奥様の方がいいっすよね?   でも、それだと……いやいや、何でもないっす、それじゃ!」  キャティの様子に、ラフィニアはきっと、あるエルフの事を連想したんだろうと思って 苦笑を返した。  売り払われた先の相手を憔悴させて、腹上死させてしまったエルフの 若奥様の逸話は不幸を辿った冒険者が一矢報いたという気分にさせてくれたからだ。  キャティとの再会の後、それから間もなく、にフリーデリケは グラッセン軍事領にいるという噂を夫から聞く事ができた、クルルミクでもいろいろな意味で目立っていたのだから、 噂も立ちやすいんだろうなと思って苦笑を浮かべる。  そして、おばあちゃん、なら元気だよね、と。 (後年、グラッセン軍事領の内乱にて命を落とすまでに再会する事は適わなかったが)  そして結婚から1年経ったが、残るもう一人の情報を掴む事はできなかった。 竜騎士の夫との間にはまだ、子は授かってない。  できれば、子を為す前に消息を掴みたかった、子供がいては無茶する事はよりできなくなる。  満たされた生活の中で、感じる焦燥感を夫と共にある時は実感しなかったが、 出征中、孤独に夜を過ごすと脳裏に浮かべざる得なかった。    だが程なくして、最後の一人の行方をついに掴む事ができた。   だが、その知らせを聞いた時、さすがに平静を保ち切れなかった。  ならず者らによる陵辱の末、性奴として売り払われた女性冒険者は 一様に不幸のままであり続ける事が多数である。  確かに無事、救出され、恋仲の男に助けられ、絶望の中から 希望を見出す事ができた黒騎士の娘等、少数の例もあるが、中には 命を落とした者もいるのだ。  いや、まだ命を落とした方がマシな生き地獄の環境におかれている者 もいるはずだった。  セリカという娘の環境も聞く限りでは、生き地獄に近かった。  彼女を派遣した教団の幹部が内々に引き取ってからは、日々、嬲り抜いているようだった。  それを聞けば、ラフィニアも事態の想像ががつく。  セリカは教団の命で、クルルミクの調査しに来訪し、 たまたま、ワイズマン討伐の触れを聞いて冒険者登録したと聞いた。  だが、それが、ある程度、仕組まれたものだったとしてもおかしくはない。  多分、その仕組んだ者はセリカに対して、何らかの形で恨みを抱いていたのだろう。  そして、それが他者の手を借りて、不幸に陥ることを期待し、 期待通りの結果が訪れた、という事であろうとラフィニアは考えた。  そもそも、本当にクルルミクを調査させるのなら、 セリカよりも実力のある者を派遣するなり、触れに対する様子を見てからでもおかしくない。  クルルミク在住の自分よりも、セリカが新規登録について 最初に冒険者登録した事自体が不自然だ。   つまりは、セリカは自分の意思だけによらず、他者に仕組まれて冒険者となり、不幸な結末を迎えた。  これはラフィニアにとって、看過しえなかった。  最初の仲間の内、自分であれ、フリーデリケであれ、キャティちゃんであれ、自分の意思で迷宮に挑む事を決した。  だが、セリカは明らかに性奴となることを望まれ、他者に送り込まれたのだ。  確かに他にもそういう人はいるのを知っている、 だが、それはどうでもいいことだ、だが、私にとってセリカはパーティの仲間だった。  その事がのしかかる。  そして、もう二つばかり、理由がある。  一つはセリカがおそらく処女を陵辱で失ったであろうということ。  キャティちゃんやおばあちゃんはああいう性格だからノーコメント  だとしても、初めてが陵辱というのは、幸せをしった今では凄い  辛いものを感じるからだ。  そして、一つは、当時は知りようもなかったが、ある魔法の品の効果の為、  セリカを見捨てたということだった。  蛇のピックというそのアイテムは、冒険者としての本質を変えるという、 それがなければ、私達は身を挺したセリカを助ける筈だった、のだ。  勿論、セリカに対して、ラフィニアが責任を負わなければ ならない筈はない。  セリカもそうは言わないし、責めないだろう。  だが、ラフィニアはセリカに対して借りがあるという 気分を払拭できなかった。  だから、セリカを救い出そうと思った。  馬鹿だなぁ、私は、もう竜騎士の妻なんだよ、私、  一介の盗賊じゃなくて、クルルミクの国家に関して  無縁じゃない、今回の事が問題なれば、あの人の  騎士位剥奪や処罰くらいはありえるんだ、と  ラフィニアは思う。  それでも、自分の中の良心に従いたいと思う、  それをあの人は許してくれた、だから……。  こうして、ラフィニアは自分自身の冒険者としての力だけを 信じて、その教団の幹部の館に潜入しようとしたのだ。 だが……、 セリカに逢うことなく、捕まったラフィニアは その男の前に引き立てられた。 脂身だらけが紫の衣服を纏った男の前に。 誰かに似ている、ああ、そうだ、赤モグラとかいう盗賊ギルドの アブラミ=ラードフライに似ているんだ、と状況を考えずに思った。 捕まったのは竜神の迷宮で二段構えに仕掛けられていた スタナー系と呼ばれていたトラップの一種に嵌った為だった。 油断したよなと思う、今の自分にはもう効果がない バージンスタナーの後に麻痺のガスが噴き出すなんて。 「我が教団の建物に侵入するとは不逞な盗賊だな」 「……その教団の建物で女性を囲ってるなんて、本当、聖職者なの?」  売り言葉に買い言葉、だが、幹部は激昂の様子を見せることもなく、 腹を抱えて醜く大笑すると、 「……ハハハハ、さすが、ここに潜入するだけあって  度胸があるな、そういう女を導くのは我が役目であろう……」 「気色悪い、触るな!」   顎に触れてきた幹部に罵声を飛ばす。 「……本当に気が強い……よし、お主ら、  まずは手厚く可愛がってやれ」   優位を確信している為か、酷く怒ることもなく、 控えた僧兵達に指示を出す。  僧兵達はその言葉にラフィニアににじり寄っていく。 「あ、来るな、来ないでいいよ!」  実際に陵辱されるとなると、さすがに恐怖を拭えない、  必死に罵声を浴びせ、麻痺した身を捩るのが精一杯だった  バランスを崩してしまい、身体が横倒しになり、視界の光景が変化する。  だが、それによって、目的の人物を見つけることができた。 「セリカちゃん!」  目的の人物の発見に思わず、声をあげる。  だが、その様子に続く言葉をあげられなかった。    まず、目がどんよりと濁っていると思った。  表情が暗い、翳りというものではない、まるで見ただけで  空気を変質させそうだ。  ほっそりとした首に太い皮の首輪が巻かれていた、まるで犬のように。  服は着ていない、全裸だった、  冒険者仲間同士でお風呂に入った時の事を思い出した  セリカの胸は自分よりは大きかったが、それでもアヤカ程ではない、  でも形が良く、少し羨ましかった、  それに身長に比べて妙に手足が長くすらりとしていた、  おばあちゃん程の身長も力もなさそうに見えるのに、  身長程もある長大な剣(刃挽きされているが)を振るえる理由がその時、  分かった、手脚はすっきりとしているのに、胴の部分はふっくらとしている  自分との体形が異なる差をここで実感した。  自分のスタイルと身体の柔らかさには充分、自信はあるが、  胸の形と体形の肉づきにちょっとした羨望を感じたのも事実だった。   「セリカちゃん、胸の形がいい!、あと、  手脚が長くて羨ましい!! 私に頂戴!」  だから、時折、冗談混じりでいったものだ 「ありがとうございます……でも、ラフィニアさんの柔らかそうな  身体の方が素敵だと思いますよ、それに……」  その言葉にセリカちゃんは一瞬、戸惑うが、  すぐにはにかみながら言葉を返したものだった。 「素敵な竜騎士の恋人さんがいて羨ましいです、私に下さいね♪」 「にゃ〜、それだけは絶対、駄目! 駄目!」  悪戯っぽく微笑みかけるセリカに思わず必死になって反論したものだった。  セリカの言葉は冗談だったと思うが、そのじゃれあいは時折、良く思い出した 「いあいあ、アヤカちゃんもセリカちゃんもラフィニアちゃんのおぱ〜いも 全部、おばあちゃんのものですよ!?」  大体、その後、おばあちゃんが混ぜっ返してオチがついたものだったが。    そのセリカの身体だが、その頃と比べて明らかに胸 が大きくなっていた、いや、大きくさせられたのだろうか、 形の良さが崩れた大きさにされていた。  そして、綺麗だった朱鷺色の乳首は銀色の飾りで彩られていた。  又、手脚はすっきりとして、胴の部分はふっくらとしていた  肉付きはすっかりと崩れ、艶こそは増していたものの、  前衛も担当することがある機能的な僧侶としての美しさは消えていた。  僧侶だった仲間でなく、すっかりと性奴となったことをラフィニアは 意識させられた。 「……セリカちゃんだよね?」  信じられないように、もう一度、仲間の名を呼んだ。 「………ラフィニアさん?」  その言葉にようやく、セリカも昏い瞳をラフィニアに向け、 確かめるように呟いた。 「知っているのか?」  そのやり取りに、にじり寄る男達の動きを止めさせ、幹部はセリカに 問いを発する。 「……はい、御主人様、彼女、ラフィニアさんはクルルミクの竜神の迷宮で 共に地下に潜った仲間でした、クルルミクの竜騎士の恋人さんが いらっしゃった筈ですから、今は結婚されているのではないかと思って……」  セリカは緩慢な様子で考えて答えた 「……私は唯の盗賊だよ!!」  セリカの言葉を遮るように、主張する。  私はやっぱり馬鹿だ、こんな展開ありえた筈なのに、 このままだと夫に迷惑をかけてしまう。 「なるほど、お前はセリカを助けようと思って忍び込んだ……という事か」   ラフィニアの叫びに慌てる様子もなく、幹部は思案を巡らした。 「……ふふん、ラフィニアか、可愛い顔をしているな…」  にやにやとしつつ、ラフィニアの顔を改めてみる。 「……気高き竜騎士の恋人が、形はどうあれ教団の建物に  対して不法侵入、公にしたくはないだろうな、確かに……」  先程のラフィニアの大声に意図を察したように、にやにやと笑って 「……お主達、少しだけこの女を責めるのは待て」 「はい」  幹部の声にやや不満を感じつつも、承諾の声をあげる 「……セリカ、この仲間だった盗賊を充分にほぐしてやれ……」 「っ!?」  邪悪な幹部の声にセリカもラフィニアも思わず声を詰まらせる。  その言葉にラフィニア責めを留めさせられた男達も  面白そうな表情を浮かべた。 「……セ、セリカちゃん……」  瞳を白黒とさせつつ、ラフィニアはセリカを見る。  怯えを感じつつ。 「……やれ、セリカ、それとも乱れた状態で責めたいか、  ワシはそれでも構わないぞ、くく……」 「……ラフィニアさん、ごめんなさいね…… 「……セ、セリカちゃん……」  謝罪の言葉と共にセリカはゆっくりとラフィニアに近づくと、 暗い欲望を感じさせる笑みを見せた。 「……ラフィニアさん、私、実は竜騎士の恋人さんより、 貴方が欲しかったんですよ……んっ」 「……セ、セリカちゃん、何を言って、んん!?……」  意表を突く発言の後、セリカによってラフィニアは唇を奪われる。  ねっとりと絡みつくような濃厚な口付けにそれを見物する男達も思わず、  目を奪われる。 (……え、ええと、嘘だよね、セリカちゃんが……) (……ええ、嘘です、だから、このままキスを続けながらになりますが、 落ち着いて心を傾けてください……) 「んん!?」   混乱しそうになる中、脳裏に直接響く声に、至近にあるセリカの瞳を見つめた、 その瞳は濁っておらず、意思を感じさせた。 (……僧侶が接触中に使える思念波です、ラフィニアさんは今、麻痺している ようですが、隙を見て解呪します、その後、機会を作りますから、あの奥の 通路から逃げてください……) 「……んふふ、ラフィニアさんの唇、とても美味しいです、もう一回、 頂きますね……」  行為に浸ってるように見せるように、明らかに艶っぽい声をあげると、 一度、離した唇を再度、口付ける。 「駄目だよ……うむぅ」  ラフィニアも抵抗している様子を見せつつも、逆らえないといった様子で、 慣れない同性との口付けをして (……うふふ、ラフィニアさんの唇、本当に美味しいですよ、恋人さん といつもされてるのですか……) (……にゃ〜、そんな事、恥ずかしいから言わないでよ!…… と、そんなんじゃなくて、セリカちゃん、何で意思もはっきりしてて、 魔法も使えるみたいなのに逃げ出さないの?……) (………………)  ラフィニアの思念がセリカに届くと、明らかに一瞬だけセリカの表情が曇った。  だが、悟られないようにとすぐに表情を戻すと、ラフィニアの背を愛撫する。 「ふぁぁ」  その愛撫にこらえ切れないように、ラフィニアが背をのけぞらせる。 (……敏感ですねぇ、ラフィニアさん、本当、虐めたくなっちゃいそうです………)  (……セリカちゃん、絶対、性格悪くなったよ……)  咎めるような視線をラフィニアがセリカを向ける、無論、それは状況に 自然なもので、ラフィニアはセリカが仕組んでわざとやっているんじゃないかと 思ってしまった。 (……そうかもしれませんね、で、ラフィニアさん、できそうですか?……)  (……それはできるけど、セリカちゃんも一緒だよね……) (……私は駄目です……) (……何でなの?、私はセリカちゃんと一緒に出たいよ……) (……ご主人様からある程度以上、距離が離れると、私の身体が 心を裏切るんです、この首輪の効果で……) セリカが諦めたように、話した。 (……具体的に言うと、ロブスターワインを飲んだような 状態に陥ってとても走ることなんてできません……) (……私が引っ張っていくよ……) (……ラフィニアさんじゃ無理ですよ、フリーデリケさんなら 分かりませんけどね……) (…………)  セリカの言葉にラフィニアも沈黙する。 (……そういう訳で、ラフィニアさんだけでも逃げてください…… 恋人さんを悲しませちゃ駄目ですよ……) (……セリカちゃんだって!……) (……私は天涯孤独の身なんです、ですから……) (……セリカちゃん、駄目だよ……そんな自分だけ 犠牲にしてなんて……) (……私は犠牲だなんて思ってませんよ、 ラフィニアさんの幸せの手助けをしたいだけです……) (……とにかく駄目だよ……) (……ラフィニアさん、貴方が逃げないと私はご主人様の言う通りにする しかなくなりますよ……その後はラフィニアさんが陵辱されて、 性奴にされちゃいますよ……) (…………)  陵辱や性奴といった重みを感じさせる単語にラフィニアは絶句する。 (……陵辱されるのは辛いですよ、それでもいいんですか?……) (……いいよ……そうなったら、それでしょうがない 覚悟で忍び込んできたからね……) (……ラフィニアさん……)  逆に絶句するセリカ (……結婚したんだ、彼と、それでね、初めての夜はとても幸せだったよ、 ちょっと痛かったけどね、えへへ……)  そして、周囲の男に見えないようにしながら、ラフィニアは照れたような 微笑をセリカに向けた (……でね、子供はまだだけど、生まれたら、セリカちゃんに 祝福して欲しいんだ……でね、キャティちゃんとおばあちゃんアヤ カちゃんにも見てもらうんだ……) (……皆、無事なんですか?……)  少し驚きながら、セリカは問いただす (……う〜ん、キャティちゃんは別の迷宮に潜るって言ってた、 おばあちゃんはセリカちゃんと同じかもしれない…… だけど、生きてるみたいだから諦めないで済むと思う……アヤカちゃんは 竜騎士だから……) (……そうですか……) (……だからね、セリカちゃんも一緒に逃げよう、 手は打ってるからさ……でね、駄目だったら… …その時は私もセリカちゃんに付き合うから……) (……分かりました、一緒に逃げましょう……) 長い沈黙の後、セリカはようやく承諾の言葉を与える。 セリカはラフィニアと肌をあわせたまま考えていた。 本当、ラフィニアさんが仲間で入れくれてよかった、 そして、私に何があってもラフィニアさんだけは 逃がそうと決意しつつ。 やがて、セリカが唇を離す、短い集中の後、 ラフィニアの麻痺が解けた。 「セリカ、お前、まさ……」 「……女神の名において、彫像のごとく動きを留めよ……」  その言葉と共に、自分とラフィニア以外の動きが緩慢になる。  「ラフィニアさん、今です!」  セリカのその言葉と共に、ラフィニアは髪に仕込んでいた  何かを床へと叩き付けた、  途端にもうもうとした白い煙を噴き出して周囲を覆い隠す。、  その煙の中、セリカとラフィニアは奥の通路へと走り出していく。 「う……ふぅ……」  だが、セリカは先刻、口にした通り、幹部から距離が離れるに連れて、  途端に身体が火照り、芯が疼きだして、動きが止まってしまった。 「セリカちゃん、もう少しだけ我慢して」 「……ふぁぁ……は、はい」  セリカの答える声と同時だった、建物自体が激しく振動し、 先程、抜け出してきた部屋の方で衝撃が走ったのは。 「わ、思ったより、早かった?」  そう呟くと、元の部屋へと戻る。  すると、そこは屋根が破壊されて、巨大な幻獣が飛翔していた。  飛竜である、そして、その背には鎧を纏った女騎士が手を振っている 「……まさか、アヤカさん」 「あたり、じゃあ、逃げるよ、セリカちゃん」  破壊された屋根の下敷きとなっていた男達を見てから、 竜の背から垂らされた綱をセリカへと結びつけようとし たが、止められた。 「ラフィニアさん、ちょっとだけ待っていただけませんか」 「って、セリカちゃん、そんな時間ないよ」  そんなラフィニアに言葉を返さず、幹部の下へとかがみこむと、 膝をつき、何か言葉を投げかけた。 「まさか、お祈りしてるの?」 「ええ、でも、もう終わりました」 「セリカちゃん、お人良し過ぎだよ」 「……ええ、自分でもそう思います……」  「まあ、いいか、セリカちゃんらしくて」 「いきましょうか……」  その言葉を契機に用意を済ませた二人は かけ寄せる衛兵を尻目に、竜は飛び立っていった ラフィニアの日記に記載された、創作と称された話は このように結ばれている。 だが、それが本当に創作であったのか、あるいは 事実であったのか、は不明のままである。 ただ、ラフィニアの息子と娘達は、迷宮に挑んだ時の 話を母にせがむ度に、ラフィニアが決して話さずに見せた ほろ苦そうな表情とどこか懐かしげな微笑を 思い出しては、これは事実でないかと思うのであった。 ED ------------------------------------------------------------------ あとがき トレマーズさん 一応、ED設定等を絡めて書いたつもりですが、 イメージが違うなど不備などがありましたらごめんなさい。 ところで、夫のお名前? 分からないので、あなた、としか 書きませんでしたけど、違和感ありますかね。 又、おばあちゃん(フリーデリケ)、キャティ、 アヤカ、アリス、奥様(スピリア)のPLさん、 登場頂いたり、お名前やら二つ名等を お借り致しました、不快に思われる描写等がありましたら、 ごめんなさい。 なお、辞典の方にラフィニア譲に関してこう記載があります。 ・おそらく企画中で1位2位を争うほど捕縛を望まれたキャラ(特に後半)。 何が言いたいかと言えば、この記載通り、ラフィニア譲の陵辱絵、 青夜も見たかった、と思う次第なのです(爆) そこで、せめて、ラフィニア譲の痴態SSをどうやったら書けるかなと、 ラフィニア譲の後日譚を見ている内に浮かんだ内容が上記テキストとなりました。 (だから、本来の目的は遂げられなかったのですよね) ということで、誰か、ラフィニア譲のエロテキストを書かないかしら(爆) (イラストは投稿の都度、眼福眼福と堪能させて頂いております)