「イエロー、ちょっといい?」
酒場での朝食中、アカリにそう声を掛けられたのは同じパーティのマウリー・レイア。
・・・アカリは同じパーティのメンバーを
シュリ→ブルー、レヴィエル→ブラック、マウリー→イエロー
そして自らをレッドと呼び、『正義忍者戦隊』を(半ば強引に)名乗っていた。
マウリーは口にしていたカレーライスを飲み込むと、
(ちなみに、マウリーが食べていたカレーライスはアカリからの強い要望であった。)
「何かあったんですの?」
と、怪訝そうな顔で答える。
「ちょっと見て欲しい物があるんだけど、つきあってくれる?」
そう答えるアカリの顔は機嫌がよさそうである。
マウリーは最後の一口を飲み込むと、アカリに連れられて酒場を後にするのであった・・・

「イエロー、うちの忍者戦隊に足りない物があるのは知ってる?」
道を行く途中でマウリーに言うアカリ。
「前に言ってた五人目の仲間ですの?」
マウリーの答えにアカリは首を横に振る。
町を出てしばらく行くと、森が見えて来る。その中を軽々と進んで行くアカリ。
やがて、その先に1つの大きな金属の塊を見つけるマウリー。
「そう、戦隊物に欠かせないのはロボよ!!」
そう叫んだアカリのすぐ横には一体のゴーレムが鎮座ましましていた。
「夕べこの森で鍛錬してたら偶然見つけたんだけど・・・イエロー、何か判る?」
アカリにそう言われ、ゴーレムを調べるマウリー。
「見たところ・・・1000年位前の大戦で使われてたゴーレムの様ですわね」
ふむふむと頷くアカリ。
「ただ・・・強力な魔力の持ち主か特殊な力を持った人じゃないと動かせませんわ。
もちろん、私でも無理ですわよ。」
その言葉に残念そうな顔をするアカリ。
『とは言え、このゴーレムは昔からここにあった様には見えないな・・・誰かが最近ここに持ってきた?』
ゴーレムの周りを調べていたアカリがそんな事を考えていると、誰かが近づいて来るのを感じた。

「誰、そこにいるのは!?」
恐らくはそのゴーレムのマスターであろう人物の声に、バツの悪そうな顔をするアカリとマウリー。
「貴方は・・・黒曜さんと同じパーティのキルケーさんですわね。」
黒曜は以前アカリ達のパーティに救出され、その後何回か軽く顔を合わせていた。
そんなマウリーの言葉に
「それはともかく。貴方達はここで何をしていたの?」
言葉こそ穏やかであるが怒気を孕んでいるキルケーの問い。
「キルケーさん、私達『正義忍者戦隊』に入ってくれない!?」
アカリからの意外な返事に鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をするキルケー。
「これだけのロボット、正義の為に役立てるべきよ!ね。」
・・・ロボットではなくゴーレムなのですが・・・
「すまないけど、私にはやる事があるから・・・」
辛うじてそう答えたキルケーに
「じゃ、ワイズマンの件が終わったら次はそれを任務にしよう!楽しみだなあ・・・。」
そう言うと、キルケーに猫の顔のバッジを渡して去っていくアカリであった。



・・・その後、マウリーがキルケーに頭を下げて和解するのに骨が折れたとかなんとか。


つづく
                                      ・・・かも知れない。