先日のならず者との戦闘でカオス傭兵ことエースが戦闘不能になった。
しかし、そのまま捨てていくわけにもいかず・・・

「重いですわねぇ・・・そこらへんに捨てていっちゃダメですの?せめて装備は外すとか?」

文句を垂れつつ、カオス傭兵ことエースの足を掴んでずるずるっと引きずりつつ行軍するアルムと、

「そう言うな、エースはあれ程我々の役にたってくれたではないか・・・これくらいの重さは・・・くっ!恩返しだと思え!」

とかいいつつ重い!と顔に出して、もう片方の足を持って行軍中のファラ、リーダーとして率先して引き受けたはいいが・・・大の男、しかもフルプレートの男を引きずるというのは、思いのほか骨が折れる。

「しかし、エース殿が重いのはわかるが・・・足を持って引きずるというのは死体を運ぶようで不憫だと思うのだが?」

前方を警戒しつつ先頭を歩くアーネット、隊列の関係で重戦士であるアーネットは免除ということだろうか。

「確かにエースさんは役に立ってくださいましたけど・・・我が神の役に立てたのですからそこら辺に捨てても文句は言わないかと・・・」

如何にも生粋のカオスであるアルムが言い放ち、機嫌悪そうにふんっと鼻を鳴らし、

「鬼っすかアルムさん!重いのは事実っすけど・・・捨てて行くってのは余りにもあまりじゃねーっすか?」

そのあまりにもあまりな極悪ぶりに行動不能とは言え口だけは動かせるエースが抗議する。

「まったくだ、仲間をなんだと思っているんだっ!」

アルムと同じくふんっと鼻を鳴らしエースに同調するファラ、カオスPTではあるが元々彼女はロウPTにいた人間、
アルムやアーネットに説伏せられてPTのリーダをやっているとはいえ今の状況…と言うかPTには不満もあるのだろう。
というかカオスPTを呼ばれる原因はひとえにこの邪悪な鎧を纏った神官戦士の悪評、いや鎧の悪評か?
のせいではあるのだが、同じ神官戦士として非常に不愉快極まりない。

「そうだな、アルム殿は少し言い過ぎだ。エース殿はここまでよく働いてくれた。捨てていくのは不憫だろうし、余裕がなくなるまでは・・・このままでも構わないだろう」

「それってもしかして・・・余裕がなくなったら捨てていくって事じゃあ・・・ありませんの?」

アルムにしては珍しく、え?という感じで聞き返すと、

「戦場では足手纏いを置いておくのは日常茶飯事だ、何もなければ帰れるぞエース殿」

涼しげな顔でシビアな意見を述べるアーネット、流石はあちこちの戦場で戦ってきた歴戦の戦士という所か。
目立ちはしないが、その判断は的確である。

「えーーーーーーー何気に酷いっ!」

その意見にエースは悲哀の叫びを上げ、

「一理ありますわね」
「一理あるな」

ファラとアルム、水と油である二人がハモってアーネットに同意した。
根っこはもしかしたら似てるのかもしれない。

「鬼ー!悪魔ー!これだからカオスPTはー!」

彼もカオスの傭兵ではあるのだがこの扱いは余りにも酷い、同情心が沸いてくるのは筆者だけではあるまい。
だがここは非常なるドラゴンルーラの・・・いや今はワイズマンの迷宮、これくらいが普通なのかもしれない。

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「む、待て・・・監禁玄室だ、それほど人数は・・・いないようだな、増援部隊がなければ軽く蹴散らせる人数だ、行くか?」

しばしエースの重さを押して行軍すると、何か・・・女性の喘ぎ声のようなものをアーネットが聞きつけた。監禁玄室のようだ。
カオスPTとは言え同業者は見捨てるわけにはいかない、増してやアーネットとファラはどちらかと言えばロウに近いのだ。
ファラの方は漏れ聞こえる嬌声に、少し興奮してしまうのだが、表情にはおくびも出さない。自分がこのPTでの一番の良識派であると
自覚している以上そんな性癖がばれてはアルムに馬鹿にされる・・・いやもしかしたら弄ばれてしまうかもしれない。

「お待ちを・・・アーネットさん?陽動作戦というのどうですか?」

そう言ってにんまりと邪悪な笑みを浮かべると、引きずっていたエースの右側から肩を入れてよいしょっと立ち上がらせるアルム。
エースの中でいやーな予感が過ぎる・・・俺は足手纏い、そして余裕がなくなれば捨てられる運命・・・まさかっ!

「どういうことだ?陽動も何も4人しかいないが?入り口は一つだしな?」

抱え上げられたエースを見て疑問符を浮かべるファラ、

「つまりですわね・・・」

こそこそっとファラとアーネットに自分の案を告げ、

「それはいい案だな、一石二鳥という奴だ。アルム殿もなかなかの策士だな」

冷徹に言い放ち、アルムの逆側からエースの肩を支えるアーネット、彼女はリアリスト、その策は確かにいい策だった。
ならばそれを実行するまで!

「いくらなんでもソレは・・・いやしかし・・・今そこに陵辱されている者がいるならそれも致し方ないか・・・」

しぶしぶっと了承するファラ、目の前の哀れな傭兵は可哀想ではあるが、同業者の方が大事と言う風に天秤が傾いたようだ。

「ちょっ!もしかしてそんなっ!あんたらどんだけ外道なんすかーーーーー!ひでぇっ!」

アルムとアーネットに、女性とは思えない怪力で両手を持ち上げられ、ファラの前に吊り上げられるエース、自分の運命を悟った、だがしかしっ!
彼は思った!そこまでされるほど俺悪い子としたかよっ!俺!と・・・

「気は進まないが・・・済まないエース!アルム!アーネットしっかり支えていろよっ!」
「ヤー!」

棍棒をバットのように振りかぶると、気合を込めるファラ。
無表情に、嬉しそうにそれぞれ答えるアーネットとアルム。

「さらばだ!エースっ!お前の目つきは嫌いではなかったぞっ!」

自分の肢体を想像するその下劣な視線は、ファラにとっては少々興奮するものであった、
が・・・それよりも目の前の玄室に囚われている要救助者である。気合を込めて棍棒を振りぬいた!
豪快な音を立てつつ、棍棒をスイングするとカッキーン!と心が洗われるような音を響かせ、エースの背中にクリーンヒット!
そのまま玄室に中にエースは・・・

「ぎゃあああああああああ!ここは本当に地獄だぜぇぇぇぇぇ!フアァハハハハハハハハハ!」

半分錯乱し、わけのわからない台詞をはきつつ、綺麗なアーチを描き玄室の中に突っ込み、陵辱中のならずものにクリーンヒット!

「今だ!包囲完了。3・2・1・GO!」
「助けに来たぞ!大丈夫か!?」
「あーら?皆さんごきげんよう〜助けて欲しければ我が神への恭順を誓ってくださいましー!なんですって?聞こえませんわよ?」

三者三様の台詞を言いながら玄室に3人が突っ込んだ・・・

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突然かっとんできたカオス傭兵に39人のならず者がに飛び掛った
カオス傭兵は抵抗できなかった

「ちょまっ!俺はお前らに恨みがあるわけじゃ!うわぁぁなにをするおまえら!」

アーネットが11人屠った

「動揺した烏合の衆如きに!この盾と鎧を貫けると思うな!フルパワーチャージ!」

アルムが16人屠った

「アーッハッハハッハッハ!死んだ異教徒だけがいい異教徒ですわー!」

残った12人にカオス傭兵は叩き殺された!

「ひ、ひでェ…死んでも恨みますぜぇ!ファラ殿ぉぉぉぉ!」

7人のならず者がアーネットに襲いかかった 
アーネットはその全員を屠りさった

「ふんっ!その程度かっ!ワイズマンの魔物の方が歯ごたえがあるぞっ!」

2人のならず者がアルムに襲いかかった
アルムはその全員を屠りさった

「あらあらその程度の人数で私を?チャンチャラ可笑しいですわ〜〜!さようなら!そしておめでとう!」

22+49人のならず者がファラに襲いかかった
ファラは22人を屠りさった

「すまないが・・・要救助者の方が大事なのでなっ!恨むなエース!」

残った49人はファラを捕らえきれず逃げ散った

「ありえねぇ悪魔共めっ!仲間を捨石にするなんて!」 

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「くっ!倒しきれなかったか!撤退するぞアルム!アーネット!そして済まない!後は自分たちでなんとかしてくれ!」

二人に撤退を告げて監禁されていた二人に謝罪すると脱兎の如く玄室を脱出するファラ。

「引き際が肝心だっ!さらばだエース殿!」
「最後にとっても役に立ちましたわね、エースさんに我が神の祝福がありますよーに!」

続いて哀れなそして不幸なカオス傭兵エースに追悼を言葉を継げてアーネットとアルムもどうにか逃げ出した・・・
そして離れていく玄室を振り返り、

「我々の礎となったエース軍曹(二階級特進)に敬礼!」
「敬礼!」

軍隊経験者のアーネットがそう言ってびしり!っと軍隊式の敬礼すると、
残り二人もそれにならったのだった。

そして・・・帰還途中に再び玄室に突入することになろうとは、しかもそれが顔見知りであろうとは、
想像だにしなかったファラPTの面々であった・・・

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ええ・・・これは掲示板に投下した寸劇をSS形式に直して加筆したものです。
これまたしょーもないものを書いてしまってすいませんっ!
ファラPTの方々またキャラ借りちゃってすいませんっ!
そしてカオス傭兵さんもっとごめんなさい!

設定等を少々補足
エース・・・彼は名無しのカオス傭兵ではあるのですが、あまりにもいいキャラなのでちょっとオリジナル設定をということで
自分がオレハナのS級軍規逸脱犯であるということで、そこから捩ってエースという名前をつけてみた次第です。
まさかこんな結末になるとは・・・俺も想像できませんでした・・・