鋼の性女・メリッサ


 仮に鎧が無いとしても、それは彼女の矜持を何一つ揺るがす事は無い。だがしかし、相手を貶めようとする事を主眼に、男達が本気で残酷な事を考えたらどうなるか。
 今こうして目の前で行われている状況は、一つの思考実験にも似ていた。
 例えばこんな残酷な手段でもって相手を貶めれば、さすがの聖女も耐えられなくなるのではないかと……。

 全身に縄がキツく食い込み、四肢に食い込んだ縄は手足の動きを完全に封じる。まったく身動きが取れなくなったところで、今度は滑車を使ってメリッサの身体を宙ぶらりんという形にしていく。
「へへっ、ずいぶんとイイ眺めになったもんだな。どうだ?」
 股を開かされては、すっかりと性器を露出させられている状態になっているメリッサにそう言葉がかけられる。男達の好色な視線はいやがおうにも突き刺さり、嬲られた凌辱の残滓は膣口と肛門からこぼれつづける。
 当然ながら髪も口も胸も手足も精液がこびりついたままで、凌辱という凌辱が彼女の身体を襲ったのは言うまでもない。
 精液の充満している洗濯機で女性を洗うとこんな風になるのではないか?
 そんな考えを抱かせるぐらいに、メリッサの全身からは精液の臭気が立ちのぼる。
「くぅ……ッ。ころせ……っ、ころしなさい……よ……ッ」
「ばーか。そんな事したら意味がねーだろ」
 誇りをいまだ胸の内でくすぶらせているメリッサに対し、男は当然だとばかりにそうやって言葉を返す。だが馬鹿という言葉が気に入らないのか、メリッサは少し眉をひそめては男をにらみつける。
「そもそも俺達は、殺しは基本的にやらないんだっつぅーの。わかる? おんにゃのこってのはハメてなんぼ、輪姦してなんぼ、孕ませるのがいとおかし、なんだぜ」
 メリッサの頬を軽く手で撫で回し、次にその手は股間に伸びる。半開きになっている膣口は、まだ輪姦された時の痛みがわずかに残っていた。
「んくっ!」
 痛みからあげる悲鳴だったが、それは男達にとってどこか甘い嬌声にすら聞こえるようだった。反応がある部分を理解したら、立て続けに次は股間のはみ出た秘肉を指先でいじくる。
「あひぃっ! やめ……っ、さわる……なぁっ、やめ、ろ……ぉっ、あ、ひぁっ、あぐぅ……ッ!」
 鋭い痛みは身動きがロクに取れないメリッサの全身を襲い、宙吊りの不様な格好をさらしたままで悲鳴を立て続けにあげる。そんな不格好にして泣きわめく姿に、男達の間でドッと笑い声があがった。
「くぅ……はぁっ、はっ、あ……ひっ、さわる……なぁっ、あ、ぎっ、いぎぃ……っ、いたぁ……ぅい…………ぇ……」
 下手に押さえつけられて肉棒を突き込まれるより、ただ指先でいじられるだけで痛みに耐えかねて悲鳴をあげる。感じたくないのに、強引に痛みと官能を引きずり出されるという状況は、メリッサの心を強く穿つ。
 犯されている時に悲鳴をあげるのならば、多少なりとも仕方ないとメリッサの中でも割り切れる部分がある。だが今は、指先で敏感な部分をいじくられているだけだ。
「さってと、それじゃ蛇口でもひねらないとな。アレ持ってきてくれよ」
 男達がそう言葉をかわしあう中、メリッサの頭に疑問が浮かび上がる。蛇口を捻るという言葉の意味はわからいが、何かをされるという悪い予感だけが浮かび上がる。
「ま、水をこぼしたらバケツが必要だしな」
 言葉だけで聞いたらごく普通の日常会話に聞こえる内容は、メリッサがまったく予期していなかった物事へと発展する。
 男がバケツと言いながら持ってきたのは、メリッサが数時間前まで着用していた愛用の兜だったのだから。
「な……っ、ま……さかぁ…………やめっ、やめろっ、それだけは、それだけは絶対に……やめっ、ろぉ……ッ!!」
 視界に飛び込んできたモノがどのような使われかたをするのかはわからないが、鎧兜はメリッサ自身を守る重要な道具である。
 そんな道具がどういった形にせよ、穢されるというのは耐え難い屈辱につながる。息を飲み込んでは、最悪の事態に至ろうとしている現状を止めようと叫ぶ。
 だが当然のように、否定の言葉を必死になってメリッサが唱えれば、男達は凌辱の祝詞を積み重ねていく。言葉で止められる相手な訳でもなく、相手のイヤがる事をする所にこそ意義を見出す男達が止まるはずもなく。
「せっとおっけー、これがメリッサ専用のおまるって訳だ」
 股間のほぼ真下に男の一人が兜を準備すると、別の男がそこでメリッサの股間へと再び手を伸ばしていく。
 精液にまみれた淫欲の渦から、ポタリポタリと雫がこぼれる。愛液と精液の入り混じった汚らしい液体は、問答無用でメリッサの兜を汚染していく。
 だがそんな悲惨な状況は、角度的にメリッサの視界には入らない。それは幸か不幸かわからないが、ただイヤな事が起きている気配だけは濃厚に伝わる。
「ふ……ざけないで……やめ、やめなさ……いよ……ぉ……」
 痛みを訴えている性器をさらしたまま、それでもまだギリギリの淵でメリッサは踏み留まるべく力強い言葉を放つ。しかしそれは逆風であおるような、手段だった。
「それ無理」
 男はそこでおもむろに、剥き出しになっているメリッサのクリトリスを指でつまむ。だがメリッサは小さく震えて、その刺激に耐えようと歯を軽く食いしばった。
 それが逆に男の嗜虐心に火をつけ、男は指先をズラすように動かして、爪を立てて力を込めてはさみこむ。
「おっとここに秘密のつまみが! すいっち……おん!」
「や……っ! あ、あ、あああああああああああああああああああああああ!!!」
 慌てて息を飲み込もうとしたメリッサに、鋭い刺激が襲ってくる。
 ただでさえ女性器の中でも感じやすい器官に、男は可能な限りの全力でひねるような刺激を加える。肉がちぎれるんじゃないかと思えるぐらいの勢いで、爪を立てられたクリトリスは小さな爆発を股間で起こしたようだった。
 強すぎる刺激は一気に頭を真っ白にさせ、ビクンと動けないはずのメリッサの身体が強引に跳ねる。
 じょぼ……じょろろ…………じょぼぼぼぼ……
「おああぁぁぁ……おぁーーーっ、おぁぁーーぅ……」
 口は半開きになり、股間からは小便が勢い良くこぼれだしていく。文字通り、蛇口をひねるようにして、尿を漏らさせていく。
 割れ目から吹き出す黄金色の泉に男達は歓声をあげ、小便をまき散らしているメリッサは痴女めいた悲鳴を吐き出す。
 バケツと呼ばれた兜に、黄金の液体は徐々にたまっていく。さらに男達はそこで容赦なく自分達のモノをしごいては、兜の中に精液を吐き出していった。
「あ……ぁ……ぁぁぁ……ぉぁ……」
 吐き出された尿はムワリとした臭気をただよわせ、さらにそこに精液が入り混じっては凶悪な液体と成り果てる。
「レッツロック!」
 兜を抱えていた男は、そこで小便と精液の入り混じったメリッサの兜を。
 問答無用で、元の主に返す。
「がばっ、ごばげっ、げぶべばばばばばッ!?」
 やや気密性に優れている兜は、かえって逆に水責めめいた感じでメリッサの喉へと襲いかかっていく。ささやかな呼吸困難めいた状況に、兜の内側では哀れな聖女の悲鳴が反響していく。
「どうだ、聖女さん。俺達特製のカクテルは、いけてるだろ?」
 男達の笑い声に包まれる中、メリッサは地獄のような状況でと落とし込まれる。縛り付けられた状態のままでバタバタと暴れ。
 やがてそれは数分としないウチに、グッタリと脱力したように動かなくなった。
「気絶しちまったのか、だらしない聖女様だな」
 身体を一度だけ大きくビクンと跳ねさせ、メリッサは完全にその意識を失う。男達はそんなメリッサの様子を確認してから、宙吊りから床へと身体を下ろした。
「さてと、目を覚ましたらそろそろ素直になってるかな?」
 別に素直になってなくても、嬲る事には変わらないがな。……という後半の言葉を飲み込み、男達は軽く息をついた。
 メリッサはここでひとまず気絶をしたが、また後で男達の気が向いたらなぐさみモノになるのは。

 ……わざわざ語る必要の無いぐらい、世界の法則にのっとっていた。