【力を求めて 〜甘味の章〜】 by MURASAMA
BLADE!
それは、クルルミクで龍神の洞窟の探索に赴く少し前の物語。
「力が欲しいの」
カウンターの席に腰掛け、大好物のスイーツを食べながら、メラノーマはそう言った。
「ち、力…ですか…?」
そう答えたのは、カウンターの奥にいる、気弱そうな娘。
彼女の名はパーラ。先日まで冒険者をしていたが、組んだパーティを必ず壊滅させるため他の冒険者から干され、仕方なく傭兵を雇ったら実は欺瞞カオス傭兵で散々に陵辱されたところを冒険者に助けられたという、何かと話題の娘である。今は冒険者の道を諦め、ここ”ドワーフの酒蔵亭”で働く傍ら、冒険者から聞いた情報を元に迷宮に生息するモンスターを記録している。
「…ていうかパーラ、なんであなたがそこにいるの?」
メラノーマはずばっと言った。
確かにカウンターを仕切るのはマスターことペペフォジチノ以下略、通称ペペで、手伝いに過ぎないパーラがカウンターを任されることはないのだが、それにしてももう少し言い方というものがあるのではないかと思わなくもない。
「う、ううう…ひ、ひどいですぅ…わ、私は、マスターが急用で店を空けるからって、み、店番を頼まれただけなのに…」
パーラは涙ぐみながら説明する。
「あっ、そう」
その様子にもメラノーマは心動かされることなく、平然とスイーツを征服にかかる。
「わ、私だって、お料理くらい…」
「ん…この生クリーム、ちょっとしょっぱいかしら」
パーラはおどおどしながら主張するが、当然メラノーマは聞いちゃいない。
「あうぅ…」
「お〜い!パーラちゃん、つまみくれつまみ〜!」
「…は、はい〜!」
と、どこかのテーブルから注文の声が上がり、パーラは目尻に涙を浮かべながらカウンターから飛び出していく。
モグモグ…。
「ごちそうさま」
スイーツを食べ終えたメラノーマは、注文に追われているパーラを尻目に店を出た。
…だが、メラノーマは知らなかった。
そのスイーツを作ったのが、パーラであることを。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「さて…どうしようかしら」
店を出て、メラノーマは考え事をしながら歩いていた。
メラノーマは、ワイズマン討伐の登録はしたものの未だパーティを組んでおらず、龍神の洞窟には潜れなかった。しかし、そろそろ懐具合も寂しくなってきており、状況はあまり芳しいとはいえない。
「なら…やっぱりいつもの手よね」
メラノーマはそうつぶやくと、にやりと邪悪な微笑みを浮かべた。
「…………」
数分後、メラノーマは寂れた裏通りをおっかなびっくり歩いていた。
背を丸め、肩を抱き、キョロキョロと落ち着かなさそうに周囲を見回しながら歩く。
その様子は、まるで飼い主に捨てられた子犬のようだった。
「(…こうやって弱い娘を装っていれば、すぐに頭の悪い連中が来るのよね)」
無論、それらのしぐさはメラノーマの作戦だった。
か弱い少女が裏通りに迷い込んでしまい、一人不安そうに歩いているとなれば、ならず者にとっては、格好のターゲットである。メラノーマはそれを逆に利用しているのだ。
ならず者が現れたら、おおげさに驚いてみせる。必要以上に怖がり、相手の嗜虐心を煽る。相手が図に乗ってズボンを脱ぎ、油断して粗末なペニスを近づけたら、作戦開始。ステージ3を発動させたサル人形で強襲、急所攻撃で手早くならず者を黙らせ、身包み剥いで売り捌く。
ならず者も真っ青の極悪非道な一人美人局が、メラノーマの主たる収入源だった。
30分後。
「…………」
メラノーマの裏通り行脚は、3往復目に差し掛かったところだった。
しかし、普段ならとっくに現れているはずのならず者は、未だ現れる気配すらなかった。
「(なんで今日に限って誰も寄ってこないのよっ)」
憤慨するメラノーマだったが、出てこないものは仕方がない。
「(むかつくわ。今日はもう帰ろうっと)」
メラノーマは鼻を鳴らし、宿に帰ろうときびすを返す。
キュルルルッ…。
そのとき、メラノーマはお腹の中で何かが蠢く音を聞いた。
「あっ…」
思わず頬を染め、お腹に手を当てる。
「(やだ…食べすぎちゃったかしら)」
先程”ドワーフの酒蔵亭”でメラノーマが食べたスイーツは、プリン、ムース、フルーツケーキ、モンブラン、ロールケーキ、シュークリーム、エトセトラエトセトラ。合計十数種類にも及ぶ。
腹具合に異変を感じたメラノーマは足早に宿に戻ろうとする。
ギュル…ギュルルルルルルッ…!
「っ…!」
しかし、時すでに遅し。お腹の中でスイーツがうなりを上げ、逆流するように蠢く。
お腹の中を針で刺されるような痛みに耐え切れず、メラノーマは崩れ落ちるように膝をついた。
「なに…これっ…」
落ち着いてお腹をゆっくりと撫でさするが、痛みは一向に引かず、それどころかますます勢いを増していく。熱いものが、お腹の中で煮えたぎるような苦しみ。
「お?こんなところで女の子がお昼寝してるぜw」
「いけねえなあw俺たちがちゃあんと教育してやらねえとw」
「それとも、どこか悪いのかな〜?医者に連れてってやるぜw」
しかも間の悪いことに、待ち受けているときには出てこなかったならず者たちが3人、今頃になって出てきた。
「(こんなときにっ…)」
メラノーマは毒づくが、そんな余裕はなかった。
ギュゴロゴロゴロゴロッ!
「くうぅっ!」
きつく閉じられたアナルに、老廃物が殺到する。お腹の痛みはとどまるところを知らず、メラノーマの顔から脂汗が流れ出る。
「…おぅ?もしかして…」
メラノーマのただならぬ様子に、頭の悪いならず者たちも気づいたようだ。
「お嬢ちゃん、腹下してんのかい?w」
「そりゃあいいや!ひゃははははは!」
ならず者たちは下卑た笑い声を上げ――
「ちょうどいい、俺達の前で派手にひり出してみせてくれよ!」
メラノーマに、死刑宣告ともいえる非道を行うことを告げた。
「いっ…いやああああああっ…!」
昼下がりの裏通りに、少女の悲鳴が響いた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
ジュプッ、グジュッ…ギュルギュルギュルッ…!
裏通りの一角で響く、淫靡な音。
「んぐっ、んぶっ…んんんっ…!」
メラノーマは、立ったままの男に抱きかかえられた状態で膣を太いペニスに貫かれ、両手にそれぞれペニスを握らされていた。
「おらっ、おらっ!」
立っている男が腰を突き上げると、メラノーマの身体が跳ね、両腕が動いてペニスをしごく。中途半端に脱がされ、片足に引っかかったショーツが揺れる。
グリュリュリュリュリュッ!
そして、メラノーマの身体が跳ねると同時に、そのお腹の中に溜まった排泄物が暴れまわるのである。
「(やめてっ…くるしぃっ…)」
メラノーマは必死にアナルを閉じて耐えていた。脂汗は顔だけでなく身体中に浮かんでおり、頭の中は真っ白になっている。
ブピッ…!
「っ…!」
腸内の圧力が高まり、熱いものがすこしだけ漏れ出る。
「おらおら、さっさと出しちまえよ!w」
男が笑いながら子宮を突き上げ、そのたびにメラノーマの括約筋の力は奪われていく。
「(も、もう…ダメっ…)」
もはや限界はすぐそこまで迫っていた。
メラノーマは息を止め、きつく目を閉じた。
ブビュッ!ブボリュリュリュリュリュッ!
「んぐうううううっっ!」
メラノーマの綺麗な菊の花が開き、中から形を失った排泄物が滝のように噴き出す。
「うおぉっ?!」
ビュルッ!ビュクッ、ビュルルルッ!
アナルが排泄を始めると同時に、メラノーマの手は男のペニスを握り締め、膣はペニスを咥えたままこれまでにない締まり具合を見せる。その締めつけに驚き、男はメラノーマの子宮に大量の子種を吐き出した。同時に、ペニスを握られた左右の男たちが白く濁った体液を射出し、メラノーマの身体に精液の雨を降らせる。
「糞ひり出して感じてるのか?変態だな、お前w」
男の卑猥な侮蔑にも、メラノーマは答える余裕などなかった。
ビヂビヂビジャアアアアッ!
「んあああああああああっ!」
水のような大便が絶え間なく噴き出す中を、ときおり溶け損ねた便塊が通過する。便塊がアナルに引っかかるたびに、メラノーマはしゃっくりのように身体を震わせ、膣をきゅっと締めつける。
ジュブルルルルルルッ!ブビビブビジャアッ!
「…っ!…ぁ!」
排泄が始まってから十数分。
メラノーマが叫ぶ体力もなくし、わずかにうめくだけになった頃、
ビジャアッ…ビチャッ、ビチチッ…。
メラノーマのお腹の中で暴れまわった嵐は、ようやく収まろうとしていた。
「は、ぁ…はぁぁ…」
嵐の元を出し尽くし、メラノーマは男に貫かれたまま荒い吐息をついた。
メラノーマのすぐ後ろには、男に突き上げられ揺れながら排泄した茶色い液体が、大きな水溜りを作り上げている。水溜りの中に浮かんで見える塊が、より一層卑猥さを醸し出していた。
メラノーマの桃のようなピンク色のお尻は激しく飛び散った汚液で茶色く汚れ、綺麗な菊の花を咲かせていたアナルは排泄の歓喜に打ち震え、ひくひくと呼吸するようにいやらしく蠢いている。捲り上げられていただけのスカートにも、お尻の部分に茶色い水玉が無数に飛んでいた。
「おーくせえくせえ。よくもまあこんだけ派手に糞したもんだぜw」
「こんなにくせえの出すなんて、一体何食ったんだ?w」
「こっちまで臭くなっちまったぜw後でシャワー浴びねえとなw」
ニュポッ…。
「んぁっ…」
仲間と笑いながら、男が膣からペニスを引き抜くと、メラノーマの小さな子宮に収まりきらない精液が行き場を求めて勢い良く飛び出した。ゴポゴポと断続的にあふれ出す精液で、メラノーマの秘所はたちまち白く汚れる。
「さて、それじゃお嬢ちゃん、一緒にいいところに行こうかw」
男はペニスをしまうと、お尻を茶色く染めたメラノーマを抱えあげる。そのままハイウェイマンズギルドまでお持ち帰るつもりだろう。
メラノーマもそれに気づいたが、排泄によって力尽きた身体は思うように動かない。
「っ…」
「(たすけて…だれか…)」
声も思うように出ないメラノーマは、心の中で助けを求めた。
「おい、さっさとギルドに運ぶぞ…ん?」
ハイウェイマンズギルドに戻ろうとした男たちは、洞窟の方から見えた影に怪訝な声をあげる。
瞬間、
「オレァクサムヲムッコロス!!」
ボギャッ!!
鈍い音が響き、ならず者は3人まとめて壁に叩きつけられた。新鮮なトマトピューレが出来上がり、壁を真っ赤にペイントする。
ドサッ!
「…………」
倒れこむように地面に落ちたメラノーマは、痛みも忘れある一点を見つめる。
「(いまの、は…)」
目を点にしたメラノーマが視線を向けた先には、ごっついメイスがならず者を壁に磔にしていた。
100m先から遠投され、メラノーマの危機を救ったガンダムハンマー。
そんなものを使えるのは一人しか居ない。
「重機動モビルスーツ」「レッサービグザム」「ジャイアントエルフ」。
数々の呼び名を持つ、真っ当な生物とは思えない程の高スペックを誇る高位エルフ。
「メラノーマちゃんっ!」
我らがヒロイン(?)、フリーデリケおばあちゃん。
「メラノーマちゃん、大丈夫ディスか!?」
フリーデリケはメラノーマに駆け寄り、その身体を助け起こすと思いっきり抱きしめた。
「っ…く…」
「どうしたディスか?どこか痛いディスか?!」
フリーデリケに抱きしめられたメラノーマは、しゃっくりのように身体を震わせる。
慌てた様子のフリーデリケに、
「ひっく、ぐすっ…うあああああああああああんっ!!」
メラノーマは思い切り抱きついて、子供のように泣き出した。
「…よしよし、もう怖くないディスよ」
泣きじゃくるメラノーマの頭を優しく撫でるフリーデリケ。
「あああああああああんっ!ひっ、ぐずっ…おばあちゃあああああああんっ!!」
普段の落ち着いた様子に、その奥の腹黒い様子に隠された、無垢な心をむき出しにして、メラノーマはフリーデリケの胸の中で泣き続けた。
そんなメラノーマを優しく抱きしめ、あやすように撫でながら、
「(クックック、思わぬアクシデンツでメラノーマちゃんの好感度大幅アップディス!)」
本当にロウですかアナタ?とツッコミを入れたくなるくらいの邪悪な笑みを、フリーデリケは静かに――メラノーマには見えない位置で――にやりと浮かべた。
【クルルミク新聞】
〜冒険者の酒場にて、集団食中毒発生〜
○月×日、冒険者の酒場”ドワーフの酒蔵亭”で食事をした複数の冒険者が、急な腹痛や吐き気に見舞われる事件が発生。クルルミク騎士団の調査の結果、この店の見習い店員、パーラの調理した飲食物から大量の雑菌が検出された。クルルミク騎士団では、パーラの衛生管理に問題があったとして、さらに調査を進めている。事件当時、店主のペペフォジチノ・ビナヴェスニチィアン・グラッチェルニズは留守だったという。
同店は○月×日から5日間の営業停止処分を受けた。なお、この事件により冒険者が多数行動不能に陥り、龍神の迷宮探索に数日の遅れが見込まれると関係者は話している。
――クルルミク新聞記者、賢者エイティネシス――
――END.