【力を求めて 〜獣の章〜】  by MURASAMA BLADE!

 それは、メラノーマが国を追われてから、クルルミクへたどり着くまでの物語。

 「まったく…邪魔な木々ね」
 鬱蒼とした森の中を歩きながら、メラノーマは不機嫌そうに毒づいた。
 ここは名も無き森。メラノーマがやってきたのは、この森を守る土地神の存在を近隣の村で聞き、会ってみたいと思ったからである。
 「(土地神とはいえ、神は神。ならそれなりに力とかお宝とか持ってるはずよ)」
 という不純な動機と意気込みの元に森に足を踏み入れたのが、3時間前の事。
 「ちっ…ガセだったかしら」
 メラノーマは立ち止まり、大きな木の根に腰掛けた。
 散々歩き回らされたせいで、足がパンパンだ。元々こういう地道な作業には慣れていない上、性格的にも向いているとは言いがたい。
 「いるならさっさと出てきなさいよ。土地神ごときが生意気なんだから」
 メラノーマは不貞腐れたように足をばたつかせながら叫んだ。
 土地神とはいえ、神は神。
 数行前の自分の言動をあっさり覆す文句が、森の中に響く。

 「随分な挨拶だな。そんな物言いをされたのは初めてだ」

 唐突に、しわがれた男の声が、メラノーマの背後から聞こえてきた。
 「っ?!」
 驚いて立ち上がり、臨戦態勢をとるメラノーマ。
 「そう驚くな、人の娘よ。私を呼んだのはお前だろう」
 そう言いながら森の奥から現れたのは、大きな狼だった。
 太い足、豊かな毛並み、メラノーマなどひとのみにできそうな口。実際より若く見えるメラノーマだが、この狼と比べられるとさらに小さく、子供のように見える。
 「…あなたが、この森の神様?」
 今更のように、メラノーマは少し視線を逸らし、やや上目遣いに狼を見上げた。
 「(男の声ということはこいつは男性格。なら私の誘いも通じるはず)」
 この狼の言葉を全て信じたわけではないが、森の中を足音のひとつも立てずに来たということは、神ではなくても何らかの力を持った存在だということだ。
 ならば、神であろうとなかろうと同じこと。
 メラノーマのそんな考えを見透かすかのように狼はにやりと笑うと、口を開いた。
 「そうだ、人の娘よ。お前は私に何を望む?」
 「…私が欲しいものを、神様はくれるの?」
 男の欲情を誘うように、やや舌足らずに話すメラノーマ。
 それを見て、狼は変わらぬ口調で続ける。
 「お前の望むものを私が持っていれば。そして、私の望みをお前が叶えるならば」
 その言葉に、メラノーマは怪訝な顔を――心の中でする。
 「…神様の、望み?」
 「(どういうこと?神ってのは無限の力を持ってるんじゃないの?…所詮土地神だからかしら)」
 「そうだ。私はお前の望みをかなえ、お前は私の望みを叶える。それが対等というものだ」
 メラノーマはその言葉に少し考え、小さくうなずいた。
 「わかったわ」
 メラノーマの答えに、狼は大きくうなずく。
 「良い答えだ、人の娘よ。お前は私に何を望む?」
 そう問われ、メラノーマはすこし間を置いて、しかし迷いなく答えた。
 「力。私は、力が欲しいの」
 「力を手に入れ、何を欲する?」
 「私は、生きていきたい。そのためなら、何も惜しくないわ」
 偽りの口調、偽りの情欲。
 しかし、偽りを纏うメラノーマの中で、その言葉だけは、真実だった。
 「…良かろう。人の娘よ、我が力をお前に授けよう」
 「ありがとう!♪」
 メラノーマは目を細めて喜び、狼の顔にすり寄る。顔を出した真実が、再び偽りに隠れ見えなくなる。
 「…それで、神様は私に何をして欲しいの?」
 狼は表情を変えず、メラノーマに告げた。

 「人の娘よ、お前との交合を望む」

 「…うん、いいわ」
 メラノーマは、恥らう乙女のように小さな声で答えた。
 「(ふん、所詮神だろうとこんなものね。ちょっと可愛い振りをすればすぐに喰らいついてくるんだもの)」
 自分の行動が大当たりしたと、メラノーマは内心でほくそ笑む。
 「…ここで、するの?」
 しかしそれを表には決して出さない。あくまで今のメラノーマは、神との交合に不安を見せつつも毅然とそれを受け入れる乙女という設定なのだ。
 「そうだ。股を晒し、その場に這いつくばるがよい」
 「(もう少し気の利いたセリフは言えないのかしら。神とはいえ、所詮は犬畜生ね)」
 狼の直接的な物言いにメラノーマは反感を覚えつつも、言われたとおり服を脱ぐ。服の下に隠された、20歳というには少々…いや、かなり発育の遅いつつましやかな身体があらわになる。メラノーマは下着も脱ぐと、丁寧に畳んで荷物にしまい、その荷物を懐に抱えるようにして地面に四つん這いになった。
 「(セックスの最中に置き引きなんてことになったら最悪だもの)」
 「い、いいわ…神様、来て?」
 黒いことを考えている頭の中はおくびにもださず、か弱い乙女を演じるメラノーマは、震えながら後ろを向いて狼にそう言った。
 「でははじめるぞ。痛みは耐えろ」

 …ズブゥッ!!

 「っ!?…いっ、ぎあぁっ…!」
 狼の言葉の直後、今まで味わったことの無い苦痛がメラノーマの身体をえぐった。
 股間に突き刺さった巨大な杭から、全身に枝が伸びていくような痛み。
 「っ…くぁ……っ?!」
 痛みをこらえながらメラノーマは憎々しげに後ろをにらみつけ…自分の秘所に突き刺さっているペニスの巨大さに驚いた。
 犬畜生とはいえ巨大な狼、そのペニスの長さも太さも、メラノーマの腕を優に上回っていたのだ。そんな巨大なペニスが小さなメラノーマの膣に突き刺さっているのは、ある種のカートゥーンを思わせる光景だった。
 「(何よこれっ…こんなの、聞いてないわよっ…!)」
 前戯などないと思いこっそりと膣にローションを塗っておいたりもしたが、それすら無駄だと思えるほどの巨大さである。
 「動くぞ」
 内心で毒づきながらも耐えるメラノーマに、狼はさらに残酷な試練を課す。

 ズズッ…!…ズグゥッ!

 「ひぐっ!かっ、はぁぅっ!…痛いっ、痛いぃっ…!」
 狭い膣を強引に押し広げ、狼の逸物がごりごりとメラノーマの中を蹂躙する。もはや毒づくだけの余力もなく、メラノーマは痛みに耐えることしか出来なかった。
 狼の動きはますます早まっていく。その長いペニスはメラノーマの浅い膣を易々と埋め尽くし、先端がコツコツと子宮口をノックする。
 そして、

 ズッ…グッ、ググッ…!

 「(!?…な、なに…まさか…)」
 「や、やめてっ?!…そんなの、はいるわけっ…!」
 狼のペニスが、少しずつ子宮口にめり込んでいく。
 その先に待ち受ける結果が容易に想像できたメラノーマは、演技も忘れ止めてと懇願する。
 「無理だ」
 しかし、その懇願に対する返答は、慈悲無きものだった。

 ズブゥッ!

 「!?!?…っ、ぁ…が、はぁ…」
 ついに子宮口がこじ開けられ、狼の長いペニスがメラノーマの子宮を犯す。
 子供を育む場所が、獣によって蹂躙された瞬間だった。
 「い、いたい、いたいっ…いたいよぉっ…」
 メラノーマはすでに抵抗も忘れ、痛いとうわごとのように繰り返すばかり。
 そんなメラノーマを見て、狼はさらに彼女を責め立てた。

 ズンッ!ズブンッ!

 「っ!…ぁ、っく!…」
 狼のペニスが子宮の壁を突き、押し上げていく。
 すでにメラノーマは言葉もなく、狼のストロークに時折わずかな反応を示すのみ。

 「アオーーーーーーーン…!」

 ビュボッ!ビュッ、ビュルルルルッ!ゴボボッ!

 やがて子宮が押し上げられ、狼のペニスが根元まで入ったとき、それは唐突に終わりを迎えた。
 一際高く吼えたかと思うと、狼はその長大なペニスに相応しい大量の精液を射出し始めた。瞬く間にメラノーマの子宮は狼の精液で満たされ、それでも吐き出される精液はペニスと膣の隙間からドボドボとあふれ出す。

 「っ…ぁ…」
 「(やっと、終わった…)」
 メラノーマは下腹部に精液の熱さを感じると、そう安堵し身体の力を抜こうとした。
 しかし。

 グッ…グググッ…グムムムッ…!

 「?…ぁ、ぅああっ…!」
 膣に起きた異変に、メラノーマは目を剥いた。
 狼のペニスの根元が膨らみ、メラノーマの膣口を塞いだのだ。
 「(ぬ、ぬけないっ…!)」
 メラノーマは狼のペニスを引き抜こうとするが、膣を圧迫するように膨らんだペニスは簡単に抜けるはずもなかった。
 そもそも、犬は交尾相手を確実に受精させるため、射精の最中に抜けないようにそうなるという。ならば、メラノーマがどう頑張ったところで、巨大な狼相手にペニスが抜けるはずはないのだ。

 ビュルルッ!ビュクッ、ビュククククッ!

 「くる、し…お、なか…がっ…」
 いつまでも続く射精に、メラノーマは苦しげに呻く。
 その腹は、まるで臨月の妊婦のように膨れ上がっていた。
 元々華奢なメラノーマでは、巨大狼の長大なペニスを受け入れきれるはずもない。だからこそ狼は、子宮内までペニスで貫き、無理矢理根元まで押し込んだのだ。その小さな膣に蓋をしたまま精液を注げば、孕んだかのごとく腹が膨れるのは当然のことであった。
 そして、種類にもよるが大型犬は30分以上も射精を続けるという。
 「こわ、れ…」
 容量の限界を超えた量を入れようとすれば、入れ物は破裂する。
 自分の腹の限界を感じながら、メラノーマの意識は闇に閉ざされた。


   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆


 チュンチュン、チチチチ…。

 「っ……っ?!」
 小鳥のさえずりでメラノーマは目を覚まし…自分が何をされたかを思い出した。
 「(あの糞犬がっ…!)」
 怒りに歯軋りしながら、メラノーマは自分の状態を確認する。
 メラノーマは、全裸で木の陰に寝かされていた。そっと秘所に手を当てると、あれだけ長大なペニスに蹂躙されたというのに、メラノーマの秘所は元通りになっていた。華奢な腰に見合う可愛らしい、それでいて少し陰唇がはみ出した、男を誘う秘密の唇。
 「(まさか、夢だったの…?)」
 そう考えるには、全裸で寝ていたことが気になる。服は狼に犯される前に自分でそうした通り、荷物の中に丁寧にしまわれていた。しかし、忘れているだけで自分でそうして眠りについただけなのかも知れない…。
 メラノーマがそこまで考えたとき、

 トロッ…。

 「っ!?」
 秘所から溢れ、内腿を伝う液体の感触に、メラノーマは下を向く。内腿を伝う、一筋の白い線が見えた。
 「(これは…精液?)」
 明らかに白と黄の混ざった、人間のものとは違う臭いの精液。指で触れると、糸を引くかのように粘る。
 「そういえば、力が…」
 メラノーマは、今更ながらに自分の力量を確認した。昨日までとは違った力強さが、身体に溢れている。
 「…本当に、土地神だったのかしらね」
 メラノーマはそう独り言をつぶやくと、まずは服を着始めた。

 コポッ…。

 メラノーマが履いた、エメラルドグリーンの可愛らしいショーツのクロッチに、じわりと染みができた。



 ――END.