リラ・ライラック編



 一人の女性に対して、百を超える男達が一度にその欲望を叩きつけるのは当然ながら無理である。その肢体でくわえこむ事が出来る数は上限があり、肉棒を挿入されるべき膣穴は一つだけである。
 だが男達はそういう時に、少しでも多くの欲望を同時に満たそうと、本来の性器以外の場所も使うという手段を取る。
 あくまでも残酷に、ただ自分達が子供のようにがっつく為だけに、それを行う。
 欲望に忠実すぎる男達を前にして、リラの身体はただ大渦に飲まれた船のようにちりぢりにされるしか無かった。
「んー、そろそろこっち、リラちゃんのお尻も使ってこうぜ?」
 そう男の一人が言い出したかと思うと、周囲の男達から小さく声が上がる。それは同時にリラが処理出来る男性の数が増えるという事でもあったから。
「はぁ……はぁ……っ、お……しり…………を、つか……ぅ…………? つ……かうって……な、にを……?」
 騎乗位の状態のまま、望まない速度でもって強引に腰を振らせられたリラは、その乱れた呼吸を整えるように必死に息を吸い込む。
 疑問をゆっくりと口にしながらも、瞳の奥では今までと何かまた違う事をされてしまうという予感に、小さな怯えと怒りを感じていた。
「ま、知らなくて当然だよな。今さっきまで処女だったリラちゃんに、俺達が優しくレクチャーしてやるからよ」
 男の一人がリラの小柄な身体を抱え上げると、そのままリラの身体を近くに置いてあったテーブルの上に上半身をうつぶせにさせる。
 尻を突き出すに近い格好となり、精液を幾度も出されていた性器からは重力に従って真下に白い残滓をこぼしていく。漏らしたのではないかと思えるその格好は、リラ自身が直接自分の目で見たら激しくショックを受けるぐらいに、フェロモンを放出していた。
「きゃうっ!?」
 乱暴な男の動作にリラが小さくうめくが、男はそんなリラの様子をまったく気にもせずに、肉棒をリラのアナルへとあてがう。
「わかるか、ここが。普通なら肛門って名前でよばれてる、クソをヒリ出す所だ。ま、リラちゃんも可愛い顔しながら、くっさいクソをブリブリと放出する穴だな」
「な……っ、わたし、そんな……くさくなんて無いです……ッ!」
 恥ずかしい事をそう言われ、リラは勢い良く反論を口にする。だがその顔は羞恥でますます真っ赤に染まっては、どこかみじめな気分を宿したかのように床へと伏し目になっていく。
「別に安心しろよ、誰だってクソすら汚くて臭いモンさ。ま、人によっちゃリラちゃんがそうやってクソをヒリ出すのが見たいってヤツもいるかもしれねーが……」
 男はそこで肉棒を少し突き出して、アナルの入り口をノックした。
「まずはリラちゃんにお尻、アナルセックスってのを教えてやる。こいつはオマンコと違った締め付けと味わいがあってたまんねーんだぜ?」
「……ッ!」
 お尻を使うという言葉だけでは意味が理解できなかったが。肛門を肉棒によって軽くノックされた事と、アナルセックスという言葉。この二つの状況が、次のリラにどういう事を行ってくるのかを容易に想像させる。
「まっ、まさ……まさか、うそ…………ですよね、そんなとこ……ろに、いれるつもりじゃ……ッ」
 本来ならば排泄行為にしか使われないはずの器官を、男達の性欲を満たす為に使われていくという行為。膣のみでなく肛門すらも、そういった肉槍によって貫かれていく予感はリラの身体を萎縮させる。
 自然と男達の侵入をこばむ為に肛門はギュッと強く閉じ、強固なまでに抵抗しようと歯を噛みしめる。
「あまり力を入れない方が楽だと思うがな。どうせ、抵抗したって無駄なんだから……よぉっ!!」
 ごりゅっ
「がひいッ!!」
 有言実行とばかりに男は息を飲み、気合いと共に迫撃した肉槍による一撃をリラのアナルへとのめりこませていく。リラが騎乗して繰り出す一撃とは比較しようのない、そんな性欲にまみれた肉の一撃。
 だがその一撃はリラのどんな攻撃よりも鋭く、心を強く穿つ攻撃だった。
「あ……あああああ……あああああああああああ……」
 力強い一撃でねじ込まれた肉棒は、その半分ぐらいの長さを一瞬にしてリラのアナルへと入り込ませていた。
 膣とはまた別にそうやって挿入されたアナルは、かなりの勢いでもって男の肉棒を体外に排出しようと自然と動く。もともと排泄行為、体内の不必要な物を出す為の器官なのだから、それはごく自然な動きである。
 そんな動きに逆らうようにして、力任せで肉棒をねじ込む行為。
 抵抗が強くなればなるほど快感は増し、女性の肉体を屈服させるという制圧感が色濃くなっていく。
「そうら……よっ。どうだ、俺のモノが一気に半分まで入ったのが、わかるか?」
「いぎぃっ、あ……がぁ……ぅ……っ。わか……わかりたく……なんて、ない……です、そんな……のッ」
 リラは自身がどんな事をされているのか強く自覚しながらも、背後からのしかかるようにして貫かれる行為を否定しようとする。肛門から逆にモノが入り込んでくる違和感はとても大きく、それがものすごく異常な行為である事を感じていた。
 だがこの場において。処女を失い輪姦され、好きという感情をカケラも持ち合わせていない男達に精液を流し込まれたという事実。それらはすべて、クルルミクの街中ではまずありえない異常な行為である。
 そんな狂った物事を肯定しては許容する場所が、この玄室である。
「ぬい……てっ、くだっ、さ……おねがいですから……こんな……の、って、きもちわ……るいです……」
 普段食事をする時に使われるノドが、嘔吐する時に激しい気色悪さを伴うのと同じようにして。何かが逆流するというのは、その器官に大きな負担をかける。激しい圧迫感と痛みが下半身を大きく取り込み、その苦しさにリラは思わずテーブルをダンダンと叩いて苦痛を訴える。
「なに言ってるんだ、まだ半分しか挿ってないぜ。ま、これからその残りも叩き込んでやるって訳なんだがな……っとッ!」
 ぐっ……ぐぐぐぐっ……ぎりっ、ぎりりり……ッ、びきっ
「あ……あがぅ……ぎっ、あああっ、あぐぁっ、だ……めぇ…………です……ッ、こ、んなぁぁ……ッ、われ……っ、こわれちゃ……」
 端正だったリラの表情は大きく歪み、可憐さという言葉は影をひそめてしまう。だが苦悶の中でボロボロと涙を流す顔は、また異質の可愛らしさを秘めていた。
 こういった泣き顔を、それも強引に挿入されて泣き叫んでいる所の顔を見るのが好きな男達は、そんなリラの顔を引きずり出した事に一つの満足を得る。
「どうだ……これで最後、根本まで……だっ!」
 ごりゅっ
 腸壁に叩きつけられた肉製の削岩機による掘削作業は、とうとう最後の段階へと至っていく。男が腰をひねるようにして肉棒はねじり込まれ、摩擦を強く呼び起こしながら奥へ奥へと腸壁を拡大していく。
「あ……かはッ、あ……ぐぁ……ぁぁ……」
「どうだ、意外と入るモンだろ? こうやって奥の奥まで突っ込んで、はじめてこうアナルセックスの始まりって訳だ」
 リラに向かって男は悦楽に満ちた表情で高説を垂れるが、ただ苦痛の檻に捕らわれている状態ではその言葉は耳を右から左へと抜けていくばかりでしかない。
 ひねり込まれた肉棒の熱さと痛みは、焼きごてを押しつけられるような錯覚すらリラに覚えさせるようだった。
 同時に腸壁が拡大した事によって膣穴の内側が圧迫されて、ドロリとまた膣に注ぎ込まれていた精液が新しくこぼれだす。
「そしてムーヴムーヴ!」
 一度奥まで挿入されてしまえば、良くも悪くも加速がつきはじめる。男はリラの頭を軽く撫でてから、即座に動きを始めだしていく。
「うっ、うぐぁぁぁ……ッ」
 息苦しさにアゴを持ち上げては空気を求めて口をパクパクとさせる仕草は、まな板の上に乗せられた魚のようだった。激しくテーブルの上で頭を振って悲鳴をあげる姿は、調理して味わっているという一言に尽きる。
「あ……あぐ、ぎ……おごっ、おごぅっ、うがっ……ぁ、あぎっ、うあああぁぁぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
 ぎゅぐっ……ぐりゅっ、ぐりりっ
 一度動き出した腰の動きは激しく、リラを気遣うだとか感じさせようという意図はまったく無い。ただ自分が犯したいから、気持ち良くなる為だけに腰を振る。
 そんな原始的欲求によって貫かれるという行為に、リラは懇願も抵抗も忘れてはひたすらに悲鳴をあげてしまう。
「さすがは初めてのアナルだ、やっぱり街中で輪姦す娼婦とは全然桁違いの締め付けがするぜ。たまらねぇ、まったくもってたまらねぇなぁ!」
「はっ、はぐっ……はぁ……うぐっ……」
 衝動に駆られるままに腰を突き出すと、肉棒の周囲に腸壁が密着していく。そうやってからみつく肉を引きはがそうとして腰を引くと、包み込んでいる肉が一気にこすれあっては激しく刺激を与えてくる。
 膣とは比較にならない締め付けの強さは、短時間で男の肉棒を全体的に刺激してはその高みへと導いていく。
「くぉ……ぅ。もう出る……ッ。リラちゃんのアナールに注ぐぞ、たっぷりと注ぎ込んでやっかんなぁ!」
 強くそう宣言しては、今までの男達がそうしたように腰を強く掴み込んでから、可能な限り深く深くへと肉棒をねじ込む。
 ぶっ、ぶびゅるっ、びゅるるる……
 グリグリと肌と肌、結合部がピッタリと密着させられる感覚を、リラは自分の意思とは裏腹に覚えさせられていた。
「ひ……ぅ、いやっ、そんなとこ……ろっ、にで、ででる……なんてっ。だめっ、そんなことさ……れたらっ、あっ、あひっ、ぎぃ……こわ、れちゃ……うッ!!」
 膣穴に精液を注ぎ込まれるだけで、十二分に気色悪い。さらに自分の身体が、自分の意思から剥離するような違和感すら感じさせられる。それをもし、追加で肛門に注ぎ込まれたら自分はどうなってしまうのだろう?
 推測する事も出来ないおぞましさは、ただ自分の心が壊れてしまうのではないかというのを想像させるのに十分だった。
「別に壊れちまえよ。そうしたら何も考えなくていい便器にしてやるぜ……ってな!」
 一通りの射精の後に男がリラのアナルから肉棒を抜くと、肛門は少し盛り上がった土手を作りながら精液を少し吐き出す。
 その刹那、不意にリラの下腹部が激しい痛みを訴えてきた。
「あ……ッ、あっ、あ……うそ……うそうそっ。こんな、でちゃ……あぐっ、だ、だめ……ぇ、うそ、いや……いやです……ッ!」
「ちょっとキちまったみたいだな。ちょっとバケツ取ってくれよ、バケツ」
 男達はそんなリラの姿を見ては、まるで慣れたように玄室の隅に準備されていたバケツを取り出してはすぐさま準備する。
 そして二人がかりでリラの身体をつかみ、バケツの上に強引にまたがせる。
「い……やッ、離してっ。離して……トイレに、せめてトイレに行かせてくださいっ。お願いですから……これだけは、いや、いや……」
「このバケツがトイレだから気にするなって。なぁに、見られながらするのもあえてオツってもんだぜ」
 ただでさえ暴力と凌辱によって体力を大きく奪われている状態で、リラに男達をふりほどくだけの体力は残されていなかった。
 肛門に吐き出された精液は潤滑剤となって、溜まっていた汚物を吐き出させようとし、リラの下腹部はそんな動きにブレーキをかける事も出来ない。今か今かと、ただ飛び出す瞬間を待ち続けているようだった。
「そして無情のボディ!」
 男の一人が、迷わずそこで必死にこらえていたリラの腹を殴りつける。
 ただでさえ普通に踏み留まるのが困難なラインの上に立っていたその状況は、一気に急変する。崖っぷちで突き飛ばされるかのような惨い一撃は、閉じていたリラのアナルを開く魔法の呪文にも酷似していた。
「あ……いやッ、いやああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 男達の見守る中、リラはそのみじめな姿を延々と見られるしか出来なかった……。