リラ・ライラック編


 もともと、上品という言葉とは無縁な連中でもあった。
 ただがっつくように女性の身体に群がっては、イナゴのようにその精神が堕ちるまでいたぶりつくす。それに例外は無く、容赦ない挿入によって押し広げられた性器は一分と経過せずに、原型を思い出せないようなまくられかたをしていた。
「はぁ……ッ、うぐっ、あ……かっ、かはぁ……ぅ、な、なによ、この程度……たいした事無い……痛みじゃないです……から……ぁッ」
 くちびるの端を歪めながら、表情では激しい痛みを見せている。それでも口元からこぼれだす言葉は強く、抵抗の姿勢をまったく崩そうとはしていなかった。
「ハッ、そいつはちょっと悪い事をしたな。こっちはこれでもいっぱいいっぱいなんだが……なッ!」
 必死になって反逆しようと口から出る言葉に、男も自然と勢いを増すようにして腰を強く叩きつける。
「はぎぃぃぃぃぃッ!」
 強引に打ち付けられる肉杭は割れ目をさらにこじあけながら、より深い所を侵食しようと血管をヒクつかせる。股間の内側で轟くように蠢く鼓動は呼吸みたいに一定のリズムを刻むようにして、へばりつくように締め付けてくる膣壁をさらに削っていく。
 男に組み敷かれている状態でリラの口元からは痛みに耐えかねてヨダレが少しこぼれては、両足を大きくヒクつかせる。左右にピクピクと痙攣している動きは、絶命直後の昆虫類を思わせるように滑稽さを与えてくる。
 そんな動きを、可愛らしい少女がしているという事実は男達の歓喜をより刺激し、犯している男も周囲の男達もさらに興奮を高めていく。
「あっ……がはぅ…………あぐっ、ぐっ、んぐぅ……ッ、まっ、まけな……いですから……ぁぅ、あぐぅ……っ、いっ、ぎぃっ!」
 男は腰をグリグリと押しつけるように深く挿入させたかと思うと、左右に腰を軽くひねるようにして前後させる。マトモにまっすぐ動かすのではなく、リラの膣肉をグルグルとかき混ぜるようにして凌辱を繰り返していく。
 猛々しい腰の動きは獰猛な肉食類のソレに酷似して、獲物となった少女は髪を大きく振り乱すようにしながら悲鳴をあげる。
 長く艶やかな黒髪に、うっすらと首筋に浮かんだ汗がからみつく。それは肌に少し張り付いては、凌辱の過酷さをさりげなく主張するようだった。
「しっかし、それだけ抵抗しながらもずいぶんと股間は締め付けやがる。実は処女なのに淫乱でしたってか?」
「そ……ッ、んなわけっ、あっ、りません……から……ッ、はぁっ、はぐぅ……ぁ、ぁぁぅ……ぁ……」
 リラの抵抗を男は嘲笑で返しては、さらに自分達が結合している部分をさらに強く見せつけていくように腰の向きを少しズラした。
 そこで同時に、グチャリと少しばかり湿り気を帯びた音がさらに跳ね上がる。自身の股間から飛び散る赤い液体は、重力の流れに従ってリラの顔へとピチャピチャと赤い点を作る。
「どうだ、おめーさん自身の血だ。オマ●コを貫いてますって証拠が、真っ赤になってるこの液体なんだよ。わかるか? ならずモノに、お前達がさんざん殺してきた、ウンコクズみたいな連中に犯されてるんだ、レイプされてるんだぜ」
「わた……わたしは…………ッ、あっ、あぐッ、あっ、あああッ……あっ、あぐッ、あっ、あああッ……あっ、あぐッ、あっ、あああッ……わ、わたしは……ぁ……ッ、それでも……」
 否応無しに見せつけられる現実、股間を貫く凶悪なモノが無造作に上下している不気味な光景は、自分の身体に起きている事とは思いにくいぐらいに現実感が希薄で。それでも同時に、リラに与えられる痛みが凌辱蹂躙されているという事実を思い知らせる。
 そこを出入りしている男の肉棒は破瓜の血がからみつき、まだらに肉棒が染まっている様子はグロデスクさを強調する。
 衝撃をわずかでも苦そうとリラは腰を少し引こうとするが、それは同時に片方の面に対して肉棒をこすりつけてしまう事にもなり、引きかけた腰はすぐに元へと戻る。
 かえって自分から動かない方が受ける痛みが少なくなる反面、抵抗しないという事実は男のモノを受け入れているという敗北感にも襲われる。
「はぐぁっ、はひっ、ひぎぃ……ッ、はっ、はぁっ、はぁぁ……ッ、あぐっ、あぐぁぅぅ……あぅぁ……ッ」
 そうやって刻印のように腰振りの動きによってより深く、よりえぐるように、少女から女性へと変化させられるために肉壺をわななかせるしか出来ない。
 ただ悪夢のように続けられるこの瞬間、こういった痛みの一つ一つが、少しでも早く終焉を迎えて欲しいと願わずにはいられなくなる。
「ひぁっ、あっ、あぐぅ……っ、あひあふぅ……ふっ、ふぁっ、あぐ……ああぁぁッ、こんなので……まけたり……なんてし……ません…………か、ら……ぁ……ぅ……」
 気持ちはどこまでも徹底抗戦のカタチをズラともせず、かなり強く責めているつもりなのに反応が悪く対抗しようというリラの姿に少しだけ悔しさを覚えさせられる。
「そーか、よ」
 業を煮やしたかのように男はそう告げると、こめかみを少しだけヒクつかせながらも手を伸ばし指先をリラの胸へと持っていく。
 自分の胸元へと手が伸ばされる、その行為も意味もほとんど理解していないままリラは男の一挙一動を自然と見るしか出来ない。
 だがその行為は、次の瞬間に電撃めいた激しい刺激によって思い知らされる。
「はきゅふッ!?」
 胸元へと持っていかれた指先は、ペンチでひねるかに勢い良くその先端をつまみあげては、回転させるようにひねられる。激しく疾走する痛みはリラの心へとさらにヒビを入れながら、同時に苦悶の底に沈んでいる快楽に直結した部分を刺激する。
 股間を貫く痛みとはまた別に、乳首をも痛めつけられながら同時に、刺激に弱い女性自身の部位を責められてしまう。
 相手が望む望まないというのにも関わらず、性的刺激が特に強い部分を強引にでも撫でられれば身体は反応してしまう。リラの身体もそんな刺激から逃れる事も出来ず、口から溢れた吐息は痛みの中にわずかな甘さが混じっていた。
「なんだ、こいつ。いっちょまえに胸揉まれて感じてるのか。ま、この程度の乳なんてあるのか無いのか、ちっともわからねーレベルだがな」
 反応がよい場所を見つけた瞬間、男はニヤリと笑いを浮かべながらもさらにリラの乳首を執拗に責める。
 指の先端で乳首を押し潰すように動かしながら、さらに左右へと弾いていく。
 ピンと立った乳首は弾力のままにすぐに元の場所へと戻り、再び指先によってビシビシと弾かれ続ける。
「はぅ、はぐっ、あっ、あふっ、あふぁ……ぐぐぐ……ぁ……」
 胸先から来る痛みだけではなく、それとは別に響いてくる刺激。今までそういった快楽という言葉を知らずにいたリラにとって、その独特の響きは自身にも意味がまったく理解できていない。
 ただ股間を貫かれて響く鈍痛は今もなお続いており、めくれながらも痛みと刺激ばかりが先に立つ。
 そういった痛みばかりが優先されるのなら、我慢するなり耐えるなりというのも出来るのに、胸元から来る刺激は甘い響きが入り混じっていた。
 苦痛の中で不意に降り注ぐ快楽の波は強く、それは地獄の中に垂らされた糸にも似た甘美さがある。痛みから逃れようと頭の中では勝手に動き、胸元から来る中途半端な刺激に意識がヤスリで削られるように持っていかれていく。
「やっぱりビンゴだ、こいつ間違いなく乳首弱いみてーだな」
「な……ッ」
 自覚していない部分の事を言われるのは、図星という言葉には該当するのだろうか?
 しかし、リラ自身が間違いなく男達の強引な愛撫の中で、乳首をひねられた瞬間に甘い感覚を覚えているのも事実だった。
 口元から吐息が漏れた事を否定する事も出来ず、甘いうずきがわずかでもあった事は誰よりもリラが自覚しているのだから。
 男はさらに乳首を指先で潰すようにして、乳へうずめるようにとその先端をグッと押し込む。
「ひゃぐ……ッ! あっ、うぐぅ……」
 身体を少しよじらせながら、リラはそこで少し過敏に反応を返す。そこには、リラが自分の乳首に意識を集中しているという事もあり、より乳首からの刺激を強く感じる。
 そこをさらに追い立てる為に、男はさらに埋没させた乳首をその状態でグリグリと押していく。
 男の指がまだ未発達のリラの胸へと少しだけ沈み込み、逃げようと身体をくねらせるリラとの結合部が、うねりと締まりをキツくする。
 股間でヌチャリと上がる水音はその速度を増し、不意に男のモノをより強く刺激していく。リラのあまりの反応は、男にとっても予想していなかった。
「く……ぉぅ、出る……出すぞ!」
 顔を少し歪めながら、男はそこでまったく迷いも無く。突き込んでいた腰を今までよりもさらに深く、リラの中へと沈み込ませるように動かす。
 膣口からうっすらと肉棒のカタチに盛り上がった下半身の内側で、白濁の弾丸がトリガーを容赦なく引かれていく。
「だす……って、そ、そんな……ッ。イヤ、いやです……ッ。やめてっ、やめ、やめやめ……やめてぇッ!!」
 だが当然のように、この状況で叫んでみた所でまったく意味が無い。
 押さえつけられている状態にも関わらず、リラは最後の抵抗とばかりに必死になってその身体をわななかせるように力を込める。
 この一瞬だけでも、どうにか男達の腕をふりほどけたらと願いを込めながら。
 だが、現実は常に非常で……

 どぷっ
「あ゛ー」
 男の口から珍妙な言葉が漏れながら、渦を巻くようにして高まっていた欲望の滾りは問答無用で解き放たれる。やや濁った液体の流れは、誰の足跡も付けられていなかった雪原のように綺麗だったリラの膣を、泥水が汚すように駆け抜けていく。
 自分の身体の内側で、ソレが脈を打っては何かが流し込まれるという違和感に、リラは吐き気すらもよおしてくる。
「ひ……ッ、いや……いやっ、やだっ、や、やめて……やめてくださ……ッ、あうぅっ、な、なかに、なかに何か入ってきます……ッ!」
 逃げられる事も無く、どんどんと自分の内側に注がれる精液が溜まるという違和感を前にしながらも、リラの口からは抵抗ではなく状況にただ困惑するかのような言葉ばかりがこぼれだしていく。
 その瞬間にも精液はリラの膣へと注がれ続け、やがてはその脈も止まる。
「どうだ、こいつが……精液ってもんだ」
 男は一気に精液の最後をビュルリと膣中へ吐き出し終え、軽く肩を上下させながらリラの頭を軽く撫でる。
「う……っ、うぁぁっ……よ、よくも……よくもっ……絶対っ、ゆるさ……なっ、あぐっ!?」
 脱力するのではなく、リラはそこで男に反撃しようとまっさきに身体を無茶な状態から動かそうとした。でも当然のように、ひっくり返され男達に押さえつけられている状態は何も変わらず、反撃が出来る訳でもない。
 ただ膣に挿入されていた男のモノが抜け、膣口がキュッとすぼまっては精液が少しだけ膣口のビラビラを濡らす。
「殺して……ッ。あなたから、あなたは絶対に一番最初に……殺しますから!」
 そう必死に宣言するリラの瞳からは、ボロボロと涙が溢れていた。悔しさ、悲しさ、怒りといった、負の感情に満ちた瞳を悲しみに染め。その端正だった表情に、より一層の深みが加わっていく。
 まだこれからも続けられる凌辱劇を前に、リラはその自身の表情がより女性に近づいたという事も理解できないまま、叫び声を上げる。

 ……待機している男達への、鶏声のように。