リラ・ライラック編


 そもそも、そこに理由をつける事自体がバカらしい事だった。
 食事が目の前に出されれば食べるのと同じ感覚で、その男達は女性の冒険者をただそういった風に扱い、蹂躙する。
 それが呼吸するのと同意であり、彼らにそういった事を問いただす事そのものが間違っている。
 住む地方が違えばそれぞれのしきたりや風習が変わるように、男達と一般人とはそもそも根源的な考えがズレている。彼らには彼らのルールがあり、それに乗っ取って生きる事が彼らにとっての正しさであり。
 お互いの主張が相容れない場合、どちらか片方の主張が強引に押し通される。
 それが、この迷宮において唯一にして絶対の、力による支配であった。


「やめなさい、このウジ虫……許しません、絶対に許しませんから……ッ!」
 伸びてくる無数の手に、リラの四肢は押さえつけられる。一人の手を振り払おうと暴れても、また次から次へと伸ばされる手をすべてさばく事は出来なかった。
 その華奢な身体には少しばかり似合っていない鎧も、その継ぎ目に指先を差し込まれては器用に解体されていく。
 今まで幾人、幾数人、幾数十人、幾数百人、どれだけの女性冒険者を獲物として処理してきたのかはわからない。ただ彼らは女性冒険者の装備をはぎ取る技能に関しては熟知しており、その経験によって大抵の冒険者は数分でその武装を解除される。
 そしてリラもまた、そんな男達の悪霊めいた技術の前に王城から賜った龍騎士の鎧をはぎ取られ、内側に着込んでいる衣装を顕わにさせる。
「ヒューッ、龍騎士様ってんだからどれだけいかめしい中身かと思ってたが、ずいぶんと可愛らしい娘じゃん。こいつは当たりだな!」
 すらりと伸びた肢体、まだ少し幼げな顔立ち、兜の中に納められていた長い黒髪。
 リラを形作っているそれらのすべては、どこか流麗な人形を思わせるような、可愛らしさを内包していた。男達にとっては、まさに文字通りの当たりであり、同時にそれは後に売り飛ばす時の値段にも反映してくる。
 若ければ、そして見た目が可愛らしい方が『そういった筋』に評判が良いという理由からであった。
「当たり……ですって。そうやって人の事を当たりはずれだなんて、物みたいに扱うその物言い。何て言い方を……」
「ばぁーか、物『みたい』じゃねーんだよ。お前らは物なんだよ、物。俺らに嬲られてから売り飛ばされる、商品なの。かわいー顔して、あったまわるいよなー」
 そう言って男達は、気丈にもいまだに眉を吊り上げて抵抗の意思を見せるリラの事を笑い飛ばす。そのまま男の一人は手を伸ばし、リラの頬に軽く触れてからその髪を撫でるようにかきあげていく。
 男性に触れられるなんて免疫が無いリラは、そんな男達の仕草に反射的にビクッとわずかに身をすくませる。
「さーてと、検分検分ってな。そっち押さえてくれないか?」
「おーらい」
 身体を押さえつけていた男達が微妙に入れ替わりながら、リラの身体を四つんばいへとさせる。
「なっ、何をするつもり……ですか……ッ」
 こんな状況でもまだ、その丁寧な口調が抜けないのはパン屋という客商売が身に染みついているからなのだろう。そんなささやかな態度ですら、男達にとってはどこか新鮮さを感じさせ同時に股間を滾らせる燃料となる。
「言ってンだろ。これから俺達のモノをハメる、お前さんのマ●コを検分してやろうってんだ。ま、泣いて喜んでくれてもかまわないぜ」
 言うが早いか、男の一人は小型のナイフを取り出し、次の瞬間には再びそのナイフはチンと涼やかに小さな音を立ててしまわれる。
 ハラリと股間を覆っていた布が切り裂かれ、下着としての役目を果たさなくなった布はそのまま床へと無造作に落ちる。
 奥に潜んでいた割れ目はまだひっそりと茂みも無い状態のまま、薄桜色のくちびるをわずかに汗で湿らせていた。
「案の定だな、まだ誰にもヤられてない正真正銘の初モノだ。んじゃ、約束通り俺から行かせてもらうとすっか」
 リラの膣口を指で軽く左右に押し広げ、それが誰にも蹂躙された事の無い花園である事を確信し、男は舌なめずりをする。
 すでに固くなっていた肉棒をズボンから取り出し、それをリラの膣口へとねじ込む為に狙いを定めていく。
「や……ッ、やめ……」
 これから行われる行為が、どういった意味があるのか。
 それを知らないほどリラは子供ではなく、同時にまだ皮肉にも男を知らない彼女は子供の部類に該当する発展途上の身体でもあった。
 四つんばいのまま、肉塊をねじ込まれるという状態に、幾多ものモンスターを屠り、龍騎士として戦場すら経験したはずの精神に恐怖がよぎる。
 否定の言葉は舌が口の中に張り付いたように、あまり大きな言葉として出てこない。
 不可避の無惨な未来を想像しては、その残酷な想像に耐える為にただ歯を食いしばり耐えようと、リラはその口をつぐむ。
「おい、ちょっと待てよ」
 だがそこで、男達の一人が制止の言葉をかける。今すぐにでも挿入しようとしていた方の男は小さく舌打ちし、不機嫌そうな顔で制止を出した男へと振り返る。
「何だよ、今さら順番代われったって絶対に代わらねーからな」
「いいや、そうじゃなくてよ。四つんばいじゃなくて、まんぐり返しの体勢でブチ込んだ方が面白いんじゃねーかと思ってな」
 そんな提案に、挿入寸前だった男の表情が怒りから、納得へと一気に変化する。
「ああ、いーじゃんそれ。そうだな、やっぱり四つんばいよりはコイツの泣き顔を見ながら挿入って方がオツだよな……っと!」
「……ッ!」
 軽くかけ声をあげると、リラの身体はくるりと簡単にひっくり返される。腰がやや高い位置へと持ち上げられ、股間の部分がリラ自身にも見える高さになった。
 そんな膣口にあてがわれるようにして、男は挿入しようと勃起させていた肉棒をリラの股へと触れさせる。
「いいか、この長さのがおめーの中にブチ込まれるんだ。この割れ目をこじあけるようにして、女にしてやる」
 割れ目に当てていた肉棒の位置を少しズラし、下腹部の方へと持っていく。それはだいたい、リラの膣口まで男の肉棒が貫いた状況を想像させるのに十分だった。
 自身の膣をいじった経験もなければ、その奥にある子宮までの距離がどれだけなのかもリラ自身理解していない。
 ただその肉棒を挿入されたら、死ぬのではないかと思わせるぐらいの大きさと、凶悪さを誇示していた。
「や……め、そんなの入れたら、許さな……っ、絶対に、許さないから……ッ」
 ただ逆にそうやって目の前に凶器をチラつかせられるというのは、リラにとって恐怖が少しばかり薄れる結果にはなっていた。
 実際に犯される恐怖、その光景、自身の身体が受け止められるかどうかという部分を考えると不安は多いが。それでも、姿の見えない何かに貫かれるよりは、多少なりとも覚悟は出来るという部分がある。
 だが、だからといって。
「あ? 最初から俺達だって許す訳ねーじゃん。ランキング入りするだけ、俺達の仲間を殺してきたんだ。って事は……わかるよな」
 まったく濡れていない、愛液を分泌するような状況より先に、秘肉を割って挿入される肉棒が与える痛みに変化がある訳でもなく。
 再びリラの膣口にあてがわれた肉棒の先端は、体重をかけるようにして一気に埋没されていく。
「あ……ッ」
 一瞬だけ、息を飲むほどの痛み。それは、モンスターと戦った時の傷や、戦場で斬りつけられた時の痛みとはまた違う。
 未知の、痛みだった。
「あがあああああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
 その残酷な響きは普通の人や他の冒険者が聞いたら、あまりにも悲痛に満ちているという事に、慌てて耳を塞ぐだろう。だがしかし、この場にいる男達の全員が喜ばしそうな顔つきへと変化し、一挙一動すらも見のがさないようにと視線をリラへと注ぐ。
 自分の胴体が内部から破壊され、肉がミチミチと音をかき鳴らすのをリラは強く自覚させられる。
「はぎいいいいっ……あっ、あがっ、いづっ、いづうぁぁぁぁぁぁッ!!」
 玄室の中に盛大な悲鳴が上がり、下腹部が男の肉棒によってわずかばかりに棒状の膨らみを見せる。
 肉棒をくわえこんだ膣口からは破瓜の血がこぼれだしながらも、乱暴すぎる挿入におどろいたかのようにわななく。
 後頭部のあたりを内側から殴りつけられたようなショック、股間から螺旋を描くようにして身体を駆け巡る痛み。自分を構成している身体の部品がバラバラになってしまうかのような傷みの中、リラは十五年間守り続けていた大事なモノを失った事を理解した。
「俺達の仲間は刺し殺しても、自分が挿されるとは思ってなかったーってツラしてやがるな。けどよ、これが現実ってモンなんだぜ。俺達は飼い主、てめーはペット。そもそもイキがりすぎたんだ……よっ!」
「あ……ぐぁっ!?」
 うっすらと浮かび上がった血管と、立派に張り出したエラ、指先とは比べものにならない太さの肉棒が埋没されている状態から、男はそう宣言していきなり激しく腰を前後にゆさぶりはじめていく。
「はっ、はぐっ、はっ、ぎ……っ、いぎっ、いだっ、いだぁ……ッ……」
 仰向けの状況で奪われた純潔に涙をこぼしながらも、そんなリラの視線は自然と自身の股間へと向かう。
 そこに突き立てられ、リラの秘肉をめくるようにまとわりつかせては動かれる肉の花びらは、限りなくグロデスクだった。同時に胸を締め付けるような痛みに襲われながら、ただ目の前で行われている現実を認めないようにしようとかぶりを振る。
 だがそれも、すぐさま男達の一人によってさえぎられ、リラは否応無しに処女喪失と輪姦という性交を見せつけられるだけの結果に導かれていく。
 「あぐ……、あぎいいいぃぃッ! わたしは、こんなので……あなた達には屈しませ……いぎっ、いぐうっ、あぎいいいっ!」
 一瞬の呼吸の合間に、そうやって放たれる自身への誓い。
 それはまだまだこれから続くであろう輪姦凌辱劇の幕開けに相応しい、悲痛な宣誓という色を大きく見せつける。
「オーケイ、屈しないってんならどこまでやれるか、楽しませて貰おうじゃん」
 犯している男はペロリと舌なめずりをしながら、これからどうやってさらに嬲り倒そうかという事を考え始めて……いた。

*続く?*