傷薬

1.
「コトネさん…」
フォルテは、先ほどからコトネが何をしているのだろうかと、疑問に思っている。
「んん? なぁに?」
「(一体これは…)」
「あははは、なんかね、肩が凝っちゃって凝っちゃって…」
コトネは、テーブルの上に大きな胸を乗せて、くたぁっと突っ伏しながら、フォルテの話を聞いていた。
「こうしているとちょっと楽―」
「コトネさんは胸が大きいですからねえ」
「フォルテだって、結構大きいじゃないのさー。やってみたら? 結構楽だよ?」
「あ、あの、私はその、そおいうことは」
そう言うフォルテの顔は少し赤くなっているが、気のせいだろうか。
コトネは、慣れないリーダー務めで、いつも以上に疲れてしまっているらしく、少し気だるそうにしている。
ここまで無防備な姿をさらせると言うのは、それだけ彼女に気を許している証拠なのだろう。

コトネたち一行は今回も無事に帰還できた。
しかしフォルテは、迷宮の七階、八階で冒険者の足元を見て、その身と引き換えにレアアイテムを渡してくるヤミ商人のことを必要以上に警戒して、なんとか、コトネがムチャをするのを止めたいと思っている。
ただ、強く出られると押し切られてしまう性格の悲しさか。イザと言う時、止めきる自信が無い…。
そんな彼女に出来るのは、粘り強く説得することだけだったのかもしれない。
「お願いですから、もう、ムチャはしないでください…本当に。ずっと、一緒にいて欲しいんです…」
「あ、う、うん…」
しかし、そう言うコトネの返事は曖昧で、その時が来たら、本当に自分から取引に乗ってしまいそうに見えてならない。
一体自分はどうすればこの少女を止めることが出来るのだろうか。
同年代の友人などこれまでにおらず、周囲の人間には傅かれる立場でもあったから。
こう言う時にどうしたら良いのかがまるでわからない。無力感を感じてしまっていた。

「大丈夫。私、頑張ってみるから。…ね?」
そんなフォルテの心情を知ってか知らずか、コトネも必要以上に明るい。
そうして、今度はちゃんと起き上がって、フォルテのことをまっすぐ見つめながらそう答えた。
そしてこの話はこれでお仕舞い! とばかりに強引に話題を切り替えて、前に話した店のある村のこととか、このクエストが終わった後の事などを楽しそうに話す。
コトネが店を開いている村には、温泉があるらしく、多くの戦士や騎士が湯治に訪れるらしい。
コトネの風呂好きはそのせいなのだろうか? ふと考えながら、フォルテもそこへ行ってみたいとも思う。
そんなことを考えていると、漸く笑顔が戻った。
「うんうん、良かった良かった。やっぱフォルテはそうでなくっちゃ」
「え?」
満足そうに自分を見つめるコトネのことを、不思議そうに見つめ返す。
「あ、なんでもないって! あははは」
慌ててごまかしながら、コトネは大好きなフォルテにはいつも笑顔でいて欲しい。
迷宮でヤミ商人との取引に乗ることでフォルテが泣くなら、そんな取引には乗るのを止めて置こうと考えていた。
…最も、こればかりは、その時が来ないとわからないが。とにかく今はそう思っている。

と、不意にコトネはくたあっとテーブルの上に突っ伏した。
「コトネさん?」
「ああ、ほんっと今日はやけに肩凝るなあ、なんなんだろ…」
「疲れてらっしゃるのですよ」
そう言いながら、安心したフォルテはすっと背中に回り、肩を揉んであげた。
「あ…んぅ…ありがと。はぅ…それじゃ、今度は私がやったげる」
「あ、はい。有難うございます…ん…ん…これは、なかなか…良いモノですね」
コトネの方が、フォルテよりもずっと腕力があるので、かなり加減しながら、凝った肩を揉み解す。
そのまま二人は交代でお互いに肩を揉んでやっていた。



「…いや、それはいいけどさ、なんであの二人はさっきから俺様の店で話しこんでいるわけだ?」
先ほどから、二人の会話を思いっきり立ち聞きしているのがオニヘイだった。
本来ならコトネたちはフォルテが町の人間の白い目にさらされることを恐れて、宿で大人しくしているはずではなかったのか?
「コトネさん、ですからね。何分にも、じっとしているのが苦手な方ですから。
いつもの酒場や通りの店ですと目立ちますし、それでこう言う、裏通りの店に入ってきたのではないかと。まあ、偶然だと思います」
「やれやれ…」
二人が入ってきた店は、町の裏通りにある小さな喫茶店。
ここはオニヘイが以前購入した奴隷女に経営させている店である。
ここでは直接ボスに会わずとも、側近の男を通して、ボスからの命令を届けたり、新しい詐欺の打ち合わせを行なえるようにしている。
そんな店に、何も知らない少女たちが入ってきて、何やら真剣に話しこんでいる挙句、コトネは思いっきり挑発的に胸をテーブルの乗せていたり、二人で肩を揉みあいなんとも言えない声をあげるやら。
おかげで店の常連…と言っても全員がオニヘイの部下の詐欺師やならず者たちは、気まずくてたまらない。
しかもオニヘイは二人が入ってくるのに気付くと、店の奥に隠れてしまっている。
自分の店なのに…何故と思った。

「でもさ、話を聞いていると、これって悪いのはコトネちゃんだよな」
「おや? ボスはコトネさんが身を差し出すのを望んでいるのではなかったのですか?」
「そらそうだが、それは俺の都合であって。
コトネちゃんは仲間って言うかまあ、フォルテちゃんのためを思って身を差し出すのかもしれないけれど、そんなことしてアイテム手に入れたって、あっちの方はたまらんだろ」
二人の話を聞きながら、オニヘイは自分の意見を側近の男に語り、先ほどから仲良く話し込んでいるフォルテを顎で指す。
「確かに、あの二人、最近は互いに友情以上の感情を抱きつつあるようですからねえ」
つい先日、町で二人の様子を見てきた男は薄い色眼鏡の奥の瞳に感情を込めず、事実だけを綴った。

少し前、町に現れたフォルテの救出隊と思わしき謎の軍隊は、思いの他迅速にクルルミクの城下町に潜入した。
勿論オニヘイ側の行動も素早かったため、大事には至らなかったが、唐突に現れたその男たちは、これまた唐突に町から消えた。怪しくてたまらない。
だから次に現れた時に備えて、オニヘイは以前コトネたちを迷宮で追跡しているうちに、すっかりフォルテのファンになってしまった部下たち数名を彼女の故郷へと派遣した。
そうしてそこでの彼女の評判と、情況とを密かに調べさせてもいる。
部下はお気に入りの賢者のことだけに、この件では能力以上の成果を発揮して、ボスが望む情報を、次々に報告して来る。
そのおかげで、恐らく、オニヘイはこの町の誰よりも彼女の事情に詳しい。
「とにかくあの報告書でわかったのは、あの娘にはもう帰る所なんてないってことさね。少なくとも実家には」
「ではボス…?」
キラリと色眼鏡の奥の瞳が光る。この男は、女の事情には興味が無いが、仕事となれば別らしい。
「いただいてしまおう。コトネちゃんと一緒に」
そう言って笑う。
「なんだかお互い一緒にいたいみたいだし、コトネちゃんにはこれから苦労させるんだ。それぐらいの望みは叶えてやってもいいんじゃねえ?」
そう笑いながら、店の中の賢者を見る目は、新しい獲物に狙いをつけた肉食獣の目であった。

「それにしても…コトネちゃんもフォルテちゃんのことが心配な割には、ムチャな取引に乗ろうとするなんて。そう言うところは、やっぱ子供だよな」
安易な自己犠牲など、遺された人間を悲しませるだけに過ぎない。
そう判断出来る大人なら、多分この場合は取引には乗らないのではないだろうか。
「コトネちゃんはあの歳で立派な武器屋の店長で、商売に関しては堅実なわけよ。実際、俺の話にも全然乗らないし」
「だからこそ、今こんな苦労をしているわけですね」
側近の男は、いつものように、詐欺に嵌めて店を奪うことも出来るのではないかと言いかけるが、口をつぐむと、ボスにはボスの考えがあるのだろうと思うことにした。
「才能もあるし? けど、甘いんだよ基本的に。甘すぎるって言っていい。
勿論それが可愛いし、そんなコトネちゃんだから、俺様が色々な意味で面倒見てやって、ついでに組織の拡大にも力を貸してもらおうと。わかるか?」
「ええ、まあ…おや? ボス」
「お?」

ふと、扉の奥から様子を伺うと、なんと二人ともいつの間にか、互いに寄添うようにして、テーブルに突っ伏して眠っていた。
「どうやらあの女が上手く働いたようですね。睡眠薬入りの飲み物でも飲ませたのでしょうか?
ボスがコトネさんを狙っていると言うのは、組織の中でも有名な話ですから、」
「おおー、そいつぁGJ」
「どうしますか?」
「決まってるだろ! さっさと奥に運べ!」
「かしこまりました」




2.

―どさっ
すっかり眠ってしまった少女たちは、今、オニヘイの部下によって店の奥の事務所兼オーナーの女の部屋へと運ばれた。
大きめではあるが、簡素なベッドの上に無防備な肢体をさらしている二人。
それでもしっかり手を握りあっている姿に軽く嫉妬を感じる…。
「では、ボス。何か用事が御座いましたらお呼びください」
「うむ」
部下の男たちを部屋から追い払うと、早速オニヘイは二人を脱がしにかかる。
どれだけ強力な薬を飲ませたのか知らないが、二人とも全く起きる様子はない。
「お楽しみは後にとっておくのが俺様だからな、まずはフォルテちゃんから〜」
そうつぶやきながら、するすると美しい賢者のスカートを脱がし、未だ男の目にはさらされたことのない、真っ白な太股と、下着を露出させた。
「おお、想像通りの綺麗な足だな。では続いて上半身も…」
同じように、器用に上半身の衣服も脱がすと、コトネよりもやや控えめな胸が顕となる。
すうすうと軽い寝息を立てる度に、胸が軽く上下している光景は、なかなかに魅力的と言えよう。
「うむ、ぐっど! …って、ん? なんだ、この傷…」
ふと。フォルテのその綺麗な身体に相応しくない、大きな傷をオニヘイは見つけた。真っ白な肌の上で、そこだけが妙に痛々しい。
「ああ、そう言えばちょっと前にモンスターに凄い一撃を貰ったんだっけ…可哀想に」
ふう、と軽い溜息をつくと、オニヘイは事務所の奥の棚から、一つの薬瓶を持ってくる。
これは西方の国から購入した秘薬で、この瓶一つで、貴族の家が一つ買えるほどの高級品だと言う。
勿論高価なだけにその効き目も素晴らしく、時間はかかるが、使い続ければ例え死にかけるほどの重症であっても完治させることが出来る。
この手の薬は敵も多く、常に誰かに生命を狙われている身であるオニヘイにとっては欠かせない。
「女の子が身体にこんな大きな傷を残しちゃダメだろ、常識的に考えて…」
そんな高価な薬を手に取ると、そっと傷口に塗りこんでやる。
「ん…」
冷たい薬が肌に触れる感触に、フォルテはピクリと眉を潜ませるが、目を覚ます様子は無い。
構わずオニヘイは薬を塗り続けてやった。
「この薬での治療をあと二週間も治療を続ければ、綺麗に傷跡も消えるだろうよ。
…ったく、こんな大きな傷を残すだなんて、俺様の商品としての自覚あるのかね、この娘は」
…勿論そんなものはあるわけないのだが。
「しっかり治せよ」
毒づきながら、続けてコトネの方を診ることにした。

「フォルテちゃんでこれじゃあ、もしかしてコトネちゃんの身体にはもっとデカい傷とかあるのかなあ。
最初の頃は結構派手にやられていたもんな…。心配だ心配だ」
口調とは裏腹に、いよいよ本命の少女を脱がすと言う事で、嬉しくてたまらないと言った風である。
いつの間にか趣旨がすっかり変ってしまっていることには気付かないまま、オニヘイは、続けてコトネのショートパンツと、シャツを脱がした。
「くっ…やったぜ!」
少し日に焼けた健康的な太ももと、下着越しではあるが、細身の身体には不釣合いな大きな胸が顕となる。
それを見ていると、このまま襲ってやりたくてなってたまらないのだが、その感情をぐっと抑え、まずはボディチェックを行った。
「うーん…大きな傷は無いけど、細かい傷が結構…魔法じゃこう言うの治らないのかね…」
とにかく薬を塗らなくては。
そう思い、たっぷりと手に取った薬をそっと、今度も傷口の上に刷り込んでやる。
「あ…ンん…」
敏感な肌は、冷たい薬が触れた刺激に反応して、小さな口から甘い吐息が漏れる。
「可愛いなあ」
眠っている女にキスをするほど悪趣味ではないので、さすがにそう思うだけであるが、コトネの、年頃の少女らしい瑞々しい肌は、触れると軽い弾力でもって返してくるのがたまらない。
ハリのあるつややかな胸や腰。健康的で、すらりと伸びた手足。それらの全てにオニヘイは強い生命力を感じた。
「うーむ…さすがは俺のコトネちゃんだけあるな…。素晴らしい逸材と言える」
そう言いながら、傷口以外の所にも、必要以上に薬を塗りこんで、コトネの健康的な肢体に触りまくる。
脇腹や背中、腕、太ももやその奥にあるつけねにまで、ぬるぬると薬を刷り込んで行くと、いちいち可愛らしく喘ぐコトネだった。
「ふぅ…ん…んン…」
「たまらんなー。もう迷宮になんか行かせないで、このまま持って帰っちゃおうかな」
「んん…フォルテぇ…ダメだってばあ…そんなトコ触っちゃあ」
「っておい! (;´Д`)」
一体なんの夢を見ているのだ。
「ん…コトネさん…うふふ」
「こっちもかよ!('A`)」
まさか夢まで同じものを見ているとは思わないが。
オニヘイはなんだか少しだけ腹が立つ。
それでもなんとか二人の治療を終えると、掌が薬でべたべたになってしまったため、奥の流しで綺麗に洗い流した。
「ってあれ?」

…ほんの少し目を離していた隙に、先ほど振りほどいてやった二人はまたしっかりとくっついていた。
おまけに、フォルテはまるでコトネを抱き枕か何かのようにしっかりと抱え込んでいる。
まるで、何があっても離さないと言わんばかりである。
「こ、この女…! ったく、冗談じゃないっつうの、ほら、離せ! そのコは俺の女なんだからよー」
しっかりと抱え込んでいる為、今度はかなり苦労したが、それでもなんとかコトネを引き剥がすことに成功。
相変わらず起きる様子が無い二人なのだが、一体どれだけ強力な睡眠薬を飲ませのだろう? 少しだけ心配になってしまう。
「やれやれ。けどこんなに仲がいいんじゃあ本気でコトネちゃんの処女が心配だな」
誰とも無しにそう呟くと、うん、と一人で頷いた。
「と言うわけでだ。やはりここは二人の処女チェックをせねばなるまい」
なにやらとんでもないことを言い出したが、もうどうにも止まらないオニヘイが、コトネのパンツに手を触れたその時―
「ボス! 火事です!」
「な、何ぃ!?Σ(´Д`;)」
扉を開けて、部下が入ってきた。なんと言う良いタイミング。
まさか様子を伺っていたのか? 恐ろしく不機嫌になりながら、部下を睨みつけてやる。
「あ、いや、正確には向かいの店が火事なんですが、で、もう火は消えたのですが」
「じゃあいいじゃねえか! これからいい所なんだから引っ込んでろよ!」
「あ、いや、それが、ですね。衛兵がちょっと、事情聴取に来てまして」
「何おう!?」
「で、事務所に通せと頑張っていて…」
冗談ではない。
折角これから二人のパンツを降ろして処女チェックをしたなら、そのあといただきますをしようと思っていたと言うのに。
「一体誰だ、その火事起こした奴あ? 放火か!?」
「お、恐らく。とにかく早くお二人をどこかに隠さないと…と言うかボスが身を隠しませんと…」
「…くっ、確かに…じゃあ、二人は任せた!」
「了解しました!」

絶好のチャンスだったのに。
こうして二人の処女は、どこの誰が起こしたのかもしれない火事によって守られた。



3.
結局、二人はそのまま目を覚ました。
「うー…なんか頭がガンガンするよぉ…」
「き、記憶が…」
二人とも一体何があったのか、意識を失う直前の記憶が全く無い。
睡眠薬入りの飲み物をたっぷり飲まされたためか、まるで二日酔いの後のように頭がガンガンする。
なぜか下着姿でいたことに対しては、突然店の中で気分が悪くなって倒れたために、自分が解放したのだと言う女の言葉を信じることにするが、よろけながら宿に戻ってきた二人は、年長組に何をやっているのだとたしなめられてしまった。
しかし頭が痛くてたまらない二人はそれ所ではなく、その日はそのまま眠りにつく。
翌朝、再び迷宮に向かう四人の前に、オニヘイの部下から荷物が届いた。
「何これ? 薬?」
「コトネさん、これは西方の国で僅かながら販売されていると言う、秘薬ですよ」
「へえ…」
さすがにフォルテはすぐにその正体に気付くのだが、届いた薬瓶が何故それぞれコトネと、それに自分用にと宛名が記されているのかまではわからない。
おまけに同封の手紙には、二人宛に、毎日使用して、傷を治すようにとまである。
「(何故、あの方が私の傷のことを存じているのでしょうか?)」
まさか昨日、貞操の危機をさらしていたとは思わないフォルテには、それが不思議で仕方がないが、薬自体は本物であるために有難くいただくことにして、荷物の中に詰め込む。
勿論コトネは無邪気に喜び、既に自分の荷物の中に詰め込んでいる。
そうして張り切って控える3人の方を振り向くと、出発しようと、リーダーらしく一同に号令を出すのだった。
リーダーをやること自体はあまり気が進まないのだが、こう言うノリは好きらしい。
「よーし、みんな! それじゃそろそろ行こうか!」
こうして、一行は再び迷宮に向かう。


4.
「嗚呼…昨日の俺に蹴り入れたい…」
その頃、オニヘイは一人で悶々としていた。昨日は絶好のチャンスだったのに。
誰の仕業か知らないが、いい所を邪魔したあの放火犯は許さんと思う傍らで、あの場で微妙にヘタレだった自分に一番腹が立つ。
「なあ…」
「はい?」
俺ってもしかしてヘタレか?
そう言いかけて、珍しくあわてて口をつぐんだ。それを言ったら、多分本当にヘタレになってしまいそうだ。
だから、昨日の自分は傷だらけの二人を心配してやっただけなのだと、思うことにする。
「コトネちゃんたちを追跡してるの連中の準備は?」
「問題ありません。連中も何度も迷宮に行っているせいか、実力もついてきましたし、探索用のアイテムも持たせていますので」
「ふうん…」
それなら問題ない。
そうして、今度こそコトネはヤミ商人との取引に乗るだろうか?
そんなことを思いながら、今頃迷宮に向かっているであろう、少女に想いを馳せるオニヘイだった。