<壊れた心をひきずって>  その6 −『片目のデュミナス2』−  byMORIGUMA 「あたしだ。」 その片目を見たとたん、しなびたネズミのような男は、 とびあがった。 「ひ、ひ、ひいっ、ああ、アネゴおおおっ!」 それこそ腰を抜かしたまま、 猛烈なスピードで、店の隅の脱出口に飛び込もうとする。 『器用な逃げ方しやがる。』 ガスッ、 頑丈なブーツが、抜けた腰を踏み潰す。 「ぎええええっ、おたっ、おたっ、おたすけえええっ。」 思いっきり不機嫌な顔をするレイラ。 「久しぶりに会ったってのに、えれえごあいさつじゃないか?。」 「いい、い、命ばかりはお助けをぉぉぉ。」 「てめえのチンケな命なんざいるか、ボケ。」 本気であきれている口調に、そいつはようやく気づいた。 「あ、あの、アネゴ、ほんとに捕まえにきたわけじゃ・・・??」 レイラはそいつの襟首掴んで、ひきずりあげる。 「あほんだら、んなこといちいちやってるほど、暇じゃあない。」 喉首締め上げられながら、ぶっきらぼうに怒鳴られる口調が、 かえって男をほっとさせたようだ。 「す、すいません、アネゴがスゲエ偉くなっちまったんで、つい。」 「あたしはあたしだ、気分のわりい。」 壁に思いっきり放られ、ブギャッと悲鳴を上げる。 「えへへ、やっぱりアネゴだあ。」 妙なもので、こういう連中には、扱い方というのがある。 それを知らない相手だと、逃げ回られて会うことすらできないのだ。 「情報屋ブッチ、教えろ。」 金貨を一枚はじいた。 「げ、な、なんです?」 交渉前に金貨を一枚、これはかなりやっかいな場合だ。 「ハデス・ヴェリコはどこだ?」 ざあっと、ネズミのような顔が青ざめる。 「ありゃ、やばいすよ。今は近づけねえ。」 「何でだ?」 「金貨10枚。」 とたんに強欲な面つきで、爪の伸びた指を立てる。 「ふざけんな、3枚だ。」 「せめて5枚。」 「あほ、2枚。」 「げ、減らすかよ普通ぅ。」 「かってに情報を増やしたのはお前だ。」 片目が笑ってない、本気でアネゴを怒らせるのは、 ドラゴンの尻尾を踏むより恐ろしい。 「かなわねえなあ。まだ特別情報っすよ。」 もったいぶってブッチは話し出した。 ハデスは、最近あちこちに現れるらしいのだが、 その周りに、非常にやばそうな連中がこっそりとついている。 どれも若く、まだ20前の男女だが、 共通しているのが、年齢と、そして得体の知れない雰囲気。 「カンのいい情報屋が二人、どうやらその連中に探りを入れようとしたんですが。」 ブッチは、首に手を当ててシュッと横へ引いた、 厚ぼったい舌をデロンと出して。 路地裏で、首を掻き切られていたらしい。 急に声を潜めて、ブッチが口に手を当てる。 「一人だけ、こじきが変なことを言ってやして、」 情報屋というのは、 実は、人に言いたくてしかたのない連中なんじゃなかろうか?。 金に汚いくせに、自分から身を乗り出したりする。 「ある邪神の聖印を下げてた、と。」 邪神・・・・・?!。 ハデスのことを思い出すなら、 その横で冷たい笑いを浮かべる、 もう一人を思い出さぬわけにはいかない。 「まさか、ヨグの?」 「な、なんでご存知なんでアネゴ!」 最悪だ。 アルム・ウト=ウィタル、 凶悪な邪神ヨグ=azato-su=クトウグァの敬虔な神官戦士。 まちがいない、アルムがいる。 直感が、あの神官戦士の存在を感知していた。 あいつらがしでかした様々な騒動が、 ぞっとするような生々しさで浮かび上がる。 あの時は、たいした事にはならなかったが、 どれもまかり間違えば、竜神の迷宮事件より問題になったかも知れぬ。 そして、20年を生き延びたアルムが、 あのままでいるとは、どうしても思えなかった。 『手遅れかもしれん』 「ブッチ、もう、これに首を突っ込むな、命は大事にしろ。」 情報屋は、何かを感じたのだろうか、 何も言わずに立ち上がろうとするレイラに、 目の玉が転げ落ちそうな顔をした。 「アネゴ・・・」 情報代の金貨を見つめながら、 搾り出すような声を上げた。 「あさっての夜、シリウスの目が出る頃(夜10時)、棄民街の一番外れでさぁ。」 ふっと、レイラは足を止めた。 小悪党のくせに、いや小悪党だからこそか、 自分の運命を気遣うレイラに、たまらなくなったらしい。 「ありがとよ。」 静かに閉まった扉を、ブッチはいつまでも見ていた。 アルムの性癖というか、凄まじさは、 同時期に出くわしたすべての冒険者が、 骨身に染みて知っている。 路地に、やくざや馬鹿どもの首がごろごろしていた時期もあったほどだ。 「もはや、戦争だな・・・」 本気でそう思わなければ、即座に自分の首が落ちることになる。 それも確実に。 だが、クルルミクの正規軍は、一兵たりとも使えまい。 今、わずかでも軍を動かそうとすれば、 即座に、謀反の疑いで投獄される。 自分のもてる力全てで、急襲する以外無いだろう。 幸い、王都はレイラの縄張りである。 小遣いを受け取った貧民街の少年が、走り出した。 風が吹いた。 黒髪が風にあおられ、ゆるやかに舞った。 整った顔立ちには、一点の甘さも無く、 天界の精鋭、力天使(デュミナス)もかくやという美貌は、 静謐な輝きを帯びて、風の先に顔を上げた。 失われた目の、雲の向こうに、青空が見えるような気がした。 カツ、カツ、カツ、 迷いも憂いも無く、 力強い足音が、石畳を踏んでいく。 全身の血が、ふつふつと沸き立っている。 薄い唇が、かすかに、かすかに笑みを浮かべている。 『何年ぶりだろう、こんなに血が沸き立っている。』 状況は絶望的、四面楚歌。 『いいじゃないか。  あとくされなんぞ無くていい。』 特にこの数年、何と重苦しく、つまらない日々だったか。 忘れていた、この高ぶり、肌が震える、芯が熱くなる。 それが、彼女の表情を変え、肌の色艶まで変え、 光が、身体から放射されているようにすら見えた。 誰もが振り返った。 レイラだ、レイラがいく。 少女たちが頬を染め、男たちが見惚れる。 戦士が敬礼し、騎士が馬を止めた。 街と貧民街との境目、 ごろつきの吹き溜まりで有名な、土竜の鉄鍋亭。 だが、今日ばかりは、そんじょそこらのごろつきどもは、 恐れをなして近づかなかった。 鉄と肉の匂い。 恥知らずなほどにはちきれんばかりの筋肉、 荒々しい、実戦で鍛え抜かれた刃、 そして、獣すら逃げ出しそうな視線が光った。 「アネゴ!」 「レイラのアネゴ!」 「おひさしゅう!」 腹に響くドラ声が、酒場を揺るがした。 暗がりの中、淡いろうそくの光、 なまめかしい女の顔と、 強靭な刃のような鋭さ、 そして、動く体の力が空気を震わす。 片目の黒い眼帯が、男の気をそそり、 刃の鋭さが、背筋に冷たくヒタヒタと当たる。 酒場の揺れ動く大気を、悠然と押しのけ、レイラは中央に座った。 「アネゴ、ひさしぶりぃ」 細身で優男に見えるが、全身鉄を打ち込んだような筋肉の男が、 レイラに最初に杯をそそいだ。 この連中の中でも、リーダー格の鉄弓のヘルティである。 レイラは、大杯を水のように干した。 長槍のブンド、ハンマーの鉄、双剣のガレ、 戦場の悪魔とまで呼ばれるような面々ばかりが、 次々とレイラに杯をそそいだ。 「全員、生きてやがるな!」 十人全員の杯を干し、レイラの声が酒場に響くと、 再び、屋根も揺るがんばかりの歓声が上がる。 20年前、レイラが側近騎士となってから、 戦場やごろつきの中で、面白そうだと見込んだ男たち。 そいつらの首根っこを引っつかみ、 無理やり徹底的に、血反吐を吐くほどしごきあげ、 世に送り出し続けていた。 それが、彼女の趣味のようなものだった。 ただ、どいつもこいつも、 正規軍には入らず、傭兵部隊や名うての用心棒などばかり。 「相変わらずごろつきばっかだな、お前ら。」 「アネゴの方が変なんですよ。側近騎士なんて一番にあわねえぇ!」 一番若い魔剣士のルブルムが軽口をたたき、全員納得。 レイラも苦笑い、自分も似合ってないとは思っている。 いや、側近騎士なとど、一度でも思った事があるのだろうか?。 ヘルティが、その表情を読んで、眉を寄せた。 「アネゴ、どうしたんです?。えらい吹っ切れてますぜ。」 「・・・・・・」 ひよっこどもに表情読まれてたら、世話は無い。 いや、いつまでもひよっこじゃあないな。 レイラは単に「十人集」と呼び、 よそでは「外法軍」とあだ名される連中。 皆、それぞれに部下や部隊を抱えている。 そして、レイラの声一つで、即座に集まってくる。 「今日はちょっと、割の悪い話だよ。」 笑いながら、いや、笑うしかないような声は、 それがとてつもなく面倒な事態を抱えている事を、 全員が聞き取っていた。 「報酬は、あたしの持ってる物すべて。」 みな、息をのんだ。 額の大小ではない、その決意の凄まじさにだ。 「何なんです、戦争でもおっぱじめるんですかい?。」 普段は口の重いハンマーの鉄が、珍しく声を上げた。 「ああ、戦争だよ。」 戦争、その言葉に、鉄壁のルドンが身体を揺さぶった。 ぞくぞくしている。 「だから、死にたくないやつは、さっさとおりな。 欲しけりゃあたしの領地でも、鎧でも引っぺがして持っていきな。 片目だってくれてやるよ。」 顔中凄まじいキズだらけ、キズに顔が埋まっているような男、 神官戦士のビッグオーが、片目をグイと上げた。 「だーれなんでさあ、 もったいぶってないで、ぶち殺しあいする相手を教えてくださいや。 あっしが神の身元に送ってやりやすよ。」 顔に負けぬ、キズだらけのメイスが、 磨き上げられてギラギラ光っていた。 「一人は、賢者ハデス・ヴェリコだ。あだ名は知ってるな?」 全員がほおという顔をする。 史上最悪の名は、以外に広く知られている。 「そしてもう一人、アルム・ウト・ウィタル。ヨグの神官戦士だ。」 目がギラギラしてきた。 「しばらく東方大陸に渡ってたが、 どうやら、得体の知れねえ連中を引き連れて、戻ってきたらしい。」 誰も表情を変えもしない。 戦場を渡り歩いてきた連中だ。 「王家の忍びの棟梁が、続けて行方不明になった、  先日は、竜騎士が2部隊行方知れずだ、  どっちもこの二人が関わってる。」 ざわっ、初めて空気が動いた。 国家機密レベルの話、聞いた方もただではすまない。 だが、そんなことより、 空を飛ぶ竜騎士の部隊ごと叩き落すなど、聞いた事が無い。 「しかも、どちらもあたしの古馴染みときた、  始末の悪さじゃ天下一品、この二人の組み合わせは最悪だ。  そして、正規軍は一切出ないよ。」 そりゃ、でないでしょうな、 全員が白い歯を見せて笑っていた。 まあ、傭兵や用心棒に、正規軍が手助けなぞ出すはずも無い。 「あさっての夜、シリウスの目が出る頃、棄民街の外れで急襲をかける。  あたしから何をかっぱぐか、行くやつは決めときな。」 鉄弓のヘルティが笑いながら酒を注いだ。 「で、アネゴは終わったら傭兵に逆戻りですかい、  こんな面白そうな話、俺らが見逃すわけがねえでしょ。」 双剣のガレが、ニタニタ笑っていた。 「腰抜けの正規軍は一切出ない、さっぱりしてていいじゃねえですか。」 鉄壁のルドンが、でかい図体を折って、酒を注ぐ。 「お、おで、アネゴと傭兵組みてえ。」 だが、レイラは顔をしかめた。 「おまえらなあ、あたしが教えたこと忘れてんのか?。  傭兵用心棒やるなら、銭や儲けにならねえ事はやるなっつーただろが。」 レイラの『教育』は徹底していて、 生き延びる術からまず真っ先に教え込んだ。 自分が傭兵暮らしをしていた時の苦労から、 銭やそれに匹敵する儲けを最優先しろと。 義理や情に流されるやつは、傭兵や用心棒はやるなと。 レイラは、自分の目をえぐった。 男の顔と、女の顔は、そのあり様から根本的に違う。 女が自分の顔をえぐるなぞ、狂気に狂わない限りありえない。 それでも、彼女は自分の目をえぐった。 彼女自身の、女との決別だったのかもしれない。 以来、女としての一切はなく、彼女は常に黒い鎧に身を包み続けていた。 だがそれでも、彼女は女だった。 若者たちを、見出し、鍛え上げるのも、 生き方まで、異常な熱意で仕込むのも、 そして、一切を突き放して、世に送り出すのも、 どこかに、女の異常な執念すら感じられる。 ただ、女の甘さだけは、一切無かった。 戦場では甘いやつは死ぬ。 それも、身にしみて知っている。 二束三文のはした金や儲けで、命を売る。 それが傭兵や用心棒。 今のレイラに、全員を雇う銭はない。 「酒場と、女の方は古馴染みのやつに話をつけてる、  ただ、まあそこそこだ。」 レイラの有り金と、わずかな領地、 それに酒と女、せいぜい3人雇えれば御の字だ。 「あー・・・アネゴ。」 鉄弓のヘルティが、珍しく顔を赤くしている。 どんなに飲んでも、酔った事が無い底無しなのだが。 「さっき、言ったよな?『報酬は、あたしの持ってる物すべて』って」 ハンマーの鉄が、 「ヘルティ、言いづれえんだろ、『先払いもありか?』って。」 「あっ、てめえっ!」 レイラの方がきょとんとする。 「んなこと、当たり前だろ。」 生きて払えるかどうか分からぬ時、 後では意味を持たない。 そのかわり、先払いの報酬を受け取ったが最後、 絶対に戦場には出なければならない。 逃げれば、同じ傭兵仲間から、どんな目に合わされても文句は言えない。 後ろから撃たれるぐらい、当たり前だ。 神官戦士のビッグオーが、また片目を上げた。 「アーネゴ、全員雇いたいでやんしょう?。」 「そりゃ、お前ら全員雇えるもんなら雇いたいさ。  だが、逆さにふってもそんな金ないよ。」 「だったら、話ははええ。金じゃなくても、相応でさ。」 鼻の下を伸ばしている顔に、レイラは首をひねる。 「女か?、だが、あんまり上玉はいないぞ。」 「レイラ・シュヴァイツァーなら、全員文句なしですぜ。」  ブオッ! 鉄甲のガントレッドが、唸りを上げてアッパーカット。 ビッグオーが、ぎりぎり飛び下がるようにかわし、 盛大な音を立てて、もんどりうってひっくり返った。 「あ、アネゴ、し、し、死ぬって、死ぬって、それ。」 こんなもんで、神速のアッパーカット喰らったら、間違いなくあの世行きだ。 「おい、からかってんなら殺すぞ。」 怒りのオーラで周りが歪む。 「いやマジ、大マジですぜ、アネゴが身体で払ってくれるってんなら、 このビッグオー、神への誓いもなげうって後悔しねえです。」 起き上がって方ヒザをつき、 傷に埋まった顔の中で、青さび色の目玉が、真摯にレイラの目を見た。 白い頬が、赤くなる。 「な、なにバカいってる。あたしの身体なんざ金になるか。」 「くそ、先こしやがって。てめえ。」 怒った双剣のガレが、思いっきり肘撃ちをかます。 もちろん、先に言われたのと、レイラが動揺したことへの怒り。 他の連中も、ぼこぼこと拳や蹴りでたこ殴り。 「うぎゃっ!」 「アネゴ、先払い喜んで姦らせてもらいます。」 後ろから、要領のいい長槍のブンドが、皮鎧の隙間から手を差し込んできた。 「ばっ、ばかっ、あたしをいくつだと思ってるっ!」 肘がわき腹にめり込み、嫌な音を立てた。 「当年44だよね。」 パラッ、パチッパチッ、ピンッ 魔剣士ルブルムの指先が、留め金やボタンを、 マジックのように弾き、はずす。 「うるさい!」 ごすっ、 パンチでルブルムの鼻が横を向きそうになって、 鼻血が盛大に出る。 だが、いつものような威力は無い。 「赤くなってる赤くなってる」 皮鎧が外れ、下着の上から、豊満な胸を、盛大にもみたくる。 「こんなババアの胸を揉んで、何が楽しい?!。」 Eぐらいは十分ある胸で、とても44のそれには見えない。 鍛え上げた胸筋が、ふっくらしていてもたるませないのだ。 すでにブンドの息が荒い。 スポーンと、下ばきが引き抜かれ、 筋肉質の上に女の脂が十分に乗ったおみ足が、にゅうっと伸びた。 うおおおっと、歓声があがる。 「女だったら、もっと若いのを用意するから、おまえら、ちょっ、」 だがしかし、  ズドーン 目の前に47,8センチはあるどでかい逸物が突きつけられ、 ぐっ、とレイラが息を呑む。 『でっ、でかっ?!』 鉄壁のルドンの、超ロングLL砲である。 「あ、アネゴ、若いの、だめなんだな。  みんな痛がって、させてくれないんだな。  アネゴに鍛えられて、でっかくなっちゃって、さみしいんだなこれ。」 『あ、あたしのせいか、それ?』 「いや〜、恨み重なるアネゴに、 『このアマ、いつか犯したる!』と、恨み続けて16年、 今姦れなかったら、これから一生後悔するのは間違いない。」 ドツキ倒されてた神官戦士ビッグオーが、 全員の気持ちを力説代弁、うんうんとみなうなずいて、 腿や尻に、いやらしく手をはいずりまわす。 「さ、アネゴ、今日は覚悟を決めてくだせえ。 あっしもアネゴをネタに、何度のた打ち回ったか数え切れねえ。」 ハンマーの鉄が、胸の下着をはぎとった。 「ああっ、もうバカッ!」 何本もの手が、ふわふわの肌を掴み、つまみ、揉みたくる。 赤くなった顔がのけぞり、見る見る乳首が勃起する。 「こんなババアの身体でよけりゃ、くっ、 どうなとすれば、いい、あ、あ、ころがす、うっ、」 鍛えぬいた身体は、どう見ても30台前半、 女の一番熟れた頃を、未だそのまま持っている。 『どうなとすれば、いい』 火がついた男たちは、もう目を血走らせ、 ナニをいきり立たせ、燃えるような吐息を吐いた。 「こうなりゃ、全員道連れだ、覚悟しろ、おまえら。」 黒の下着一枚のレイラが、 自分から足を上げて、最後の一枚を脱いだ。 女のにおいをたっぷり染み込ませた布きれを、 素早くビッグオーが奪い取り、かぶってクンカクンカと鼻を鳴らす。 「うおおおっ、この破戒坊主っ」 「てめええっ、地獄へいけっ!」 またも、全員からドツキ倒される。 なんとなく、気恥ずかしく、 足を縮め、胸を隠してしまう。 その恥らう様子が、普段の凛々しいばかりのレイラとは、 また違った色香を漂わせ、男どもの目が倍血走る。 しかも、熟れきった身体を、 鍛えぬいた筋肉が内側から押し上げ、 ずっしりとした尻や胸に、未だ張りをもたせていた。 「だ、誰からだ、あたしはいい、よ。」 声が少し上ずっている。 実際、20年前に竜神の迷宮で嬲られてから、 男と肌を合わせるのは、初めてだったりする。 言葉は出ても、体がいう事を聞かない。 足や手が縮んでいる。 「ア〜ネ〜ゴ〜、せっかく何でもしてくれるってんなら、 まずは・・・。」 ズン、と目の前に赤黒い男根が突きつけられる。 『だ、だれが、何でもしてくれるって??』 片目がぎょっと見開かれ、 そして、おずおずと、赤い唇が、広がる。 心の中では、愚痴りながら、びくびく息づくそれから目が離せない。 ぷんと、鼻につく匂いも、 耳に聞こえそうな、脈打つありさまも、 唾液が沸き出し、息が上がっていく。 なまあたたかい、鉄弓のヘルティの亀頭、 ジュルッ、 唾液がさらに吹き出し、 舌が、滑らかな表面をすりつけるように動いた。 ジュルッ、ジュルゥ、 口が、なまあたたかい、 鼻に、匂いが抜ける。 唇に、汗のにおい、 舌が、脈動を感じ取る。 喉に、突っ込み、飲み込み、 黒髪が激しく動いていた。 もう、何がなんだか、考える余裕も無い。 しごきぬいて、よく知ってるはずの男の、 まったく未知の部分、 それを味わう、しゃぶる、飲み込む。 しがみつき、夢中で、自分を欲しがっているそれに、 いきり立って、喉に突き入れるそれに、 自分の全部、刺し通したいぐらい。 ザリッ レイラの濃い恥毛に、口がかぶさって、 のけぞった体と、舌先の刺突が、亀頭の先をグイと割った。 「ひがーーー!」 なんでたまろう、必死にこらえていたのが決壊、 噴出するザーメンに、口があふれた。 「んううぅ、んふっ、んんっ」 極太の亀頭がすぐに押し込まれ、 内股はさらに口が、舌が、喰らいつき、しゃぶりつき、 広げられると、さらに群がられ、 胸にも争うように、食いつき、しゃぶりつき、指が食い込み、 白い肌が赤く染まり、興奮に桃色に変わり、 無数に色を変え、色香を放ち、興奮に震えていた。 のけぞる喉に、食い込み、むせながら、 なぜか抵抗する気すら無い、 長いまつげが震え、唇が割られ、犯され、 喉がレイプされ、 それに従い、服従し、飲み込んで、焼き尽くされる。 痙攣する喉が、何度も飲み込む。 交代するたくましい腿、かわいらしいペニスに、思わず口を差し出し、 咥え込んでいた。 あふれた愛液が、とろとろと流れ、すすられ、しゃぶられ、 指先が中をいくつも駆け巡り、 体がぐにゃぐにゃになっていく。 あふれ、湯気を立てる女の園。 開き、開花し、無数の襞を震わせて、 突入してくる男に、身体を開く。 「んうああああああああっ、」 ズドンッ のしかかる巨体が、鳴きながら腰を振り、 子宮が潰されそうな圧力に、歓喜の悲鳴を上げて、 足が深く絡みついて、 胎内が広がり、疼きが蠢く、 入りきれぬ巨根が、うめき、のたうち、 お腹の底まで突き入れて、こね回し、かき回し、 何度も、何度も、彼女が屈服するまで、叩き、 痙攣する肉が、それを締め上げて、屈服させた。  ウオオオオオオオオオオッ 「ひぎいいいいいいいいっ!」 吹き出す灼熱が、轟音と炎に変わり、 中が焼けて、溶けて、蕩けていく。 お腹が何度も膨らみ、あえぎ、そしてまた膨らみ、 シャワーのように逆流するザーメンに、のけぞり、舌を震わせた。 交代する男が、ぎゅっと、ぎゅっと、ギュゥウウッと、 悲鳴を上げそうなほど締め付けられ、 口に押し込まれる2本のペニスを、あえぎ、悶えながら、しゃぶりまわす。 尻を広げられ、菊座が押され、めり込まされる。 「んぐっ、ぐっぐっ、うううっ!」 肉襞が強引に広げられ、 あの時以来の、凶悪なレイプの感覚が、 前後からたたきつけて、レイラの狂乱を煽り立てる。 だが、興奮したレイラの顔は喜悦に染まり、 美しく、そして獣じみて、 それを貪る男たちを、さらに猛らせ、喜ばせ、 あこがれ続けた英雄の肉体に、埋め込む喜びを、 叩き付け、突き刺し、前後から嬲り尽くしていく。 うめき、のけぞる胎の奥、 わななく膣の中が、脈打つ灼熱に染められる。 広がった脚が、淫らに震え、男を締め付けて、放さない。 乳房に突き刺され、柔らかな肉に包まれ、 痙攣が乳首を汚し、肌を穢す。 片目に押し付けられ、眼帯の上から、 なまあたたかい脈動が、うち広がり、顔中にそそがれる。 飲み込む端々の味が、舌を痺れさせ、 髪にまといつき、耳に垂れていく。 跨る肉体の、誇示する男が、 芯を突き刺し、捏ね上げて、 レイラの泣き声をさらに高ぶらせる。 揺れる乳房が、濡れて光り、 背筋が浴びせられるザーメンに輝き、 前後を問わず射精されるそれに、あふれ、滴り、満足げにため息すらついて、 中に突き刺さる。 ドシュウウッ、ドシュウウッ、ドシュウウウッ、 「うああああ・・・・・あ、あ、あ、」 すっかり柔らかくなった膣が、 それすら飲み込み、今にも全部入れそうに広がる。 特大の巨根が、子宮口にめり込み、 巨体のそれにふさわしい圧力で、 レイラの全てを蹂躙して、彼女の本能を服従させる。 「いくら、いくらでもっ、出してっ、いいっ、もっと、ももっと、 ああっ、すごいっ、ひあっ、刺さるっ、奥がひろがっちゃうっ!」 淫らに、脚を割り、しがみつき、 子宮に刺さる亀頭を、迎え、絡みつき、のけぞった。 弓のように反り返る胎内で、 それが、 ドグウウッ、ドグウウウッ、ドグウウッ、 レイラを犯し、征服し、孕ませる。 痙攣する腹が膨らみ、精液が子宮をレイプする。 「いいっいいっ、中がッ、いいのっ、すごっ、あっ、ひいっ」 何度も、何度も、腰を震わせ、 生で射精される快感に、ただ狂い、ただ乱れた。 「ふ・・・あ・・・・」 お酒?、いや、昨日の名残か・・・。 どこかふらっと、揺れそうな気分だ。 一晩中揺さぶられ、突き上げられ、輪姦されまくったのだから、 おかしい方が普通だろう。 顔も、体中もパリパリする。 生臭いし、前も後ろもぬちゃぬちゃする、 お腹の奥まで緩んで膨らんでる気がする。 一人や二人孕んでて不思議も何も無いな。 身体を起こすと、周りでごろごろしてた連中も、いっせいに目を覚ます。 どんなに悪酔いしようが、体調が悪かろうが、 即座に気配に反応するまで、しごいてしごいてしごき抜いた連中だ、 まあ、当然よね。 が・・・、 「おい、女性を前にして、全員節操無さ過ぎないか?。」 同時に全員テントを張るのだから、 憮然となるのも無理はなかろうが、 これは、レイラにもちと責任がある。 何しろ、全裸、 それもたっぷり精を吸い尽くして、 熟れきった女のフェロモンが、ダダ漏れ状態。 盗賊王のドレビが、神業のスピードで、 レイラを縛り上げた。 「ちょっ、こらっ。」 ベッドに尻を上げた状態で転がされ、 「いただきま〜す。」 「ぼりすぎだぞぉぉっ、あいいいいいっ!」 ジュブリッ それに、抵抗できない。 中に、突き刺さってくるそれに、体が痺れる。 ギシギシギシギシッ ベッドがきしむ、喘ぎが、レイラの口を割り、 男に貫かれる感覚に、意識が屈していく。 『まあ・・いい・か・・・』 続く