はじめに このSSは、あくまでMORIGUMAの勝手な妄想において、 竜神の迷宮事件が、20年後に引き起こすIFという事で、 組み立ててみてます。責任は私にあります。 変わる人、変わらない人、時は残酷に過ぎていきます。 勝手に引っ張り出したキャラの親御さんで、 ご不満がおありの方は、遠慮なく申し出てくださいませ。  <壊れた心をひきずって>  その2 −『残酷なる流れの中で』−  byMORIGUMA  チャカポコチャカポコ、チャカポコチャカポコ、  少し大きめの橋のたもとで、にぎやかな音がしていた。 「右やひぃだりの、だんなぁさまあぁっ、 あわぁれなめくらでごぉざいまぁすぅっ」 細枝や茶碗を打ち鳴らし、 珍妙な口調とリズムで、橋を通る市民や旅人を引き寄せる。 思わず苦笑しながら、茶碗に施しを投げ込んでいくと、 これまた軽妙で、小粋な返事やしぐさを返してくる。 靴の飾りの音たてる音や、きぬずれから、金持ちの夫人と分かる施しには、 「これはこれは奥様、今日はまた一段とすてきなお召し物で。  え?、目が見えないの見えるのかって?。  いえいえ、情け深い心ばえは、貴方のすてきなお召し物を、  一段と輝かせますよ。」 息苦しそうな荒い息をする太った商人が、 昼飯の残りのソーセージをくれると、 「おお、これはポローニャのソーセージじゃございませんか。  でも旦那様、これはおいしゅうございますが、  食べすぎには気をつけてくださいましね。  でないと、またいただけなくなっちまいますからねえ。」 若い娘が、施しをしながら恋の悩みを漏らすと、 「お嬢様、若いうちは夢をいっぱい見るのがよろしいですよ。  ただね、夢は胸はいっぱいにしてくれますが、  お腹はいっぱいにはしてくれません、  気をつけないと、私みたいになっちまいますからね。」 物乞いながら、けっこう人気があるようで、 同業のそれより、施しはかなり多いようだ。 大国キングクィンの、穀倉地帯と貿易港を持つ、 ヴァシャ地方の都市カラダムは、豊かな地域として知られ、 宗教も盛んなため、貧者に施しをする習慣がある。 日も暮れかけ、肌に寒さが感じられ始めた。 人も通らなくなる頃だ。 「やれ、そろそろ店じまい・・・ん?」 コツ、コツ、コツ、 女性の高いヒールの音がした。 「そこのご夫人、夜道はあぶのうございますです。 橋を渡って10分ほど行ったら、左に分かれ道、 そちらへ行くと、気のいいマフテー夫人の宿がございますよ。」 物乞いは、こういう情報を知っていないと、 なかなかいい施しはもらえない。 旅人らしいそれは、彼女の方へ近づいてきた。 ポンッ 何かの栓を抜く音がして、ふわりといい香りがした。 かなり上等な酒の匂いだった。 チャポッ ほれ、のまねえか? 酒の音がそういっていた。 「え、え、お酒をくださるので?、こりゃあありがとうございます。」 あわてて茶碗の小銭を胸元に突っ込み、 差し出すと、トック、トック、といい音がした。 思わず見えない目に、歓喜が浮かぶ。 この時代、酒は一般庶民にはかなり高価なもので、 安くて薄いにごり酒ならとにかく、 香りの高い蒸留酒は、めったに飲めるものではない。 なみなみと注がれたそれに、 震えながら、こぼさぬように、細心の注意を払って、 鼻腔に抜けるすばらしい香りを感じ、茶碗を唇にあてた。 ゴクッ、ゴクッ、 涙が、見えぬ目から零れ落ちた。 こんなにうまい酒は、いったい何年ぶりだろう。 火の出るような強い、しかし薫り高く、芳醇な味わい。 冷えた体が、芯から温まり、 ひび割れた肌に、血が駆け巡る。 この時代、酒は薬であり、興奮剤であり、至福の雫であった。 この一杯で、生き返ったような気がする、 それが、酒というものだった。 「ふうううっ、あ、ありがとうございました。」 だが、 チャポッ 『ほれ、もう一杯いけよ』 酒の音がそういっていた。 相手は、平気で橋の上に座り込んだようだ。 自分も座って飲むつもりらしい。 恐る恐る差し出した茶碗に、またなみなみと注がれる。 2杯目の酒は、同じ酒なのに、また違った味わいを感じた。 なんだろう・・・・懐かしさが遠い所から湧き上がってくる。 「ああ・・・おいしい・・・」 ぼんやりと、何かの光景が、見えぬ目の奥に浮かんだ。 なんだろう・・・この香り・・・ 何か・・・何か・・・なつかしい・・・・。 茶碗を途中でとめ、白く濁った目で、ぼんやりと宙を見る。 それは、夢なのだろうか。 黒く長いローブをひるがえし、 細く白い足首が、ぞくりとするような色気を発する。 切れ長の大きな黒曜石の瞳が、神秘の力に彩られ、 美しい女魔術師が、暗がりに妖しい呪文をとなえていく。 強壮な肉体が、磨きぬいた金属のように輝き、 豊満な胸を筋肉がさらに盛り上げ、 分厚い鋼と、ぞくぞくするような巨大な剣が、 耳障りなほどの音をたてる。 魅力的な笑顔が、太陽のような女戦士。 湯気の立つ香りのいいスープや、 肉汁の滴る焼いた肉、 芳醇なワインが注がれ、 強烈な輝く金髪の女神官戦士が、 聖なる祈りと、一日の無事を感謝する祈りをささげる。 真っ白い肌と髪に、赤く油断ない目をした女性盗賊と、 かなり小さなエルフの少女がじゃれあい、 白く長いコートを着た忍者の女性が、 十字の入った視線を向けた。 おびただしい、女性たち。 おびただしい、戦う者たち。 これほどのにぎやかな酒場が、どこにあるのだろうか。 ガチャリと開くドアに、その酒場中の視線が集中する。 ずかずかと乗り込む白金の豊かな髪。 背の高い黄金の鎧と異形の鍵型のハルバート。 長い黒髪と流れるようなゆるやかな服の忍び。 そして、その後ろに自分がいる。 歓声、興奮、酒場中が沸き立つ。 身体中をくすぐる、強烈なシャワー。 夢・・・・?、 いや、ちがう!。 もうずっと昔、忘れ去っていた光景。 手酌で飲んでいたらしい相手が、ふと飲むのを止めて、 首をかしげる様子がした。 ふと、急激に現実に引き戻される。 夜風が冷たくなっていた。 首を何度か振った。 相手は、ひと言も発しようとしない。 口がきけないのか、口をききたくないのか、 どちらにせよ、声を出さなくても、 この相手が自分に好意を持ってくれているようだった。 でなければ、こんな所で差し向かいに飲んだりはしないだろう。 「あなた様は、声がお出しになれないようですね。 夜風が冷たくなってきました。 お酒のお礼に、汚い所ですが、そっちで飲みませんか?。」 橋の下の、枝とぼろを組み合わせたような、 夜露をしのぐだけの場所、 そこがねぐらだった。 それでも、外の風が無い分、かなり暖かに感じられる。 橋の上にでも平気で座るような相手は、 平然と入ってあぐらを組む様子が感じられた。 おずおずと茶碗を差し出すと、 トクトクと豪快に酒が満たされる。 くるみや豆など、 隠していたとっておきを、 大きな木の葉に乗せて出すと、 相手はぼりぼりと遠慮なく口にした。 なんだか、嬉しかった。 「もう、20年も前に、こんな酒を飲んだことがありました。」 ふっと、相手が杯を止めて、興味深げな視線を向けた。 目の見えない分、そういう感覚は人一倍鋭い。 「私、その頃は、駆け出しの盗賊だったんですよ。」 クルルミクという、竜神の国。 そこで、ワイズマンという邪悪な魔道師が、騒動を引き起こした。 王位継承の儀式には、絶対に必要な『竜神の迷宮』を占拠し、 最深部には、男性種絶滅という、女性しか入れない結界を作ったのだ。 当然クルルミクは大騒ぎになった。 同時に隣国グラッセンと戦争が始まるという緊急事態。 全力を投入できなくなったクルルミクは、 非常手段として、各地の女性冒険者を募り、 ワイズマン征伐にあたらせた。 彼女もそれに盗賊として応募した一人で、 元々はダンサーだったそうである。 相手のクスクスと笑う様子に、 彼女も笑い返す。 「まあ、とてもそうは見えないでしょうけど、 その頃はけっこう人気のあるダンサーだったんですよ。」 ボロを脱ぎ捨てると、 けっこう見栄えのする体つきだった。 ちょっと見には47,8に見えたが、 顔をちょいとこすると、童顔のかわいらしい顔つき。 実年齢は36らしいが、30前にしか見えない。 泥で汚して、年をとっているように見せていたのだ。 胸もでかいし張りがある、 腰などけっこう引き締まっていて、 手足もすんなりと長く、きれいだった。 軽いリズムを取ると、 声を張り上げて踊りだす。  私のこころは風まかせ  あなたの言葉で舞い上がり  愛しているわと抱きしめる 相手は、思わず手拍子を始めた。 リズム感がよく、躍動する彼女の動きに、 誘われてしまう。  だけど目覚めりゃ一人寝で  あなたはやり逃げいやしない 田舎っぽいリズムだが、 動きの優雅さで、愛らしさが強調され、 見るものは笑い出してしまうだろう。  それでもやっぱり風まかせ  酒と言葉にだまされて、  落ちていくのもいいものよ 遊女、浮かれ女と呼ばれる、娼婦たち。 そんな底辺の女たちの、不運や不幸な状況を、 女たち自身は笑い飛ばし、にぎやかに浮かれて生きていく。 そんなたくましさが、彼女の歌とダンスによく現れていた。 それは、彼女自身の運命をも、 笑い飛ばす生命力を感じさせた。 あるつてから、非常に優れた盗賊の技は習えた彼女は、 竜神の迷宮の応募を見て、 単なるこそ泥よりずっと魅力を感じた。 だが、いざ登録場所の『ドワーフの酒蔵亭』に来て見ると、 どうしていいかまるで分からない。 まごまごしていた彼女を拾ってくれたのが、 『史上最悪の賢者』とまで言われたハデス・ヴェリコだった。 一時、二重人格の賢者がいたが、すぐに脱落し、 代わって、凶悪きわまりない邪教の『敬虔な神官戦士』が入った。 名高い踊りの名家の跡取りで、 暗殺組織の首領だった『忍者』もいた。 そしてハデスと彼女。 なんとも物騒極まりないパーティに入れてもらえたのは、 まれに見る幸運だった。 なぜなら、彼女はみんな好きだったからだ。 神官戦士のかっこよさに憧れ、 忍者の踊りのすばらしさに、同じダンサーとして惚れ、 ハデスは、迷宮での盗賊の価値をしっかり認めていた。 可愛がってもらいながら、 彼女も自分の技を存分にふるい、 一時は、彼女のいたチームは最強とまで言われた。 だけど、 残酷な時の流れは、 容赦なく思い出すら削り落とすほどに、 激しく、厳しかった。 神官戦士が脱落し、 代わりに東方の、食いしんぼの異装の戦士が入った。 その時まではまだ良かった。 しかし、モンスターと並んで、 迷宮のもう一つの障害となっていたのが、 クルルミク中からならず者が逃げ込んで、 作り上げられたハイウェイマンズギルドだった。 ギルドの被害を与えたランキングトップに、 賢者のハデスが乗るようになり、 しかもそれは非常に長く続いた。 ギルドは、執拗に、ものすごい圧力をかけてくる。 ある日、ついにチームの運が尽きた。 桁外れの人の津波に、リーダーのハデスが飲み込まれ、 彼女と、彼女が持っていた全ての強力なアイテムが失われた。 そしてすぐ、彼女たちも闇に飲み込まれた。 ギルドに捕えられ、気力が尽きるまで輪姦され、嬲りつくされ、 性奴隷に落とされた彼女と忍者は、 ダンサーの才能があるため、 二人そろって売り飛ばされた。 美しい女忍者は、 暴行と輪姦のためか、あるいは神経の張りが切れたのか、 精神に異常をきたし、どんな目にあっても笑っていた。 それでも、彼女とは仲が良く、 踊りの息はぴったりで、かなり人気のある商品になった。 何度目か売り払われた先は、 裕福な地方貴族の館だった。 「うむ・・・うん、なかなか、だな。」 太った貴族の男は、甘噛みされ、ぞくぞくする快感に耐えて、 眉をしかめながら、必死に矜持を保つ。 男の股間にしゃがみこむ、長い黒髪の美貌の女。 妖しく笑いながら、 うっとりとその幹を、小さな舌先でなぞり上げ、 はむ、と亀頭を咥え込み、 口腔の粘膜と舌の動きで、回すようにこする。 チロチロと、亀頭の切っ先を押し広げ、 尿道の中をすすり上げ、 陰嚢をもみながら、前立腺をしごいてうめかせる。 思わず引き抜くと、 冷たい美貌の顔にめがけ、 汚らしい脈動を思いっきりぶちまけ、 広い額に、高い鼻に、 顔中に目も見えぬほど撒き散らした。 「ウッフフフ、フフフフフフフフ」 奇妙な笑い声を上げる顔に、何度もなすりつけた。 「うへえ、でっかいなあ。」 仰向けにテーブルに寝かされ、 貴族の息子の、まだ赤いペニスに奉仕させられながら、 ぶるぶる揺れる胸に、容赦なく指が掴み、揉みしだいた。 小柄だが90を超える胸は、 非常にボリュームがあり、柔らかく形もいい。 痕がつくほど握られ、揉みまくられる。 必死に飲み込み、嘗め回しながら、 思うままに嬲られる痛みに耐えた。 キュッ 乳首が千切れそうに引っ張られ、体がビクッと跳ねた。 面白がり、何度もキュッ、キュッ、と引っ張り、もてあそぶ。 「うへえ、ビラビラがとろっとろだぜ、 いやらしいやつだ。」 別の息子が、すらっとした足を容赦なく広げさせ、 しげしげと覗き込み、いじりまくる。 どれほど嬲られても、慣れるものではない。 腿が震え、指先が突っ込まれると、思わずのけぞる。 もちろん、さらに指を3本、4本と突っ込み、 彼女の身体をのたうたせ、 陰核をぎゅっとつまみあげた。 「んふうううううっ!」 「こら、奴隷のくせに自分だけ気持ちよくなる奴があるか。」 顔をつかまれ、強引に喉を突き刺した。 「んうっ、んっ、ううっ!」 何度も何度も、喉をえぐられ、掻き回される。 中指が根元まで、いや、さらにぐりぐりと、 柔らかい粘膜と、肌を、えぐり、こねる。 のたうつ彼女の肌の様子を、 面白そうに見ながら、何度も、突き上げる。 ギシッ、ギシッ、ギシッ、 豪奢なイスが軋み、長い黒髪が跳ね上がる。 貴族の腰に跨り、 すらりとした裸身が、淫らに揺れ動く。 「ウフフフ、フフフフ、アアンッ、ハアッ、アハハハハ、」 激しい女の動きは、一流の踊り子の腰の動き。 そそり立ったペニスにそって、 締め上げ、絞り、またぞわぞわとすぼまり、 全体を貪るような動きで、幻惑する。 「うんっ、」 とうとう耐えかねた貴族は、 腰を強く突き上げた。 「んはんっ!」 でかい逸物が、底を突き当て、 肉の襞が痙攣する。 脚線美が、ひしとイスをはさみ、 肉と襞が、突き上げる男根を咥え、こすり続けた。 太った手が、細い腰を掴むと、 淡い襞の中に、黒い逸物を叩きつけるように突き上げた。 「うはっ、あっ、はっ、あっ、ああっ!」 体がゆれ、突き上げられ、ゆさぶられ、 しなやかな裸身が折れんばかりにのけぞり、 粘膜が吹き出す愛液が、腿からダラダラと伝い落ちる。 象牙色の肌が、好色に染まり、 長い黒髪が肌を白く際立たせ、 あえぐ唇の赤さが、一層淫らに蠢く。 しがみつく身体に、指先が食い込む。 猛り狂うペニスが、一層深く、奥を突いた。 「うぐうっ!」 「んはああぁあぁぁぁぁあああああっ!」 ドクンッ、ドクンッ、 のけぞった滑らかな腹に、 何度も何度も、脈動が打ちつけ、震える。 「はあはあ・・・・フフフフ、ウフフフ」 その不気味な笑いに、貴族は眉をしかめた。 「ふん、味はまあまあじゃったが・・・。 お前たち、あとは好きにしていいぞ。」 開いた股間から精液を吹き出す女を、 振り返りもせず、貴族は息子たちに言い捨てた。 何度目かの射精が、顔中に飛び散る。 でかい胸に挟まされ、しごかされ、 顔中に、鼻にも、目にも、精液が飛び込んでくる。 アナルと、ヴァギナと、交互に犯され、 どちらもずるずるになるほど、射精され続ける。 時折、髪の長い女も広げさせ、 締りの良い膣を突きまくっては、中に、顔に、体中にぶっかける。 だが、小柄でかわいらしい彼女の方が、もっと好みらしく、 何度射精しても、また元気なペニスが突っ込まれ、押し込まれ、飲み込まされる。 彼女が失神するまで、何度も嬲りつくした。 その後も、何度か味見や色々嬲られたあと、 パーティなどのダンサーと、使用人たちの慰み者兼用として、 使われる事になった。 のどかな地方で、使用人たちも意外に優しく、 比較的落ち着いた生活になった。 忍者も次第に落ち着いた表情を見せるようになった。 1年後、その地方を伝染性の熱病が襲い、 館のほとんどの人間が倒れた。 薬と対処法を知っていた忍者と、 それを教えてもらった彼女だけが無事で、 必死に駆け回って薬を集め、看護をした。 そのとき、金を奪って逃げていれば良かったのかもしれない。 しかし、二人はただ夢中で、病人たちを助けて回った。 最後の最後になって、彼女が熱病に倒れた。 激しい雨の中、女忍者は周りが止めるのも聞かず、 薬草を取りに、裏山に走った。 直後、緩んだ地盤が地崩れを起こした。 驚いた館の者が見に行くと、 岩の隙間から、薬草を握り締めた右腕だけが突き出していたという。 その薬草で、彼女は命を取り留めた。 だが、高熱は彼女の視力を奪っていた。 単に役立たずを放り出したのか、 それとも、哀れをもよおしたのかは分からない。 熱病から治った館の主は、 わずかな金を渡し、彼女に暇をだした。 「ひぃっく、んなまあ、そういうわけで、 あちこち流れ歩いて、ひっく、 ここにきちゃったというわけでえす。」 酔って、かなり口調が怪しくなっている。 「でね、でね、こんな事話すの、あんたが始めてだけどお。」 そう、誰にも、こんな事を話した事は無かった。 いや、だれがこんな物乞いの昔話を、 真面目に聞いてくれるだろうか。 「あの、クルルミクの、竜神の迷宮事件って、なんだったの?。」 彼女は、ある時偶然に見てしまった。 いつも酒場の片隅に座っている、 黒い妖艶なローブと、顔を隠すヴェールをつけた賢者『エディネィシス』。 来るべき勇者を待つという、 レベルの高い賢者らしく、 ふつうの賢者では鑑定できないような、 難しいシロモノも一発で見てしまう。 その賢者が、偶然はずし忘れた指輪を、 大急ぎではずすところだった。 彼女の視力は、盗賊としてもハンパではない。 暗闇のはずの洞窟も昼間同然。 1キロ先の山頂の木の梢に、 何羽、どういう鳥が並んでいるかまで、見えてしまう。 生肉だけを食べていた頃のエスキモーは、 文明人に想像もつかぬ視力を持っていたという。 彼女の視力は、それに匹敵した。 その指輪に刻まれた彫刻は、 精緻な竜の紋章で、それも『6本指』だった。 クルルミクで、市民に許される竜の紋章は『4本指』。 王家とつながりのある大貴族以上のもので『5本指』。 『6本指』は王子と次期王位継承者、 つまり王子の子供たちまでしか許されない。 実質的な統治者である王子が、 王位(クルルミクでは引退を意味する)に退くと、 自動的に5本指になるのだ。 それを持てる女性は、 クルルミク全土に一人しかいなかった。 セニティ王女である。 「あたしは、ハデスに相談したの。 そしたら、絶対に誰にも話すな、でないと殺されるぞって。」 茶碗を取り落とし、しゃっくりをする。 「納得・・・いくわけないじゃない。 あたしみたいな馬鹿でも、売られる間にわかったよぅ。」 また一つ、しゃっくりをする。 「争うなら、家の中でやればいいじゃない。」 彼女も分かったのだ、これは王位継承の争いに過ぎなかったと。 「ワイズマンも、ギルドも、モンスターも、 あいつ、横目で見ながら笑ってたんだ。 馬鹿な冒険者たちが、命がけで、戦ってるの、せせら笑ってたんだ。 全部自分の仕掛けたことだって・・・。」 歯が、キリリと軋んだ。 「なんで、なんで、なんであたしらを、こけにしてくれたわけ?。」 喉の、奥から、何かが、 大きな氷の塊のようなものが、上がってくる。 「いっぱい、いっぱい、大事なもの、なくして、 悲しくて、悲しくて、それでも一生懸命戦って・・・」 けくっ 喉に、それが上がってきた。 そっと、優しい手が、背中をさすった。 『いいよ、全部吐き出してしまいな』と。 「あたし、あたし・・・ハデスを助けにいけなかっ・・・た。 とっても、とっても、好きだったのに・・・!!。」 自分を初めて認めてくれた人、 盗賊の自分を、本気で必要としてくれた人、 とっても可愛がってくれた、荒々しいけど、優しい人。 邪教の神官戦士が脱落したとき、 ハデスの荒れ方は凄まじかった。 カオスだから、友達を大事にしていけないって法はない。 じきに戻ってきた神官戦士と、 馬鹿騒ぎして喜ぶハデス。 もう、別の戦士とPTは組んでいたけど、 ハデスと神官戦士は、ずいぶん色々な騒ぎを起こしてた。 『なぜあの時、ハデスを追えなかったんだろう。』 それが、彼女の一生の後悔。 すえた匂い、 竜神の迷宮に作られた、女を嬲るための玄室。 「はふう・・はあ、はあ、・・・あうううっ」 小さな身体は、引きずり上げられ、 下からアナルを、上から膣を、同時にゴスゴスとこね回される。 うつろにあえぐ口に、数え切れないほど押し込まれ続けたペニスが、 またねじ込まれる。 赤く張れた胸の間に、ペニスが激しくしごき、こする。 「うぐうっ!、んううっ!」 どろどろの足がわずかに震え、 張れた陰唇がブビュッと、精液のカクテルを吹き出す。 膣にあふれ、子宮に詰め込まれ、 もう、何十人分の精液が流し込まれたのだろう。 尻が震え、裂けて出血するアナルからも、精液が吹き出す。 腸の中にどろどろに注ぎ込まれて、 ギュルギュルと荒れ狂う音がする。 気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、 顔一面に浴びせられ、胸がひりひりする。 足が持ち上げられ、広げられ、 腫れあがった陰唇が、はみ出した襞が、 テラテラと光っていた。 また、グチュグチュと押し込まれる。 口にも、胸にも、アナルにも、押し込まれる。 もう、出来ちゃってるだろう。 お腹に生で、何十回も、それ以上も中出しされて、 ザーメンであふれて、精子がどんどんもぐりこんできて。 『なぜあの時、ハデスを追えなかったんだろう。』 どんな屈辱や陵辱より、その言葉が痛い。 ハデスも、こんな目にあったんだ。 自分も、あって当たり前なんだ。 好きだったのに、好きだったのに、 情けない、悲しい、 泣きながら、身体が、どんどん汚れていく。 お腹の中まで、どうしようもなく汚れていく。 でも、何より自分が、許せない。 「ごめん・・・ハデスぅ、ごめんなさい・・・ハデスぅ。」 酔いつぶれ、泣きながらつぶやく彼女に、 そっと、真っ赤な皮のジャケットがかけられた。 ぼろの小屋を、 裸同然の下着姿の女性が、出てきた。 赤い皮のハーフブーツ、 かすかな月光に、白金の流れる髪がきらめき、 アメジストの瞳が、天の星々を写した。 スレンダーなボディに、豊かな胸と腰つき。 派手な紫の下着に、無数の金糸や宝石が光っていた。 『らしくねえな・・・。』 ふっと苦く笑う。 『達者で過ごせよ。』 心の中だけで、そっとつぶやくと、 闇の中を歩き出した。 やがて、目を覚ました彼女は、 そのジャケットが何か、理解した。 誰よりもよく知っている、あの人のジャケット。 やがて、橋の物乞いの女性は、 派手な赤いジャケットで、さらに目を引くようになった。 陽気に、さらに元気に。 人気者として、かなり有名な物乞いになった。 3ヵ月後、一人の高名な魔道師が、 施しをしようとして、目を剥いた。 「お前、それが何か分かっているのか?。」 「はい??」 ジャケットには、大粒の宝石がいくつも縫い付けられていた。 もちろん、物乞いが着ているそれを、本物だとは誰も思わない。 「お前の着ているそれは、本物の魔力石が大量につけてある。」 魔力石は、宝石に強力な魔力を封じ、 緊急時に魔力のチャージが出来る極めて特殊なアイテムだ。 だが、あまりに貴重でものすごく高い。 「もし、見るものが見たら、お前を殺して奪うぞ。 悪い事は言わん、私に売りなさい。」 彼女は、立派な屋敷と、善良な世話人を雇って生活が出来るようになった。 そして・・・、  チャカポコチャカポコ、チャカポコチャカポコ、  少し大きめの橋のたもとで、にぎやかな音がしていた。 「右やひぃだりの、だんなぁさまあぁっ、 あわぁれなめくらでごぉざいまぁすぅっ」 細枝や茶碗を打ち鳴らし、 珍妙な口調とリズムで、橋を通る市民や旅人を引き寄せる。 思わず苦笑しながら、茶碗に施しを投げ込んでいくと、 これまた軽妙で、小粋な返事やしぐさを返してくる。 赤いジャケットに、安物の宝石をジャラジャラつけて、 その下は、もちろんぼろぼろのぼろをまとって、 今日も陽気に、元気に、胸を張って物乞いを続けていた。 「えっ?、何で未だに物乞いを続けてるのかって??。 そりゃあ、働かざるもの食うべからずって言うじゃない。 それに、あたしは元気にここにいる。それを知っていただきたいのさ。」 そう、自分の大好きな人に。 FIN