『闇のキス』 byMORIGUMA 「ふうふう・・・さすがに、重いなあ。」 暗い洞窟の中、汗を流しながら、 一人の男が歩いていく。 ここは竜神の迷宮、 ハイウェイマンギルドのしつらえた、隠し通路の一つ。 ひしゃげたガマのような顔に、角ばった体格、 背は低めで足も短い、 顔中ひげだらけのご面相は、愛嬌はあるが、 女にもてる部分はどう見てもなさそうな顔つきだ。 おっさんくさいが、こう見えても20だったりする。 ボックスという、ギルドでは下っ端の若造だが、 結構まじめで義理堅いので、 戦闘より、いろいろな用事をまかされる事が多い。 腕っ節はそれなりだが、 決して強いとはいえず、しぶとさだけがとりえだろう。 「でも、もう少しだ」 ボックスは汗をぬぐいながら、背中に背負った鉄板と、 その上の樽ようなものを、しょいなおして進んでいく。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 闇の奥、7F−1の玄室 奥まった場所、岩の陰、秘密の戸口、 簡単には見つからない場所に、 いくつも隠しこまれた部屋。 「ううっ、うあああっ、」 「もうっ、もうやめてっ、かんにんしてええっ!」 悲痛な悲鳴、あえぎ、絶叫。 細い手足を押さえつける無数の手。 金髪が汗と泥と白濁に汚れ、 汚濁に汚れ切った白い肌に張り付く。 青い、涙も枯れ果てた目を見開く。 しなやかな腰のラインが、引き裂くように広げられ、 男の痙攣が、胎に深く打ち込まれる。 「ひいいいっ、ひいいいいっ、もうっ・・・もうやめ・・・中はいやああぁぁぁぁぁ」 金髪の女魔術師が、細い息を漏らし、 身体の奥深くに、はじけ散る精液にわなないた。 周りを取り巻く60人を超える男たちは、 中出しし終わった男を押しのけ、争い殴り合いながら、 別の男がペニスを突き入れた。 「うああああああっ!」 さらに奥、 広間に群がる無数の男の群れ、群れ、群れ、 600人を超えるならず者たちが群がり、 興奮でわめき騒ぐ。 たいまつの揺らぐ炎、 闇を切り取ったような白い肌、 体液が滴り、白金の髪が流れる、 ぎらつく欲情の無数の目に、 のたうつ肌の揺らぎが、 うごめきが、 絶頂の痙攣が、 貪られるいけにえに向けられていた。 滑らかな石の台に、 縛り付けられたいけにえは、 激しいあえぎと、淫欲の音にまみれ、 異臭の濁流にもみくちゃにされて、 全身を濁白に染めつくしていた。 それでもなお、その女の色香は、 妖しい輝きは、衰えることすらなく、 男どもの欲望を煽り立てている。 アメジストの紫が、潤んで男を誘う。 凶暴な犬歯を、撫で回すようにペニスに絡ませ、 淫靡な唇がすすり、しゃぶり、なめあげる。 「んふっ、んっ、はふっ、はっ、んんっ、」 女はむしろ喜んでいるかのように、 顔の前に突き出される、異臭のする醜いペニスを、 夢中で咥えていた。 恐ろしいばかりの暴れ方をした彼女には、 用心にも用心が必要と、 皮と鋼線を編んだロープで、 両手両足を台座に縛られ、大の字にされて、 首と手首、足首には魔法封じの封冠が厳重にかけられていた。 そして、広げられた肉体は、 群がる男たちに、嬲り者にされ続けていた。 「んはっはっ、あっ、おおおおっ!」 うめき、のけぞる彼女の膣に、波打つようなほとばしりが、 猛然と撃ち広がる。 白い腹がわななき震える。 激しくのけぞり、尻をくねらせ、 締め上げるそこに、男は搾り取られる悦楽で脳髄が白く蕩けた。 精液に汚れた、赤い唇が、笑った。 彼女の名はハデス・ヴェリコ。 『史上最悪の賢者』のあだ名を持ち、 竜神の迷宮事件で、一時は最強の賢者ともうわさされていた。 だが、運は冷酷なサイコロを容赦なく彼女に振り当てた。 数十人を黒焦げにし、 虎よりも恐ろしい暴れ方をする彼女を、 ようやく玄室に引きずり込めたのは、 極めつけの偶然と、幸運と、悪魔のいたずらが、 トリプルコンボを決めたとしか思えなかった。 彼女を犯せると聞いて、 700名を超えるならず者たちが集まっていたからだ。 膨大な数の勢いで襲い、 何とかあらゆる武器防具を奪い、台座に押さえつけた時は、 ならず者たち全員が、腰が抜けそうな安堵に襲われた。 だが同時に、激しい興奮と征服欲が、 ならず者たちの高ぶりを何倍にも高めていった。 『本物だ、これまでにねえ、本物の獲物だ!』 「んん〜っ、んっんふっ、んっ、んっ、はああんっ」 皮と鋼線で編まれた頑丈な紐が、軋むほどに揺れ動く。 口から喉まで突き刺され、 下から腹が破れんばかりに突き上げられ、 濡れた肉体が、紅潮し、痙攣し、のた打ち回る。 広げられた引き締まった体中で、 穴と言う穴にペニスをぶち込まれ続けていた。 600人を超える男たち、 その欲求と暴力的な性は、 脳髄が蕩け、身体がバラバラに砕けるように激しく、 性欲の塊のようなハデスといえど、 これほどの暴虐は味わったことが無かった。 『んああっ、いいっ、ああっ、壊れっ、壊れるっ、軋むっ、裂けるううっ!』 あそこから口までペニスで串刺しにされたかのように、 前後から激しい律動に貫かれ、 意識が朦朧とゆがんでいく。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 『ハデス様ファンクラブNo42』 ボックスの持っているカードには、そう書かれていた。 というか、彼がファンクラブに入った時点で、 ハイウェイマンギルド内だと言うのに、 ファンクラブ員が40名以上というのが、 ハデス・ヴェリコという賢者の奇妙さを物語っている。 『史上最悪の賢者』とまであだ名され、 露出狂で傲岸不遜、自由奔放、やりたい放題に生きている彼女は、 むしろアウトローたちの、シンボルのような存在だった。 また、彼女自身『面白そうだから来た』というだけあって、 戦うときは容赦のかけらも無いが、 気が向けば、誰彼かまわず声をかけ、 一緒に大騒ぎを繰り返す。 毎晩、酒と男無しでは寝られない彼女、 相手の氏素性など知ったことじゃない。 ハイウェイマンの連中らしいのと寝たことも、 一度や二度ではない。 『彼女の腿の感触にはさまれたら、もう逃げられねえ。』 そうささやかれる、しなやかで強靭な、ハデスの脚。 その肉感と、強烈な締め付けは、何人もの男を狂わせてきた。 だが、ボックスとハデスの縁は、 実はもっと深かった。 −−4年前−− ぐれたボックスが、 お定まりのチンピラ生活にもなじんできた頃だった。 入っていた中規模の山賊団『はいぐれーどカッター』は、 やたら露出度過剰の女に、下っ端がインネンつけようとして、 下っ端は仲間ごと焼き払われ、 隠れ家を襲われて焼き払われ、 本隊と、隠れていた山まで丸ごと焼き払われ、 ケツの毛までむしり尽くされるように、いびり抜かれた。 ボックスは運良く、食料の買出しに出ていて、 直接の被害にはあわなかったが、 『あーっはっはっはっはっはっはっはっ』 悪魔のような笑い声が山々にこだまする様子は、 今でも忘れたことが無い。 好奇心旺盛な年頃だったボックスは、 彼女を追っかけてみる気になった。 敵討ちだとか、面子だとか、 そんなものはどうでも良かったが、 この凄まじい女は、どんなやつなのか、 ぜひとも拝んでみたいと本気で思ったのだ。 ろくなつても無いボックスだったが、 ハデスはあちこちで災厄と面倒を振りまきながら、 平然と動き回り、彼でも追っかけることが出来た。 ようやく、ある酒場で彼女に追いついた。  カラ・・・ン・・・ 高価な氷が、グラスの中で音を立てる。 涼やかな音と、妖しいきらめきが、琥珀色の液体を引き立たせる。 だが、 グラスに触れる唇が、なまめかしく動く様に、 長いまつげが、上下する動きに、 細く高い鼻梁が、形のいい顎が、飲み下す動きに、 流れ落ちる白金の髪と、細い喉が流し込む音に、 ボックスの目は吸い寄せられる。 アメジストの瞳が、けむるようにゆれ、 火のような酒を流し込んだため息が、ぞくぞくするような響きを持つ。 だが、同時にどこかでそれを見たような気がした。 「ん?、なんだい。」 そのハスキーな声に、腰骨の辺りが戦慄し、 自分のペニスがなでさすられているような快感を覚えた。 「あ、あんたが、ハデスさんか・・・。」 紫の下着に、悪趣味なまでにきらめく金や宝石、 その下に、さらに激しく、豊かに息づく熟れきった女の肉体。 繊細なラインと、凶暴なくびれをもち、 強烈な脚線美が、わざと組みかえられて、濡れた女の秘所を感じさせた。 そして、紫の視線の持つ、強烈な力。 彼女以外の、誰がハデスと名乗れるだろうか。 喉がごくりと鳴るのを、他人のそれのように感じた。 『・・・・・?』 また、ボックスは何か引っかかるものを感じた。 長いまつげが、優雅にゆれ、 紫の視線がじろっと彼をみた。 「ぶお〜っと、何見てんだい!。恥ずかしげも無く、チンポコおっ立てやがって。」 ケケケと、奇怪に笑いながらも、 酒の酔いに染まった頬が、異常に色っぽかった。 どうやら、今宵のアネゴは、季節のネコのようにさかっているらしい。 「おら、こっちきな!」 ぐいと襟首つかまれ、スツールに引っ張り込まれた。 「ちょうど酒の連れが欲しかったんだ、 おら、のみな、ぐーっと、おらぐうううっと!」 凶悪に笑う赤い唇、 におい立つ女の香り、 熱い肌が、身体に焼け付くような気がした。 ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、 火のような酒を、何度も飲み干し、 それでも容赦なく注がれる酒を、なぜか夢中で飲んだ。 ゲロを吐いて、ぶっ倒れるまで、 死ぬほど飲んだ。 「うげ・・・きもち・・・きもち・・・んあっ、あんだ?すげえ・・」 二日酔いの凶悪な不快感、 頭痛と吐き気と悪寒が絡まりあうような中、 それにまして膨らむ凶悪な快感が、 自分の下半身から膨らんでくる。 頭いてえ・・だ、だけどっ、うあっ、こっ、これっ、 ベッドで身を起こしたそこに、 白金の輝きが動いた。 ぺろおおん 赤い舌が、なぞりあげるようにボックスのペニスをなめ上げる。 「うあっ、ああっ、あっ頭っ、でっでもっ、うあっ、」 快感にズシンと頭痛が突き抜ける。 だが、挟み込まれる唇の、熱くて、甘くて、絡みつくそれ、 やわらかく蠢き、愛撫するようにはさみつけ、 吸い付き、なぞり、キスを繰り返し、 腰がのけぞりそうになる。 極上の快楽がペニスにねじ込まれ、 頭痛と不快感が脳天から杭を打ち込み、 文字通りのた打ち回るボックスを、 彼女はいたずらっぽいアメジストの瞳で、面白そうに見ていた。 「やっとお目覚めかい?」 二ヒヒと悪魔のように笑うと、 唇をすぼめ、くねらせながら、 尿道を何度もこね広げ、中へ舌先をねじ込んだ。 「うあああっ、ああっ、あがああっ!!」 細いが強い指先が、 いやらしく肉茎をしごき、 大きな陰嚢をもみほぐし、前立腺をこすりつけた。  ドビュグッ、ドビュウウウッ、ドビュウウウッ、ドビュウウウッ、ドビュウウッ、 「あがああぁぁぁぁぁ・・・・」 アルコールくさい精液が、際限なく、これでもかと飛びまくり、 何もかもがそこからでていってしまうような錯覚に落ち込んだ。 頭に何本も五寸釘を打ち込まれ、 のた打ち回るような苦痛もオマケつきだ。 口に飛び跳ねる感覚、 それがハデスの快感を刺激したのか、 うっとりと目を閉じ、口と喉を震わせ、 口いっぱいに含み、味わい、何度も喉を蠢かせた。 うんぐ、んっ、んぶっ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ 「ぷあっ、すげえいっぱい出しやがったな・・・飲み干せねえかと思ったよ。」 口元に滴る生臭い雫を、 色っぽい舌先がぺろりとなめた。 ずっきいいんっ 起き上がったハデスは素っ裸、 ぶるっと震える胸が、鮮やかなピンクの乳首をピンと立てている。 細い華奢にすら見えるうなじ、 無毛の真っ白いわきの下、 ぼんっと飛び出し、きれいな半球を描いて震える乳房、 けだるげで、それでいて淫らな表情が、 長いまつげを潤ませる。 目を直撃する強烈な色香は、 ボックスの興奮を脳天にぶちあて、 膨張した血管が脳ミソを押しつぶす。 頭痛と快楽のサンドイッチ。 頭を抱えてのた打ち回りながら、 陰茎はびんびんにおったっていた。 「おいおい、ますます絶好調じゃねえか、ああ?」 元々極度のサディスト、 苦しみのたうつボックスに、 むしろ興味と興奮がわく。 「アルコールくせえザーメン、あんだけ飲ませといて、 まだこんなにビンビンかよ。いい根性だぜ。」 熱い吐息を吐きながら、 乱暴な、だがどこか甘い口調で、 ハデスは頭を抑えるボックスにかぶさる。 フニュリッ 柔らかい弾力が、ぐっとはさみつけ、陰嚢をこりこりとこすりあわす。 ズゴンズゴンズゴン 気持ちよすぎて、快楽が鉄杭となって脳天へ、 同時に、脳の血管が切まくるような痛みが駆け巡る。 豊満な胸に、ペニスの下部から陰嚢を、 『わざと』挟みつけられ、 玉を幹とこすりあわされ、 敏感な乳首がカリの下をこすりつけ、 快感だか苦痛だか分からない衝撃が、 ペニスとこめかみの血管を、破裂寸前に膨らます。 「ほうらほらぁ、このどスケベ男、気持ちいいかあ?」 もちろん、全て承知の上で、 のたうつボックスを嬲りまわすハデス。 玉のぶつかり合う感覚に、 乳房のふくよかな快感に、 はじける寸前に膨張した亀頭を嘗め回され、 気持ちよすぎるそれと、痛みを伴う刺激と、 脳天が鐘に突っ込まれ打ち鳴らされる拷問と、 鼻血があふれ、目がくらみ、 泡を吹きながら、数度の射精をぶちまけた。 笑うハデスの白い頬に、広い額に、高い鼻筋に、 顔中にぶちまけるザーメンは、とても2回目とは思えない。 高い鼻の奥にまで、 飛び散るザーメンがなだれ込み、 ハデスはくらくらする様な匂いに酔った。 「くはぁぁっ、くせえっ、スゲエにおいだぞ、 ますます、あたいもイッちまうじゃねえか、だあほっ。」 笑っていた目が、いつの間にかトロンと色づき、 頬が赤く上気して、さかりがハデスの膣を潤していた。 赤い舌先が、唇をヌラリと嘗めた。 しなやかな背筋から、細く締まった腰が、 くねりと淫靡な動きをなす。 ピンクの花びらが、雫を滴らせ、 肉感的な腿に、行く筋も伝い落ちていく。 オスのにおいが、彼女の興奮を誘ってしまったらしかった。 ボックスの方も、頭痛と興奮で限界突破、 完全にぶち切れ状態に突入していた。 「うががががが・・・」 獣のうなり声を上げながら、 ごつい指先が、ぶりんと盛り上がった尻に食い入る。 「おっ?!」 痛いほど食い込む指に、アメジストの目が広がる。 驚きと、期待と、興奮に。 狂気じみた力で、 尻肉が裂けそうなほどひきつけられ、 尻穴までむき出しにされて、 ぱっくりと開いた濡れ蒸れた花弁が、 凶暴な獣欲にぶち抜かれた。 「うぁあぁぁぁぁああっ!」 ビチビチと火花のような衝撃が、 ハデスの中に突き刺さっていく。 しとどに濡れた花弁が、広がり、こすれ、えぐりぬかれる。 のけぞり、白金の髪を激しく跳ね上げ、 中にはじける感覚にしびれる。 濡れそぼっていたとはいえ、 いきなりはちきれんばかりの物を突っ込まれ、 身体が感覚についていけない。 だが、それがいい。 「うがっうがっうがっうがっ、ぐあっがっがっがあっ」 獣の叫びと、泡を吹きながら、 ハデスの尻に指の痕を刻み、 柔肉のうねりに、凶暴な暴行を叩きつける。 「うあっ、ばっばかっ、胎がっ、破れるうぅっっ!」 そう叫びながら、赤い舌をなめずり、 ぐいぐいと長い華麗な腿を締め上げて、 膣を荒れ狂う肉茎を、ズンズンぶち当たる亀頭を、 肉体全てで味わい、痺れる。 長い爪が、乳房を傷つけ、 真紅の滴りが、紅潮した肌をさらに彩る。 アメジストの目が、視点を失い、 どろどろの喘ぎが、 愛液の洪水が、 際限なくあふれ出していく。 雫が弾け、淫らの音が響き、 カリと血管が襞を殴りつける。 のけぞったまま、 体ごと突き上げ、跳ね上げられ、 子宮に突き刺さる亀頭が、 脳まで衝撃をぶち当てた。 「ああっ、うああっ、ああっ、ぎっ、ああっいくうっ、いくううっ!!」 腿が、尻が、背筋がそり返り、締め上げ、 熱と甘美と衝撃がペニスを突き刺した。 狂気のほとばしりが、身体を跳ね上げ、突き抜けた。 ドビュグルルルルルルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ 直撃する溶岩、 細い腰が痙攣を繰り返し、 のけぞった美貌が、狂気の笑みを浮かべ、 子宮いっぱいにぶちまけられる、 白濁の暴走に痺れた。 力なく後ろに倒れ、あえぐハデスを、 つながったままのボックスは、 ガバッと身を起こし、のしかかった。 「え・・・?」 目が白目のまま、 こめかみからひたいには、血管がぶち切れんばかりに浮き、 泡がまだ口からこぼれていた。 狂乱状態が、暴走継続。 「ちょっ、まだイッたばっかで、ああんっ、だめえっ!」 両わきに長い足を抱きこむや、 抜かず、萎えず、膨張し切ったままのペニスが、 ドスッ 音を立てて突っ込んだ。 「いひいっ!」 たまらずのけぞるハデスに、 立て続けに腰を突き刺し、叩きつける。 「うあっ、こらっ、あうっ、ちょっ、ちょっとおっ!」 さすがのハデスも、快楽に縛られたままの体では、 抵抗のしようもなければ、逃げようもない、 何より体が勝手に受け入れていく。 Vの字に広げられ、 叩き割られるように突き刺され、 ハデスのしなやかな肢体は、 シーツをつかんで悶え狂う。 白金の茂みが、濡れて光り、 スリットからへそまで精液と愛液が絡まりあい、 引き締まった腰から細身の体がくねり、悶え、のたうつ。 凶暴でサディストな美貌も、 今ばかりは困惑し、悶え、絶叫し、 「いあんっ、そこっ、だめえっ、かんじすぎっ、まだいっぱい入ってるっ、のっにっ、ひいっ!」 柳眉をしかめ、赤い唇は淫らに声をこぼし続ける。 いっぱいの精液が、 激しく蠢き、 ズコッ!ズコッ!ズコッ!ズコッ! 張り詰めた亀頭のふくらみが、 奥へ、奥へ、精子の大群を押しやり、掻き回す。 汚れたシーツに、のたうつ白い裸身が、 何度も上気し、興奮し、わななき、 叩きつける衝撃にのけぞった。 きらめく髪が、何度もシーツを打った。 凶暴なカリの張ったペニスが、 強姦同然に突きまくり、 彼女の快感と衝撃のスポットにはまりまくって、 どんどん、意識がぼやけていく。 「あんっでっ、こっ、こんああっ!、らめええっ!」 「ガルルルルウウウウッ!!」 バスッバスッバスッバスッ! 腰骨が砕け、底が突き破るように、 咆哮する陰茎がハデスの最奥までぶち抜いた。 「ひあああああああああああああああっ!!」 小さく締まっているはずの、 赤い口を貫通し、 中にえぐりこまれて、 がくがくと裸の体が揺れ動く。 のけぞった体が、弓のように反り返る。 絞り上げる膣に、ねじ込まれたペニスが、 轟然と脈動した。 ドビュルッ、ドビュルッ、ドビュルッ、ドビュルッ、 細いあごをのけぞらせ、 首が折れるばかりにそり返り、 白く細い腹にぶち込まれる感覚に、 白いつま先が何度も屈し、震えた。 だが、出しながらさらに突撃、突撃、突撃!。 「ひぎいっ、ぎいっ!、あひいいっ!」 中に直でぶちまけられ、 さらに狭い口をこじ開けられ、 中めがけて、直で叩きつける。 精液が、子宮一面に叩きつけ、 舌が空気を求めるかのように、あえぎ、震えた。 脈打ち、ふくらみ、子宮があふれ、 逆流する精液が、密着した粘膜の間から吹き出していく。 きれいな尻を伝い、背筋を流れ落ちて、 シーツにいくつものシミをつけていった。 「はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・」 さすがのハデスも、 激しいあえぎで、裸身を力なく投げ出していた。 「ぐるるううおおおおっ!」 ビキビキビキッ 激しい頭痛が、下半身を逆上させる。 『なっ、なにっ、この硬さっ!?』 むしろ射精前よりさらに硬くゴリゴリの状態、 こんなので突かれたら・・・?!。 「まっ、まてっ、もっもうっ!」 もがくハデスを容赦なく貫いたままひっくり返し、 「もう、あたしっ、ああっ!、だめだって・・・あううっ!」 いくつも指の痕のついた尻を、 暴発する獣の欲情が、 しぶきを散らしながら突き刺した。 ガスッ!ガスッ!ガスッ!ガスッ!ガスッ! 息が止まりそうな衝撃、 まるで石のように硬く、 さらに破れんばかりに膨張した血管、 がちがちのカリ首が中を蹂躙する。 「ひいいいーーーーーーっ!」 バックから叩きつける暴行に、 逃れようともがく尻を、 ガッシとつかんだまま、さらにえぐりあげる。 また、あそこが、こじ開けられる。 ゴリュッ、ゴリュッ、ズブルッ、 奥の奥まで貫かれ、 巨大な亀頭がめり込み、荒れ狂い、 四つんばいのまま、ハデスは痙攣を繰り返す。 指の痕だらけのもっこりした尻を、 よだれと泡を吹きながら、灼熱するペニスで貪りつくす。 脳髄まで沸騰する感覚の中、 失神したハデスを、 獣は最後の一滴まで絞りつくして、 自分も失神した。 結局、 気がつくと、二人とも腰が抜けてしまっていて、 丸2日動くことができず、 ボックスはその後ハデスにボコボコにされたのだった。 だがまあ、 それは彼女の照れ隠しらしく、 ボックスはその後も、何度かお相手をさせられている。 ハデスが、竜神の迷宮に興味を持ち、 さっさと旅立ったと聞いて、 あわてて追っかけた。 何でかは分からない、 虫が騒いだとでも言うしかなかった。 そしてそれは、 自分のどこか深いところから来ていることに、 その頃のボックスはようやく気づいていた。 竜神の迷宮は、 男性は基本的に入ることが不可能であり、 傭兵以外は同行できないことを知り、 ためらい無くハイウェイマンギルドへ入った。 その方が、ハデスの役に立つはずだからだ。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「んっ、んんっ、んうっ、んっ、ぷはあっ、はあっ、はあっ、ああんっ!」 もう何人、何十人目だろう?。 口にも、アナルにも、ヴァギナにも、 広げられた体中に、 繰り返し、繰り返し、続けさまに突き入れられる。 『まあ・・・いいか。』 もう快感も鈍く、 うっとおしいだけの鈍痛があちこちにある。 だが、600以上の男相手に、まだ声をあげ、身体で応えている。 「・・・・・・・・・・」 隣で60人余りに嬲られている金髪の女戦士は、 とっくの昔に正気を失い、死んだマグロとなりはてている。 汚れた髪をつかまれ、 引きずりおこされて、 脚を担ぎ上げられて、前後からぶち込まれる。 腫れた膣から、アナルから、吹き出す精液がおびただしかった。 だが、それでもなお豊かな肉体に際限なく欲望を吐き出され、 また貫かれ続ける。 彼女の正気が戻ると同時に、 際限ない苦痛と崩落がぶち込まれているのに気付かされる。 ドロドロの精液が、子宮の奥の奥まで流し込まれ、 際限なく新たな精子が、粘膜全てに孕まされる。 彼女の理性や意思、その最後の一片が砕けるまで。 「んっんんうっ、ぷはっ、はっ、はっ、はっ、」 喉の奥に流し込まれる精を、飲み尽くし、荒い息を漏らす。 男の手がヒザを広げ、 股関節が壊れんばかりに開いて、 赤く腫れた膣口にたたきつける。 アナルを掘り返す男の、 『ウケケッケケッ』という奇怪な笑い声と、 尻をこねくられる感覚。 両方の穴を貫かれ、同時に、交互に、 身体の芯を掘り崩されていくような暴行。 胸に浴びせられた精液が、生ぬるく流れ落ちていく。 『・・・・お?』 身体の上を通り過ぎていくだけの、 無数の男たちの中に、 なじみの顔があった。 ひどく思いつめた、泣きそうな顔。 『ボックス、何しけた顔してやがんだよ。』 そいつが何をしようとしてるのか、 ハデスにはすぐ分かった。 いや、ちょっと冷静なやつなら、 誰でも感づくだろう。 ここで、死ぬ気で暴れるつもりなのだ。 『ばかが・・・・しゃあねえなあ。』 ハデスが汚れた顔を苦笑させた。 頑丈な皮と鋼線を編んだ紐だが、 激しい軋みと、ヌルヌルと流れ落ちる体液、 それにわずかなほころびもあってか、 ぐっと腕をそらすと、右手がずるりと抜けた。 白い腕が、蛇のようにくねり、 ズボンにあっという間も無くすべりこんだ。 「おらっ、何しょぼくれてんだい。あたいの前でフニャチンじゃゆるさないからね!。」 強烈なたんかに、 そこにいた男どもは、 横っ面を思いっきり張られたような顔をする。  ウオオオオオオオオオオオオオ!! 「あ、あ、あねごぉ」 強い指の、乱暴なくせに絶妙の絞り加減。 しごきあげながら、指を起用に絡ませ、 楽器をかき鳴らすような指のテクニック。 その感触に、思わずベッドのそれを思い出し、 ボックスのそれは、恥知らずに膨張した。 ズボンから引きずり出されたそれは、 異様に膨張し、ハデスの手に余るほどだ。 ぺろり 伸ばした舌が、くるみこむように、 いとおしげな動きが、唇を妖しく広げ、 細いあごが大きく開く。 その優しくも淫らな光景に、 硬直した男たちは、興奮もいっそう激しくなる。 「ぷあっ、おらっ、そこのっ!。こんな無粋なものさっさとはずせ!。」 「へっ、へいっ!」 ハデスの『命令』に、 つるっぱげの大男が、思わず手足の強靭な紐を解きだした。 思わず顔を見合わせる奴もいたが、 誰も彼女に逆らえる気がしなかった。 「おおっし、いい子だ。ごほうびだよ。」 くいっと白い指先が広がり、 クモが獲物を捕えるように、 先の太いそれを、捕まえるや、くりくりと指先の蠢きで絞り上げた。 「お、お、あうおあっ!」 目の玉が飛び出す大男。 同時に、再び唇と舌先が、ボックスのペニスを捉えた。 あの時の、亀頭をほじり開けられ、中を吸い出される強烈なバキューム。 のけぞる彼の全てが、ハデスの喉に吸い込まれる。 アメジストの、深く、妖しい瞳の中、 ボックスは、優しく、残酷に、最後の一滴まで飲み干された。 彼の殺気の一片まで一緒に吸い込んで。 大きな美しい目が、一度だけボックスの目を見て、 優しくウィンクをした。 もう、彼女はボックスを見なかった。 へたり込んだ彼の前で、 細いがムチのようにしなやかな脚が、 男をたやすくひねり倒し、 マウントポジションでそそり立つペニスを、 深く飲み込んでいった。 ぺろりと唇を嘗め、 轟然と腰を振り動かす。 騎上位ではない、 男を喰らい尽くすマウントポジションとしか言いようが無い。 同時にバックからアナルを貫かれ、 口にも両手にも、胸にも、膝裏にも、足の裏にすら、 彼女のあらゆるところに、群がり、欲情し、陵辱した。 はじける雫が、精液が、穴という穴にあふれていく。 白い腹が何度も膨らみ、喘ぎが細く長く、何度も響いた。 激しいあえぎを響かせながら、 しなやかで美しい裸身が、妖しく身体をのけぞらす。 無数のしぶきに飾られ、くりかえし男に貫かれ、 次第に、体液の中に溺れていく。 へたり込んでいたボックスの目に、 ウィンクをくれた瞳が、 ある記憶と重なった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「鍵を受け取りにきました。」 ボックスは7F−1玄室に、荷物を背負ったまま入り込んだ。 「おう、ご苦労。」 ボスのギルドボも巨大な男だが、 そこにいる面々も、ほとんど負けていない。 そばにある禍々しい大きな箱も、 そいつらに比べると小さく見える。 薄い鋼板と、魔力封じの紋をいくつも打ち込まれた箱。 『開かずの牢獄』と呼ばれる、 商品になった女を運ぶための箱。 頑丈で精密な錠前がかけられていて、 鍵は、常に2つだけ。 一つを持って、ギルドで商品を納めて鍵をかけると、 その場でギルドは鍵を破壊し、あける事が出来ないようにする。 (奴隷商人はマスターキーをもっているので、複製できる) 一度閉じれば、奴隷商人のところまで、 途中であけることはほぼ不可能になる。 たとえ、商品である女を救い出そうとしても、 この特殊な錠前は、鍵がないと、一流の盗賊でも開けるのに半日はかかる。 中の女性を傷つけず箱を破壊するのは、まず不可能。 魔力封じの紋を退けて箱だけを明けるには、 大国を代表するような魔法使いがいなければ、 これまた無理という、難攻不落の箱なのだ。 それに、この箱の護衛たちは、箱以上に難物だった。 ギルドから売られる女たちは、 その評判の高さからほぼ最高級の商品である。 輸送に雇われる護衛たちは、その手のプロばかり。 たとえ、完全武装の重戦士一個中隊で襲っても、 10人で互角に戦うほどの猛者だ。 これで輸送中を襲うのは、あまりに無謀というほか無かった。 ボックスは、ギルドで雑用を色々こなしていた。 さほど力は無い上に、多少の小器用な所が便利で、 よく使われていた。 それがかえって情報収集には都合がよく、 いつかハデスの役にたつかもと思っていたのだった。 鍵を受け取る仕事も、ちょくちょくやっている。 だが、鍵を受け取っても、開けることは不可能に近い。 すでに錠前は閉じ、護衛たちは出発前の一服でそろっていた。 ボックスは、何気ない様子で、鍵を受け取った。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 12時間前、 玄室7F−1に、ぬっと巨大な影が現れた。 ハイウェイマンギルドのボス、ギルドボだった。 垂れ下がっているようにすら見えるでかい鼻をむけ、 ぎろりと室内をにらんだ。 「どうだ?。」 もちろん、ハデスの調教の具合だ。 「へっ、へい、そりゃあもう誠心誠意調教に勤めておりゃあすよ。」 必死に説明をしようとする下っ端その1。 ボクッ 声も無くぶっ倒れるその1。 すでに首が変な方へむいている。 「ばかやろおお、もう商品になるかと聞いてんだ。」 震えながら、下っ端その2が、 「いっ、いええ、も、も、もうちょっとかかりそうですハイ。」 ボクッ 容赦の欠片も無く、撲殺音が響く。 見かけはどうあれ、頭の切れるボスに、 へたに隠し事をすればどうなるかの見本だった。 夢中で群がる男たち、 そして、あえぎ、悶え狂う美麗な肉体。 「んはっんはっんっんっ、んあああっ!、あんっ、いいっ、いいっ、いいっ!」 前後から同時に貫かれながら、 Mの字に開いた足を、 指先を使って掴み、しごき、はさみつける。 「うごおおっ、すげええっ」 「あっ、あんた最高だああっ!」 両手にも、口にも、次々と捕まえ、咥え、すすり上げ、 狂ったように男を求めていく。 歓喜の笑いと、狂乱の媚態に、 興奮と欲望があおられ、 濁液でどろどろの肉体に、 次々と突っ込み、突きいれ、突き上げる。 まだまだ、この女で楽しみたいという、 欲求が渦を巻いて湧き上がっていた。 「のきゃあがれ。」 ドスの効いた声と、ズイと押し出す巨体、 思わず周りの空気が冷え、引き退く。 「んん?・・・どうしたの?」 ぼやんとした目で、優美な肉体をゆっくりと起こす。 その華奢な身体に、反則気味な突き出した胸、 細く締まった腰に、長く美麗な脚線、 白金の豊かな髪から、ポタポタと生臭い雫が滴り落ちる。 とろりとした紫の視線が、ぞくぞくするような色香を吹き出す。 カチャカチャとズボンを下ろすと、 これまた規格外の巨根がデロンとぶら下がった。 「ああんっ!」 脳髄までピンクに染まっているハデスは、 ためらいも無くそれにかぶりつき、 夢中で口いっぱいほおばる。 それが誰のものか、考えもせずに。 冒険者のハデスであれば、 それが誰か分かった時点で、 即座に飛び掛っていただろう。 「んはっ、んっ、おっき、んっ、んっ、はあんっ」 キャンディをしゃぶる子供のように、 夢中で口を、舌を、唇を蠢かせ、 見る見る巨大なそれは、恐怖を覚えるほど勃起した。 「うはああんっ、すごいい。ちょうだいい、あたしのあそこにガンガン入れてええ。」 内股を激しくすり合わせながら、 キスを、舌なめずりを繰り返し、 ハデスは夢中でそれを欲しがった。 「ぐふふふ、そうか、欲しいか。欲しけりゃあ、奴隷として誓うんだな。」 ボックスをすすりつくし、堕ちることを決めたハデスは、 もはやためらわなかった。 「皆様に躾けていただいた雌豚でございますぅ。かわいがってくださいませえぇん」 あまりにあっさり誓われ、 本当に堕ちたのか心配になったギルドボだが、 目は潤み、腰をヒクヒクさせるありさまに、 まあいいと、突き倒す。 桃のような丸い尻を、グイと引き上げ、 遠慮会釈も無く突っ込んだ。 ミチミチミチミチッ、 「あひいいっ!、さっ裂けるううっ!、すごいいいいっ」 だが、ギルドボもぎゅっと眉をしかめる。 『な、なんだこいつ。本当に輪姦されてたのかよ?!。』 長時間の陵辱で、ビラビラもはみ出し、 赤く張れてもいるが、 突き入る動きが、思わず止まるほどの絡みつき。 動きが、締め付けが、 そんじょそこらの娼婦とは格が違う。 くねる背筋の白いラインが、また恐ろしくそそるのだ。 「こっ、こいつはもう仕上がってやがる。すぐに売り出すぞ。」 真っ赤に顔を染めながら、ガンガン突きまくり、そう宣言した。 「ず、ずりぃ、ボスだけぇぇ!」 「まだ、おれ突っ込んでねえぞおお!」 「少しぐらいいいじゃねえかあっ!」 『うるせえぇ、だから安心できねえんだ!』 心の中で思いっきり毒づくギルドボ。 先日、14日間も陵辱戦を戦いぬいて、 ギルドを危うく経済的破滅に追いやりかけた、 某エルフの若奥様の記憶が、恐怖と共に頭をかすめた。 『あれも、賢者だったん、だよなっ、なんなんだ、賢者ってのはああっ!』 歯を食いしばり、脂汗を流しながら、 心の中で絶叫した。 「くるっ、くるっ、あはあああああああああっ!!」 ドビュルルルルルルルルルルウウウウウッ 爆発する濁流に、ハデスは世にも嬉しげな悲鳴を上げていた。 とくとくとく、 ギルドの薄汚い小さな休息所で、 欠けた茶碗やグラスに、濁った安酒が注がれる。 休息所などと言っても、 単なる穴倉に過ぎない。 それでも、ならず者たちがこっそりサボったり、 休んだりするには、絶対必要な場所だった。 そこにいる4人は、ボックスと彼の気心知れた連中だけだった。 もちろん、ハデス・ヴェリコファンクラブのメンバーばかりだ。 「どうしても、やんのか?」 やせた男が、心配げな顔を向ける。 ボックスは、ああと答えた。 「死ぬぞ、俺はまだ死にたくねえ・・・。」 隣の小太りの男が、情けなさそうにつぶやく。 「おまえ、まだおふくろさんがいるだろが。」 ボックスに言われて、顔をひん曲げる。 「あんなババアどうでもいい。」 「ババアって、呼べるだけいいだろ。」 ボックスは笑っていた。 そして、その意味を全員知っている。 誰もが、もうふるさとには帰れなかった。 だが、それでもふるさとはある。 いつか帰れるかもしれぬそこがある。 だが、ボックスにはもう無いのだ。 「だから、やめられねーんだ。あとの事、たのむわ。」 彼の最後の頼みに、静かに全員がうなずいた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 鍵を受け取り、目の前の石の上でハンマーで叩き潰す。 それが商品受け渡しの、お定まりの儀式。 それを見届けてから、 輸送部隊は、箱を担ぎ上げる。 「ああそうだ、ちょっとすいません。」 何気なく、彼は鍵をポケットに入れ、 箱のほうへのそのそ歩いた。 なんとなく、いつもと違うなと、 それとなく見ている傭兵はいるが、 鍵を出すのではなくポケットに入れたため、 声をかけるぐらいのことだった。 「どうしたい?、さっさと鍵をつぶせや。」 「すいません、すぐすみますから。」 人の良さそうな笑みを浮かべ、 荷物を背負ったまま、のそのそ歩く男。 これが殺気や、何か悲壮な決意を漂わせていたなら、 そのかけらでもあったなら、 百戦錬磨の傭兵たちが気付かないはずは無かった。 だが、男はまるでいとおしい女を抱くかのように、 震える手を広げ、 壁際に置かれた箱に、そっと覆いかぶさる。 その瞬間、何かの気があふれた。 シュッ 炎を上げる導火線の匂いに、 ようやく気付いた時、 短いそれは、一気に燃えきっていた。 ボックスの背中の火薬樽めがけて。  グウゥァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ 閃光と爆風が、全ての物を覆い尽くした。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ガチャッ、バクッ 箱の中で、朦朧としていたハデスを、 何かが強烈に揺さぶり、 そして静かになった。 すぐに箱が開いた。 火薬と土ぼこりの匂いが飛び込み、 彼女は本能的な危機感に、飛び起きた。 血にまみれた手と、そして青ざめた顔。 「ぼ、ボ、ボックスぅうううっ!」 彼のヒザから下は、ほとんどなくなっていた。 身体を覆う鋼板は、足は守ることは出来なかった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− その瞬間、怖いとは思わなかった。 これでハデスに会える、それだけが彼の全てだった。 閃光と爆発、 鼓膜は破れ、両足が熔けるように消える。 だが、恍惚の中にいる彼には、 もう何も感じなかった。 ただ、時間が恐ろしくゆっくりで、 箱を開けようとする自分の手が、 それ以上にゆっくりで、 開けられないことだけが、何よりも怖かった。 アバラが肺を突き破り、セキに血が混ざっていた。 ガバンッ 跳ね上がる蓋、その中から、 裸の美しい姿が、凛々しく跳ね起きた。 美しいアメジストの瞳。 長い、美しいまつげ。 −−あの日の、バオバブの花のような。 「姐御・・・バオバブの花が・・・咲いた・・よ・・・」 ボックスのかすれた声は、確かにハデスの耳に届いた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「バオバブの・・・花?!」 紫の目が、驚愕に見開かれる。 はるかな記憶の底、 無数の長いオレンジのおしべ、 鮮やかな原色の細い花びら、 そして・・・光景。 「あ・・・あ・・・あの時の・・・!!」 茜色の空と、鮮やかな異国の花。 そして、静かな大気と子供の声がした。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「バオバブの花が咲いたよ!」 たぶんそれは、俺の一番幸せだったとき。 天地は優しく、世界は平和で、 家族がみんないた。 村にあった一本の樹。 遠い異国から、どこからか飛んできた種が、 長い時を耐えて、大きく枝葉を広げていた。 まれにその花が開くと、 細く輝く花びらと、 無数に伸び上がった優雅なおしべの群れが、 不思議なオレンジの輝きとなって、 子供だった俺をとても喜ばせた。 「どこだいそれは?」 俺の声に、ハスキーな女性の声がたずねた。 アメジストの瞳が、とても美しかった。 薄くわずかな布を、胸と腰に帯びただけの不思議な服装をして、 長い手足がすんなりと伸びて、 輝く白金の髪が、ふわりと揺れた。 俺は、自分の一番のお気に入りの場所に案内した。 「おお〜、こりゃあいいや。」 でかい酒ビンを背中のナップから引き出すと、 黒い水晶の杯になみなみと注いだ。 「ね、きれいでしょう」 俺は自慢げにいうと、 「ああ、ありがとうよ。」 その女性はほんとに嬉しそうに笑ってくれた。 バオバブの無数の長いおしべが、 その女性の美しい長いまつげのように思えた。 あの樹はもう無い。 村が焼かれた日、樹もまた焼かれた。 俺の家族も、その日に失われた。 「あね・・・ご・・バオバブの花が・・・見える・・・よ・・・ きれい・・だった・・・な・・・あ・・・・」 あの日の幸せが、 光の粒となって、身体中を包んでいた。 あふれてくる、ハデスの中から、何かが、あふれてくる。 「ボックス、ボックス!、ボックスウウウウウウウウウウウッ!!」 輝く雫が、ボックスの閉じられた目の上に落ちた。 抱きしめられた肌の温かみが、 闇に落ちていく彼を優しく包んでいた。 『泣いている・・・あたしが・・・泣いている?!』 止まらない、涙が、 止まらない、あふれるものが、 とても大切なものが、 いま、消えていく。 そして、自分が生まれて初めて泣いていることを、 ハデスは忘れた。 胸を焼き尽くす熱いものに、 もはや何も考えることができなかった。 ただ、ほとばしる限りの涙を流した。 誰かが、周りに来た。 「姐さん、来て下さい!。」 「ボックスの最後の頼みなんです。お願いします!。」 昨夜、安酒を飲みながら、ボックスと最後の会話をした連中だった。 必死で、彼女の両脇を取り、立たせようとする。 目が血走る。 ここに、置いていく?。 ボックスを置いていく? 狂気が、彼女の右腕を振り上げる。 はだしのまま、走った。 血の滴る首を、次第に冷えていくそれを、 ただ涙のあふれるまま抱きしめて。 爆発と混乱で、逃げ出したり、パニックになった連中は、 裸の女が走るのを見ても、目にとまらない。 連中に送り出された外は、 激しい雨が降っていた。 叩きつける雨、バチバチと音を立てる粒。 昼間だというのに、闇夜のような暗さで、 稲妻が、何度も走り、火花を散らした。 「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」 雷鳴がとどろく、 その間を、彼女の絶叫が響く。 魂の叫びのような、絶望と悲しみと、失われたものへの思いをこめて。 それは、奇跡だった。 15年の時を越えて、 それは蘇り、 一瞬の鮮やかな輝きを見せて、 彼女を救い、かなたへと消えた。 奇跡は、二度と帰る事は無いのだと、 無情なほど冷酷に、雨が告げていた。 その重さが、輝きが、彼女をたたきつけ、殴り倒した。 しかばねの唇を、何度も吸った。 闇の中に白い肌と、青ざめた肌が、 何度も唇を合わせた。 雨が叩く、 痛みが、肌を焼き、自分の中の苦しみをえぐりだす。 顔を、髪を、身体中を、 泣き叫びながら、それに叩かれながら、 雨と泥にまみれ、 何度も、何度も、キスをくりかえし、絶叫した。 うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ 暗い山の間に、 彼女の叫びは吸い込まれていった。 FIN