強制登場人物(スイマセン、責任は全てMORIGUMAにあります) ハデス・ヴェリコ (一名『史上最悪の賢者』合成人間らしい、酒が好き) フォルテ・フォルテシモ・アンダンテ (略称:フォルテ、賢者、謀略で送り込まれてしまった某国内親王陛下らしい) リムカ・スターロート (14歳の賢者という天才少女、ただし家庭的には薄幸) スピリア=クロフォード (賢者、エルフで二児の母だが、若すぎ、かわいすぎ、おっとりすぎ?) タン (可愛らしい半獣人だが、特殊な魔法結界で舌に賢者の力と知識を仕込まれている) フリーデリケ (巨大すぎる神官戦士、エルフとはとても思えない腕力主義者、そのくせやたら家庭的で「かわいもの大好き病」、ミラルドと天敵関係) ミラルド<カラミティ>リンド (忍者、生まれついての生ける天災、一人でハルマゲドンを起こせる世界で唯一の『災害存在』、それがトラウマで「カラミティ」と呼ばれるとぶちきれ金剛)   『賢者たちの優雅な休息』 byMORIGUMA 「あら、ハデスさあん。お久しぶりですぅ」 ホンワカした明るいお日さまボイス。 ハデスは、飲んでいた火酒を、思わず吹きそうになった。 「あ、ああ、ひさしぶりね。スピリア。」 かたや、明るい金茶の長い髪を後ろで束ね、 穏やかな草色の服に、大きな翠の目で、 おっとりした人柄が、そのまま顔に出てるようなエルフの若奥様。 ハデスは、白金の豊かな髪を紫水晶の髪止めで背中に流し、 同じ紫の瞳がぶっそうな光を帯びて、ぎらついている強烈な美貌。 紫の華麗な下着に薄いストッキング、黒のガードルで、 白いルーズソックス、短い皮の上着とブーツという、 見るからにパンクねーちゃん。 同じ賢者・・・というには余りにタイプの違いすぎる二人だが、 なぜかスピリアは、賢者同士というだけで、 ニコニコすりすりと寄ってくる。 また毒舌でも有名なハデスだが、 スピリアはまるっきり応えない能天気さで、 どうも調子が狂うのだった。 ハデスに密着しかねないぐらいそばに、ちょこんと座って、 オレンジジュースを注文するスピリアさん。 「あら、スピリア様にハデス様ではありませぬか。 ご機嫌いかがでございますか?。」 『うげっ!、今日はどういう日だ?!』 なんとも居心地の悪い思いのハデス。 スピリアに、さらに輪をかけたような、 おっとりというより、品格がにじみ出るような、 優雅と香りが立つような声。 サラリとドレスのすそが揺らめき、 青と白の鮮やかなほっそりした姿が、 そそと進み出た。 フォルテ・フォルテシモ・アンダンテ、 今や『姫さま』で通る、賢者フォルテである。 「あら、フォルテさん、今日はあがりですの?」 「ええ、ちょっとPTの者が体調を崩されまして、 明日には元気になられると思いますわ。」 品格と礼儀がにじみ出るような会話。 ハデスは、急に火酒が冷たくなったような気がした。 「あら、ハデス様はメイラスの火酒ですのね。 ではぺぺ殿、私にも同じ物をお願いしますわね。」 「あ、ああ・・・」 ぺぺが妙な顔つきになって、グラスを取り出す。 長いこと酒場をやっているが、 殿つきで呼ぶのはこの人ぐらいのものだ。 そいでもって、火酒は度数58という凶悪な酒なのだが、 フォルテもハデスに劣らぬぐらい、酒に強かったりする。 まあ、毎夜パーティに出てた彼女、 酒に負けるようでは某国の内親王などやっておれまいが。 「はいよ」 マスターがグラスに触ったかと思うと、 満たされたオレンジ色の酒が、ゆれもせずに、 グラスはすっと、フォルテの前に止まった。 磨きぬかれたカウンターは、マスターのビリヤード台に等しい。 グラスは玉、正確な位置に飛ばすのはマスターの名人芸だ。 「ありがとうございます。」 火の出るような酒が、ピンクの唇をすべりおり、 口に含む香りが、口腔から鼻梁を満たす。 白く細いのどが、 飲み干していく動きも艶やかに、 快感と恍惚がしなやかな肢体を満たしていく。 「ふう・・・おいしい。」 一息で飲み干したフォルテに、 ハデスが、ちょっと感心した目をした。 『姫さん、やるじゃないか』 フォルテもかすかに目元で笑った。 「マスターオレもおかわり。」 「いいですわん、私ってお酒に弱いので、 周りに迷惑をかけるからって、いつも止められるんですのよ。」 スピリアさんが、オレンジジュースのグラスを回しながら、 とっても残念そうに言う。 『弱いっつうか、大変っつうか、そりゃあれではみんな止めるわな。』 一度だけ、惨状を見たことのあるハデスは、 彼女にだけは、酒は勧めまいと思っている。 「喉が渇いちゃった、オレンジ頂戴ぺぺ!。」 元気な声が、酒場に飛び込むように入ってくる。 「あらリムカさん、おつかれさまです。」 「あ〜っ、スピリアあっ、おひさしぶりいっ!」 ピンクを帯びた明るい赤い髪がなびき、 同じ色の明るい目を輝かせた。 14歳で賢者という天才少女リムカは、 スピリアの豊かな胸に飛び込んだ。 「あらあら、甘えんぼさんねえ。」 といいつつ、嬉しそうに目を細めて、 ひざの上でごろごろしてるリムカを撫で回す。 「ごろごろ、わっふ〜ん」 って、もう一人スピリアのヒザに甘える小さな姿。 犬のような耳をした、可愛らしい獣人の娘で賢者タン。 「タンちゃん、ここあたしの!。」 「タンもすりすりしたいのおっ。」 珍しくタンも自己主張するが、 別にケンカしてるわけではなく、 仲良くスピリアのヒザに甘えている。 普段も、精神年齢と背格好が近いせいか、非常に仲がよかったりする。 「おこちゃまたちがもう・・・何でまた今日は賢者ばっかり?」 「ハデス、おこちゃまって言うな!」 「言うな・・・!」 ハデスがやれやれ、という顔をした。 「そういえばハデス、パーティの人たちはどうしたのだ?。」 ちょっと首をかしげながら、タンが聞いた。 「アルムは修行、あれでも敬虔な神官なんでな(邪神の)。 今日は洞窟にこもって瞑想してるみたいだぜ。 もっとも、時々奇怪な笑い声や奇声が聞こえるがな。」 タンは眉を寄せて、妙な顔をした。 怖くなったので、想像するのは止めた。 「アチャチャは、前に務めてたバーに頼まれて、 バイトでポールダンスに行ってるよ。」 急に賢者の知識が、露骨にそのシーンを思い浮かべたので、 タンは顔が真っ赤になった。 銀色のすべすべした細いポールに、 全裸に近いような格好をした女性たちが、 からみつくように踊ったり、片手で握って回ったり、 かなり淫靡な光景だった。 ちなみに、他の女性たちには想像外らしく、 ダンスという言葉だけで納得している。 「カルラは、もう一人って頼まれたアチャチャに誘われて、 二人で踊ってる。二人そろうとすごい人気だったよ。」 「あら、タンちゃん顔が赤いわよ。お熱?。」 スピリアさんが優しく聞いたが、何でもないと必死に首を振る。 実際、妖艶で視線を浴びるのが大好きで、 脱ぐのが好きというカルラは、 ちょっとロリだが巨乳のアチャチャと踊ると、 彼女の妖艶さを、アチャチャの可愛らしさが適度に押さえて、 とても見栄えがするのだった。 「ねえスピリア〜、ワイズマンの情報って何かでてたぁ?」 リムカは、今度は背中にまといつきながら、甘えるように聞く。 タンは相変わらず、わっふ〜んと幸せそうな顔をしてヒザに。 「たいして無いわねえ。まだ誰も最深部まで行ってないんですもの。」 甘えつく少女たちに、これまた幸せそうな笑顔で返すお母さんスピリア。 「ふむう、常識で考えれば、女性という事ぐらいなのであろうが。」 トン、と空になったグラスを置くフォルテ。 「我ら賢者が、そうそう想像だけを鵜呑みにするわけにものう。」 口調が重々しくなるのは、少し酔って地が出てきた証拠だった。 「まあねえ、使い方さえ極めれば、自分以外の男性絶滅ってのもありえるし。」 ハデスもグラスを置いて、二人分の火酒を注文する。 「タンはいやだな・・・。女性が一人であんなトコにいるの。」 今度は少し重そうなため息を、わっふうぅんとつきながら、 ほっぺを温かいひざにつけるようにして、言った。 「お風呂も入れないでしょうし、洗濯物も乾かないわねえ。 女の子ならたまりませんねぇ。」 極めて家庭的なスピリアさんに、みんな苦笑。 「でも、目的は何なのかしら?。」 全員、急に目を光らせて考え込む。 迷宮にかかわる者全員が、一日に一度は考える事。 『ワイズマンの目的は何なのか?』 「まず想像するのは、王家やクルルミクへの恨みって、いう事でしょうけど。」 スピリアの甘い香りの髪を嗅ぎながら、リムカ。 「そう単純ではないであろう。 それならいっそ、王家を襲うなり、 グラッセンに味方するなりすればいいことじゃ。」 少々目が据わってきたフォルテさん、口調がいよいよ内親王陛下。 策略でここに放り込まれていなければ、これが彼女の地なのでしょう。 もちろん、それはリムカも思うことである。 だから、同意するように小さくうなづく。 すううっと、甘い香りが可愛らしい鼻を通る。 『お母さんの香りって、こういうのかなあ・・・』 母親のぬくもりをかすかにしか覚えていないリムカは、 切なくなるような香りに浸った。 カラン グラスを振りながら、ハデスが、 「竜神の力になら、興味を持つヤツもいるだろうねえ。」 確かに、ワイズマンが迷宮に巣くったのは、ずいぶん前の話だ。 王位継承の話よりかなり前だから、 竜神の迷宮の『竜神』に興味を持った可能性もある。 『今日は静かでいいわい。』 ぺぺは、ひさしぶりの静かな雰囲気にホッとしていた。 普通、これだけ美人が集っていると、 スケベ心を出してまとわりつく人間がいるものだが、 どの女性も、ちょっと触りがたい雰囲気が出ている。 強烈な知性の輝きが、下ネタの部分を打ちすえるように直撃し、 萎縮してしまうのだった。 だが、そんなに世の中甘くない。 「『獅子身中の虫』という言葉もある。・・・と言ってる。」 わっふ〜んとタンが、言葉を漏らした。 誰が言っているのかは、誰も知らない。 彼女の舌に焼き付けられた、賢者の知識と魔力を納めた封印があるからだ。 「ううむ、竜神の迷宮を受けるのは男子のみ、ならばそれもありましょうぞ。」 ぐっと、フォルテがグラスを空けた。 「ぷはぁ、王子がいなくなりゃ、セニティ王女にでもムコをってか。 腐れ貴族の考えそうなことじゃねえか。」 ゲラゲラ笑いながら、ハデスがおかわり。 フムフムとスピリアやリムカがうなずいていた。 当然そうなると、国内の貴族たちが一番の候補に上がる。 国外から王子を呼ぶことも考えられるが、 竜神という特殊な信仰を持つことから、まず国内貴族から選ばれるだろう。 この件では、一番怪しいのが、クルルミクの貴族連中ということだ。 「だーいたいさあ、なんで私たちの実力表や出身、その上処女表まで出てるわけえええっ!」 リムカが顔を赤らめて、声を上げた。 いや彼女の怒りもごもっとも、ぶちのめしたならず者たちは、 何人かに一人は、そういうけしからぬ表を持っていたりするから、 みんな知っているのだった。 「そうよそうよっ!、どうせ、どうせ私は処女じゃありませんよおっ!」 急に赤くなった顔のスピリアが、大声を上げた。 「泣かないでお母さん、リムカも泣いちゃう。」 「うん、タンもかなしいよおお。」 ひしと抱き合うスピリアとリムカ&タン。 よく見ると、タンもリムカも顔がまっかっかだ。 「ありがとうっ、今日だけは私の娘になってねっ!」 三人で泣きながら、ひしと抱きあう様子が、異常なハイテンション。 「うむうむ、仲良き事は美しい。わらわも感動してしまいます。」 チンとハデスとグラスを交わし、またグイと空けた。 だんだんぺぺが青くなってきた。 すでに火酒が6本カラになっている。 大柄な男性の重戦士でも、2本飲んだらひっくり返る代物なのだ。 よく見れば、スピリアとタンやリムカのジュースのそばに、 カラッポの火酒のグラスが。 目の前でカパカパ飲まれては、猫より好奇心旺盛な方々、 飲むなという方が無理か。 「オオオ、なんと、なんと感動ディス!、 かわいい、可憐、すってっきっでええええすっ!」 興奮した声が、甲高いエルフの声なので、 ミスマッチもいいところなのだが、 聞きなれた酒場の人たちは『またか』と思う。 ドスドスと、地響き立てて駆け寄る巨体。 鉄の塊、動く戦車、これでもなんと高位エルフ!。 可憐なリムカ、かわいいタン、そしておっとり優しげなスピリア、 色っぽく染まる華麗なフォルテ。 これだけ美人で可愛い、可憐な容姿の持ち主ばかりが集まれば、 彼女のセンサーが感づかないはずが無かった。 『かわいもの大好き病』のフリーデリケは、 すてきな一団に、危ない本能沸騰状態で駆け寄った。 「リムカ、タン、スピリア、フォルテぇぇぇっ、全員おもちかえりいいっ!」 ズドオオオムッ! 飛びかかろうとした目の前に、巨大な火柱が天井へ吹き上げた。 「うわああぉっ!」 「あたしのことを無視するなんざ、い〜い度胸じゃねえか。」 目の据わったハデスが、ギラッと睨んだ。 半あぐらで、ドスの聞いた声が、酒場に響いた。 酒場の他の客たちは、全員鳥肌。 『かわいもの』しか目に入ってないフリーデリケ・・・、ってことはあたしは?。 彼女は無視されるのが、だいっきらいなのだった。 「なっ、なにするかー!」 「さいっこうにイカした炎で、真っ黒焦げにしてやろうか・・・」 「ハデス様、火はあぶのうございますよ。優しく追い出してあげませぬと。」 これも相当酒入ってるフォルテ嬢。 優しく『超強圧』の風をフリーデリケにぶっつける。 「どひいいいいいっ!」 「ほおら、風の優雅さは炎より良いとは思いませぬか。」 ホッホッホッと笑い出しそうな笑顔のフォルテ。 「いーや、炎の輝きの方がイカしてるぜ。」 「あら、そんな事はありませんわ。風の優雅さは一番ですわよ。」 急に意見が妙な方へ・・・。 ゴンガラガッシャアアアンッ! 「ふ、フリーデリケっ、あたしに何か恨みでもあるのおっ!」 鉄の塊のような巨大エルフに巻き込まれて、 下敷き、顔面強打、全身打撲のミラルド<カラミティ>リンド。 「あっ、カラミテー、何でそんなトコにいるか?、からみてー。」 こちらも頭を少し打った(?)フリーデリケ、 『カラミティ』をミラルドの耳に連打。 彼女に『カラミティ』は絶対タブーなのだが、 この巨大ボブエルフ、そんな理屈は3秒で忘れ去る。 プチップチッ、 青筋が広い額に音を立てた。 「あんたがいらん事しそうだったから、逃げようとしたのよっ!」 普段から、災害が『駆け寄る、抱きつく、飛びかかる』のミラルド、 何かあったら逃げたくなるのは人情というもの。 だがしかし、そういう場所にいるからこそ『カラミティ』なのではなかろうか?。 「いらん事ってなにか?、からみてー」 さらにトドメが、堪忍袋を突き破る。 ブチブチブチッ 「ヤカマアシイイイイイッ!」 超重量級の巨体が、華麗に宙を舞う、強烈なストレートアッパー。 だが、その固い靴先が、偶然ミラルドの顎に直撃!。 これは痛いっ!。二人とも同時ダウン。 もはや何が発端だったかも忘れ、 怒りに燃えて立ち上がる二人。 「うおおおおおおっ!」 「ぐおおおおおおおおおっ!」 カーン、最終戦争のゴングがなったあっ。 「何と言っても火がすごいぜ。」 ズドム! 「いえいえ、風の華麗さがわらわには、」 ビュウウウッ 酒で完全に目がすわってるハデスとフォルテ、 魔法論争で実演を交えながら延々と論議。 だが、実演って店の中だぞっ!。 巻き込まれ、吹っ飛ぶ客が逃げ惑う。 だが、逃げる客を巻き込んで、 フリーデリケとミラルドの大決戦中!。 「アタシァクサムァヲムッコロス!!」(エルフなまり混入) 「返り討ちいだこらああああっ!!」 ・・・・・阿鼻叫喚。 「ああん、ママ〜」 「タンも・・・おっぱい・・・」 甘えに甘える二人を、裸の胸で抱きしめ、 幸せそうに、キスする、吸わせる、なでまわす。 完全に酔っ払ってる三人、甘え上戸に甘えさせ上戸?!。 元々酔うと脱ぎ癖のあるスピリアさんは、 修羅場と化して、ぺぺが念仏を唱えている酒場の真ん中で、 豊満なおっぱいに、二人の少女を抱っこして、 幸せ空間に浸っているのでした。 FIN