ならず者の1日(その5)







【カスチューの場合】

ならず者Aの言葉に、あたいは耳を疑った。

「はぁ?」

「ですから、ヒネモス様は捕まりました。」

「マジで?」

「はい。」

あちゃ〜。がっくりと肩を落として、横にいるミスティに謝った。

「ごめん!」

おっさんなら、ミスティの兜を外せると思ったのに。

ミスティはクロスヘルムを装備している。

頭全体を完全に覆っているのが特徴的な兜。

不思議な事に外れない。

呪いなのか、魔法なのか、一切不明。お手上げ状態。

そこで、呪いや魔法に詳しいおっさんに聞きに来たけど…。

女冒険者達に、また捕まったらしい。

「気にしていませんから。」

て、ミスティは言うけど、気にしてないはずがないよね〜。

どうしようかな〜。

考えながら、ブラブラと迷宮を散歩した。

ギルドの鑑定士にでも頼もうかな?

でも、個人の依頼だと料金を取られるし…。

ん〜。まぁいっか。

どうせ、おっさんの事だから勝手に復活するでしょ。

その時に見てもらおうっと。

うん。それで決まり!

そ・れ・な・ら♪

ミスティに、あたいの計画を手伝わせよう。

「ねぇねぇ、ミスティ。」

「何?」

「ちょっと手伝いしてくれない?」

「いいですけど、何の手伝いですか?」

ニヤリと笑って、計画をミスティに話した。

「宝物庫を襲撃!?」

「しーっ!しーっ!声が大きい!」

辺りに誰もいないか確認。

キョロキョロ。よし!誰もいない。

ミスティに話した計画は以下の通り。

1階〜9階の宝物庫を探して、高そうな品を盗むこと。

もう1階〜6階の宝物庫は発見して、合鍵まで作った。

ここまで苦労したよ。あとは7〜9階のみ。

ギルドボとワイズナーの宝も欲しいけど、欲をかきすぎるのは

危険だからやめた。

今まで色々と手伝ったから、退職金として宝の10〜50個は、

貰っても罰は当たらないよね〜。

「・・・・・。」

兜で表情が見えないけど、ミスティから反対を示すオーラを感じた。

何か不満?手伝ってくれたら、ミスティにも宝を1つぐらいあげるよ。

「盗みは駄目。人として恥ずかしい行為です。」

あのね、ミスティ。あたいは盗賊であり、ならず者だよ?

盗む事は立派な仕事。恥ずかしくも何ともありません。

それに言うじゃない。

自分の物は自分の物。他人の物は自分の物って。

「言いません。」

ミスティって生真面目だね。

「とにかく駄目です。ギルドも脱退して下さい。」

「ええ〜。」

「国の治安を悪化させ、女性を捕まえて売るなんて最低です。」

今時珍しくないよ。それくらい。

悪人なんて、世界に腐るほど居るって。

「いけません。」

頑固だな〜。

ひょっとしてミスティって、ワイズナー討伐に参加した冒険者?

それとも、噂に聞く白の騎士団とやらのメンバー?

「分かりません。」

そっか。記憶喪失だもんね〜。

怪我の後遺症か、兜のせいなのか、ミスティは過去の記憶がない。

名前も分からない。

ミスティって名前は、あたいが勝手につけた。

ん〜。ミスティの動きってさ。

盗賊とか暗殺者に近いのよ。

だから、同類と思ったのに。誠実で真面目。

予想外だよ。

「これで最後にするから。ね?」

「・・・・・。」

「お願い!」

「本当ですね?」

「うん!」

「ギルドも抜けますか?」

「抜けます!」

そもそもギルドに入ったのは気まぐれだし。

未練なんて、ぜんぜんない。

「…分かりました。今回だけお手伝いします。」

やった〜!ありがとう。ミスティ、愛してる〜♪

2人の気持ちが1つになったし、早速7階から探索しよう。

「あ!カスチュー、待って!」

何よ〜。手伝うって言ったじゃない。

往生際が悪いぞ。ほらほら、膳は急げって言うじゃない。

行くよ。

ポチッ。

「へっ?」

一瞬、目の前がブラックアウトした。

辺りの様子が変わっている。

あ、あれ?

「だから止めたのに…。」

「何かあった?」

「テレポーターの罠がありました。」

「マジ?」

えへへへ。失敗は誰にでもあるよね?

それに、失敗は成功の素って言うし。

「失敗にもよります。ここがどこか分かりますか?」

「う〜ん」

多分、9階だね。

何度か来た事があるから。

よし!ここから宝物庫を探そう。

きっと、あの罠も神のお導きだよ。

「前向きというか、お気楽というか。」

褒めてる?

「褒めてません。」

ブーブー。まぁいいや。行こう。

深い溜息をつくミスティと、あたいは迷宮の9階を歩き始めた。

目指すは宝物庫!







【ケルケーの場合】

何としても、クォーPTの10階到達を阻止してやる!

ハイウェイマンズギルドと、俺様の輝かしい未来の為に。

俺様の名前はケルケー。ならず者だ。

いずれ大幹部になる男と覚えてくれ。

「ケルケーの兄貴!」

舎弟のゾバイドが走ってくる。

「首尾はどうだ?」

「ばっちりです。上の方から完璧な地図を借りて来ました!」

よし!よくやった。

これで先回りして待ち伏せが出来る。

人数が少ないのが心もとないが仕方あるまい。

奇襲と根性で何とかしてみせるさ。

ゾバイド達と共に9階へ向かった。



クォーの鉄球が40人のならず者達を叩き潰した!

ティーチの剣が4人のならず者達を斬り伏せた!

エメラーダの魔法が32人のならず者達を焼き尽くした!

ルビエラの罠が14人のならず者達を吹き飛ばした!



うぐぐ…。

あっさり全滅かよ…。

「ならず者が持っていた迷宮の地図ですね。」

「すご!詳しく書いてあるよ。」

「ラッキーだね。」

「ふむ。かなり探索が進んだし、1度戻ろうか。」

女冒険者達は迷宮の出口に向かって行った。

無様だ。返り討ちの挙句に地図まで奪われるとは…。

俺様は…まだ生きている。

昔らから悪運だけは強いからな。

しかし、身体は動かねぇ。

「お…い…。誰か…生きている…か?」

返事はない。全員死んだか。

「あ、あに…き…。」

その声はゾバイド!お前も生きていたか!

お前も悪運が強いな。

「ゾバ…イ…ド。動…ける…か?」

「無理…で…す。全身…大火傷で…。」

「そう…か…。」

助かったが、動けないと意味がねぇ。

魔物に食われるか、怪我が悪化して死ぬか。

どっちかになりそうだ。

俺様の野望も…これまでか。

1度でいいから、ロゼッタやミラを抱きたかったな…。

さよならだ。

たまにでいい。俺様の事を思い出してくれ…。

カツカツ、コツコツ。

足音が聞こえる。

魔物じゃねぇな。クォーPTが戻ってきたか?

それとも別の女冒険者のPTか?

「ありゃりゃ。これまた派手にやられてるね。」

この声はカスチューか!

助かった。本当に俺様は悪運が強いようだ。

「カ…カス…チュー…。」

「ん?ケルケー?」

通路の奥から姿を見せたのは、カスチューと知らない奴だった。

何だ、その兜を装備した奴は?

確か女冒険者達の中にも、兜や壷とか変なものを装備した奴がいたが…。

「酷い様だね。」

上から俺様を見下ろすカスチューは笑顔だ。

何がそんなに嬉しい?

俺様の無様な姿が、そんなに滑稽か?

文句を言いたいが、気を悪くさせて、行かれたら不味い。

その時点で俺様の死は決定だ。

怒りを抑えて、屈辱だが助けを求めた。

「た、助けて…くれ…。動け…な…い。」

「あっそう、ご愁傷様。助けが来るまで、精々頑張ることだね。」

「なっ!?」

「まぁ、助けなんて来ないと思うけど。」

こいつ!助ける気がねぇ!

あれだけ面倒みてやったのに、何て恩知らずな奴だ。

あ、あれは!?

「カス…チュー…。」

「ん?遺言でも言いたいの?」

「何で…お前が…俺様の…短剣を持って…いる…?」

カスチューの笑みが固まる。

こいつが腰にぶら下げている短剣は、俺様が死神様に貰ったものだ。

オリハルコン製の魔法の短剣。

魔法障壁などの使用可能だ。

3日ぐらい前に盗まれて、困っていたが、お前が犯人だったのか。

そいつがあれば、今回もこんな重傷にならなかったはずだ。

俺様のジト目に耐え切れなくなったのか、引きつった笑みで言った。

「てへ。落ちてたの拾ったの。」

嘘つけ!この泥棒め!

テーブルの上に置いてあった短剣を拾っただと?

お前はドガイドの馬鹿と同じだ。

「盗んだ…件は不問…に…してやるから…助けろ…。」

「ん〜。」

カスチューは腕を組んで考える。

考えまでもないだろう?

仲間を見捨てたり、仲間の物を盗めば、粛清が下る。

ならず者とはいえ、ギルドの掟は守らなければいけない。

「決定〜。」

やっと助ける気になったか。

これで一安心だな。

「口封じすれば、早いよね?」

うおおぉぉいっ!

そっちに結論が行ったのか!?

「ま…まて…!」

「ごめん、ケルケー。これもきっと運命だよ。」

そんな運命、認めて堪るか!

ニコニコしながら、短剣を抜いて近づいてくる。

目が笑っていない。ほ、本気か!?

だ、誰か助けてくれ!こんな死に方は嫌だああぁっ!

「いい加減にしなさい。」

ゴスッ!

「いいぃっ!?」

兜を装備した奴が、カスチューに頭突きを喰らわした。

遠慮なしの一撃だ。

「うく〜!何すんのよ!」

ガスッ!

抗議したカスチューに、また頭突きが入った。

「★○×□※!」

意味不明な叫びながら、カスチューは転がり悶え苦しむ。

よく分らんが、助かった。

名も知らぬ兜の人。感謝する。ありがとう。

「傷ついた人が目の前にいて、助けないなんて言語道断です!」

おお。良いこと言うな。

まさしく、その通りだ!見習え、カスチュー。

兜の人は声からして女か。聞き覚えがある…誰だ?

頭に霧がかかったような感じで、思い出せん。

「貴方も駄目です!」

えっ?俺様も?

「ならず者なんかしているから、そんな目に遭うんです!」

いや、そんな事を言われても。

「清く正しく生きなさい。いいですか?そもそも…」

よく分からないが、説教が始まった。

うぐぐ…あとでいくらでも聞くから、先に治療してくれるなり、

安全な場所に運んくれ。

「あ…兄貴…。」

「どう…した…ゾバイ…ド?」

「俺達…助かったの…か…な…?」

「分からねぇ…。」

そう答えるしかなかった。

この女は何者だ?シスターか何か?

勘弁してください。

その後、俺様は倒れたまま、3時間も説教を受けた。



「知ってるか?ランカー1位のハデスを捕縛したそうだ。」

医務室で寝ていた俺様とゾバイドに、コイルが教えてくれた。

口は悪いが、医師の腕は抜群の男だ。

それにしても、あのハデスの捕縛に成功したのか。

監禁玄室に大勢のならず者達が集まるだろうよ。

しかし、俺様はそれどころじゃねぇ。

大事な地図を奪われてしまった。

大失点だ。下手をすると罰を受けるかもしれん。

困った…。

このままだと、大幹部になる夢も潰える。

何か…何かしないと…。

俺様は布団に潜って思案した。







【リッツアーの場合】

改めて言っておこう。

私はならず者ではない。傭兵だ。

名前はリッツアー。

そして、不本意ながら、ハデスファンクラブの会員80だ。

はぁ、どこで人生を間違えたのか。

目の前のストーカー3人は、見失ったハデスPTを探している。

不本意ながら、私の妹と知り合いだ。

早く地上に帰りたい…。

「明かりです!ハデス様かも!」

ラランが叫んで駆け出す。

知り合いの1人で、なんとこの美少年はならず者だ。

こいつに関わらなければ、妹と私はここに居なかった。

「ハデス様〜!」

妹のアルティシア(アル)が、ラランと一緒に駆け出していた。

すまん。訂正する。

ラランと知り合わなくても、私と妹はここに居た。

「・・・・・。」

もう1人の知り合いは、無言で2人の後を追っている。

ロイルツ。お前の人生は、それでいいのか?

考え直す事を勧めする。

「誰だ!」

「見つかった!?」

3人とも慌てて隠れるが遅い。どこから突っこんでいいのか。

叫んで走れば、誰でも気がつくだろ?

私は急いで3人の下に駆け寄る。

ハデスPTでなく、ならず者達なら戦闘になるからだ。

不本意だが、この3人は守らなくては。

「お前達、何者だ?」

目の前に現れたのは、ハデスPTだ。

ハデスPTのメンバーは全員知っている。

ファンクラブの情報誌に詳しく書いてあった。

・・・・・。

世の中、暇人って多いな。

おや?肝心のハデスがいない。

「私達はハデス様のファンクラブの者です!ハデス様は?」

アルの言葉に冒険者達は顔を見合わせる。

困った表情だ。だよね。

こんな所にファンクラブの人間が居るって、普通は思わないだろう。

「ハデスはならず者に捕まった。」

信じたよ、この人達。

って、えええ!?捕まった!?

何で落ちついているの?助けなくていいのか?

「迷宮を探索していれば、そのうち見つかるさ。」

「うんうん。そのとき助ければ、いいよね。」

「うふふ、そうね。」

鬼ですか、あんたら。

「大変だ!きっと、あんな事や口では言えない事をされている違いない!」

ロイルツが叫ぶ。

ファンとして、ハデスが凌辱されるのは我慢出来ないか。

「うらやま…許せない!」

いま羨ましいって、言おうとしなかったか?

「助けよう!あんな事や口では言えない事をされる前に!」

ララン、真剣な顔で言っているところを悪いが…。

鼻血が出ているぞ。何を想像した?

「2人とも不謹慎ですよ!」

おお、妹が珍しく真面目だ。

兄は嬉しいぞ。

「あ、でも、ハデス様と一緒なら…」

「一緒なら?」

「あんな事や口では言えない事をされたいかも…。」

何をほざいていやがる、この女は。

うっとりしながら、腰をくねらせるな。

とほほ…。

「行くぞ!」

「「おおっ!」」

3人は懲りずに駆け出した。

「まて!お前ら!」

ガシッ!

「うおっ!?」

3人を追いかけようとした私は、羽交い絞めされた。

誰だ!?

「あんた、傭兵だろ?」

いさなさん!?彼女が何故、私を羽交い絞めにする!?

「丁度よかったよね。人手が補充できて。」

アチャチャさんが嬉しそうに言った。

いや、それはいいのですが、私のリュックを漁らないで下さい。

「サンドイッチ発見!いさな、食べる?」

勝手に何をしていますか、貴女は。

「大丈夫よ。あなたはとって喰わないから。」

その目と表情で言っても説得力ないです、カルラさん。

「ララン、助け…」

3人の姿はもう見えなかった。

は、は、薄情者共〜!

「ハデスを見つけるまでだから。」

いや、カルラさん。私にはあの3人を守る使命が…。

「報酬はそうね。私の身体でどう?」

「い、いや、それは…。」

「あはははは。赤くなってる。」

私の顔を見て、アチャチャさんが笑う。

うぐ、一応私も男ですから…。

「さて、行きましょうか。」

妖艶な笑みを浮かべて、カルラさんは迷宮を進み始めた。

あの…私の意思は無視ですか?

「壁、よろしくね。」

すでに盾扱い決定ですか?

アチャチャさんは私の腕を引っ張っていく。

逃がすつもりはないらしい。

ララン、アル、ロイルツ。

無事でいてくれ。

「美味いな、このサンドイッチ。」

本当に食べているよ、この人。

いさなさん、私の分を残して下さい。

お願いします。

朝から何も食べていません。

「誰が作った?」

「私ですが…。」

「ほぅ。今度何か作って食わせろ。」

命令ですか。いや、構いませんが…。

天国の父と母よ。

近いうちに、私もそちらへ行くかもしれません。

その時は、よろしくお願いします。

しくしく…。







【ラランの場合】

「あれ?兄さんは?」

アルの言葉に、ボクは後ろを振り返った。

いない。はぐれてしまったらしい。

仕方のない人だな。

探してあげてもいいけど、今はハデス様の方が大事。

残念だけど諦めよう。

さようなら。

「ララン。ハデス様をどうやって探す?」

死んだ魚のような目のロイルツが言った。

迷宮は広い。闇雲に探しても見つからないだろう。

7階はボクも詳しく知らない。

監禁玄室は全部で4つあるはず。

探すとなれば、かなりの時間がかかる。

「どうしましょう。」

考えるアルを見て、ボクは名案が浮かんだ。

「おとり作戦でいこう。」

「おとりですか?」

頭の悪いアルに、ボクは分かり易いように教えた。

「わざとならず者達に捕まって、監禁玄室まで案内させる。」

「どうしてですか?」

分からないのか、この馬鹿女め。

「なるほど。その方法で監禁玄室を探すのか。」

「その通り。」

ロイルツの言葉に、ボクは頷く。

「あ〜、なるほど。」

ようやく理解したか。別にいいけど。

おとり役はアルだから。

「早速始めよう。アル、先に行って。」

「えっ?私が?」

「うん。」

「でも、ならず者が出たら…。」

ぜんぜん理解してない。

おとり役は女じゃないと駄目だ。

ここにはアルしかいない。世話の焼ける。

ボクは微笑む。

腐った家族と違って、ボクは超美形。

ちょっと微笑めば、女なんて簡単に言う事を聞く。

そうでない人もいるけど稀だ。

「大丈夫。ボクを信じて先に進んで。」

「う、うん。分かった。」

ほらね。女って単純だね。

アルは恐る恐る迷宮を進んでいく。

「ならず者の人数次第で、やばくないか?」

後ろからロイルツが心配そうに言った。

うん。多いと不味いね。

リッツアーがいないから、多分対処しきれない。

「大丈夫。ボクに策があるから。」

「そうか。それならいいが…。」

あるわけないよ。

愚かだね、ロイルツ。

少しは疑ったら、どうだい?

ああ、策は2つあるよ。

アルを囮にして逃げる。ロイルツを囮にして逃げる。

あははは。2回もボクが助かるよ。

仲間って便利だね、

ならず者だけど、ボクは仲間殺し。

実の兄を殺した。

女冒険者達ほどじゃないけど、狙われている。

何かを利用・犠牲しないと、この迷宮を歩けない。

「きゃあああああっ!」

アルの悲鳴だ。

ならず者達の遭遇したようだ。

「た、助けて!ララ…んぐっ!?」

猿ぐつわをされ、さらに身体を縛られて、アルは連れて行かれた。

危ない危ない。

アルが危うく、ボクの名前を言いそうだった。

感謝するよ。無能なならず者の諸君。

「暴れるんじゃねぇ!」

ならず者に運ばれているアルは必死に抵抗している。

暴れたら駄目だよ。

大人しく監禁玄室まで連れていかれろ。

心配しなくていい。

ハデス様がいなかったり、人数が少なかったら、助けてあげるから。

人数が多かったら、さようならだ。

ハデス様が居たら、当然ハデス様が最優先。

その時も、さようならだ。

「行こう。」

「ああ。」

ボクとロイルツは、ならず者達の後を追った。

かならず助けます。ハデス様。

何を犠牲にしても…ね。











≪あとがき≫

ランスローです。

「ケルケー様だ。な、なぁ。」

どうした?

「ラランの性格悪くなってないか?」

そうか?気のせいだろ?

「・・・・・。」

お前の弱さも変わらないよな。

「やかましいわ!」

今日のワイズナーの結果次第で、みんなの運命が決まるね。

「そ、そうなのか?」

うむ。どんな運命になるのやら。

DPC様。いつもご苦労様です。

お身体には気をつけて。

そして、皆様。勝手にキャラを使って、ごめんなさい。

なるべく不快がないように、オリジナルキャラだけで話を進めようと

していますが、問題があったら言って下さい。

「オリジナルキャラだけで、つまらんという苦情は?」

うぐ…すいません。

何とか面白くしてみます。

それでは、また。

「あばよ。」


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