ならず者の1日(その2)
俺様の名前は【ケルケー】。
ハイウェイマンズギルドのならず者だ。
まだ下っ端に近いが、いずれ大幹部になってやる。
目の前に精根尽きた男達が死屍累々と倒れていた。
馬鹿な奴らだ。調教を頑張り過ぎたな。
俺様のように普通に楽しめば、よかったのに。
十分に楽しんだ。帰るか。
ガシッ。
「あん?」
「うふふ…もっと楽しみましょう?」
うおっ!?
エルフの人妻が俺様の足を掴んでいる。
離してくれ。そして、そんな目で見ないでくれ。
また抱きたくなっちまう。
しかし、これ以上は駄目だ。
あそこで倒れている奴らと同じ目に遭う。
「すみません。もう限界です。また今度お願いします。」
丁重に腕を解いて、俺様は一目散に逃げ出した。
恐るべし、エルフの人妻。
「ケルケーさん!」
帰る途中で、ゴッボー3兄弟の長男ジグースと会った。
何か妙に嬉しそうだな?
「よう。」
「聞きましたか?」
「何がだ?」
「竜騎士を監禁しました!しかも2人も!」
「マジか!?」
それは凄い。あの化け物みたいに強い竜騎士を捕まえるとは…。
よくやった!
さすがはハイウェイマンズギルドのならず者達だ!
一休みしてから俺様も行くか。竜騎士達のいる監禁玄室に。
いや〜。ここの仕事は実にいい。
昔は壊滅の危機もあったが、逃げずに働いた甲斐があった。
今から楽しみだ。
「情報、ありがとうよ。」
ジグースと別れた。
この時の俺様は知る由もなかった。むろんジグースもだ。
これが今生の別れになるとは…。
「・・・・・。」
牛乳瓶が床に置いてある。
いやいや、これはないだろう。
あの造罠師は調教されて、奴隷商人に売り飛ばされたはず。
まさかな。牛乳瓶を蹴り飛ばす。
パリン!
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアン!
「ぐわああぁぁっ!?」
な、何だ!?牛乳瓶が大爆発しやがった。あ、あぶねぇ!
死神様に貰った短剣が、魔法障壁を張ってくれなかったら死んでいたぞ!?
おのれ!一体誰が仕掛けやがった!
「あ〜!引っ掛かった馬鹿がいます!」
うるせぇ!悪かったな!
「・・・・・。」
「うにゅ?」
「ミ、ミラ!?何で居る!?売られたはずでは!?」
「死神様に罠師として雇われました。」
「・・・・・。」
マジですか?死神様。何てことを…。
「今の罠はどうですか?」
俺様を殺す気か?何で爆発する?ありえんだろ?
睨んだが、ミラはニコニコしている。
流しているのか、鈍感なのか。後者だな、こいつは。
「えへへへ。どうですか?ニトログリセリン牛乳瓶は?」
アホか、お前は。
もう牛乳瓶は関係ないだろう。また頭が痛くなってきた。
「仕掛けるな。」
「え〜!?どうしてですか?」
分からんのか?
今の爆発は運が良くても重傷だ。
捕まえる女冒険者を殺してどうする?
こんな物、却下だ!
「はぁ〜。良い罠が出来たと思ったのに。」
「・・・・・。」
死神様。今からでも遅くないです。
こいつを売っぱらって下さい。
じいいいぃぃぃ。
「ケルケーさん?」
しかし、良い身体してやがる。特に乳!
「・・・・・。」
よし!
「ミラ。」
「はい?」
「あとで俺様の部屋に来い。」
「どうしてですか?」
不思議そうな顔をするミラに、俺様は真面目な顔で言った。
「良い罠を教えてやろう。改造のしがいもあるぞ。」
「本当ですか!」
目をキラキラと輝かせるミラ。
「本当だとも。」
俺様は爽やかな顔で頷く。
「ありがとうございます!あとで必ず行きます!」
単純で扱い易いな。
「罠を仕掛けてから、すぐに行きますね!」
「・・・・・。」
くれぐれも頼む。普通の罠を仕掛けてくれ。
笑顔で手を振るミラと別れて、俺様は隠れアジトの自室に戻った。
「くくく…。」
俺様は邪悪な笑みを浮かべていた。
「教えてやるとも。罠ってやつをな。」
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・
≪あとがき≫
ランスローです。
「ケルケーだ。」
また、つまらないSSを書いてしまった。
「まてや。つまらん言うなあぁっ!」
はいはい。それより、何を企んでいる?
「何のことやら?くくく…。」
その顔は絶対悪いこと考えているだろ?
お巡りさ〜ん!
ここに悪い奴がいますよ!
「呼ぶんじゃねぇ!」
ロゼッタか死神さんに、ちくってやる。
「それだけは勘弁して下さい。」
ふっ、さもありなん。で、何を企んでいる?
「次回を楽しみにしていな。」
・・・・・。
次回があるといいな。
「書けよ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
いつも読んで頂き、感謝感激です。
それでは〜。
「無視するなあぁっ!」
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