奴隷商人戦記(その6)





僕は12歳で奴隷になった。





商人だった両親は殺害された。

家と店は全焼。犯人が火をつけたらしい。

僕は家族と居場所を失った。

犯人を覚えていない。両親の殺害現場に居たはずなのに…。

極度の恐怖による一時的な記憶喪失と医師は告げた。

これからどうしよう?

何も残っていない。行く場所もない。

両親は他の大陸から渡ってきた人間。

過去に何があったのか知らない。

僕も聞かなかった。だから、親類や親戚はいない。

このままなら孤児院に行く予定だった。

そんな僕を引き取って育てると言った人物がいた。

両親の友人で、同じ商人【モヘア】。

何度か会った事がある。

いつもニコニコしていて本心が見えない不気味な大人。

何故か時々、僕を見る目が怖かった。

他に行く当てもなく、孤児院が嫌だった僕はモヘアの所へ行った。

それが地獄の日々の始まりとも知らずに…。





僕を引き取ってから、モヘアの態度は急変した。

偽りの笑顔が消えて、狂気に満ちた目と獰猛な笑みが浮かんでいた。

暗くて寒い地下牢。そこが僕の部屋。自由がない束縛だけの空間。

助けを求めても誰も来てくれない。孤独な世界。

モヘアは幼女趣味だった。

激しく抵抗する僕を喜んで犯した。何度も何度も。

モヘアが居なくなった後、僕はいつも部屋の片隅で膝を抱え泣いていた。

身体が痛い。心が痛い。

両親に会いたい。それは絶対に叶わない願いだった。





モヘアに引き取られてから2ヶ月が過ぎた。

人でなく物として扱われる存在。それが今の僕。

逆らう気力はもうなかった。ただ、生きている。それだけ。

死んでいるのと変わらない。

何も考えられず、ぼーっとしているだけの毎日。

犯されることにも馴れてしまった。

土砂降りの雨の日、モヘアが僕に言った。

「お前は飽きた。奴隷商人に売り飛ばしてやろう。」

別に何も感じなかった。ううん。心の奥底では歓喜していたのかもしれない。

あの暗くて寒い孤独な世界から出られる。





奴隷商人に売られる前日。

モヘアは信じられない事を僕に告げた。

「私がお前の両親を殺した!邪魔だったからな!」

死んでいた心に火が点く。

「あなたが…殺した…!」

「うひゃひゃひゃ!そうだとも!商売敵が死んで大儲けだ!」

両親を殺した時の事を楽しそうにモヘアは語る。

娘だけは助けて欲しいと懇願する両親。

聞き入れず、雇った暗殺者達で、なぶり殺しにした。

「あぁっ…!」

失った記憶が甦る。そうだ。僕は見ていた。

両親が殺害される光景を。

母は僕を庇って死んだ。父も僕を庇って死んだ。

両親の血が、赤く生暖かい水たまりを作る。

その中で僕は恐怖に震えていた。助けてと命乞いをしていた。

「思い出したか?実に良い表情だ!あの時、殺さなくてよかったわ!」

モヘアは怒りで歪む僕の顔を見て狂喜した。

泣き叫ぶ僕に興奮して狂ったように犯した。

悔しくて涙が止まらない。モヘアを殺したかった。

だけど、出来なかった。僕は…無力な子供だ。





売られた後も地獄の日々から開放される事はなかった。

奴隷のオークション会場で、最初に僕を買ったのは傭兵だった。

あちらこちらの戦場に行っては、戦いが終わる度に僕を犯した。

傭兵の仲間達にも犯された。気を失ってボロボロになるまで。

ある戦場で傭兵は戦死した。残された僕は奴隷商人に売られた。

奴隷のオークション会場で、次に僕を買ったのは錬金術師だった。

新薬の実験体。それが僕の新しい生活。毎日様々な薬を飲まされた。

運が良ければ死ぬ。運が悪ければ、苦痛に苛まれる日々が続く。

多くの実験体が死んで逝く中、僕は不幸にも生き続けた。

ある日、錬金術師が死んだ。危険な薬物の取り扱いを間違えて爆死したのだ。

その爆破の中で1人だけ生き残った者がいた。僕だ。

その後、錬金術師の身内によって奴隷商人に売られた。

奴隷のオークション会場で、最後に僕を買ったのは貴族だった。

しかも、最悪最低の人物。

生物を切り刻む事でのみ、快楽を得る人の皮をかぶった悪魔。

当然、僕も切り刻まれた。すぐに死なないよう薬を投与されて。

焼けつくような激しい痛み。肉と骨を切られる狂いそうな感触。

自分の身体の一部が失っていく絶望と恐怖。

両腕と両足を失った。それでも僕の心は壊れない。

何て頑丈な心だろう。早く壊れたら楽になれるのに。

絶叫をあげながら、僕は全てを恨んだ。

残酷な運命を与える世界を呪った。

ザシュッ!

一瞬の出来事だった。貴族が逆にバラバラになって死んだ。

何が起きたのか分からなかった。

「もったいな事をするわね。」

長い漆黒の髪。血のように赤い唇と瞳。右肩に黒い薔薇の刺青。

それらを強調させる白い肌。

着ている黒いドレスが、とても似合う美しい女性がいた。

「だ…れ…?」

掠れる声で呟く。

女性は答えずに僕を抱きかかえる。

この匂い…母に似ている。

僕の意識は闇に呑みこまれていく。

貴女は…誰…なの…?





目を覚まして驚いた。

失ったはずの両腕と両足が元通りになっている。

身体を触るけど異常はない。

辺りを見回せば、豪華な部屋だった。まるで王族や貴族の部屋みたい。

「目が覚めたようね。」

あの時の美しい女性がいた。

「誰?」

「私はエスメラルダ。黒薔薇って呼ぶ人もいるわ。」

「黒薔薇…。」

黒薔薇は僕の隣に座ると優しく抱しめた。

「もう貴女は自由。」

「自由?僕が?」

「そう、誰も貴女を縛らない。」

ゆっくりと黒薔薇の言葉が、僕の心に染みこんでいく。

泣いた。黒薔薇に抱きついて子供のように泣いた。

「お腹が空いたでしょ?」

奥から料理を持った女性達がきた。

テーブルの上に次々と料理が並べられていく。

出来上がったばかりで湯気が出ていた。

とてもいい匂いがする。ゴクッと喉を鳴らす。

「た、食べて、いいの?」

黒薔薇に恐る恐る聞くと、笑顔で「どうぞ。」と答えた。

僕は食べた。がむしゃらに食べた。

こんなに美味しい料理を食べたのは何年振りかな?

また泣いた。泣きながら食べた。

「黒薔薇様。お風呂のご用意が出来ました。」

女性の1人が告げる。黒薔薇は頷くと僕に言った。

「さぁ、一緒に入りましょう。」

「一緒に?」

「ええ、一緒に。」

部屋を出ると、廊下も豪華だった。

美しい白い壁。踏み心地の良い絨毯。

明るく照らす沢山のシャンデリア。

「ここはどこ?」

「【白薔薇】。娼婦館よ。」

「娼婦館!?」

ビクッと震えた。僕もここで働かされる?

身体を売り物にするの?

今までと比べればマシだけど、嫌だなと思った。

そんな僕の表情に気がついたのか黒薔薇は微笑した。

「白薔薇は違うわ。普通の娼婦館とはね。」

違う?何が?

「私達は相手をしてあげているの。」

「えっ?」

「嫌だったら拒否も出来るのよ。」

どうゆうこと?意味が分からなかった。

それで商売が成り立つの?

「ここの娼婦達は美しく輝く宝石。」

確かに先程の女性達は美しい。自信に満ちて輝いていた。

宝石と言っても間違いない。

「相手をして欲しくて、馬鹿で愚かな男達がやってくるのよ。」

「立場が逆?」

僕の言葉に黒薔薇は満面の笑みを浮かべる。

「そうゆうこと。色々な貢物を持って来るわ。馬鹿でしょ?」

黒薔薇は笑った。つられて僕も笑った。





大きくて広かった。こんな風呂は初めて。

風呂に入るのも何年振りかな?

温かくて気持ちがいい。

黒薔薇の身体は綺麗だった。女の僕でも見惚れてしまう。

「きれい…。」

「ありがとう。貴女も綺麗よ。」

お世辞でも嬉しい。顔を赤めて肩まで湯に浸かる。

「まだ聞いてなかったわね。貴女の名前は?」

僕の名前。両親が殺されてから、誰も言わなくなった名前。

「ロゼッタ。ロゼッタ・エルマイラ。」

「ロゼッタ。いい名前ね。」

優しく微笑む黒薔薇。

また泣きそうになる。これで何回目かな?

ただ、名前を呼ばれただけなのに。

こんなに心に響くなんて…。

「ロゼッタ。これから3つ選択肢があるわ。」

黒薔薇は真面目な顔になる。

「選択肢?」

「そう。これからの貴女の人生のね。」

「僕の人生?」

「1人で生きていける?」

「出来ない。」

金も力も知識も何もない。

そんな僕が1人で生きていけるはずがなかった。情けないよね。

「出来ないなら私の所で働くしかないわ。」

「働く…娼婦?」

「それもあるけど。娼婦と雑用係。あと1つは、ちょっと辛いかな。」

辛い?どんな仕事だろ?

僕としては雑用係がいい。立場が逆だとしても娼婦は嫌だ。

「もう1つの仕事は?」

「ん〜。それは明日にしましょう。」

黒薔薇と僕は風呂から上がった。





「僕の部屋?」

「そう、ロゼッタの部屋よ。普通だけど許してね。」

これが普通?とんでもない。

1人部屋にしては広く、置いてある家具は最上級品。

こんないい部屋を僕に?

「ぐっすりと休みない。また明日にね。」

そう言って黒薔薇は行ってしまった。

ベッドに寝転がる。

ふわふわの毛布と柔らかなシーツが気持ちいい。

今までの地獄の日々が嘘のようだ。

どうして黒薔薇は僕に優しいの?

どうして手を差し伸べてくれたの?

分からなかった。でも、嬉しかった。

僕を助けてくれた。

黒薔薇の為なら…黒薔薇様の為なら…何でも出来そうな気がした。

何かしたい。

ああ…眠い…とても…。

こんなに安心して眠れるのは…久し振り…。

僕は深い眠りに落ちた。





翌日。朝食が終わってから地下へ案内された。

「ここは?」

血の匂いと死臭がした。

錬金術師に飼われていた時の実験室と同じ匂い。

「暗殺者ギルド【ヴェノム】よ。」

暗殺者ギルド!?

ヴェノムの名前は戦死した傭兵から聞かされた事があった。

この王国で1〜2を争う勢力のギルドだ。

娼婦館の下が暗殺者ギルド?どうなっているの?

混乱している僕に、黒薔薇様は優しく教えてくれた。

ヴェノムの依頼人は全て白薔薇のお得意様。

お得意様の大半が貴族や金持ち。

仕事を受ける事で関係を深め、白薔薇やギルドの基盤を強固にしている。

国を裏から侵食して、操る事が最大の目的。

「私は自分と自分の大切な物を守りたいだけ。」

ヴェノムは、その為の剣。守るための剣。猛毒が塗ってある剣。

黒薔薇様は僕も大切な物と言ってくれた。

何の力もない僕を…。

「3つ目の選択肢は暗殺者になること。ロゼッタは何を選ぶ?」

黒薔薇様は僕に手を差し伸べる。

「僕は…。」

暗殺者になる事を選ぶ。

黒薔薇様の為に何かしたい。力がなくて泣くのも嫌だ。

差し伸べられた手を僕は強く握った。





暗殺者の訓練を始めてから1年後。

ヴェノムで2〜3位を争う程の使い手になっていた。

人殺しの才能が僕にあったみたい。

常にトップは黒薔薇様。誰も勝てない。

僕も何度か手合わせしたけど、1度も勝てなかった。

身体に触る事すら出来ない。さすが黒薔薇様。

そういえば、仕事をしていて気がついた事が1つ。

人を殺しても何も感じなかった。

知らない間に壊れていたのかもね

心が…。





誕生日。忘れていた。

僕の誕生日を祝ってくれる人は、もういないと思っていたから。

黒薔薇様や白薔薇の皆が祝ってくれた。

恥ずかしい事に嬉しくて泣いてしまった。

笑っちゃうよね。暗殺者の僕が、こんなことで泣くなんて。

17歳。両親が殺されてから5年も過ぎていた。

今の僕を見たら両親は何て言うだろう?

やっぱり怒るかな?ごめんなさい。

それにしても誰が僕の誕生日を知っていたの?

ふと、そう思った。黒薔薇様にも教えていないはずなのに。

誰が…?





次の日。

黒薔薇様から鋼糸使いの訓練を受けた。

鋼糸使いは暗殺者の中でも異端な存在。

しかし、その力は絶大だった。

何重にも紡いでありながら、極細の鋼の糸。

断ち切る事も千切る事も通常では不可能。

避ける以前に目で見切る事すら困難。

斬れ味は達人ほど凄まじい。黒薔薇様は鉄柱を斬る事が出来る。

僕の腕では、その領域にまだ行けない。

最初は痛い目にあった。失敗して何度も怪我をしたから。

鋼糸は使い方を誤れば、使い手を斬り裂く。

でも、諦めない。黒薔薇様が指導してくれる。

期待に応えて、立派な鋼糸使いになってみせる。

寝食を惜しんで必死に特訓した。

その甲斐あって鋼糸使いに成れた。

だけど、一人前とは言えない。まだまだ未熟だ。

経験と訓練を重ねるしかない。

いつか黒薔薇様のように成る為に。





多くの人物とも知り合った。

僕の失った両腕と両足を治してくれた【エルフの魔法医】。

黒刀を使う【フリーの暗殺者】。

悪運が強いだけの馬鹿だけど、なんとなく憎めない【ならず者】。

自称【謎の吟遊詩人】。誰も知らない真実を知っている男。





奴隷商人の勉強を始める。

今、クルルミク王国に多くの女冒険者達が集まっている。

ワイズナー討伐の為に。

龍神の迷宮に【ハイウェイマンズギルド】というギルドがあった。

ならず者達のギルドだ。

捕まえた女冒険者を調教して、性奴隷として売っている。

女冒険者の中に、美しく輝く宝石が沢山あるはず。

何としても買って、黒薔薇様のもとへ送り届ける。

白薔薇も、ヴェノムも、優秀な人材を多く求めているから。





人外。

人が住む世界の外。人でない者。

クルルミク王国に行く前日。黒薔薇様は秘密を僕に教えてくれた。

人であって人でない者。それが黒薔薇様。

別に驚きはしなかった。逆に納得した。

普通とは違う何かを感じていたから。

「お願いね。」

黒薔薇様に頼まれた。【器】を探してと。

とても大切な使命ができた。

黒薔薇様の人外に絶対不可欠なモノ。

必ず探してきます。





あ、その前にやっておくことが1つ。





「ロ、ロゼッタ!ま、待ってくれ!」

必死に命乞いをするモヘア。

周りに警備員達が転がっている。バラバラになって。

「い、命だけは!た、頼む!」

こいつのせいで両親が死に、僕は地獄のような日々を送った。

しかし、感謝もしている。黒薔薇様に会えた。

両親が死なず、商人の娘として暮らした方が幸せだったのか?

それは分からない。

今の生き方は間違っているかもしれない。

だけど、後悔はしていない。

「ありがとう、さようなら。」

ズジャッ!

モヘアを真っ二つに斬り裂いた。











「おい、ロゼッタ。もう根を上げたのか?」

ドガイドの声で目を覚ます。

服は剥ぎ取られ、鋼糸も奪われていた。

戦いに敗れた後、隠し監禁玄室で僕は犯された。

犯されたのは久し振りだったけど、最低な気分だね。

一時快楽に呑まれても、直にが湧き上がってくる。

「・・・・・。」

気を失っていた僅かな時間に過去を思い出していた。

今頃何故?この鎖のせいかな?

奴隷の時は常に足枷や鎖で拘束されていた。

ドガイドの方を向くと、冷笑を浮かべて「まさか。」と答えた。

「そうかい、なら続けさせてもらうとするか。」

機嫌を損ねたのか、ドガイドは不機嫌な顔で近づいてくる。

声が聞こえた。この声は…。

ケルケーが姿を現す。

僕もドガイドも驚いた。どうしてここに?

さらに死神が姿を現した。やっぱり、あの声は死神。

可哀相に。自業自得とも言えるけど、ドガイドの顔は真っ青だ。

「あいにく、そのダガーは俺が死神様から頂いた物だ。返して貰っとくぜ。」

素早い動きでケルケーは、ドガイドの手から短剣を奪い取った。

盗まれたくせに何をカッコつけているのやら。

あの魔法の短剣は、もともと死神の持ち物か。

なるほどね。僕が負けるわけだ。

普通の魔法の武器と質が違った理由が、やっと解けた。

バジッ!

死神が魔法で鎖を断ち切ってくれた。また借りを作ったね。

当分頭が上がりそうにない。

ドガイドの制裁手段を、死神が僕に譲ってくれた。

どうしようか?

殺したい気持ちは、今は不思議とない。

許す気は更々ないけどね。

しばらく考えて言った。

「1人で女冒険者PTに挑んで、勝てたら許してあげる。」

素敵な提案にドガイドは「勝てるかあぁぁっ!」と泣き叫んだ。

そんなこと僕は知らない。

やらないと死神の制裁を受けるだけ。

どちらを選ぶかは、ドガイドに任せる。

「どのPTでもいいよ?」

意地悪な笑みを浮かべて僕は言った。











≪あとがき≫

ランスローです。

ノルン様。《死神の宴》感謝です。

今回はロゼッタの過去を少々書いてみたり…。

長めで暗い話ですが、お許しを。

「ノルン様!ありがとうございます!」

うおっ!?

どうした、ロゼッタ?

「死神のおかげで、性奴隷にならずに済んだから!」

そうかそうか。よかったな。

「・・・・・。」

ロ、ロゼッタ。

その突き刺すような冷たい視線をやめて下さい。

「誰のせいで、危ない目にあったと思っているの!」

いや、まあ。私のせいですが…。

ほら主人公だし、大ピンチになるような話を作りたかったのが本音。

「作るな、そんな話。」

むぅ〜。我侭な。

「殴るわよ?それから人の過去を勝手に書かないで!」

何で?

「恥ずかしいじゃない!」

どこが?

「・・・・・。」

まて!私が悪かった!話せば分かる!

そ、そのビール瓶は何!?

ひいぃっ!

ガス!(硬い物で殴られる音)

ガシャン!(瓶が割れる音。)

バシャバシャ!(瓶の中身が辺りを濡らす音。)

痛たたたた。何て凶暴な…。この匂いは!?

ま、まさか!

「さようなら。」

ちょっとまていぃっ!

シュボッ!(マッチ棒に火を点ける音。)

ポイ!(マッチ棒を投げる音。)

ボオオオオオオオオォォォォォォッ!(激しく燃える音。)

ぎゃあああああああああああああっ!

「悪は滅びました。めでたし、めでたし。」

・・・・・。

(返事がない。ただの焼死した死体のようだ。)

「黒焦げになったランスローの代わりに。」

「今回も読んでくれて、ありがとうございます。」

「では〜。」


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