奴隷商人戦記(その1)
賑やか。騒がしい。面白い。
クルルミク城下町の冒険者の店に僕は居た。
見回せば、有名な女冒険者が沢山いる。絶景だね。
「お前さん、見ない顔だね?」
店の主人が声をかけてきた。
「ひょっとして、ワイズナー討伐に来た冒険者か?」
「まさか。単なる旅人ですよ。」
店の主人の問いに笑顔で返した。
「単なるね…。」
「ぺぺさん!お肉追加〜!」
「へいへい。」
僕を一瞥して、店の主人は注文を取りに行った。
ペペって名前なのか。素敵だ。
それにしても、さすがは冒険者の店の主人。鋭いね。
僕が普通じゃないことに気がついている。
まぁ、旅人なんて嘘だからね。
そもそも戦争中で、ならず者が巣くっている国に来る旅人なんていない。
いるとしたら、頭のおかしい奴か命知らずの馬鹿。
あとは…僕のような旅人に変装してきた奴とか。
「マスター、酒をくれ。」
注文をして僕の隣に座る男がいた。
「久し振りだな、ロゼッタ・エルマイラ。」
ぷいと横を向いて無視。
「けっ。相変わらず、冷たい奴だ。」
「ふん。まだ生きていたの。しぶといね。」
隣に座った男。名前はケルケー。職業はならず者。
今はハイウェイマンズギルドに所属している。
簡単に言うなら、ここにいる女冒険者達の敵。
「口の悪さも変わってないな。」
「いいの?こんな所に来て。ばれたら200回ほど死ねるよ。」
「ばれたらな。堂々としてりゃあ、平気さ。」
実力はまったくないけど、その度胸(無謀)だけは褒めてあげる。
「だいたいよぉ。お前だって同じだろうが。奴隷商人様。」
そう、僕は奴隷商人。ここに来たのは奴隷を買う為だ。
他にも大切な使命があるけど…。
う〜ん。右を見ても左を見ても絶景だね。
宝石のように輝く女冒険者ばかり。
うっとりしている幸せな時間を、ケルケーは一言でぶち壊した。
「潰れるかもしれん。」
「何が?」
「ハイウェイマンズギルド。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
ケルケーが顔を背ける。いけない、いけない。
どうやら鬼のような形相になっていたようだ。
「どうゆうこと?」
いつものように作り物の笑みを浮かべて、ケルケーを促す。
「最近下っ端共が役に立たない。」
あんたも下っ端じゃない。
「捕まえた女達は、すぐに奪還される始末。」
うわ、無能。
「話が違うわね。」
有名な女冒険者、上玉の女冒険者を多数捕縛。
調教して高値で売り飛ばし、ギルドの勢力は上がり、波に乗っている状態。
そう情報屋から聞いたのに。
「はっ!いつの話だよ。」
私の話を聞いて、ケルケーは呆れる。
「勢力なんてないも同然。」
威張って言うな。
「挙句の果てに、売った性奴隷の数人が奪還されたらしい。」
「・・・・・。何やってんの?あんたとこのギルド。」
「やかましい。ほっとけ。」
ふてくされ、酒をガブ飲みするケルケーを無視して、僕は考える。
計画と違ってきた。
せっかく買った奴隷を運ぶ馬車まで用意させているのに。
このままだと大赤字になりかねない。
「黒騎士団が、アリスとユリーを奪還。」
思考中で聞いていない僕に、ケルケーは勝手に何かほざいている。
「竜騎士によって、キャティが救出。」
まだ言っている。
「そういえば、キララは暗殺者に連れ去られたらしい。」
知るか、ボケ。考える邪魔をするな。
「アルマは悲惨だよな。あの銀狼の牙に買われたらしい。」
うるさいなって、銀狼の牙?あの有名な?
それはお気の毒に。でも、永遠の命には憧れるかも。
「はっきりした情報はないが、あのヴァイオラは自力で逃走したとか。」
「何か言った?」
「なっ!貴重な情報を聞いてなかったのかよ!?」
何が貴重な情報よ。売った後のことなんて知らない。
逃がしたり、奪還された客が悪い。
僕にとって大事なことは奴隷を買い取ること。
どうしたものか。
ケルケーは話しても無駄と悟ったようで、酒場の様子を見ている。
結構なことだ。もっと早くに悟れ。
もう帰ろうかな。無駄なことはしないのが僕のモットー。
ハイウェイマンズギルドが潰れるなら居てもしょうがない。
でも、無理を言って、ここへ来た意味がなくなる。
何より大切な使命が1つあるし…。
困ったね。
「あれ?あの女…ジキル?」
ん?ケルケーが外を見ている?
「どうかしたの?」
「いや…あの女。奴隷商人に売られたはず。何でここに?」
「はぁ?」
何よ、それ。
ケルケーの視線の先に1組の男女がいた。
「あの男…。」
どこかで見たことがある。
「ふ〜ん。」
僕はカウンターに金を置いて席を立つ。
「お、おい!?」
呼び止めるケルケーを無視して、僕は歩き始めた。
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・
・
≪あとがき≫
ランスローです。
漢字や文章の間違いを訂正しました。
DPC様、誠にお手数をお掛けして、申し訳ありません。
「まったくね。反省して死になさい。」
いきなり出てきて、それかあああっ!
「やかましい。」
え〜ん。ロゼッタが虐めるよ。
「気持ち悪い。」
ドガッ!(何かが蹴られる音。)
うぐぅ。鬼か、お前は。
「黙れ。大体、書き直さなくても、幼稚な文は変わらないでしょ?」
悪かったな。なんか設定が色々変わってきたから、書き直したくて…。
「それが本音か。」
いやいやいやいや。本当に漢字や文章の間違いが多かったから!
皆様、いつも読んで頂き感謝です。
勝手に皆様のキャラクター(冒険者、その他)を使って
SSを作っていますが、苦情があれば、即座にDPC様に
お願いして削除を致します。
「言いたい事は終わった?」
うんって…ちょ、ちょっとまて!その手に持っているスコップは何だ!?
え、え、え、笑顔のまま近寄るなあぁっ!
ぎゃあああああああああっ!
ガン!ゴン!ボン!(硬い物で柔らかい物を連続で叩く音。)
「ふぅ、すっきりした。」
・・・・・。
(返事がない。ただの撲殺された死体のようだ。)
「ランスローの馬鹿が寝ているので代わりに。」
「これからも変なSSを書くと思いますが、よろしくお願いします。」
「では〜。」
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