ワイズナーSS「宴は終焉を迎え、主任と部下は後片付けで偏頭痛」 4月30日。午後10時ごろ。 ラヴィルとその部下・・・クライスは最後の片付けに1日中おわれていたが、 先ほどほぼ全ての整理がつき、ようやっと一息ついていた。 「・・・こんなところっすかね。」 「まあな。不要な書類の始末もおわったし、必要なものは適宜分けて外に出しておいたしな。」 「それでもここまでかかるかー。」 「ならず者連中が無茶し始めたからなあ・・・  大半の連中、逃げる気ねえみたいだし。」 「・・・みたいっすね。」 ハア。とため息をつくラヴィル。 実際、大半のならず者は死なばもろともとばかりに女冒険者たちの捕獲に躍起になっていた。 それを知ってかしらずか、クライスが声をかける。 「主任、この間の話だけど・・・俺さ、やっぱここに残るわ。  あんたみたいに一人で何とかできるほど実力ねえし、  かといって世間様歩けるご身分でもねえんでね。」 「・・・ま、それもひとつの”選択”っすからね。  自分で納得してるならどうこう言うことでも無いっしょ。」 「そういうあんたは・・・やっぱり、出て行くのか?」 「まあね。ここでやることはほとんど終えたし。後は最後の一仕事・・だけかな。」 「一仕事?」 「ボスへの連絡と例の王女様の処置。」 「ああ、なるほど。でもあんたが行く必要あるのか?」 「あんたに任せられるならそれでもいいんすけどね。  あんた、あそこまで降りた後で、クルルミクの包囲突破する自信ある?」 「無理。」 ドキッパリと言うクライス。その間、0.2秒。 「ま、そうっしょうね。  だから、俺があそこまで行って、その後は転移の魔法でトンズラ。」 「あれ?あそこって転移の魔法使えないんじゃねえのか?」 「あそこへ”向かう”のはね。あそこから”飛ぶ”分には問題なし。  既に実際やって確認ずみっすから。」 「なるほど。」 得心したという顔をするクライス。 その表情を見た後、ラヴィルは手元の懐中時計を確認する。 時刻はそろそろ午後11時を過ぎようとしていた。 「さって、そろそろ行くっすかね。んじゃ、後は頼むな。次期主任。」 「へいへい。りょーかい。」 そう言ってドアをくぐろうとした瞬間。 ラヴィルが後方に”何か”を放り投げた。 あわててそれをキャッチするクライス。 その手に落ちたのは、ラヴィルの懐中時計だった。 「それ、やるっすよ。これからの俺には無用のものっすからね。」 「ってちょっとあんた、これ、相当お高いんだろ?」 「まーね。」 「んなもん、ほいほい他人に渡すなよ・・・」 「いったっしょ?”無用”だって。余計なもの持ち歩く趣味、俺は無いっすから。  ここでのしがらみも、仲間意識も、ね。ま、早い話が、そいつは”手切れ金”だ。」 その言葉に息を呑むクライス。 掛けていた眼鏡を外し、ラヴィル・・・否、ラスティが目を細めて語りかける。 「・・・もし敵としてあったら、容赦はしないぜ。  ”敵は容赦なく潰す”・・・俺のやり方は知っているはずだ。  死にたくないなら、ちゃんと鍛錬はしといたほうがいい。  もっとも、こっちも怠ける気はないけど。」 その言葉には今まで、言葉のどこかに必ずあった、気楽さが抜けていた。 その語調に背筋が凍るのを感じつつも、クライスは返事を返す。 「ああ、できることならそうならないように努力したい所だがね。」 その言葉にラヴィルが口の端を吊り上げて笑う。 そして再び振り返り、ドアの向こうへ。 「じゃあな、クライス。」 「じゃあな、主任。俺も結構楽しかったぜ。」 そういうとラヴィルはドアを閉じ、”最後の仕事”をしに王家の聖櫃へと向かっていった。 ドアが閉じた後、しばらくクライスはぼけっとしていたが、 そんなことをしても何もなるわけでもないと思ったか、 「さって・・・そろそろ俺も逃げ支度打つか。」 そういうと傍らに用意しておいた重鎧を着込み始める。 もちろん、ラヴィル・・・ラスティからもらった懐中時計は懐にしまって。 数分後。 装備を一式着込み終えたクライスの前に、十数人のならず者が現れた。 彼とともに裏口から脱出する予定の者たちだ。 「クライスー。準備できたかー?」 「おう。いつでもいけるぞ。」 「あれ?ラヴィルさんは?」 「もう既にボスの方に向かってる。あっち済ませてから逃げるってさ。」 そういうとクライスは近くにあった書類を指差し、 「んじゃ、それ頼むな。それ運ぶ代わりに脱出、手伝うんだし。」 「あんたはもたねーのかよ。」 「俺は戦闘に集中せにゃならんから、持って歩けんのよ。  そのそも、重装備してる時点で、余計な体力使いたくない。  結構、重いんだから、これ。」 「まあ、しょうがねえか。」 やれやれと愚痴りつつ書類を各自持つならず者たち。 その様子に苦笑しつつ、自分の得物の戦槌を手に取る。 「んじゃ、いこうかね。俺たちが生き延びるための戦いに・・・さ。」 ラヴィっち最終性格。 「ま、こっちも仕事なんでね・・悪く思うなよ、お嬢ちゃん。」 ・名前 ラヴィル・フレイス(本名:ラスティ・アークレイ) ・性別 男 ・設定   人間の男。35歳(本人談。)全白髪。(過去にいろいろあったんでねとは本人談)  ”ラヴィル・フレイス”という名前はギルド内における偽名であり、  本名は”ラスティ・アークレイ”。  ただ、後々の面倒を避けるため、ギルドにいる間は”ラスティ" として振舞っている。  ハイウェイマンズギルドの経理担当であり、  同時にならず者たちの起こす面倒を抑える役目でもある。  彼自身、相応の実力を持つ魔法戦士(元冒険者)であり、  かつ仕事に対しては容赦や遠慮というものがないため、  仕事の邪魔をするもの対しては味方だろうと情のかけらもないほどに非情だが、  協力する人間には意外に優しい面を見せることも。  (彼に言わせればどっちも”無駄な手間を省いているだけ”らしいが。)  逆に言えば、仕事の邪魔をしなければ基本的に他人にはノータッチ。  他人が何しようが自分に迷惑かからなければ放置の人。  自分に迷惑がかかってくるととたんに容赦なしだが。  戦闘スタイルは右手に持ったミスリル銀の片手剣による斬撃を基本として、  そこに体術、魔法、トラップetc・・・まあ、いろいろなものを組み合わせて戦う。  だが基本的に”相手の得意な方法でそれを上回って勝つ”という信念の元に戦うため、  正々堂々と戦う相手には正々堂々と戦うし、  逆に策を弄してくる相手にはこちらも策を弄するというふうに、  相手によって戦い方が違ってくる。  ・性格 カオス(元はロウだったらしい。)  ・職業 魔法戦士 ・設定レベル  各種レベルともに不明。         ただ、8階のモンスターと戦えることから相当な強さを持つと思われる。 ・運勢レベル 14 ・オプション 正義(2) 向上(2)(以上、属性違いにて現在封印中。)        変装(2)   ・ダンジョン方針 堅実 で、今まで、”部下”としてラヴィっちと掛け合っていた人のデータもまとまったので乗っけてみる。 「まったく・・・あんたにぶっ倒れられるとこっちが困る。とっとと寝た寝た。」 ・名前 クライス ・性別 男 ・設定   人間の男。19歳(本人談。)ガタイのいい体育会系のお兄ちゃん(まあ、重戦士だし。)  ハイウェイマンズギルドの経理担当、ラヴィルの直属の部下であり、、  彼が信用(信頼はしていない)している人間の一人。  彼もまた元冒険者であったが、最初の冒険の際に謀略に巻き込まれてパーティーが離散し、  食いつなぐためにギルドに入った過去を持つ。  2,3年前、ちょっとした計算の速さをみたラヴィルに経理に引き抜かれ、  それ以降、彼の元で一緒に仕事をしながら経理技術を学んでいた。  (彼にしてみれば”覚えさせられた”・・・が正しいらしいが。)  今では彼一人でも通常時なら何とかやっていけるほどの経理技術を身につけた。  (ならず者たちが調子に乗るとさすがに二人いてもきついらしいが。)  発言に関しては直属の上司であるラヴィルに対してすら口調に遠慮がないが、  言うべきことをいう人間のため、ラヴィル的にはむしろ嫌悪していない。  (逆にそういうのを嫌う人間には疎まれているかも。)  ちなみに上司に似たのかそれとも素でそうなのか、  彼も性的なことに興味はなく、(忙しくてそれどころではないという説もある)  性奴の販売についても単純に仕事と割り切っている。     戦闘スタイルは重戦士らしく、  金属重装の防御力と両手で持った戦槌(ウォーハンマー)を利用した突貫型。  相手の中心に突っ込んでいき、一気になぎ払うやり方を得意とする。  また、その力を生かした格闘も得意。・・・というか明らかに上司の影響受けすぎているw  魔法タイプに対しては回避率の悪さからいささか分が悪いものの、   軽戦士、盗賊タイプには比較的相性がいいようではある。  ・・・当たりさえすれば。   ・性格 ニュートラル  ・職業 重戦士 ・設定レベル  各種レベルともに同じく不明。          ・運勢レベル 12 ・オプション 向上(4)雇用(2)選別(2)   ・ダンジョン方針 無難