4月2日某時刻。 いつもの定例報告を聞いていたラヴィルは気が重かった。 せっかく4まで上がったギルドランクが一気に1まで落ちたのである。 原因を挙げれば2つ。 まず、冒険者を3人捕獲したものの、 捕獲していた冒険者を6人奪還、奪取された。 まあ、この程度なら今までも何度かあったから落ち込むまでもないし、 その程度で一気に1までは下がらない。 捕獲した冒険者の名声や監禁していたやつらから奪ったものの評判で十分,相殺できる。 問題はもうひとつの方である。 そう、成敗したならず者の数の百の単位が変わった人間。 その数、1日で16人。 普通なら、1日5,6人といったところである以上、この数は異常であった。 天中殺か暗剣殺か。何より運が悪すぎるのは否めないだろう。 そんなわけで今思いっきりハイウェイマンズギルドは世間様よりなめられていたのであった。 だが、それより何より、ラヴィルの頭を悩ませているものがあった・・・ 「・・・顔に似合わんこと、やらんでください、ボス・・・」 ラヴィルは机の上にへたり込んだ。 まあ、確かにあの極悪人顔で 「ちょ、えええええー!?レベル1て!  たった一日で何だこの被害は!!泣くぞ!?ボス泣くぞッ!?」 といわれればたいていの人間は三歩下がって三十六計逃げるにしかずだろう。 「大丈夫かよ?主任・・・」 「駄目。」 「はやっ!ってあんたがいないと経理関係がボロボロになってしまうんだが・・・」 「あー・・・医務係から薬もらってきて。頭痛の。」 「あんたが行かなきゃ駄目じゃねえのか?」 「動きたくないっす・・・薬だけでだいじょぶなんで行ってきてっす。」 「めんどくせえな・・・」 「・・・この場でバラになるのとどっちがいいっすか?  ストレス晴らしゃ病状も違うし。」 持っていた愛用の片手剣の鯉口を切る。相当機嫌が悪いらしい。 切られちゃたまらんとばかり行動に移る部下。 「サッソクイカセテイタダキマス」 「はやくねー・・・ずきんずきんと痛いから。」 十数分後。 持ってきた薬を飲んでどうにか落ち着いたラヴィルは情報整理をしていた。 「とりあえず現在監禁者は4人・・・  つーか今日捕まえたのって全員前に一回捕まえてるじゃねえっすか。」 「あー・・・いや、確かにそうだな。」 「とりあえず玄室担当者の所見のほどは?」 「とりあえずウィルカって嬢ちゃんと「鋼の聖女」様の方はうまくやれば1日。  特に「鋼の聖女」様の方はランカーだからな。相当の人数が集まるはずだ。  人数の暴力の前には重厚な装備もはかない抵抗も無意味だからな。  ただ、このアルムって嬢ちゃんはしばらくかかるってよ。」 「ふむ。」 「・・・もうひとつ、聞くことあるんじゃねえのか?」 「例の人妻・・・・まだでしょ?」 「まあ、そうなんだが。そっからまたならず者と精力剤の請求、来てるぞ。」 「・・・はあ。」 こめかみを押さえる。これで何度目だったか。 彼女一人のためにどれだけ出費しているのだろう。 「ま、考えてもしょうがないっすね。ここまでくれば。毒も食らわば皿までっす。」 「そーなったか。」 「だって、ここで止めたらそれこそ無駄ッすしねえ。」 んーと伸びをしてまた書類とにらめっこ。 「後で連中の様子、見にいくっすか。」 「行ってなかったのかよ。」 「行ってもすることねえっすし。俺は女には興味ねえから。」 「・・・だったな。」 何で彼が女に興味がないのか・・・それは伏線にさせてくれ(おい)