「ちーッす。ラヴィルッす。失礼しても大丈夫ッすか?ボス。」
「・・ああ、入ってこい。」
その言葉に反応するように戸が開けられる。
「失礼しやっす。・・・例の8階に捕らえてあるエルフの人妻・・・・スピリアとか言ったっしたっけ?・・・あれ、ほんとに割り取れんすか?」
その言葉にギルドポは顔をしかめた。
「・・・どういう意味だ?」
「奴さんのせいで、腹上死してる連中が出てるようっす。・・・それに、連中の所の勢力増強剤を使う頻度がほかと比べて高すぎっす。・・・少なくとも某赤い奴以上に。」
「なんだ、そりゃ。」
「物の例えッす。それはともかく、このペースで浪費が続くと、とてつもなく金が掛かる羽目になるっす。・・・もしかしたら利益が出ないくらいに。」
ラヴィルの心配そうな言葉にギルドポがクククとわらう。
「はん、それくらい、今までの貯金でどうにかなんだろう?」
ハア、とため息をつくとラヴィルはギルドポの目の前の机をバンと叩いた。
「甘ッす!甘甘ッす!激甘ッす!蜂蜜かけたアンマン並みに・・・いやそんなもん、俺だって食いたく無いっすが!」
ハアハアと息を荒げていたのに気づいて息を整え、再びギルドポに詰め寄る。
「24267人・・・これが何の数字か,理解してるっすか?」
「・・・今までうちが捕らえた連中の数か?」
「違うッす!・・・今日まで報告を受けた時点での連中・・・・竜神の迷宮に集まってきた女冒険者どもに屠られたならず者の数っす。
 ・・・厳密に言うと3人分ほど資料不足で抜けてますし、傭兵連中の分は数えてないんでもっといるッす。まあ、それはともかく。
 わかってるっすか?24267人っすよ?にまん、よんせん、にひゃく、ろくじゅう、ななにん!そんだけ人数動員してるんすよ、
 うちは!・・・そいつらの食費だけでどんだけ掛かると思ってるんすか?
 まあ、そいつら全員一緒にいたわけじゃないから多少減らして・・・まあ、一度にいるのが仮に1万人くらいいるとしましょうっす。
 一人当たりの飯にかかる費用が・・・まあ、1日1000ゴールドとしてもっすよ?一日で食費だけで1000万ゴールドかかるんすよ?
 ・・・食費だけでそれだけ係るのに、罠の設置や新しいならず者の勧誘、性奴になった連中売り払うにも、金が掛かるッす。
 ・・・ちなみに幹部連中の給料は結構前から払ってませんから。わかってるっすか?今のうちらに余計な金使ってる余裕は無いっすよ!」
一気にまくし立てるラヴィル。その語調に言い返せないギルドポ。
「まあ、とりあえず。8階の連中、もし逃がすことがあったら生き残った総員で国境線の戦場に行ってもらうっす。もちろん装備なしで。」
あまりに酷い条件に、見かねたギルドポが口を開く。
「・・・それはあまりにひどくねえか?速攻で死ぬぞ?」
しかし、ラヴィルは気にせず、次の句を継ぐ。
「自業自得ッす。・・・言ったはずっすよ?うちに余計な金を払う余裕はないって。
 役に立たないなら、せめて”商品”としては役に立ってもらわないと。・・・いいっすね?ボス。」
・・・鬼気迫るラヴィルの表情にギルドポは、
「・・・一応、保留にしておけ」
と言うしかなかったとか。



(勝手に作った)キャラ設定
ラヴィル・フレイス
35歳、男。出身地は不明。ハイウェイマンズギルド経理担当。・・・というか何故かやっている。
”っす”と語尾につける口調上、一見軽そうに見えるが、仕事に関しては徹底的に冷酷。
必要と思えば大小を問わず、どんな手段でもとることをいとわないため、上下を問わず、怒らせないようにはしているとか。
(今回のように役に立たない部下を”商品”として売ることもしばしばとか。)
今回の件で思っていたより多くのならず者たちを動員する結果になり、その膨大な経費に影で頭を抱えているもよう。
元魔法戦士であったらしく、最盛期ほどではないが、それなりの実力はある。
風系を特に得意とし、得物の片手剣と合わせて敵を切り刻む。
性行為に全く興味が無いため、捕らえた女冒険者に対しても単なる”商品”候補としか見ていない。
とある女性の死を元にこういうふうになった・・・と本人が言っていたとは某氏の談。