【銀狼の牙】 by MURASAMA BLADE!
ハイウェイマンズギルドによって捕縛され、陵辱の果てに性奴となったアルマ。
性奴へと墜ちた彼女は、その後どんな結末を迎えたのか。
「500万!」
「600万!」
「800万だ!」
奴隷商人に連れられたアルマは、自分につけられた値が上がっていく様を、どこか他人事のように聞いていた。
ここは奴隷商人がオークションを行うためのステージ。周囲には魔法の光源を放つアイテムが過剰なくらいに光り輝き、アルマの肢体を余すところなく照らし出している。
アルマの身体は、オークションのために見目良く整えられていた。身体中にこびりついたならず者の精液は綺麗に洗われ、精液でドロドロになった着物はしっかりと修復されている。そして、奴隷商人はアルマをただ清楚に飾り立てるだけではなく、着物をちゃんと着付けてから、わざとはだけさせていた。そうすることで、着物に隠れた大きな胸や、ペニスを何十本と咥え込んで淫猥な香りを放つようになったヴァギナがあらわになり、清楚な中の乱れた美しさがより一層引き立つ。
「1000万っ!」
「1200万!」
「ええい、1500万っ!」
奴隷商人の作戦は見事に当たり、アルマにつけられた値段は徐々に上がっていく。
アルマの前にオークションが行われたヴァイオラには、1億3200万という億を超える高値がついており、それに比べればかなり低い伸びだ。しかし、それをアルマの所為というのは酷だろう。性奴の平均的な落札価格は300万なのだ。アルマが低いのではなくヴァイオラが常識破りに高いのである。
…もっとも、この後アリスという常識破りどころか神話崩壊と呼んでも差し支えないくらいの超上物が売りにだされ、その後の性奴の売却値の低迷でオークションの主催者達に悲鳴を上げさせる事となるのだが。
閑話休題。
すでに平均の5倍をマークしており、アルマの値段の伸びは決して悪くはない。
一番高い値をつけたのは、ぶくぶくと太った豚のような男だ。金にあかせて買ったであろう悪趣味なコートを着ている。
時折アルマの方を見ては下品な笑いを立てるその男は、しかしアルマにとってはどうでも良い存在だった。
「(どうせ私の人生ではないもの)」
もはや自分の人生は自分のものではないと、アルマは全てに無気力になっていた。その儚げな表情が値の吊りあがるひとつの要因になっているのだが、それを知ったところでアルマは本当にどうでもよかっただろう。
「1500万!他にいらっしゃいませんか!」
オークショニアがさらなるアップをと叫ぶが、より高い値段を叫ぶ声は現れない。
「では――」
声がないのでオークショニアが落札を告げようとしたとき――
「1800万」
オークションの流れを、そしてアルマの運命を変える、ひとつの小さな手が上がった。
ざわ…ざわ…。
会場内がそれまでとは違ったざわめきに包まれる。
そのざわめきにアルマは少し首を動かし…その原因が何であるかを知った。
「(子供…?)」
手をあげたのは、まだ幼い少年だった。白銀の髪が綺麗な、世の中の穢れなど全く知らないような年頃であろうその少年は、
――にやり。
「(見られた……っ?!)」
口元を歪め、アルマに向かって笑いかけた。
「(何…今のは…)」
少年に見つめられた瞬間、アルマは少年の瞳にドキリとし、わずかに身じろぎした。
心臓がとくとくと早鐘を打ち、頬が朱に染まるのが判る。
「(私、何してるの…今更…)」
散々陵辱されたのに、今更子供に見つめられた程度で頬を染めるなんて。
初心な生娘のような自分の反応に、アルマは自嘲した。
「…2000万!」
あの悪趣味なコートの豚が、怒りに任せて値を上げる。手に入れるつもりだった性奴を横からかっさらわれる気分なのだろう。オークションなので高い値をつけた方が落札するのは当然なのだが、その辺りを理解できていない辺り、見た目どおり豚並みのようだ。
「2800万」
しかし少年は、豚など眼中にないといわんばかりに普段通りのしぐさで、一気に値を吊り上げた。
「2800万!他にいらっしゃいませんか!」
少年の登場で少々ざわついたものの、値段が倍近くまで上がったことでオークショニアは満足げに叫ぶ。
「ではアルマは2800万で落札されました!」
オークショニアの言葉とともに、アルマのオークションは終了した。歓声が上がる中、顔中真っ赤にして怒る豚がいたがそれは放っておく。
「…………」
ステージに上がってくる少年を、アルマはじっと見つめていた。
「(この子が、私の…)」
少年はアルマの視線に気づき――
「よろしく、アルマ」
にっこりと微笑んだ。
「(…っ!)」
その純朴そうな微笑みに、アルマは何故か顔が真っ赤になるのを感じた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
アルマが少年に買われた翌日。
雇われ作業員たちが、オークション会場を掃除していた。
「えんやーこーらーどっこいしょーっと…ところで相棒」
「んー?」
歌いながら掃除をしていた男(A)の一人が、友人であろう男(B)に話しかける。
「昨日、着物のアマを落としたガキ、何でこんなところに入れたんだ?普通、ガキなんか入れねえだろ」
男Aの疑問はもっともだ。
しかし男Bは、肩をすくめて笑った。
「なんだ、知らねえのか?ありゃ見た目どおりのガキじゃねえぞ」
「へ?」
「『銀狼の牙』って、聞いたことねえか?」
男Bの言った単語に、男Aは記憶を探り…
「『銀狼の牙』…あのガキが?!」
驚いた。
「だから見た目どおりじゃねえってのさ。女を引き取りに行く途中でちらりと見たが、あんな目をできるやつはそうそういねえ。ガキならなおさらだ」
男Bはにやりと笑って言った。
「…あんな、人間を獲物としか思ってねえような、獣の目は」
まるで、余りに怖いものを見て笑いしか出なくなったかのように。
「人は見かけによらねえってやつか?」
「かな。…何にせよ、あの女もとんでもない奴に買われたもんだ。案外、あのガキと争ってた豚に買われてた方が幸せだったかもな」
男Bはそう言って話を締めくくった。
男Aはうなずきはしたが、どこか不自然な気がした。
気がしたが、どうでもいいことだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
とある屋敷の一室。
「っ…はぁ…あっ…」
クチュ…チュプッ…。
豪華なベッドの上で、水音をさせて淫らにあえぐ女の影。
「あ、ああぁーっ…!」
プシャアアアアッ…!
ヴァギナに指を抜き差ししながら、アルマは激しい絶頂と共に勢い良く潮を噴き出した。
「可愛いね、アルマ。次はアルマの可愛いそこに僕のを入れてくれるかい?」
自慰で達したアルマを満足そうに眺めながら、銀髪の少年は次なる命令を下した。
「は、はい…」
絶頂の余韻に浸りながら、アルマは少年の言葉に従う。
「(何、この感覚は…逃げなきゃ…でも、気持ちいいっ…)」
少年に命令されると、身体が熱くなった。命令どおりにすると、ならず者の陵辱では得られなかった充足感で胸が一杯になった。
こんなことはおかしいと、冒険者の勘がアルマに警告する。
しかし、すでに冒険者としての気概を失っていたアルマには、全身を包む幸福に抗うことはできなかった。
椅子に座っている少年に身体を寄せ、すでにそそり立っているペニスに手を添えてヴァギナへ導く。
ズズッ…。
濡れそぼったアルマのヴァギナが、ゆっくりと少年のペニスを飲み込んでいく。
「っ…っはぁ…」
腰を下ろしながら、アルマは苦しげなあえぎ声を漏らす。
「(何、これっ…太すぎて、入らないっ…)」
少年のペニスは、今までアルマを犯したどのならず者よりもはるかに太かった。ならず者に拡張されたヴァギナが、みちみちと裂けるように痛い。
「(痛みが…あ、あぁっ…気持ちいいっ…!?)」
ヴァギナが裂ける痛みに、アルマは感じていた。
「(おかしい…〈すごいっ…!〉…痛い、はずなのにっ…)」
痛みを快感と感じるなんて、どう考えてもおかしい。
そう考えるアルマの心すら、快楽に侵食されていく。
「(気持ちいいっ…〈だ、ダメっ…〉…もっと、もっとぉっ…!…〈だ…め…〉…もっと、欲しいのっ…!)」
疑問を覚える正気の自分を、快楽に流された虚ろな自分が染めていく。
ブチッ!…ズグゥッ!
「うぐあああああああっ?!」
ついにアルマのヴァギナの一部が裂けた。同時に、障害が消えたペニスが一気にアルマの胎内を貫く。
ツツーッ…。
裂けたヴァギナから血が流れる。
「あは、血が出てる。ねえアルマ、痛かった?」
少年はそれを見て面白そうにアルマに尋ねる。
しかし、アルマはそれに答えることはできなかった。
ビクッ、ビクッ…。
「あっ、ああっ…ああああっ…!」
アルマは、ヴァギナが裂けたショックと、少年の極太ペニスに一気に貫かれたショックで、がくがくと口から泡を吹きながら絶頂に悶えていた。
「アルマ、気持ちよすぎてイっちゃったの?」
少年が悪戯っぽい調子で尋ねると、
「は、はひぃ…もっとぉ、もっと欲しいれすぅ…」
アルマはろれつの回らない口調でねだった。
「じゃ、たくさんご馳走してあげるよ」
少年が、子供とは思えぬ光をその目に宿す。
あの男Bが、恐れおののいたあの目。
「はひぃっ…アルマに、たくさんくださひぃっ…」
しかし、快楽に溺れたアルマは、その目に気づくことはなかった。
ズチュッ!ズニュッ、ジュプッ!
「ひあっ!?はっ、ひぎぃっ!!」
少年がアルマの尻を抱き寄せ、腰を降り始めた。アルマのヴァギナを裂いたペニスがグチュグチュと淫らな水音を立てて上下運動を始める。そのたびにアルマの豊かな乳房は揺れ、裂けた部分から流れ出る血が周囲に飛び散る。
「気持ちいいのかい?君のいやらしいおっぱいが、僕の顔にたぷたぷ当たってるよw」
少年がアルマの胸に顔を寄せてそう言うと、アルマはがくがくと首を縦に振る。
「ひっ、あっ!はひっ、気持ちいいれす、気持ちいいれすぅっ!」
ジュボッ、ドポッ、グポォッ…!
少年の腰の運動は10分以上にもおよび、その間アルマは何度も絶頂を迎え、身も心もボロボロになっていった。
「ひ…はっ…ぁ、ぅ…」
少年にもたれかかるように身をゆだね、一突きされるごとに嵐に翻弄される小船のようにがくんがくんと身体が揺れる。
「…そろそろ頃合かな?」
少年はにやりと笑うと、突き込みの速度を速めた。
ジュポッ!ジュブッ!ズプゥッ!
ペニスの出入りが激しくなり、同時にアルマの身体も激しく揺れる。
「アルマ!イきそうだよ、アルマっ!キミも一緒にっ…!」
少年はアルマの名を叫びながらその身体を抱き寄せる。
「ひゃ、ひゃいぃっ…!」
アルマがうなずいた瞬間、
ズビュウウッ!
アルマの胎内に、少年の白い子種がブチ撒けられた。
「ひあああああああああああっ!!!」
子宮の中に灼熱の体液を注がれ、アルマは悲鳴を上げる。
痙攣するように身体を震わせ、必死に少年に抱きつき、子種が子宮に注がれるたびに弾ける快楽に耐えている。
絶頂の快感と、精を注がれる快感。
ドピュウウウッ!ビュルビュルビュルビュルビュルッ!
少年の射精は子供とは思えないほど連続で行われ、アルマの華奢な下腹部はみるみるうちに膨らんでいく。
そして、
「さあ、おいで。僕の可愛いアルマ」
ガッ――!
「?!」
2つの快感に身を委ねていたアルマの目が、驚愕に見開かれる。
蝋燭の光を受け、銀色に輝く牙。
少年の口元に生えた牙が、アルマの首筋に突き刺さっていた。
「(銀色の…牙…っ?!)」
その輝きを見て、アルマのわずかに残った理性は少年の正体に気がついた。
「(――ジルベルヴォルフ・シュトースツァーン!)」
――ジルベルヴォルフ・シュトースツァーン。
その名の通り『銀狼の牙』とも呼ばれるその少年は、見た目どおりの子供ではなかった。
…否。人間ですらなかった。
「シルバー伯爵」と名乗り、クルルミクに巣食う闇の貴族。
死を知らぬ怠惰の権化。
アンセスター・ヴァンパイア(吸血鬼の真祖)。
「ぎん、ろうの…きば、っ…」
アルマに残された理性は、しかし少年の正体を暴くのが精一杯だった。
噛まれた首筋から、全身を快感が襲う。
「あっ、あ、ああああっ…♪」
身体の自由が利かなくなり、全身が幸福に包まれ力を失っていく。
プシュッ…シュワアアアアアッ…。
少年との交合で緊張していた括約筋が弛緩し、膀胱に溜まった小水があふれ出す。
「(あ、っ…い、イぃっ…)」
アルマは幸福の中で、意識を失った。
「牙だけで僕の正体に気がつくなんて…やっぱり君は僕が見込んだ女性だよ、アルマ」
意識を失ったアルマを抱き寄せ、少年は嬉しそうに笑った。
その口元には、鮮血に濡れた銀色の牙が輝いていた。
アルマが看破した通り、少年は吸血鬼だった。
吸血鬼は死なない。
中でも真祖は、量産型とは違い太陽の光にも大蒜にも白木の杭にも十字架にも強い。
本当に『死なない』のだ。
死なないということは、永劫の時を過ごさねばならないということ。
だから少年は、その永劫を怠惰に過ごすと決めた。あくせくと働き、何かを企むなど、有限の時間を生きる人間に任せておけばいい。
時間を無駄に、怠惰に過ごすことは、自分にしかできないのだから。
少年はそうして怠惰に生きている。戯れに「シルバー卿」と伯爵号を名乗り、貴族のように振舞ってみたりもする。
しかし、時に彼も人恋しくなることがある。年若い姿の真祖は、その精神もまた年老いることなく、いつまでも少年の心を持っていた。
だが、人間では少年の時の流れに耐えられず、すぐに死んでしまう。
だから彼は、気に入った者の血を吸い、吸血鬼として手元に置く。
アルマもまた、そうして彼に選ばれた者だった。
――不幸にも、選ばれてしまった。
吸血鬼は死なない。
吸血鬼になるということは、永遠に死なないということ。
それは、『死ねない』ということでもある。
どんなに疲れ、朽ち果てても、死の安らぎが訪れることはないのである。
「ねえ、アルマ。知ってる?吸血鬼も子供が作れるんだよ?やってみようか?w」
「は、はひぃっ…子供、欲しいれすっ…あっ、あぁっ…また、イっちゃうぅっ…!」
永遠に続く苦しみの輪廻に囚われてしまったアルマ。
彼女に幸福が訪れることは、永遠にない。
彼女に訪れるのは――快楽という名の、偽りの幸福のみ。
――END.