【悪夢の終わり】



「うあ…う…。」

あたしは目を覚ました。身体がうまく動かない。

仕方ないか…昨日も朝から晩まで犯された。きっと今日も。いつものように。

龍神の迷宮で捕まって奴隷商人に売られた。

あたしに待っていたのは、終わりのない凌辱の宴。

調教された後に、昔捕まえてやった盗賊のボスに買われた。

陰険な奴で、ずっと復讐する機会を狙っていたらしい。

恨み事を言いながら散々あたしを犯した。

ボスの手下達にも犯された。口も胸も尻も秘部も…犯されてない所はない。

悔しい。だけど…逆らう力はなかった。

身体も心もボロボロ。剣を持つ力も気力もない。

教えられた性に関するスキルだけが上がっていく。



「うく…はぁ…はぁ…。」

這って器に入っている水を飲む。ぬるくて不味い水。まるであいつらの精液みたい。

ワイズマンの討伐はどうなったかな…。終わったかな?今も続いているかな?

ここに連れてこられてから長い月日が経っている。

どれだけ経っているかは分からない。

そもそも、ここがあいつらのアジトだけってことで、どこの国とかも分からない。

まぁいっか。きっともう…ここから一生出れないと思うし。

石床が冷たくて気持ちが良い。裸だから尚のこと冷たく感じる。

奴隷商人に売られてから服なんて着てない。せめて下着だけでも欲しいな。



「ひひ。犯して!犯してよ〜!」

隣の部屋から、あたしと同じ性奴隷の声が聞こえる。

あたしより後から連れてこられた子。

盗賊達の激しい凌辱と絶望的な状況に心が耐え切れず発狂した。

どちらが幸せなのかな…。

正気を保ったまま苦しむ日々と、発狂して何も感じない日々。

あたしも…あの子の様になりたい…。

激しい凌辱でも、絶望的な状況でも、快楽に呑みこまれても

心が完全に壊れることはなかった。

いつかは壊れるかな?何も感じなくて済むように…。



コツコツコツ。

足音が聞こえる。お迎えかな。

「よう、アリスちゃん。お目覚めかな?」

不細工な顔に笑みを浮かべて盗賊が言った。

1人じゃ何も出来ないくせに、相手が弱いと強気な態度になる。

あたしのもっとも嫌いなタイプ。

盗賊やならず者に、この手のタイプの男が多い。

だけど…昔のあたしは?こいつらと同じじゃない?

自分の力に溺れて、気に食わない奴らは力で捻じ伏せていた。

馬鹿にした態度をとっていた。

これって因果応報っていうのかな。



「逃げなかったな。あきらめたのか?」

そう…最初の頃は何度も脱走を試みた。でも、無理だった。

この地下牢では見張りを人質にして逃げようとした。盗賊のボスは笑って人質を殺した。




犯されている時に振りほどいて逃げた事もある。

でも、100人近くも手下がいて途中で捕まった。

ここから逃げる事は…出来ない。

捕まった後は拷問を受けた。

あの痛みの恐怖が、あたしから逃げる意志を奪った。



「ほら、今日もたっぷりと可愛がってやるぞ。」

うまく動けないあたしを肩に担いで、盗賊は地下牢から出て行く。

ふと思った。あの子はどうなったかな?

一緒に奴隷商人に売られた…あの子は。確か名前はガネッタだったと思う。

あたしと同じか、良い人に買われて幸せになってるかな?

あはは…売られて幸せになれないよね。

他にも売られた子が沢山いたはず。



「アリスちゃんが来るのを皆待ってるぞ。」

あたしの尻を撫でながら盗賊は卑しく言った。

今日も犯される。大勢に。何回も何時間も。

好きでもない者に犯されるのは、何度犯されても嫌悪感は変わらない。

身体は快楽に呑まれても、心が拒絶する。

心が拒絶しなくなったら…何も感じなくなったら…あたしはあたしじゃなくなる。

いつか必ずくる。その日が。

それが…私という人格が死ぬ時。



「遅いぞ!それと地下牢から、もっと奴隷共を連れて来い!」

既に宴は始まっていた。何十人も居る盗賊達が、他の子達に群がっていた。

あたしもその中に放りこまれて犯される。

口に汚いペニスを咥えさせられ、手でペニスを扱かされ、秘部とアナルをペニスで貫かれた。

「この女、良いよな。犯せば犯すほど、艶が出るぜ。」

「まったくだ。性奴隷としての才能があるんじゃねぇか?」

好き勝手な事を言いながら、盗賊達は猛然とあたしを犯した。

「あん!やめ…ひあぁっ!あん!あぁああっ!」

毎日犯されて体力が低下しているあたしは、為すがままに犯された。

意識が薄くなる。嫌悪感はあっても身体が犯される事に馴れてしまった。

敏感に反応して身悶えする。

その反応が盗賊達の欲望に、さらなる火をつけて、あたしは益々激しく犯された。

いつも以上に…。

ああ…今日が…あたしの…死ぬ…日…なの…か…も…。

意識が暗闇の中に沈んだ。



「うわぁっ!敵襲だ!応戦を…ぎゃああああっ!」

な…に…?

暗闇から意識が戻る。

悲鳴・怒号・金属のぶつかり合う音・肉を断ち切る音が聞こえる。

「ば、馬鹿野郎共!相手はたったの3人だぞ!う、うわぁっ!」

盗賊のボスが焦った声で叫んでいる。

どうやら戦況は、盗賊達がかなり不利らしい。

様子をみたいけど、身体がぴくりとも動かない。目も開けられない。

口から声がまともにでない。唯一耳だけが聞こえる。

「裏口からも襲撃が…うがぁっ!」

鼻に精液の匂いに混じって血の匂いがした。

盗賊達を襲撃しているのは一体誰だろう?あたしは助かるのかな?

フィルだったりして…あはは…それはないよね。

あんまり強くなかったし、黒騎士団の任務が忙しいはずだから。

それに…忘れてるよね。あたしのこと。

「フィル!先走るな!」

え…?いま…なんて…?

「分かっている!」

この…声…!そんな…まさか…!?

「嘘つけ!作戦無視してるじゃねぇか!」

「2人とも!こんな状況で喧嘩しないで!」

「す、すみません!ユリーさん!」

「アリス!どこだ!アリス!無事か!アリス!」

「だから先走るなよ!フィル!あ〜あ、しょうがねぇな!」

フィル…フィルが助けに来てくれた。

見えない目から涙が止まらない。口から嗚咽が止まらない。

困ったな、どうしよう。こんな恥ずかしくて情けない姿を見て欲しくない。

動かない身体がもどかしい。

ああ…駄目…意識が…。ひょっとして…これって…夢なの…かな?
だったら酷い…夢だよ…ね。でも…夢じゃないなら…目が覚めた時に…。



「うあ…う…。」

あたしは目を覚ました。身体がうまく動かない。

やっぱり夢だよね…。

あ…!違う…夢じゃなかった。

手当てされた状態で、あたしは清潔なベッドに寝かされていた。

隣には眠っているフィルが居た。

うまく動かない手で、フィルの頬に触れる。

ちょっと背が伸びたかな?しばらく見ないうちに立派になったね。

涙が溢れてくる。止まらない…止めたくない。

いっぱい話したいことがある。いっぱい聞きたいことがある。

目を覚ましたフィルに、あたしは微笑んで言った。

「おはよう。」



続く?