酒場『ドワーフの酒蔵亭』



裏にある空き地

 そこで1人の人間と1人の半亜人と1頭の亜人がいた。
 人間は剣の稽古かロングソードを素振りし、亜人と半亜人はその様子を眺めていた。

フリーデリケ:うっひゃ〜〜〜〜〜〜〜!!? ネコミミ可愛い、ネコミミ可愛い!!!!!(抱きっ!)
タン:うぅぅ、、、ネコミミ、違うよ。
フェリル:………ちゃんと稽古見てよ〜 フリーデリケさん〜

 ……やっぱ、あんま眺めてないかも。

 今日は人間としてはアレだが傭兵としては一流なフリーデリケが、フェリルに『特訓をつけて欲しい』と言われた事から始まる。
 フリーデリケがフェリルにかした特訓は一つ『素振り6千回やってみて〜 私はここで見てますのでので〜』だった。
 始めのうちは素振りを真剣に見ていたフリーデリケだが、100回越えたあたりで飽きてきたのか、
 店にいったん戻りタンを連れてきて、むちゃむちゃ撫で回したり抱きついたりして今に至る。

フリーデリケ:タンちゃん、知ってるですか知ってるですか? 
         猫とか犬とかの動物で鼻を触る以外でとぉ〜ても嫌がる行動は?
タン:ん……… 尻尾引っ張る?
フリーデリケ:ブー! ハぁーズレぇーーー! 闇の罰ゲェェーム!!
タン:えっ、そんな―――フヒャァッ!?!?

 フリーデリケがタンの狼耳に息を吹きつけると同時に、ジタバタとタンは激しくもがく。
 だが、フリーデリケに肩をがっしりつかまれ脱出不能。

フリーデリケ:あはははははははははははははははははは!  ここかっ? ここがええのんか!?
タン:ら、らめぇっ! あ゛み゛ゃあ〜〜〜っ
フェリル:え〜〜〜っと、、、、 フリーデリケさんいい加減止めませんか?
フリーデリケ:……はっ。
 
 素振りをしていたフェリルがあまりの状況に見るに見かねた止めにはいる。
 フリーデリケも、憑き物が落ちたように行動を止める。

フリーデリケ:ついムラッとなってやった、今は反省している。
フェリル:……意味が分かりません。ってかタンちゃん大丈夫かーい?

 ちょっとフラフラっとして目の焦点が妙になったタンの頬をぺちぺち叩く。

タン:うぅ…… 意識と体が剥離していくような、フワフワとした感覚が
フェリル:あー……… なんかとてもとても危ないところだった?
フリーデリケ:あはは、ゴメンゴメン〜 あと良い子のみんなは真似しないようにね!
         ……っとまぁ〜 そんなワケできりもいいしそろそろおやつにしましょうか〜

 フフフン♪っと鼻歌交じりで、そばに置いてあったバスケットからなにやら
 手のひらサイズで白くてモチモチしたものと水筒を取り出す。

タン:ん、これは………
フェリル:見たことないね?
フリーデリケ:んっふっふ〜 この前二人が東方の料理作ってたから
        私も久しぶりに作ったのですよ〜 イチゴ大福。
フェリル:イチゴダイフク…… 東方の料理なんだ、これ?
タン:大福は知識あるけど、イチゴ大福、知らない

 恐る恐る(見知らぬものというのと、さっきのこともありきで)タンは食べる。

タン:……ん、んん! とっても美味しい
フリーデリケ:でしょー? 甘味と酸味のシンメトリカルドッキングがポイントなんですよ〜!
        あっ、水筒に入ってるお茶も東方のやつなんで飲んでみてみて〜
フェリル:むっ、フリーデリケさん、私も食べたい食べたい!!

 さり気に自分には渡されなかったフェリルが、とっても美味しそうに食べるタンの様子を見て猛アピール。

フリーデリケ:ん、素振り六千回終わったのですか?
フェリル:うん〜 やっとこさ終わったよ〜
フリーデリケ:ほーぉ 早いですね〜 んじゃ追加で四千追加。キリ良く一万までってことで
フェリル:鬼かアンタ! っていうか素振りなんて一人でも出来る事じゃなくて、
      もっと稽古っぽいことして欲しいんだけど。
フリーデリケ:ん〜? 素振り6千回+4千回は最強の傭兵になる順路と傭兵の間でもっぱらの噂なんだが…… 
        ってか稽古っぽい…… じゃあ模擬戦とかしてみる?
フェリル:あ、そうそう〜 そういうのお願いできますか?
フリーデリケ:ふむ………
         じゃ、あんま経験なさそうな『傭兵』っぽい戦い方でお相手しますですかね〜


「さてさて〜 ほいじゃ準備オッケ〜?」
 フリーデリケは大きく伸びをしたり屈伸したりしている。だが武器などは何も持たず、徒手空拳。
「あの、フリーデリケさんは武器は要らないの? 模造刀じゃないから危ないと思うんだけど」
「ん〜? 素振り6千回してフラってるだろうし、ハンデハンデ〜」
 ケラケラといつもの感じでフリーデリケが笑う。
「ってかそれだけでもあれね〜……… 両手を使わないでやるよ、どうだ?」
「むっ……」
 あまりのハンデとそしてケラケラ笑いに馬鹿にされてるようで、フェリルはちょっとイラっとする。
「………確かに素振りしたあとで疲れてるけど、逆にそのせいで寸止め効かずに斬っちゃうかもよ?」
「あはは、たった1匹のアリが竜に勝てると思ったか? ちなみに例えに竜出したのはここが竜の国だからから〜」
「なっ……」
 フェリルは大分イライラする。だが、今までの1年間の経験から彼女は冷静だった。
「(ん、でもフリーデリケさんって猪突猛進っぽいイメージがあったけど…… 安い挑発で隙を作ろうという作戦かな?)」
「じゃそろそろ始めましょうか〜 ………あ、その前にタンちゃんちょっとお茶頂戴〜」
「ん」
 テクテクとタンが水筒持ってくる。
 そしてそれを受け取るフリーデリケ。
「………口移しでよかったのになー」
 頬を膨らませむくれるフリーデリケ。年を考えろ。
「……嫌だよ」
 露骨に嫌な顔をして一歩下がるタン。さっきのことが大分トラウマになったらしい。
「ちぇー。まぁタンちゃんありがと――――
 
 っね!!!
「っ!?」
 口に運ぼうとしていた水筒を、突然フェリルの方に投げつける。
 すんでのところでそれを避けるが、それを追うようにフリーデリケはフェリルに突っ込んできた。
「(意外とせこい手段でっ!)」
 突っ込んで、すんでの所にきたフリーデリケに、フェリルは剣で突きを放つ。

 だがコレはフェイント

 打点をずらせば避け易いコレで体制を崩させ、本命はその勢いを生かして薙ぐ2激目。
 例えその2激目も避けられたとしても、距離ができるため最初の不意打ちはチャラになる。

 そう思ってた。

「えっ」


 ぐずり


 肉を突き刺した時の感覚。
 そして血ぃ

 フェイントで放った突きの一撃は、フリーデリケのわき腹を突撃の勢いをそのまま生かしてぐずりぐずりと肉を貫いていく。
 そして勢いはまったく止まらずフェリルの目の前まで迫り、巻き混む感じで二人は倒れる。
「うあっ! ―――あぁっ!?」
 倒れこんだ勢いでさらに剣は深く深く刺さる。
「フリーデリケさんだいじょ―――ぐっ!?」
 慌てて剣を放し、フリーデリケに声をかけたフェリルの首が絞められる。目前のフリーデリケに。
「だ、大丈夫、ふたりと―――」
 背後にいたため、首を絞めてる所が見えず、剣がわき腹から貫いてるとしか見えないタンが心配して駆け寄―――

















あははははっははははははははははハはははははははははッはははははははははははははーはははははははははははははははははははははははははははははははははははははァはははははははははははははははハはははははっははははははははははははははははははハはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははハハはははははははははははははははははははハハははははははははははははははははははははははハははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははハはははははははははははははははははははははははははははははハははははははははははッーーーーーー!!!!!!!!!!


 笑い。楽しそうに。

「んふっ? うふふふふフふふフフふダメヨダメヨ、タンちゃんタンちゃん? 近く寄ると一緒にころころ殺しちゃうですよ?」
「!」
 ニタリと笑いながら後ろを少し振り向くフリーデリケ。
 異様な表情。
 そして首を絞めているところが見えた。
「なっ、なんでこんな…… 剣だって避けずに……」
 馬乗りに倒され、首も締められているフェリルだが、
 フリーデリケの傷も剣はガード(根元)まで刺さり、場所も完全に内臓をやっている位置だ。
「あぁ〜? んふふふ? ナニいってるのですかぁ、避けたら剣はそのまま振るえるじゃないですか?」
「……え?」
「剣がここまで刺さっていれば、もう振ることなんて出来ないじゃない? うふふふフふふふふふふふふふ」
 得意げに不気味に笑うフリーデリケ。
「だからといってそんな―――」
「それに刺さった剣をそのまま肉骨筋ごと振り切れる力がアナタにはないですしね。」
 確かに、そうだが………
「(だからといって、こんな、こんな!?)」
 混乱する、混乱する。このエルフ女性はなんで自分を殺そうとしているのか? こんな傷を負ってまで。
「あっ………・・・あっ」
 後ろにいるタンも見ていることしか出来ずにいた。あんな、どこでも見たことのない笑い方が怖くて。
 
 そんな異常な空間に割るものが、来た。

 酒場の裏口から、空き地に入ってきた女性。
「ん〜? …………何このカオスっぷりは」
 その女性は鳶色のストレートロングヘアにやや色素の薄い肌、服装は白系統のスリット入りロングコート。
 身長175cm、スリーサイズは上から87、53、85とモデル並みのスタイル。
 顔はキレイ系とカワイイ系の間でヤヤキレイ寄り、特徴として左の瞳が紫でさらにその瞳は十字が刻まれている。
 まぁ、一般的には『災害(カラミティ)』と呼ばれるミラルドであった。
「あ、あの! 二人、助けて!」
 タンが必死でミラルドに助けを求める。
「ん、そうね………」
 スタスタと倒れこんでる二人に歩みを進め
 ていたが、途中で止まりそこに置いてあったイチゴ大福を手に取り、
「ん〜 酸味と甘味のバランスが最高ね」
 食べた。それだけ。
「お茶はないのかしら…… あ、あそこに水筒転がってるけど―――なんかこぼれちゃって空みた」
「ミラルドさん! そんなことしている場合じゃない!!」
 普段おとなしいタンが怒鳴った。
 ミラルドはそんな様子をつまらなそうに見る。
「自分で何とかしてみれば? 意外とどうにかなるかもよ?」
「! ……そんな」
「っていうか私じゃアレどうにかするなんて無理だし。知ってる? あのエルフみたいな者の正体」
「正体って」
「『戦乙女憑き』ですよ、あーエンガチョエンガチョ。」
 戦乙女(ヴァルキリー)戦の神の使徒にして、戦死者を選ぶ者。
「エルフなのにあの怪力、そして精霊魔法が使えないっておかしい話じゃない? 
 それもこれも戦乙女様が精霊を追い返し、自分だけの力を注ぎやすい依代(よりしろ)にしてるからよ。
 ただそれには弊害があってね。いざ戦いの時は驚異的に強いけど、その反動で誰かを殺すまで狂戦士(バサーカー)になるの。
 高位エルフの隠れ里で苛められて出てきたなんてことも嘘〜。自分で故郷のエルフ皆殺しにしちゃったのよ、怖い怖い。
 クルルミクのある豪傑貴族が保護するまでそりゃそりゃ荒んだ生活だったらしいわよ?
 ちなみに私がかかわったトラブルにおける死者はトラブルの被害者総数の0.01%以下なんだけど、
 その端数分はすべてアレがやったの」
 普段しないような、慌てた早口でズラッと説明した後、クイッとあごでフリーデリケを指す。
「だから嫌いなのよ、アレのことが」
 すべてを聞いて、タン―――そしてフェリルはその話を信じ、
 絶望した。


「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ、バイバイ。ふぇりるチャン」


 みしり  と 首 の 骨 が 鳴って
































うううっ……































フリーデリケ:嘘プゥゥゥっーーー!!!
フェリル:…………は?
タン:………え?
ミラルド:(むしゃむしゃ←イチゴ大福二個目)

 そうフリーデリケは叫び、色んな意味で場の空気を壊し、フェリルの首にかけてた手も放してノソノソと酒場の裏口の方に這って行く。

フリーデリケ:ううう……… いたいよぉ… ミューイ先生出番でふぅ〜〜〜

 コンコンッ、っと裏口の扉を2回叩く。

ミューイ:はーい…… うわっ!? 思ったより血まみれじゃないですか!!
フリーデリケ:うふふふ、本格派の演技にこだわってますからっ! 
        ………とりあえず剣抜いて、あと精神力強化みたいなエンチャント魔法を
ミューイ:はいっ! (ずぶりゅん!  むにゃむにゃ〜〜〜 ぴかーーー!!)

 フリーデリケに強化魔法がかかる。

フリーデリケ:あったけぇ・・・ オラの身体がどんどんアツくなってきたぞ!
ミラルド:遊んでないで早く回復魔法かけないと、後遺症残るか死ぬわよ?(むしゃむしゃ←イチゴ大福三個目)
フリーデリケ:おうさ! 『か・い・ふ・く・ま・フォォォォォォォォ!!!』(ぴか〜〜〜〜〜)

 傷が埋まっていきりパッと見治る。

フリーデリケ:ふ〜……… これで2〜3日安静にしてれば平気かな――――
フェリル:フリーデリケさんのバカァァァァァァァァァーーー!!!!!
タン:ばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!
フリーデリケ:えっ? ちょ――!?

 フェリルとタンが少し半泣きで怒りながらポカポカとフリーデリケ殴り始めた。

フェリル:なんでこんなたちの悪い嘘つくんですかっ!! 私、私・・・!
タン:タンはぁ…… タンは!!!!
フリーデリケ:ちょっ!? だから私まだ怪我人!?
フェリル:知りません!!
タン:知らない!!
フリーデリケ:だからっ、ちょっ!? 修行じゃないですかコレ!!

 ポカポカが堪らず、ミューイの背後に逃げるフリーデリケ。

フェリル:コレのどこが修行なんですか!!
タン:騙しただけ!!
フリーデリケ:うん、そうですねぇ。騙されたのが修行ですね。
フェリル:………はい?
タン:……?
フリーデリケ:ちゃんと説明するとですね。
        ………まぁ最初に素振り見てて気づいたんですけど、剣筋について得に教えることないなぁ、っと
        才能も私よりあるだろうし、人の動きを見る力もあるそうですしね。
        ただ、剣がまだ経験不足からかちょっと正直すぎるんですよ。
フェリル:………正直?
フリーデリケ:うん、フェイントにしろ『これはフェイントですよー』って感じなの。嘘っぽくないっていうのかな?
        ………まぁ、確かにあの時の動きだと普通は避けるしかないですよね。
        じゃあ普通の行動をしなかったらどうする?
タン:……普通じゃない行動でも、わざわざ刺さる以外にも行動ある、ハズ
フリーデリケ:そうね〜 でもそれって普通でなくてもある程度その後の行動考えつきますね? 
        例えば真剣白刃取りとかとかされたら?
フェリル:ん、足で蹴り、かな。
フリーデリケ:うん、そうだね。フェリルさんは旅に出て一年程度にしては冷静なところがあるから、すぐ判断つくよね。
        だからあーいう行動を取った。
フェリル:だ、だけど!! あんな怪我する方法!!
タン:死んじゃう、可能性ある。
フリーデリケ:ん〜 まぁ素振りしたあとで実際そこまで体力ないと思ってたし、タンちゃん連れてきたフリして
        ミラルドちゃんとミューイにゃんにいざという時の為に待機してもらってたし。
ミラルド:イチゴ大福と1週間スイーツ券に買収されてみました(むしゃむしゃ←イチゴ大福三個目)
ミューイ:ミラルドはフリーデリケさんの嘘を補強されるようなお話しするのも頼まれたんですけどね。
ミラルド:そうね〜 明らかに嘘話で荒が目立ったからちょっと早口で誤魔化したけど。
フリーデリケ:『戦乙女憑き』ってなにさ!? みたいな〜

 くくく…… っと災害と老婆は邪悪に笑う。

フリーデリケ:それにさ、『刺さった剣をそのまま肉骨筋ごと振り切れる力がアナタにはないですしね』って台詞を私言ったけど、
        妙でしょう? 今の冷静なあなたなら―――あなた達なら分かりますね?
フェリル:………うん
タン:………振り切れるし、振り切る必要も無い。

 剣が腹から一直線に背中に抜けているんだ。背骨を点にしててこの原理で振り切れるし、
 そんなことしなくても左右に激しく動かすだけで内臓に致命的なダメージを与えられる。
 致命的なダメージさえ与えれば、振り払うことも出来るし振り払ったあとでタンは賢者なのだから死ぬ前に回復も出来る。

フリーデリケ:ね? 騙されてみて分かったですか、二人とも?
フェリル:………冷静さは重要ってことかな。
タン:………うん、でも
フェリル:こーいうことは、やっぱり納得いかないよ!! 騙したり騙されたり!!
フリーデリケ:そうだね、酷い事だと思う。でもそんな酷いことされて、
        平常心欠いたせいで、ズタボロにやられちゃったらもっと酷いですよね?
フェリル:………でもっ
フリーデリケ:確かに言葉でも説明は出来る。だけど実際にやられてみなきゃ、こういうことって身につかないのよ。
        トラウマになるくらいの経験ってやつですかね。

 少し遠い目を、懐かしいものを見るような目をする高位エルフ。

フリーデリケ:さて。修行の最後に、もう一言二人に言いますね。
フェリル:………
タン:………なに?

フリーデリケ:……騙して、ゴメンナサイ。














その夜の
酒場『ドワーフの酒蔵亭』

 ミラルドはさっそく1週間スイーツ券を使って、アップルパイ作ってもらい食べていた。
 ミューイも隣でミラルドのおすそ分けを美味しそうに食べている。

ミラルド:あのエルフの皮被ったジャイアントスラッグも、馬鹿なのにスイーツだけは美味しく作るのよね
ミューイ:そんな酷いこと言ったら駄目だと思います、怪我全然治ってないのに無理して作ってくれたのに。

 フリーデリケはアップルパイを作った後、
 回復魔法で治りきらなかった体力不足やら何やらですぐに寝込んでしまった。

ミラルド:あんなの自業自得じゃない。あー言うこと教えるにしても、もっと頭のいい方法あるわよ。
ミューイ:まぁ、確かに……… 実に体力勝負なやり方でしたね…… 
      でもでも、私びっくりしました。ミラルドがあんなに嘘上手いなんて!
ミラルド:あー あれねー。いくつもトラブル巻き込まれてればあのくらいのお話パッと作れるわよ。

 元ネタが豊富だからねっ、とニヤリと笑って付け加える。
 だが笑った顔をすぐに冷たい表情に戻してもう一言付け加える。

ミラルド:ちなみに本当っぽい嘘のつき方って、たくさんの嘘の中に一つだけ真実を入れることなのよ。
ミューイ:え?
ミラルド………とかねー











 何百年前
 どこか

 少女が一人悲しくて泣いていた。
 騙されたことが悲しくて。
 みんな死んでしまったことが悲しくて。
 一人ぼっちが悲しくて。 






 そして少女は悲しぎて死のうと思った。









続かない。