マジェステックアサルト シルヴィアSS

蘇る翼(泡沫第2章)


by MORIGUMA

「ん、んう・・、んぶっ、んんう、んっ、」
悩ましい声と共に、黒髪が揺れる。
ベンのたくましいペニスをほおばり、大胆に喉深く飲み込み、舌先で陰嚢をくすぐる。
「おおっ、すげえ・・。」
びくびくするペニスが、喉の奥に当たるが、そんな刺激は、あのときに比べればたいしたことはない。



『このへたくそが!、そんなことで俺らが満足できると思ってんのかよ。』
『すみません、すみません、もうしわけございません。』
これが、あのシルヴィアだと、誰が想像できただろうか。
“馬殺し”と呼ばれる凶悪な媚薬を入れられ、正気を失ってしまった彼女は、命じられるままに、怯えた獣のように服従した。
快楽以外のものが考えられなくなり、生殖への渇望が狂乱に等しく湧き起こってくる。

次々と咥えさせられる男根、
よだれを絡ませ、飢えたようにそれをしゃぶり上げ、
細く強靭な指で、しごき続ける。
強烈な薬の興奮で、瞳孔がすぼまりきっていた。



しなやかな裸身が開き、大柄な肉体が、ベンに跨る。
濃い茂みが割れ、赤く息づく秘肉に、黒光りする男根がクチュリとはまり、突き進んだ。
「くっ・・、おっき・・っ!、ううっ!」
カリの張った男根が、シルヴィアのくびれをこすり、絡みつく襞をこすり上げる。
「おお、ん、いいぜ、いつもいい感じだ、うっ、」
濡れた秘肉は、甘く分身を包み込み、そのくせ猛々しいばかりに締め上げてくる。この感触がたまらず、通う男が多い。



跨らされた男が、激しくいきり立ち、律動する快楽が、脳天まで突き上げてくる。
濃い茂みをかき分けるように突き上げ、強烈に締め上げる中を、くねり上がる。

後ろから、のめりこむ物が、身体を引き裂かんばかりに押し込んでくる。
うめくシルヴィアを、面白がるように、勢いをつけて身体をぶつけ、アヌスを犯していく。

「うっ!、ううっ!、かはっ!、あっ!、おおっ!、んぶっ!、」
「おらおら、口を休ませんじゃねえ!、」
薄い肉を挟み、凌辱されていく感触が、びりびりと内側を犯し、広げていく。
男の経験が薄かった身体が、急速に馴れ、なじんでいく。
「んうううっ!!」
うめきと共に、下腹いっぱいに押し込まれ、射精される感触が、渇望を満たされる悦楽となって、脳に快感を刷り込んでいく。



「あっ!、ああっ!、すごっ!、いっ!、くっ!、ふっ!、ううっ!」
下から逆襲に転じたベンが、猛烈に突き上げ、身体が浮き上る。
身体に喰らいつかんばかりの、たくましい猛獣のような感触が、シルヴィアの何かを埋め、慰めてくれているような気がしてならない。

激しく跳ね上がる体が、美しく、淫らにうねり、のけぞる。
華麗に盛り上がった乳房が、動きに敏感に反応し、跳ね上がる。
その先端をつままれ、声を上げてよがっていた。

猛烈な快感の波が、心を噛み続ける痛みを、ほんの少し打ち消す。
「はあっ!、はあっ!、ベンッ!、ベンッ!、いいっ!、いいのおっ!、きてえっ!、」
のけぞる美しい身体に、猛り狂う欲望が、咆哮を上げた。
「あっ!、いっ!、いくっ!、いくっ!、いくうううううううううっ!!」
どびゅうううううううっ、どびゅううううううっ、どびゅううううっ、
熱く強烈なほとばしりが、子宮口を直撃し、中めがけて流れ込んでいく。
長い脚を、強く絡め、ほとばしる物を受け入れ、その感触に全てをゆだねきっていく。
のけぞり、喘ぐ身体が、後ろに倒れていく。
白いシーツに、長い黒髪が広がり、眼に妖しいばかりの美麗な光景が広がる。



「ああ!、ふう!、あふっ!、あああっ!」
仰向けの形で、上下から男が押し入ってくる。
肉付きのよい身体を、何度もてあそんでも飽きないかのように、繰り返し嬲り、貪っていく。
もう、何十人に輪姦されたのかも分からない、
赤く腫れた粘膜は、鈍く、痛みすらあるのに、SEXへの渇望だけは、止まらない。
胸に挟み、前後に受け入れ、全身がドロドロになっても、まだ、淫らに声を上げ、男を受け入れていく。

「おい、女騎士さんよ、もう薬も切れてんだろ。」
「え・・?」
瞳孔のすぼまりは取れ、ごく普通の目が、その声を見た。
「4、5人前から、違うと思ったんだなあ。」
「けへへ、本性が出ちまったんだろ。」

その声も、シルヴィアの意識に、何も残さなかった。
刷り込まれた渇望は、ただ、身体を乱れさせ、汚れきった身体は、突き上げる男に正直に応えつづけていた。

マジェステックアサルトの直後、救出されたはずのシルヴィアは、行方が知れなくなった。
ただ、小グリューネの行方不明だけを聞いたという。



ゆっくりと抱き合う二人が離れた。
暗い闇が、シルヴィアの目に灯っていた。

男と、思うさま抱き合い、そして、穏やかだが暗い眼をしてうずくまる。
シルヴィアはいつもそうだった。

ベンは痛ましげな色を、微かに浮かべ、そしてそれを消し去ってシルヴィアを見た。
「近所の酒場に、いい歌い手が来てるんだが、行かないか?。」


娼館といっても、様々な形態がある。
人買いに買われて来た、奴隷同然の娼婦もいれば、
自ら性のエキスパートとして、各地の娼館を渡り歩くツワモノもいる。
世の中に嫌気が差して、社会から逃げるように、娼館に入る女も珍しくはない。

屈辱と絶望から身を投じたシルヴィアなども、このタイプの中に入るだろう。
だから、出入りも自由だし、いつ止めていなくなっても構わない。
あくまで現金と、その場の交渉が全てなのだ。

馴染み客に誘われて、酒場に遊びに行くのも、よくあることだった。


にぎやかな拍手と歓声、いいにおいの料理と酒、
そして、ステージの上に明るい衣装と帽子をかぶり、小太りの身体をいっぱいに躍らせ、小柄な歌い手が声を張り上げる。


その瞬間 私の中を 駆けぬける
力強い 弓にそえられた 時という名の
石のやじりを 鋭く尖らせた矢

喜びも 悲しみも 笑いも 怒りも
あらゆる瞬間 光陰と化し
私の中を 駆けぬけていく


シルヴィアは、鮮やかな声というものがあるのだと、初めて知った。
全身を揺さぶられるような、美と力をあわせ持つ声、
その声のバイブレーションに、はるかな記憶が、次々と蘇る。



『シルヴィア様、偵察兵が戻りました。敵軍は八千、わが方の約2倍です。』
『デヴォン候も、よくもかき集めたものだな。偵察兵はよく手当てしてやれ。』

長剣を手に、すっくと立つシルヴィアは、まるで他人事のように苦笑した。
そして、傷だらけになって戻ってきたであろう、偵察兵をねぎらう。
『たぶん、あと二千はいるはずだ。』

回りの司令官たちがざわついた。
『もしや、伏兵?!』
『我らの退路を絶つ気か!』
クックックッ
シルヴィアは、この絶望的な状況でおかしそうに笑った。
『臆病者のやりそうな事さ。』
あまりの度胸に、全員言葉もなかった。
この時、正気を疑う者も、少なからずいたそうである。

『バージャ』
シルヴィアは、長年使えてきた、守り役に等しい老獪な指揮官に尋ねた。
『は、』
『お前が教えたのだったな。軍師のさかしき事・・』
『ただ、踏み潰し、叩き潰し、押し潰すべきなり。』
しぶく、太い声が、全員の耳を打った。
全員の背筋を覆っていた怯えが、ふと途切れた。

『敵軍の構成は、正面に防御重視の装甲兵で支え、
両脇に哀れな農兵を並べ、農兵を絡みつかせた後、矢や投石器などで農兵ごと叩き伏せ、
最後に騎馬隊で蹂躙するよう、並ばせている。』

ぎろりと、深い闇色の目が、威厳強くにらみすえた。

『だが哀れな事に!、
臆病者の常で、威張りたがるデヴォン候は、装甲兵の後ろ5段の陣の、正面に座っている。馬にも乗れぬくせにな。』

最後の一言で、吹きだす者もいた。

『正面の装甲兵をぶち割れば、目の前はデヴォン候だ!。
あのクソいまいましい臆病者の首を、槍先にかけるのは、誰だ!。』

全員の身体が、興奮で沸き立つ。
激しい高揚が、勝利を確信する。
『シルヴィア!、シルヴィア!、シルヴィア!』

本陣を絶叫と興奮が包み込み、歓声が上がる。

『全員突撃準備!、我に続けえぇ!』
全指揮官が、弾丸のように自軍へ飛び出していく。
ひそかに裏切りを確約していた者すら、我を忘れ軍を叱咤した。

白銀の甲冑が輝く、
黒いマントが、死神のそれのように、鮮やかにはためく、
美しくも、威厳ある美貌が、死の女神のような迫力で現れる。

『シルヴィア!、シルヴィア!、シルヴィア!』

末端の一兵卒に至るまで、熱狂してその名を呼んだ。
それにつれて、数に倍するはずの敵軍は、気圧され、怯えだした。

腰に太い鎧通し(格闘戦用の短剣)だけを差し、ゆっくりと巨馬を乗り回していたシルヴィアは、馬を止めデヴォン候を睨むと、はるか彼方の陣で、動揺が起こった。

『斬馬刀!』
大柄でたくましい小姓2人が、必死の形相で、恐ろしく長い刀を捧げ、走り出す。
『全軍、突撃!』
巨馬が走り出し、小姓の捧げた刀が、ほんの一瞬右脇に並ぶ。

はるか東方からもたらされたと言う、2メートルに及ぶ凶悪な刀は、
久方ぶりの陽光の下で、スラリと抜き放たれ、吼え猛るように輝いた。

青い地金に、波打つような紋が走り、荒く研がれた刃が、牙をむいているかのように冴え冴えと光っていた。

荒縄と、己の髪を編み込み、すべりを無くした柄は、力強い手の中でがっちりと掴まれ、
足だけで、しっかと巨馬の胴を締め、右脇八双にかまえられるや、
見る見る迫った敵陣めがけて、振り下ろされた。

ギャウウウウウウウウウッ!

それは、もはや切断する音ではない。
恐るべき刃と質量に触れた物が、勝手に壊れ、飛散するのだ。

盾が、鎧が、人間のパーツが、血煙と共に、飛び散っていく。

振り切った刀が、優雅に、しかし恐ろしいスピードで回り、反対側の立っている物全てを、血も凍るような音と共に、なぎ倒していく。

正面に立つ愚か者は、情け容赦なく馬蹄の下につぶれ、
分厚い装甲は、そのまま己の棺桶となった。

熱狂にとらわれたシルヴィアの全軍が、壊れた陣形に、悪鬼の大群のように襲いかかる。

八千の軍勢が、爆弾を打ち込まれた木の実のように、
あっという間もなく、散り散りになっていった。

この日以来、シルヴィアの勇猛を疑う者は、帝国領近辺に、誰もいなくなった。



私は 歌おう
私は 高らかに
みんなは 喜びを
みんなは 明日を



静かで穏やかな午後、
グリューネと、お茶と会話と戦略を練り、
テルミットたちと転げまわるブリュンヒルデ皇女を見守り、
己の無力に、心痛めた。

砂時計の砂が、零れ落ちるように、
帝国の中に、少しずつ、変動と嵐が起きようとしていた。

してはならぬこと、
起こしてはならぬこと
人間が天と地の間に決めた決め事が、
わずかずつ破られ、補修もされぬまま、積み重なっていく。
だが、それを言葉になおすすべを、シルヴィアは持たない。
グリューネだけが、何かを見ているようだった。



どんな悲しみも 怒りも あきらめも
光と化して 私を飾るのさ
  
はじける喜び もえあがる恋 いとしい心
そして 希望

最後の時まで かがやけ



歓声と拍手が湧き起こる。
涙を流している者もいた、
手をつなぎ、喜びに騒ぐ者もいた、
おびただしい硬貨や、花や、宝石まで飛び、
そして、歌い手の最高の栄誉、褒め称える声が、いつまでも彼女の名を呼んでいた。


だが、ただ一人、放心状態でいる者もいた。


暗い井戸の底、
裸の身体に無数のイバラ、
黒い翼をむしられ、
背中から、苦恨の血を流しつづける。

わかっているのだ。
それが、己の心が生やすイバラだと。
だが、私は、あそこへはいけない。

はるかな上に、青い空がある。
だが、私は、あそこへはいけない。



カツン

シルヴィアが突っ伏すテーブルに、グラスが置かれた。
「もう、いい」
突き放すような声を無視して、琥珀色の酒が注がれていく。
トク、トク、トク、
そのにおいは、バラの香りを帯びた古い蒸留酒、グリューネ秘蔵の・・!、

誰もいない酒場、白い光を帯びた天使が、酒を注いでいた。
『やあ』
“草原の輝き”と呼ばれた波打つ緑。
いかなる敵も射すくめた、金色の目。
形良く伸びた首筋に、痛々しい傷跡が走っていた。
「あ・・、あ・・、うう・・」
涙が止まらない。
言葉が、まるでマグマのように押しあがり、喉から出てこない。
『戦友(とも)よ・・』
その言葉が分かったかのように、グリューネは微笑み、うなずいた。

『あの娘の事を頼む』

その声と共に、幻想が消え、にぎやかな酒場が戻ってきた。

だが、夢ではなかった。
美しい、花を刻み込んだクリスタルのグラスに、バラのような芳香をあふれさせた、古い酒が、なみなみと注がれていた。

グリューネのいたところに、あの歌い手が立っていた。

涙を拭きながら、銀貨を渡そうとすると、それをとどめて歌い手は尋ねた。
「あなたは、シルヴィアという方を知りませんか?。」
「え?、シルヴィアは私だが、」
驚愕するシルヴィアに、歌い手は、マジェスティックアサルトの前日、黒塗りの不吉な馬車が王都から、西へ出て行くのにあったのだと言う。

窓一つない大きな荷台に、人のうめき声がするので、思わず近寄った時、わずかな割れ目から人の声がした。
『おねがいします、どなたか存じませんが、シルヴィアに伝えてください。』
苦しげな、ひそめた声、だが、歌い手は凶暴な御者に見つかり、鞭で肩を打たれ、馬車はそのまま走り出したのだという。

その割れ目から、緑色の珍しい髪が見えたと言った。

小グリューネが生きている、いや、生きていてくれた・・。
貴方は、この事を伝えたかったのか、
全身に、久しぶりの生気が蘇ってくる。
何度も歌い手に感謝すると、シルヴィアは酒場を飛び出した。

私は何と愚かだったのだろう、暴れ馬のように突っ走りながら、後悔する。
あの歌い手は、長いこと自分を探していたのだといった。
うち折れ、伏していた間に、手がかりは目の前にあったというのに。


「やっと目が醒めたかい。」
この娼館を長いこと切り盛りしてきた、妖怪のようなばあさんは、皮のズボンとサッシュの、颯爽とした姿で出てきたシルヴィアに、ニヤニヤしながら声をかけた。
「世話になった。」
「いやになったら、いつでもおいで。働いてくれる女は、大歓迎だよフェッフェッフェッ。」

シルヴィアが消えたすぐ後に、ベンが、あの歌い手と共に現れた。
「行っちまったかな?。」
「ああ、まるで馬車馬だよ。あんたもこれから大変だね。」
「なに、あれは俺の女さ。司令官になろうが、将軍になろうが、変わるような女じゃねえ。」
「ケッ、えらそうに言って、尻にしかれるんじゃないよ。あなたも、その窮屈な服なんか、早くお脱ぎなさいませな。」

くすくす笑いながら、歌い手が服を脱ぎだす。
すると、脱ぎながら背が伸び、足が細く長くなり、短い赤毛が美しい波打つ金髪に変わっていく。下着の下で、胸が飛び出しそうに膨らむ。

「しかし、あなたほどの大物の女仙が、俗の巷(一般社会のこと)に出てくるとはね。」
「司祭のオルフェナ・・、古い友人なんですけど、丸3日不眠不休で、私を呼び出すのに祈られては、来ないわけいにはいきませんもの。」

確かに、オルフェナには“遠話(テレパシー)”の能力がある。
ただ、それでもこれほどの距離を飛ばしたのは、生まれて初めてだった。
おかげで今は、寝込んでいた。

「それに、ブリュンヒルデの旦那様には、借りが有る仙人が何人もいますので。
今回の情報も、仙人たちが飛び回って、集めてくれたんです。
ついでに、グリューネを呼び出す異界通路も、開けてくれましたし。」
赤いチャイナドレスを優雅に着込むと、まるで炎のような美女になった。

「ね、旦那様!」
ベンは、いや、ベンと名乗ったブリュンヒルデの愛人“最強傭兵”は、相好を崩して笑った。
ばあさんの目が、飛び出しそうになる。
「まったく、この世界は驚く事ばかりだね。変なやつだとは思ったけど・・、まだまだ死ねないねえ。」
あきれ果てたように首を振る。
「よおっし、せっかく女仙様がおいでなんだ、房中術をお授けくださいませな。私も若返って、まだまだ長生きしなきゃね。」

生命力を操り、肉体を操作する房中術(SEXの特殊技術)は、実は、仙人が授けた物とされている。

「けーっ、ばあさん相手にじいさんから絞ったら、相手は即死だぜ、即死。」
「あら、別に高齢者から貰わなくても、いいではありませんか。ねえ。」
「そうさ、そのとおり。せっかくいきのいい実験台が目の前にいるんだ、さっそく実戦させてもらおうかい。」
ばあさんの鼻息が荒い。

「おっ、おい、ちょっと待て、それはどういう意味だ?!。」
背筋が泡立つ。
さすがの最強傭兵も、今度ばかりは部が悪かった。

「おいっ、やめろ、フォフェンッ!、やめてくれーっ!」


扉が閉まったあと、犬の遠吠えが聞こえるばかりである。

END