<北方…、グレンデン領…、夏夜…、庭の針葉樹林…、15年前の記憶…、夢…?> デック(幼き日のグレンデン伯):リ…、リリア〜…、無理だっ、こんな木に登るなんて…(大樹 の洞にしがみつきながら) リリア(今と全く変わらぬ姿):(木の枝に腰掛けて、見下ろしながら)大丈夫だよ〜〜〜〜☆デッ クなら…絶対行けるから☆(にこっ) デック(幼き日のグレンデン伯):お前は空を飛べるから良いよな…、ボクは…(ずるっ:足が滑 る)ぁあっ???!!! リリア:あっ!!!!! デック(幼き日のグレンデン伯):!!!(思わず目を瞑る…)(ぐっ!!:小さな少女の手がデッ クの掌を握るとそっと引き上げる)…(うっすらと目を開けると枝の上…) リリア:…大丈夫?(心配そうに横から覗きこんでいる…) デック(幼き日のグレンデン伯):う…、うん……済まない(悔しくて、情けなくて拳を握り締め る…) リリア:昨日よりは…、ずっと、上まで来れたし…、凄いよ、デック☆(にこっ) デック(幼き日のグレンデン伯):っ…(俯く…)…リリア、ありがとう… リリア:ううん…(にこっ)…(足をぶらぶらさせながら、眼下を見渡す…)町の光…、綺麗だね …、デック…(丘の上にあるディック邸のもみの木から見下ろす町の光は…、とても美しい) デック(幼き日のグレンデン伯):…うん…、父上や祖父様…、曽祖父様が…、(そして、リリアが …)守ってきた光…、ボクの誇り…。 リリア:リリア…、好きだな…(デックに肩を寄せながら…) デック(幼き日のグレンデン伯):(少し赤くなる)え…、何が…? リリア:この町も…、ファーター(=デックの父)も…、みんな… デック(幼き日のグレンデン伯):…………………ボクは? リリア:デックは…、違うよ…? デック(幼き日のグレンデン伯):えっ???(かなりびっくりして) リリア:デックは好きじゃなくて…、「大好き」…(にこっ) デック(幼き日のグレンデン伯):リリア…、…………………ボク…、ボクっ!!大人になったら …、絶対…、リリアを…!! リリア:???(きょとん) ジョドー:何をしておいでなのですかっ!!お坊ちゃま!!お嬢様!! デック(幼き日のグレンデン伯):…く(気勢をそがれて額を押さえる) リリア:あ…(ジョドーに驚き)…降りないと、…駄目みたいだね(汗) デック(幼き日のグレンデン伯):うん…、必ず… リリア:…え?(きょとん…) デック(幼き日のグレンデン伯):「解き放つ」から…(消えるような声で言うと…、雪山に飛び降 りる…) リリア:…………………………………デック…、あ、待ってよ〜!! <北方…、グレンデン領…、冬…、領主の間…、10年前の記憶…、夢…?> 若き日のグレンデン伯:父上が亡くなった今…、私が…新しい領主だ…(一言一言を…無理に吐き 出すように…) リリア:うん…、「ファーター」…☆(陶酔しきった…、親を慕う子の瞳で) 若き日のグレンデン伯:リリア…、ボクは…、「デック」…、だぞ?(何かに賭けるようにリリアの 瞳を見るが…) リリア:「ファーター」…?…どうしたの?(「呪鎖」が鈍い光沢を放つ…) 若き日のグレンデン伯:(呪われた瞳の色に気付き…)………………(っ…) リリア:で…、…誰を「殺せば」良いの?「ファーター」…?ジョドーから…、聞いてるよ?…「お 仕事」だって…(にこ…) 若き日のグレンデン伯:(唇を噛んで俯くと…)「「前代」を殺した男」だ…、名前はわかっている… どんな方法を使っても…、殺せ…。我が家に逆らうものの…、末路を教えてやるのだ…。 リリア:うん☆(にこっ)「ファーター」…☆ 若き日のグレンデン伯:…………………………(がりっ:腕休めを引っかく音…) <早朝…、デック・グレンデン伯の宿舎…> グレンデン伯:(ベッドの上で顔に掌を…)下らん…、下らなさ過ぎる夢だ… ドアをノックする音:コンコン… グレンデン伯:ジョドーか…? ジョドー:は…(ドアを開け、入ってくる…)お伝えしたきことが… グレンデン伯:やはり…、「狼少王」のところ…、だったか… ジョドー:は…、いかがなさいますか…? グレンデン伯:「呪鎖」は…? ジョドー:「外れておりません」でした… グレンデン伯:…そうか…、「殺さず」に済んだな…(脇のメガネを手に取りながら) ジョドー:どう…、なさいますか…? グレンデン伯:「正面から」…「返して」もらいに行く…、「あれ」は………、私の……………「手駒」 なのだから…、な…(掛けたメガネに鈍い光が宿る) <真昼、クラムハップが用意した宿屋のリリアの部屋…> 狼少王(太・莱):くっ…、ふっ…、ふっ…(腰を激しく律動させている…) リリア:ああっ…、ん…、く…、ひゃんっ! ドアの開く音:がちゃっ… シーナ:お~い、リリア、今日は「非番」だろ?昼飯でも一緒に… リリア:んくっ、あっ!!………え???(びくっ) 狼少王(太・莱):………ん?(振りかえる…) シーナ:…デジャ・ウ(しくしく…)…失礼(がちゃん:ドアを閉める音) リリア:…あ(真っ赤) 狼少王(太・莱):…むぅ(ぽりぽり) <同…、1階の廊下…> シーナ:(廊下をすたすた…)昼間っから…、何をしてるんだよ…、ったく…(ぶつぶつ…) 和 也:(廊下の先で歯磨き中)え…?いやっ、今、終わったところですよ? シーナ:…誰が和也のことだと言った!!?(汗) 瑞 樹:(和也の隣から笑顔)あ…、おはようございます☆ シーナ:(もう…、昼回ってるんだけどなぁ…(汗))ん…、おはよ(汗) ドアの開く音+シーナの背中で響く声:やっと、出来ました〜〜〜☆ シーナ:??? 瑞 樹:あ…、白・湯(サー・フィ)さん☆おはようございます☆(ぺこり) 白・湯:あ〜…、おはようございます☆ 瑞 樹:…何が出来たんですか? 白・湯:あ…、はい☆「妊娠検査薬」です☆ シーナ:「妊娠検査薬」ぅ???(いかがわしそうに) 和 也:…確かなものなのかい?サー・フィちゃん? 白・湯:(少し顔を赤らめながら)はい☆お父様のお付の女の子25人で実証済みですから☆実績は 確かです☆ シーナ:25人…、全員に手を出したのか…(汗) 和 也:…狼ちゃんらしーと言うか… 瑞 樹:えっと…、それってどのくらいのがわかるん…、ですか? 白・湯:大体…、「原因行為」から「2週間以後」…、なら、なんとか… シーナ・瑞 樹:2週間…(互いに多少蒼褪めて…、顔を見合わせる…) シーナ:で…、それ…、どう…、するんだ? 白・湯:明日までに…、皆さんの分の薬を用意して…、調べようと思います…(少し汚れが目立つ 髪を指で梳きなおし) 瑞 樹:えっと… 白・湯:もし、出来ていたなら…、「堕胎」も行います。もし出来てたときはどうするか…、考えて おいてくださいね…?(やや気を使った表情ながらはっきりと…) シーナ:あ…、ああ…(難しい表情…) 瑞 樹:あ…、はい…(俯き…) 和 也:…(瑞樹の頭を抱き寄せる) (解説者紹介) 太・北:読みは「ター・チェ」中央ゲルマ公国第6公女(王位継承者)にして、外交官。 大切な人達を失いながらも…、新しい仲間と新しい人生のページをめくりだす…。 リリア(今日はお休み):「反魔」の能力者で「剥奪姫」の異名を持つグレンデン伯の「秘蔵っ子」。 明るく優しい印象だが、影のある過去も・・・。今は狼少王の后として同居中。 瑞 樹:某国の巫女。兄を探して澱みの塔まで来たのだが…。 友人ター・チェそして、実の兄、和也とは、最近「深い仲」…、とか。 シーナ(今回はお休み):各国を巡る女魔法剣士。ある目的の為に「マーベラス・メイガス」を目指し たが・・・。現在は、クラムハップや太・北らと同居中…。 クラムハップ(今日はお休み):巨大な本を携えた11〜12歳ほどの栗毛色の髪の少女。 「公国」から、次期王「ター・チェ」の護衛のため、派遣されたらしい。 ガボス(今回はお休み):レザースーツと仮面で全身固めた大男。ただその正体は黒髪美少女。 口癖は「んがー」。クラムハップに付き従うが実は同格らしいと言う話も。 狼少王:本名は太・莱(ター・イェン)中央ゲルマ公国公王にして、「ゲルマ」半島の覇者。 「人材探し」に奔走する「お盛んな47歳」。 太・北:好好(パオパオ)ーっ☆今日も楽しくリポート!第6公女にして外交官のター・チェだよ☆ 瑞 樹:(ちょっと元気無い…)草薙瑞樹です…。 太・北:(…大丈夫?) 瑞 樹:(え…、ええ…(力無く微笑む))今日で、試合は34日目… 太・北:昨日に引き続き、2試合が行われました☆まずは、第1試合…、2Fのアールグレイさん と水鏡ちせさんの試合☆ 狼少王:……(ふむ……)「つぎはぎだらけ」と「蟲食い」の「人形」対決……か(影の集めた「資料」 を見ながら……) 太・北:ええ…、「父から解放されるための戦い」、「父を繋ぎ止めるための戦い」…、それぞれの強 い意思がぶつかったこの試合…。 瑞 樹:しかし…、終わってみるとちせさんの圧勝でした…。 狼少王:「魔力を食らい、身体を蝕む」…、「蟲」の存在…、混成しているとは言え、本質において、 純粋な魔力の攻撃に頼るアールグレイには…、天敵…、だったな…(ふむ……) 太・北:「試合は相性」…ですね…。 狼少王:ついで、3F、アズマとコーデリアの戦い…。 瑞 樹:杖とマント…、それぞれ防御しつつ近寄り、「必殺の一撃」を仕掛けようとし合う展開で試 合は長時間に渡りましたが…。 狼少王:一瞬の見極めの差で…、コーデリアの一撃がアズマの小柄な身体を吹き飛ばしたな。 太・北:ええ…、非常にハイレベルな試合展開でした。 狼少王:今日の試合を総括すると…、だ…。アールグレイの尻は安産型…、あれで、「父親(開発 者)」のパラケルスが「種付け」してなきゃな…、アズマはろりぃ、なボディが弄ばれる様が なかなかだったな…。 太・北:ええ、そうですね☆…………………………って、どこが試合総括なんですかっ!(汗) 瑞 樹:それでは…、今日はこれで…、また…、です…。 太・北:……………………………(本当に、大丈夫?) (参考)辺境の巫女(?)アズマ嬢VS垂れ耳のコーデリア嬢=履歴3F−7 「パラケルス」の娘アールグレイ嬢VS「蟲使い」水鏡ちせ嬢=履歴2F−18 総天然音色パノラマ嬢VS「蟲使い」水鏡ちせ嬢=履歴2F−19 (欄外) <夜…、リポートが終わってすぐ…> 太・北:…………本当に大丈夫? 瑞 樹:ええ… 太・北:…まさか、父様が…、何か? 瑞 樹:う…、ううん、そういうわけじゃ…、ただ…、実は… 表出入り口の方:ざわ…… 太・北:?? 瑞 樹:?? <宿屋の表出入り口…> 孔・濡(ク・ジュ):…どう言うつもり…、ですか…(一人で迎え出ている…) 数十人の従者達:…(整然とした様子で並んでいる…) グレンデン伯:(数十人にも渡る部下の中央に立つ…)どうと言うことも無い…(メガネが光る…) 私の…、「持ち物」を返して貰いに来ただけだ… ジョドー:…………………(無言で伯の傍にたたずむ) 孔・濡(ク・ジュ):…何かの…、勘違いをなさっているのでは…?(冷や汗…) グレンデン伯:(孔・濡に顔を近付け…)「知らない」とは言わせない…、「リリア」だ…、あれは… 私の「持ち物」だ… 孔・濡(ク・ジュ):(首を振る…)…断らせていただきます…、あの子は…、いえ…、リリア「様」 は既に我が王の正式な后となっています…。お渡しするわけには…。 グレンデン伯:「詭弁」は…、良い…、出していただこう…(強い意思の篭った瞳で…) 孔・濡(ク・ジュ):う…(思わず一歩引く…) 背後から響く声:孔・濡…、下がれ… 孔・濡(ク・ジュ):…公王…(言われたままに引き下がる…) 狼少王(太・莱):…………わざわざ…、来ていただき、痛み入る…。 リリア:………………………(狼少王の斜め後ろについて俯き加減に…) グレンデン伯:(リリアの首の鎖を確認しつつ)返して…、頂けるんでしょうな… 狼少王(太・莱):(頭を掻き…、空を見上げ…、問う)…なぜ? グレンデン伯:聞こえなかったのか?…「それ」は…、私の大切な「持ち物」だといっている… 狼少王(太・莱):…「証拠」は? ジョドー:………………(眉が跳ねる…) グレンデン伯:(ジョドーを目で制し、冷静に…)「それ」に聞けば分かる… 狼少王(太・莱):(「苦虫」を噛み潰したような表情で…)…リリア、…そうなのか? リリア:………………………(俯いたまま、答えない…) グレンデン伯:(…無言でリリアの鎖を突然ぐっ、と掴む…)リリア…、「忘れた」のか?私はお前 の主人…お前は…、私の「道具」…、「持ちも… リリア:(びくっと驚き…、悲しげな瞳でこちらを見…、僅かに全身が震えている…) グレンデン伯:???(いつもと違う反応に眉を潜める) リリア:…………………「デック」…(零れる…、10年前に失われた「呼び名」…、そして涙…) グレンデン伯:…………………………(腕から力が抜け…、鎖が手から滑り落ちる…) ジョドー:??? 狼少王(太・莱):(泣いているリリアを抱きしめると…)ダミーだ…、「呪鎖」じゃない…(リリア の首の鎖を無造作に千切る…、相変わらず苦虫を噛み潰したまま…) グレンデン伯:……はは…、…ははははっ!!(顔に手をやり…、さもおかしそうに笑う…) ジョドー:(殆ど誰もが感じられぬような…、静かな殺意が頭をもたげる…) グレンデン伯:(ばっ!:手でジョドーを制する…)「今回は…、負け…」としよう…(そのまま、 背を向ける…) ジョドー:伯っ!!!(思わず) グレンデン伯:これ以上は…、引くぞ…(背を向けたままながら、重い一言…) ジョドー:…………………………………は(俯き、そのまま、伯の後に続く…) 数十人の従者達:…(整然とした動きで主人に続く…) 孔・濡(ク・ジュ):(冷や汗を拭うと、隣の王を見る…) 狼少王(太・莱):(泣きじゃくるリリアを抱きしめ、俯いている…) 車輪音:ことことことこと…(音は激しいが、中の揺れは殆ど無い) グレンデン伯:(肘をつき、ぼぅ…、と外を見ている…) ジョドー:……………(無言で伯の向かいに座っている) グレンデン伯:ジョドー…(ぽつり) ジョドー:は… グレンデン伯:「光」とは…、「陽の光」とは…(自分の胸元をグッと掴むと俯く…)…失って…、始 めて…、その「明るさ」に…、気が付くのだな…(声が震えている…) ジョドー:…デック様… グレンデン伯:くっ…(俯いたまま…)見ないで…、くれ…、「これ」…、今は…、私じゃ…、無い …、違うんだ…(ぼろぼろと濡れる顔を…、メガネが折れるのも構わず…、右手で荒く…、 かきむしりながら…) ジョドー:は…