折れた背骨

by MORIGUMA

 

ことの起こりは、レティシアが怒りも露に、グリューネ騎士団長の執務室へやって来たことだった。
レティシアはグリューネ直属の騎士、先陣を切って闘う事が多い。

「グリューネ団長、しばらくおひまを下さい。」
よほど腹に据えかねた事があるのか、むしろ声は低く、美しい大きな目は血走っていた。



「あぐ、うっ、ううっ、ひきょうもの・・、あぐっ!」
艶やかな栗色の髪が、泥に汚れ、無理やりに広げられた体が、激しくきしむ。
激しい戦闘で疲労しきっていたミランダは、一瞬の隙を突かれ、大柄なヒラの兵卒に押し倒された。
まさか、味方の男からこんな目にあおうとは、思いもせず、何度か助けてやった事のあるそいつは、薄汚い欲望の塊を、ミランダの胎に無理やりねじ込んでくる。
乾いた膣は、悲鳴を上げ、血がにじむ。
「ひいっ、痛い、痛いっ!。」
身体に無理やり刻まれる男が、こんなにもあくどく、おぞましい物だったか、
何度も身体を濡らし、迎え入れたはずの男と、それはあまりに違いすぎた。
まるで殴られるような打撃が、下腹に深く突き刺さり、ゴツゴツした肌が、粘膜に刻まれる。
睨み殺せるなら、何度殺しただろう。
だが、のけぞる身体に、乱暴極まりなく打ち込まれる男根は、苦痛と、衝撃で、その意思を砕いていく。
白い肌に、青いアザ、
やわらかな粘膜に、にじむ血、
狭い肉襞をぞんぶんにかき回し、腹が破れそうなほど激しく突き上げて、
ミランダをのけぞらせる。
もう、脚に力が無く、されるままに広げ、晒される。

「ひっ、ひっ、あぐうっ!、やめて、ひいっ!」
腫れ上がった粘膜が、引きずり出され、またねじ込まれる。
ようやく濡れてきた内奥に、男が狂ったように突きまくる。
肉が当たり、底がめり込む。
こんな、こんな事で、
必死に戦ったのは、何のためか。
何で、味方に、こんな目に、
身体がしびれ、もう、意識がもたない。

「あぐっ!、あぐぅ!、ひいっ!、やっ!、いや、いや、いやああああああっ!!」
悲鳴を上げるしなやかな身体に、斧のように男根が打ち込まれる。
勃起した乳首が、激しく震え、轟然とほとばしる灼熱が、喉まで突き抜けるほど、噴き上げた。
どびゅううううううっ、どびゅううううっ、どびゅっ、どびゅっ、
濃い精液が、中に、生で出される。
ねじ込まれた先から、直に入ってくる。
のたうつ身体に、何度も、何度も、男は執拗に突き上げ、精根尽き果てるまで、ミランダを赦さなかった。

「うっ・・うっ・・」
すすり泣くミランダを、縛ったまま放り出し、男はそそくさと逃げた。

だが、ここは戦場。
「へへへ、ネエちゃん、えらい激しいやないか。」
「俺らも、まぜたってや。」
死者や行方不明者の鎧や剣を剥ぎ取り、売りさばく戦場荒らしの男たちが、ニヤニヤ笑いながら取り巻いた。

「いっ、いや、いや、こないで、いやあああっ!」
悲鳴を上げるミランダを、無数の手が掴み、広げ、押し倒す。
ほおが叩かれ、気が遠くなる。
男の精液があふれる膣を、無理やりにまた、別の男が犯した。
手が、脚が、固い手につかまれ、無造作に広げられていく。
一瞬の休みも無く、凶悪な律動に突き上げられていく。

ミランダの悲鳴は、闇に呑まれていった。



何事か問いただしてみると、彼女の弟子に等しい女兵士ミランダが、卑劣な手段で暴行され、しかも戦場で縛られたまま放置されたため、無数の男の餌食になり、危うく売り飛ばされそうになったという。
助け出された時は、運悪く妊娠していた。

「ミランダはひどい状態で、部隊に戻るのにもかなり時間がかかります。」

グリューネは形の良い眉を寄せた。
ミランダは、グリューネも注目していた女兵士で、いずれは騎士団に引き上げたいと思っていただけに、残念だった。

「まったく、赦せんな。その暴行をはたらいた馬鹿者は分かるのか?。」
「はい、それが同じ帝国軍の一兵卒らしく、顔に見覚えがあるとの事です。右肩に変わった刺青か傷跡のようなものがあったと。」

グリューネは驚き、金色の目を大きく開いた。

「実は、今朝方、教会にいる子供が私のところに、泣きついてきたのだ。」

子供たちを世話している教会の、シスターアグネスが襲われ、子供を殺すぞと脅されて、暴行されたらしかった。
子供は夜にたまたま起きたとき、シスターが怒鳴られているのを目撃して、怖くて動けず、朝になって、以前慰問した事があり、近くにいるグリューネのところへ駆け込んできたのだ。

「そいつの右肩に、傷痕があったと子供が言っていた。」

重いノックが響いた。

「グリューネ団長、おられますか?」

守備隊長エレノアの声だ。ひどく低い。
入ってきたエレノアは、顔色が青白く、広い額に青筋を立てていた。
「重戦車」の異名で知られ、沈着冷静にして豪胆な彼女の、こんな顔色は初めてだ。

「団長、ヒラの兵卒たちをすぐに集めてください!。男なんて・・、男なんて・・!」

目が釣りあがり、完全にキレている。

エレノアの親戚筋で、やはり帝国兵団にいるツイギア・アロウニィが暴行を受け、悪い病気をうつされたのか、ショックで発熱したのかは分からないが、高熱で生死の境をさまよっていた。

「あの馬鹿どもは、ツイギアが暴行されたあとに群がって、嬲りぬいたんです。私の、アロウニィに・・、一人のこらずチ○ポ○ひきちぎってやるうううっ!。」

グリューネは思わず天を仰いだ。あのエレノアがここまでキレると、本気でやりかねない。
だが、まさか・・。
「エレノア、最初にツイギアを暴行した馬鹿者は、もしかして右肩に傷が無かったか?。」
「え、・・?。なぜご存知なんです?!。」

ドバン!、
扉がはじけるように開き、まのびした声が、明るいオレンジの髪と共に入ってきた。

「ダンチョ〜、まずいよお。」

ぶっ壊し屋の異名を持つ、格闘家テルミットだ。
ぎりぎりに腰と胸だけを隠し、小麦色の傷だらけの肌を晒して、少年のような格好だが、鍛え上げた体は、猛獣も及ばぬ力を秘めている。

「どうした?。」

テルミットは、ポケットから乾燥果実を取り出してかじりだした。
話しをまとめる時の、くせのようなものだ。

「雑貨屋のノイガル商店、知ってるっしょ。あそこの看板娘のエミリアが、帝国兵に暴行されたって、大騒ぎだよ。」

全員が顔を見合わせた。

「しかも、ひでえことに、縛って犯して、そのまんま店に放り出してたから、客が見つけてさあ、かわいそうに、町中に知れわたっちまってる。」

「テルミット。」
獰猛無敵のテルミットが、冷たい硬質なエレノアの声に、びくりと身をすくめた。
『わ、なっ、何だ、おっそろしくやばい雰囲気・・。』

「その帝国兵って、一兵卒?。」

コクコクと、冷や汗をかきながら、首を振る。
エレノアの血管が膨れ上がる。

「もしかして、右肩に傷か刺青がある?。」

また、人形のようにコクコクと首を振る。
『こっ、怖いよおおっ!』
蛇の前に出た、カエルの気分だ。

「やっぱりいいいいいっ!」
ぐわんっ
踏み鳴らした足の下、大理石の床が、見事にひびを散らせた。
視線の先にいるテルミットは、全身冷や汗。

「おのれ、その兵卒、○ン○コ引き千切ってくれるわああああぁっ!。」

『切れてる、完全に切れてるよおぉ!』
もはやテルミットは半泣きだ。


調べてみると、ほとんど同時期に、他にも4件、一人は完全に敵陣へ連れ去られたらしく、確認は難しいが、暴行事件がおきていた。

この時代、それもこんな戦時に、暴行を問題にするのが難しいのだが、しでかした事は、悪質すぎた。

貴重な戦力である、優秀な兵士や、それなりの家柄の出の者、捕虜とはいえ負傷兵など、直接の影響が大きい上に、被害者の家系の一族は、とたんに帝国軍への感情を悪化させた。

その上、暴行のおすそ分けを貪った兵士たちの、モラルが低下したのか、暴行や略奪などが異様に増えて、帝国民の反感を買う始末。

元々、特殊な兵を除いて、敵も味方も、軍は暴行略奪を当然視し、モラルや規律など、無いも同然。戦争の被害より、軍の蛮行の方が、民に多大な被害を及ぼす。

何とか、それを抑え、改善しようとグリューネは苦心していたのだが、一度火がついた欲望は、なかなか消せない。へたに部下を抑えれば、離反されかねないため、司令官たちも強くは言えないのだ。
おかげで、これまでの苦労が全てパアになる恐れすら出てきた。

何としても、この犯人を捕らえ、くびり殺してやらねば、グリューネもおさまらない。
ただ、気になることがあり、軍医局へ向った。


グリューネの進言によって作られた軍医局は、通常の町医術士が、従軍はほとんど無理なため、新たに作られた部署だ。

「先生、どう思われる?。」
医局を統括するカーネラウは、50近い腕利きの女軍医士なのだが、髪は赤銅色のつやつやしたポニーテールで腰まであり、白い肌はきめ細かく、鼻筋が美しく伸びた美貌は妖艶。どう見ても31,2にしか見えない。はっきり言って、バケモノである。

「うーん、そうねえ。」
黒の長いドレスに白い貫頭衣をかぶり、腰のところで帯で締めている。
それだけなら、清楚な女医士の姿なのだが、両脇のスリットが凶悪に広がり、艶かしい脂の乗った太腿が、ムチムチとして組み合わさる。
相反して、金の細い枠のメガネは、知的な色気をかもし出す。

「ほとんど同時期、それも連続よね。手当たりしだいじゃなく、狙い済ました獲物を、確実に、自分が死ぬような賭けを乗り越えてる。凄い精力、体力だと思うわ。それこそ筆頭騎士クラスね。」

だが、そんな男が、一兵卒でいつまでもいるものだろうか。

「そーこが変なのよねえ。“あの”男、確かに精力も凄かったみたいに見えたけど、1回で終わっちゃったし。」

ぎぎっ、
首がきしんだような気がした。
グリューネは青ざめた顔を、カーネラウに向けた。
「どういう意味ですか?!」


昨晩遅く、医局を出たカーネラウは、防火用に作られた藪に引き込まれた。

「ああん、いやあん。」
どう聞いても、嫌がっていない。
最近忙しくてご無沙汰だった事もあり、身体は飢えている。

「なんでえ、全然嫌がってねえじゃねえか。」
うっそりと、筋肉ダルマのような大柄な男は、カーネラウの身体を弄びながら、つぶやく。

「だってえ、このところ、ごぶさただったんですもの。」
というより、恐ろしくて誰も近寄ってこないのだが。

「まあ、いいか。おい、教えろ。」
くっと、豊満ではじけそうな乳房をつかみ、もうピンと立っている乳首を摘み上げた。
「あ、ああああんっ!、」

「あっ!、はっ!、はっ!、あおっ!、いっ!、いいっ!、あはあっ!」
女の脂がのり切った、白い裸身が、巨体にまたがり、跳ね上がる。

黒々とした男根が、貝のような襞の奥へ、深々とめり込み、やわらかな粘膜を、こそげ取るようにしごいていく。
豊かでたっぷりとした尻が上がり、真ん中のふっくらした恥丘がカリ首で広がる。
それが勢い良く落ちて、絡み合い、突き刺さる。

「すごっ!、あはああっ!」
「おめえもっ!、いい具合っ!、だぜっ!、」

Fカップはありそうな巨乳が、ぶるんぶるんと震え、ごつい指の間でもまれ、はみ出す。
薄茶を帯びた乳首が、もうぴんぴんに突き出し、何度も指の間でつぶれんばかりにつままれる。

「いっ!、あっ!、いいっ!、もっ、もうっ!、おねがっ!、いっ!」
とろんと蕩けたグリーンの瞳を潤ませ、腰を振りながら哀願する。

「こたえろっ!、こたえろよっ!」
「左の、奥っ!、ああっ!、銀の、札あっ!、ドアに、かかって、あぐっ!、も、もおっ!」

にやっと笑うと、そった男根の先を、ぐいとめり込ませ、押し当てた。
「くらいやがれええっ!!」
どびゅうううううううっ、どびゅううううううっ、

「あ、く、うひいいいいいいいっ!!」
髪が激しく乱れ、のけぞる腹の奥深く、煮えたぎるザーメンが、どくどくと注がれていく。

かくかくと、腰をゆすり、吸い上げるように締めつける。
血の色が肌を彩り、また若返ったように見えた。

男は、そそくさと服を身につけた。
「あら、もう終わりなの?。」
「へへへ、続きは、覗いてるやつらに、姦ってもらいな。」
声に応じたように、がさがさと藪を分けて、二人の男が出てきた。

「ケケケ、話せるじゃねえか。」
「ねえちゃん、そんな冷たいやつ、ほっといて遊ぼうぜ。」
カーネラウは髪を妖艶にかきあげながら、たまらない目つきで見た。
「あん、いいわよ。」
のぞきたちはカーネラウに飛びかかり、男はさっさと逃げ出した。


「どおりで・・」
昨夜、町の巡回兵が、骨と皮にやせ細った二人の男を保護したが、二人は
「し、絞り取られた・・」
というのみだった。

「やーねえ、絞り取っただなんて、人聞きの悪い。ちょっと悪戯しただけよ。」
こんなバケモノと知らずに襲った男たちに、グリューネはほんの少し同情した。

「その時、右肩に確かにみっともない刺青があったわ。それに、あの男の汗に、何か匂いがしたのよね。どっかで嗅いだ事のある匂い。」

考え込むカーネラウに、話をせかせた。
「で、そいつは何を、先生に聞いたんです?。」
「それがねえ、貴方の部屋なのよ。」
グリューネの目が点になった。



それから数日がたった。
男の処分も終わり、すでに単なる話題の一つになっていた。

町医術士のブリュンゲルは、棚を探りまわしていた。

「無い、無い、おかしいな、なぜ無いんだ?!」
貧相な男は、最近はぶりがよく、仕立てたばかりの白衣を脱ぎ捨て、狂ったように探した。

「探し物は、これかい?。」
オレンジ色の髪の女性が、猛獣のような目を光らせ、青いきっちりと蓋をされた、小さな壷をもてあそんでいた。

「な、なんだ、きみは!、そ、それを返したまえ!」
テルミットが蓋を開けようとすると、真っ青になった。
「やめろ、開けるんじゃない。」
「なんで?。」
「く、薬の素人がいじっていい物じゃないんだ、返しなさい。」

「素人?、じゃあ、薬をだす事を禁じられてる医術士が、いじっていいのかしら?。」
左側の戸口から、低い女の声がし、気位の高そうな、髪の長い女性が入ってくる。

「薬は、薬師ギルドがきっちり管理してるのよ、医術士が何の薬を、後生大事に持ってるわけ?」
エレノアの目が、ギラリと光る。

治療法を指導する医術士、薬を処方する薬師、それぞれに役割がきっちり分担され、決して相手の縄張りを侵さないのが、鉄の不文律になっている。
医術の影に、古来から、いかに暗殺や利益誘導などが多かったかの証だ。

「ばかなっ、多少の薬はあるのが当たり前だ。素人が聞いたような口を利くんじゃない。」

テルミットは、後ろにひょいと壷をほおった。
「わっ!」
医者がたたらを踏んだが、金色の目を持つ女性が、音も無く掴んだ。

「多少の?、へえ、先生、多少だそうですよ。」
その女性の背後から、カーネラウが出てくる。

「かっ、カーネラウ医局長・・。」
さすがに、ブリュンゲルもカーネラウの顔は知っていた。

カーネラウは、慎重に蓋を回し、微かに漏れ出た匂いを嗅いだ。
「間違いないわ、グリオキゲンの原末ね。こんな危ないもの、何で町医術士の貴方が、大量に持ってるの?!。」
言葉に詰まり、ブリュンゲルは後ずさりした。

グリオキゲンは、ある種の毒キノコから精製される猛毒だ。
わずか耳かき1杯ほどの量で、人1人を毒殺できる。
だが、毒薬と妙薬は紙一重。
うまく使えば、強烈な興奮と開放感を伴う、覚せい剤となり、
あるいは、性欲を激しく亢進させる媚薬となる。
戦場では、戦闘意欲を失いかけた戦士に、投与される事も多い。
だが、毒性が強く、習慣性が強烈にあるため、最もあつかいが厳しいのだ。

町医術士が、気軽に持っていていい物ではない。

「こいつの常用者は、意識の混乱や、幻覚、妄想肥大、そして特殊な匂いを持つ青色を帯びた汗をかくようになるわ。ちょうど、先日刑に処された一兵卒のようにね。」
ブリュンゲルの喉がごくりと鳴る。

「あの男の宿舎から、大量の薬袋が見つかったわ、業者がここに納めたと証言したのよ。飲み残しからこいつが見つかった時は、大騒ぎよ。医術士として恥ずかしくないの?!。」

「な、何をぬかすか。軍医士のお前たちは、薬を使ってるじゃないか。俺たち町の医術士は、薬を出したら罰せられ、お前たちは、好き放題。不公平だろうが。あ、あいつはなあ、もう年を感じて、戦場に立つのが怖くなっていたんだ、それをとってやって、何が悪い。」

「一瓶(3日分)、10ギルダル(現代で言う10万ほど)で、極悪な習慣性のある薬を売りさばくのがか?。
他の兵士や市民を引き込むことで、安くしてやるのがか?、
娘まで売らせ、兵たちには略奪をすすめて、金をむしりとるのがか?。」

調べ上げた事実を冷徹に並べるグリューネ。
ブリュンゲルの顔が死人のように白くなる。

「そのおかげで何があった?、
先日の処刑者だけで、何人が被害にあった?、
強盗や殺人、人身売買、略奪放火、お前がだまして薬を売りつけた相手が、何をどれほど引き起こしたか、知らんとは言わせん!。」

「ちっ、ちがう、私じゃない、私のせいじゃない、あいつらが勝手にやったんだ、俺のせいじゃない、俺のせいじゃない、」

「だ、そうですよ、ハイン師。」
ブリュンゲルの師であるハイン医術師が、彼以上に青ざめて、よろよろと入ってきた。
「し、師匠・・」
「こ、こ、この愚か者がああっ!」
重い杖が、薄禿げた頭を、激しく殴りつけた。
「き、貴様のようなやつがいるから、医術士は薬を扱わぬ禁忌があると、あれほど教えたのに、教えたのに、おしえたのにいいいいっ!」


杖が折れるまで殴られ、失神したブリュンゲルを引っ立てようとして、兵たちが引き起こした。
ぼろぼろになり、霞む目に、青い壷が無造作に置かれているのが、目にとまった。

『ちきしょう、あれがあれば、いくらでも金が儲かるというのに、どんな金持ちも、暴力も、ひれ伏させて、したい放題だというのに、』
けだもののような欲望と、怒りが、衝動的に身体を突き動かした。
猛烈なダッシュをかけ、壷をつかむや、家から飛び出す。


がしゃーん


転げたブリュンケルが、顔を上げると、顔なじみになった、盗賊の親玉ベガスと鉢合わせした。
「お、どうしたい、先生。」
「べ、ベガスか、今まずい事になった、急いで逃げねば。」
「先生、そんなやつら気にする事ねえぜ。俺様に任せな。」

ベガスの後ろに、ぞろぞろと、凶悪な面構えの盗賊たちが、連なっている。
「おい、おめえら、先生を困らせてるやつらを、ちとシメてやンな。」
「お―――っ!」
蛮刀や短剣などをぎらつかせ、数十人の盗賊たちが、ぞろぞろとブリュンケルの屋敷を取り巻く。

「ブリュンケル、どこへいった。」
飛び出してきた兵たちは、胸を刺され、あるいは喉を掻き切られた。

「どうしたのよいったい。」
あの金目の女と、カーネラウ、それにオレンジの髪の女が、出てきた。
皮ひもや鞭が絡みつき、その場に引き倒すと、すばやく両手脚を縛り上げた。
盗賊たちは、中に押し入り、長い髪の女や、ハイン卿たちも縛り上げて出てきた。
「ひへへへ、形勢逆転だな。」


「お、お前は、まだ罪の上塗りをする気か!」
「うるさい、青臭い事ばかりぬかしやがって、師と思って黙ってりゃ、ずにのるんじゃねえ!。」
ボクッ
ハイン師の脳天に、杖の頭がめり込んだ。

「何をするの、放しなさい、馬鹿なまねは止めて!」
「カーネラウ、よくも俺に恥をかかせてくれたな。」
カーネラウの頬を、何度も、悲鳴を上げるまで叩いた。
「この、ど淫売が!。」
胸元から服をひきちぎった。
爪が豊満な乳房に痛々しい傷をつけ、濃い恥毛が剥き出しになる。
「きゃあっ!」

「ひへへへ、すげえボリュームだなあ。」
無法に手が伸び、嫌がるカーネラウの乳房を激しくつまみ、揉みしだく。

「やっ、やめろっ!」
金目の女が、全裸に向かれ、ボスのベガスに両脚を割られた。
悲鳴を上げながら、乾いた膣を、恐ろしく巨大な男根で貫かれる。
ベガスは、こういう豊満で気の強そうな美人が大好物で、無理やり犯すのを楽しみにしていた。

「あぐっ!、ぐっ!、ぐひいっ!」
悲鳴を上げ、のたうつ裸身を、固く焼けた鉄杭が、叩きつけるように犯し、突き上げる。
緑の鮮やかな髪が乱れ、凛とした美貌が、歪み、涙を浮かべる。

「オラ、泣け、泣きゃがれ、ええ、女騎士さんよ。」
細い腰を強引に引き、ねじ込まれる暴行が、花芯を無惨に裂き、開いていく。
どこか裂けたのか、グリューネの襞に血がにじんでいく。
華麗な脚線美が、宙を掻き、金色の瞳から、理性が消えていく。


「ぐひいいっ!」
カーネラウのあそこを、指でぐちゃぐちゃに掻き回す。
無理やりにねじ込み、強引に押し込み、えぐりまくる。

「ヒヒヒ、俺は優しい男だからよ、あんなふうに血まみれにはしないでやるぜ。」
のたうつ裸身も、瑞々しく、男好きする身体だ。
太腿に、歯を立て、濃い黒い茂みを、執拗に噛み取りながら、深く手を突っ込んでいった。

「痛い、痛い!、やめてっ!、」
「止めてだとオ?、俺のもうけを踏みにじりやがって、えらそうに、師匠まで呼びやがって、俺を罪人あつかい!、このクソ淫売が、こうしてやらぁ!」

みしみしみしっ、
肉が悲鳴を上げた。
「ぎいいいいいいいっ!」
手が手首までうずまり、豊満な裸身は、折れそうにのけぞり返る。

ずぼりと、濡れた手が引き抜かれた。
カーネラウは、額一面に汗を滴らせ、目も空ろに身体を投げ出すように崩れた。

さほど大きくは無いが、黒く使い込まれたペニスが、広がった陰唇をさらに押し広げる。
「ひぐ・・っ!、いひいいいっ!」
「ケケケ、えらそうに威張り腐った軍医術士が、ええ、これでどうだ、どうだ、おらっ」
傷だらけの膣が、固い肉棒にこすれるたびに、悲鳴と、痙攣が、熟れきった身体を走りぬける。

突き上げるたびに、豊満な胸が揺れる。
のけぞるたびに、美しい赤銅色の髪がはねる。
のたうつ身体を、わななく膣を、突き上げて征服する感触が、肉棒を興奮と歓喜に燃えさせ、深く割り込み、突き刺す。


「いやあああっ!、痛い、痛い!、やめてええっ!」
髪の長い女が、アヌスを掘られ、悲鳴を上げる。

細い手をぎりぎりとわざと縛り上げ、足首を縛り上げた紐と結び、身動きすらできないようにして、エレノアを嬲り尽くす。

ぱっくりと開いた秘所は、既に何人も膣内射精され、あふれた精液が、赤く腫れた襞からこぼれている。

その下の薄茶色の可憐なすぼまりを、醜い男根が、無理やり広げ、ほじり、犯していく。
血がにじみ、切り裂かれるような痛みが走るが、男は構う事は無い。
「ひへへ、初めてか、すぐよくしてやるぜ。」
「あぐっ!、ひっ!、ひぐっ!、」
異様な感触に、犯されていくおぞましさが、嫌悪と絡まり、泣きながら、無駄なあがきを繰り返す。

気位の高そうな顔が歪み、泣き叫ぶ。
貴族的な美貌が、けだものたちの歓喜を沸き立たせる。

別のいきりたったペニスが、あふれる膣を貫いた。
「ひいいいっ!、いや、いや、中に、いやああっ!、くるうっ!、やめてえぇっ!」
前後から、激しく突き上げる衝撃が、深く胎内に響き、ぶち当たる。
襞を、薄肉を挟み、荒れ狂い、嫌悪すべき下賎な男のされるままになっていく。
悲鳴を上げ、のたうつ貴族に、羨望と憎しみが混ざり合い、ペニスに絡みつく快感が膨れ上がっていく。

「いや、いや、いやあああああああああああっ!!」
のけぞる身体に、濁音が突き抜ける。
どびゅうううううっ、どびゅううううっ、どびゅううううっ、
前後から中に弾ける。
醜い男たちの精子が、生で飛び散り、染み込んでいく。
エレノアは、力なく首を振り、身をよじった。


「ひ・・っ!、ひ・・っ!、あぐうぅぅっ!」
一方的に突き上げ、攻められるだけのそれにも、身体が勝手に反応し、女の本脳が応えてしまう。

「あちらも、楽しんでるぜ、カーネラウも、たのしめっ!、やっ!、おらああっ!!」
「いっ!、いや、や!、やあああああああっ!!」
どくううっ、どくっ、どくっ、どくっ、
深く穿たれた身体に、小男の精液が、勢い良く射精されていく。
力なく痙攣し、胎内を汚されていく姿に、征服したかのような愚劣な満足を味わっていく。


「おら、おらあっ、どうだっ!、ええっ!、貴族の騎士さんよ!」
「ひっ、ひいいっ!、ひいいっ!、あぐうっ!、」

折り曲げられ、逆立ち同然の形で、犯されていく。
グリューネは突き降ろす感触に、声を上げ、次第に追い詰められていた。

ゆさっ、ゆさっ、
たっぷりとした乳房が、突き降ろす動きに揺れ、広がった淫花を黒々とした鉄杭が、さらに押し開き、蹂躙していく。

内臓ごとえぐられるような圧力、深く、どこまでも犯されていくような錯覚、
固く張ったカリが、子宮を嬲り、粘膜を引き裂いていく。
のたうつたびに、それがのめり込み、うごめくたびに、理性が壊れていく。

広がりきった脚が、痙攣し、爪先をわななかせる。
爪が床を掻きむしる。
淫らに伸びた舌が、よだれすら滴らせ、震えた。

「ひっ、あっ、あぐっ!、うっ!、ぎいいいいいいいいいっ!!」
緑の髪が振り乱され、爪が破れ、血がにじんだ。
どびゅうううううううっ、どびゅうううううううっ、どびゅううっ、どくっ、どくっ、
グリューネの一番奥に、ベガスの物が突き立ち、情け容赦なく濃い精液をぶちまける。
折り曲げられた身体に、なだれ込むそれが、深く入ってくる。


「ひいっ!、ひいっ!、あああっ!、いやあっ!、」
サンドイッチにされ、オレンジの髪が激しく揺れる。

テルミットの細い裸身を、凶悪な肉体が挟み、
清楚なすぼまりも、開きかけた花弁も、上下から犯され、突き上げられる。
もう、何人の物で犯されたのか、あふれ、滴る上下の肉洞は、ただひたすら、貫かれていく。
「もうっ、もうっ!、ゆるしっ!、てっ!、やあっ!」
か細い悲鳴も虚しく、身体が跳ね上がるほど突き上げられ、前にのめるほどアヌスを貫かれる。
小柄で嬲りやすい身体が、いたく気に入ったのか、ニヤニヤ笑いながら、強烈に深く、男たちの分身が押し込まれる。
「やっ、やめっ!、たすけっ!、や、やあああああああっ!!」
のけぞる腹に、目いっぱい押し込まれた男根が、咆哮する。
のたうつ身体に、もう、どれほど入れられたのか分からない精液が、また、子宮めがけて射精される。
ぐちゃぐちゃになった腸に、濃く熱い精液が、撒き散らされ、熔けていく。

「ひいいっ!、ひいいっ!」
グリューネが、立たされ、挟み込まれ、両手に握らされて喘ぐ。

「んっ!、んぶっ!、んっ!、うううっ!」
口に、アヌスに、前に、何人もの男がその身体を貪り、嬲って、エレノアの何もかも壊し尽くす。

「ひんっ!、ひあっ!、あっ!、あううう、はあああっ!」
カーネラウが後ろから、ブリュンゲルに犬のように犯され、幼女のように力なく声を上げながら、されるままに服従する。

「あっ!、ああっ!、ひっ!、ひぐっ!、」
テルミットが、入れ代わる男たちの物で、次々と貫かれ、淫らに声を上げて腰を振る。

不意に、その顔がブリュンゲルのほうを見て、ぺろりと舌を出した。

「あーあ、死んじまったぜ。」

輪姦されている女たちが、
暴行と征服を続ける盗賊たちが、
己のペニスを受け入れるカーネラウが、
ぼやけ、かすみ、消えていく。

自分の絶対的な優位が消えていく。
悲鳴が、ブリュンゲルの喉を裂いた。

世界が暗転した。




がしゃーん


壷を奪い、飛び出そうとしたブリュンケルの足に、テルミットが、ちょいと足先を引っ掛けた。
派手な音と共に、貧相な身体が転がり、大の字に広がる。
壷の蓋が飛び、青い粉が、顔じゅうに降りかかり、吸い込んだ。

血が青く染まり、脳髄まで染まるのは一瞬だった。
強烈な快感と、妄想、惑乱が襲い、狂気に満ちた妄想の中で、ブリュンケルは目玉を裏返しにして、射精し、痙攣して、絶息した。


「あーあ、死んじまったぜ。」
「悪党らしいというか、みっともない死に様だね。」
「こいつ自身、薬の中毒だったのかも知れませんわね。」


ブリュンケルは敷地に埋められた。
以後そこに住む者も無く、屋敷は朽ちていった。
ただ、死んだブリュンケルが、青い壷を執拗に嘗めながら、泣いている姿を見たと言う、おぞましいうわさが、いつまでも消えなかった。


END