グリューネワルト騎士団―――キリコ・闇路―――
by MORIGUMA


町の隅にある女郎屋に、ある噂が立った。
ごくまれに、異国の女が床につくと、
その女の好色な事、比類なきばかりに激しいと、
淫乱放埓な事、狂うたかと思うばかりと、
その肌の妖しき事、溺れ尽くすかと思えると、
蜜壷の美味な事、蕩けて崩れるばかりと、

だが、事実を見たものはいず、尋ねられても、店のものは首を振るばかりである。




薄暗い、おしろいのにおいがこもった部屋。
わずかに寝乱れた床に、だらしなく夜着をまとい、ひざを崩し、艶かしい足と、ぬらりと息づく女陰すら覗かせ、一人ゆっくりと杯を上げる。

妖しいまでに赤く、美しい唇が、素焼きの杯を含み、ゆっくり、ゆっくり、わずかな葡萄酒を流し込んでいく。

凛とした美貌と、乱れた髪の色香が溶け合い、白い喉がひどく細くはかなげに動く。
夜着の胸元も、はだけた間に、深い優雅な谷間を広げ、真っ白い乳の美しい円を見せる。

その目は暗く曇り、あてどなく闇をさまようばかり。


ざあざあと激しく降る雨。
息も絶え絶えに、剣のさやにすがり、縄目や傷跡に覆われた肌にぼろをまとい、何もかも失い果てた無残な姿で、雨に打たれ、泥にまみれ、どこまでも歩く。


『おじい様!』
祖父のうれしげな、それでいて、どこか痛ましげな目。
時折つくため息、
『おまえが男だったらのう』
なぜ、なぜ女ではいけないのですか?。
『剣の本質を悟るまで、旅に出よ』


凄絶な一撃が、キリコの剣を飛ばし、影のように伸びた足が、細い顎を捕らえた。
「あうっ!」
『負けた』
これほどの相手に、負けて死ぬ事に、少しも不満は無かった。
だが、相手はそれを許してはくれなかった。


「おらおらおらあっ!」
「あぎいいっ!」
後ろ手に縛られ、豚のように転がされ、男の異物が内臓を掻き回す。
あの凄腕からは、想像もつかぬ細い裸身。
白く、痛々しげな肌を、男の根塊は、おびただしい白濁にぬかるむ膣を、貪り尽くすように貫く。

ガクッガクッ、ガクッ、ガクッ、

腸をゴツゴツしたペニスが、ぐりぐりとこね回し、かき混ぜる。
身体の芯を、節くれ立った男根が、激しく突きまくる。
赤くはれた陰唇が、太い男根に無残に広げられ、引き抜かれるたびに、ぬらぬらと、中に射精されつづけた精液を吐き出し、突き入るほどに、さらに男根を包んでいく。

「殺して、殺してええっ!」

必死で哀願するキリコ、
屈辱が心臓を掴み、嫌悪と恐怖が全身を犯し、陵辱する。

「うるせえっ!」
口に無理やりに押し込まれ、むせながら、荒々しい欲望に輪姦される。

『だめ、いや、いやあっ!』
プルリとした美しい乳房が、ぎりりとつねり上げられ、膣が、アヌスが激しく収縮する。
どぶうううっ、どびゅうっ、どびゅっ、どびゅっ、どくっ、どくっ、どびゅ、
真っ白い光芒が、細い腰の奥に噴き上げ、容赦なく理性を犯し、意識を強姦する。
熱が、粘液が、腸に押し広がり、子宮口をべたべたに汚し、あふれて逆流してくる。

喉元にひやりとした物が当たる。
氷のような刃が。
『ああ、やっと、やっと・・』

だが、その刃は返され、固いだけの峰側が、喉をむせる程度に叩いた。
「うぐっ!」
「殺してだの、武士の情けだの、なに甘っちょろい事を抜かしてんだ。てめえは負けたんだよ。死んだやつに何が情けだ。」
「おい、壊すなよ、まだやり足りねえやつが大勢いるんだぜ。」
「負けたらおもちゃさ、何ものこりゃしねえのさ。」

美しくも細い身体は、突き上げられ、振り回される。
「んうっ!、ううっ!、うっ!、んっ!、んっ!、んううっ!」

脚が裂けるほど広げられ、露にされた秘所を、ひくつく菊座を、挟み込んで貫き、破れんばかりに突き入れる。
カリ首が腸をこすり、亀頭が子宮を突き上げ、なめらかな背が優美にのけぞる。

菊座も、陰唇も、引き裂かれるばかりに、広げられ、暴行されていく。
白い喉が震え、横にくねる細い胴が、淫蕩にゆすぶられ、乳を振り乱す。
たくましい傭兵や兵士の、有り余った精力が、キリコ胎内を荒れ狂う。

がくがく、がくがく、
細い腰が痙攣し、締め上げ、絞り上げる。
中に、繰り返し出され、浴びせられ、恍惚とした目をさまよわせる。

のまれる、何かに、のまれる、

担がれるようにして脚を開かれ、また、前後から貫かれて、
「きゃふっ!」
のけぞる。
異様に赤い、異様に熱い、自分の中の奥底が。
打ち上げる男根の動きが、それを起こし、突き動かす。

自分の中の、女が、雌が、舌なめずりをするように、突き入れる男をしゃぶっている。
美しい尻を掴み、突き上げるたびに、それが激しく動き、からみつく。
脚を開かれ、晒されたヴァギナが、強くうごめき、絞り上げる。
たくましい動き、粘膜のすれあう高ぶり、それに
「んふうんっ!」
まぎれもない甘い声が、飛び出す。

長い脚がひくひくとわななく。
猛々しいものが、打ちつけられるたびに、陶酔の色が沸く。

いやだ、いやだ、のまれる、のまれる、

のけぞった白い裸身が、美しく張った豊かな乳が、がくがくと、震える。
無数の群がる男の、たくましい動きに貫かれ、たまらない快感が複雑にからみつく。

なぜ、いや、だめ、

逃れたい、逃れられない、
縛られた体が、喜びにわなないた。

どびゅううううっ、どびゅううううっ、どくっ、どくっ、どくっ、
おびただしい精が、キリコに雌の歓喜をそそぎこむ。
それを、搾り取るキリコがいた。
締め付けて、繰り返させるキリコがいた。
雌の獣に堕ちたキリコが、男を咥え、しごき、締め付けて、悶え狂っていた。

『母さま』
祇園一の芸者で、あらゆる男を虜にした、
父上すらも虜にし、狂わせてしまった、
その子を身ごもり、祖父に渡した後、姿を消した。
『おまえにはその血が流れてる』
祖母のただ一度、恨めしげにつぶやいた声。

「んあああっ!、あうっ!、そこっ!、あっ!、あっ!、いいっ!、」
狂おしげな声、男を絞り、咥え、しゃぶり尽くす身体、黒髪が激しく打ち振られ、白い肌を彩り、上気した血の色が、美しい白肌を鮮やかに染めた。

淫靡な色彩が、妖しい輝きが、その肌からたちのぼり、見る者の息を飲ませ、欲望に駆り立てた。
凶悪な欲望は、怒りと変わり、奪い合いは血を流した。


何が起こったのか、
血のにおいと、うめき声と、怒鳴りあう男たち。

担がれ、夜気に包まれて運ばれ、また、猛り狂った男根が突き刺される。
「ああっ!、あふっ!、あふっ!、いいっ!、いいっ!、あぐうっ!、」
闇の中で、陥落したキリコは、ただ、深くのめり込む男に、夢中で腰を振りつづける。

たくましい腕に抱かれ、蜘蛛のようにしなやかな脚を巻きつけ、突き上げる膨れ上がった亀頭をに、子宮を当てさせ、悶え、のけぞる。

目は焦点を失い、火のような快楽に服従し、誇り高い剣士の姿はどこにも無かった。
淫らな喘ぎを漏らし、美しい黒髪を乱し、美しい乳を胸板にすりつけ、腰を突き上げんばかりに振りたてて、絡み合う男の味に狂っていた。

「あひいいいいいいいいいっ!!」
どおびゅうううううっ、どびゅううううっ、どびゅうううっ、どびゅっ、どびゅっ、
子宮に押し込まれた亀頭が、中にぶちまけ、流し込んでくる。
熱い、濃い、大量の精に、溺れ、乱れ、涎すら流して達した。
何度も、何度も、快楽の峰に突き上げられ、射精される快楽にしびれて、締め上げた。


失神から目を覚ますと、男は空ろな目を開けたまま、冷え切った身体をキリコに重ね、貫いていた。
それは冷え切っていたにもかかわらず、隆々とキリコを突き通し、征服していた。
森の中、ただ二人、死んだ男とつながっていた。
キリコの目も、暗く、濁り、光も無く、視点も無い。

「はあっ、はあっ、はう、う、うんっ、」
ゆっくり、腰をゆるがせ、固く冷たい男根に濡れた膣を巻きつけ、締めつけ、こすれあう感触を再度味わい始める。
固く冷たい男に、美しい四肢は絡みつき、貫いたままの男根に熱い雫を絡め、腰深くそれを導き、狂った。
何度も、何度も、狂い、乱れ、喘いだ。

ざああああ、
冷たい雨に叩かれ、よろよろと歩いていた。
死んだ男が、持ち出していた剣を杖に、雨の中を歩いた。

死体のそばで、呆然と座り込んでいたキリコに、冷たい雨が降りかかり、いつのまにか、歩き出していた。

『殺してだの、武士の情けだの、なに甘っちょろい事を抜かしてんだ。てめえは負けたんだよ。死んだやつに何が情けだ。』
『負けたらおもちゃさ、何ものこりゃしねえのさ。』

男たちの罵声が、朦朧とした意識の中を行き来する。

「剣は・・、無情、剣は・・、残忍・・」

腰がうずき、脚が震える。
無数の男たちの痕跡が、下腹一面にあふれ、雨に濡れた肌を、伝い落ちていく。



杯の、最後の一滴が、唇のふくらみをつたい、白磁のごとき喉へとすべりおりていく。
飲み干したまま、しばし動かず。
やがて、ゆっくり、杯を下げ、酒を注ぐ。

薄暗い、おしろいのにおいがこもった部屋。
わずかに寝乱れた床に、だらしなく夜着をまとい、ひざを崩し、艶かしい足と、ぬらりと息づく女陰すら覗かせ、一人ゆっくりと杯を上げる。

終わり無き、記憶の闇路をさまよいながら。

FIN