武士は食わねど高楊枝、されど腹が減っては戦ができぬ。
砂埃舞う荒野の真ん中で、仄かに血潮の香りがする。
むさ苦しくも殺伐とした砂漠に不似合いな細身の美女…スライヤは、決して腹を空かせて傭兵稼業に飛びついた訳ではなかった。
"飛燕流"筆頭剣士である彼女。
一振り、その腰に佩いた剣を薙げばその先に彼女の往く道ができる。
そう言っても過言ではないほどに、彼女の剣技は卓越していた。
文字通り、その剣が彼女の人生を切り拓いてきたのだ。
そして、今彼女はその剣が導いたとある場所へ来ていた。

 ノード王国軍駐屯地。
彼女は傭兵として、帝国軍との戦争へ臨もうとしていた。
いくら剣に長けていたとしても、それを活かす場が無ければ腕も剣も錆び付く。
そして、収入も得られない。
むやみやたらと人を斬るのは好きではない。
だが、これも己のためだ、磨いた剣と腕で己の道を斬り拓いていくしかあるまい。
腰を上げると、他の傭兵達がこちらを見ているのに気づく。
自分の事を知っている、という訳ではなさそうだ。
みすぼらしい兵装をした二人の男がこちらを凝視しながら、何やらひそひそ話し出す。
「正規軍のあの剥き出しになった生脚もたまんねえが…ぐへへ、あの黒スト脚も…へへっ」
「女の癖にいっちょまえに立派な剣持ちやがってよお、へへへへ、あんなん帝国兵に捕まったら一溜りもないぜぇ~」
下卑た会話をしているのは聞こえずとも分かっていた。
ため息をつきながら男達の方とは逆方向に足を向けるスライヤ。
(どいつもこいつも、男という生き物はスケベな事しか考えとらんのか)
まだこの陣営はマシな部類だ。
自分と同じような若い女性もちらほらと見かける。
スライヤは過去に何度かこうして傭兵家業に赴いた事があったが、直接自身に話しかけては強引に性行為に及ぼうとする者さえいた。
勿論、逆に腕を捻り上げてこらしめてやったが。
これが敵の帝国軍側となれば、もっと野卑で治安の悪い陣営だと聞く。
実際、帝国兵の噂で良い話を聞いた事がない。

 「よーし、お前ら集合しろーっ!!」
傭兵達をまとめるノード正規軍の男が何やら声を張り上げる。
ようやく戦いの始まりだ。
武功を上げればそれだけ稼ぎになるので、スライヤからすればこれだけ楽な仕事はなかった。
だからと言って甘く見ている訳ではないが、おそらく武骨な自分にとっては最も合う仕事なのだろうと勝手に思い込んでいた。
かといって、職業軍人になるつもりはさらさらなかったが。
腰まで伸びた紫色の髪が、さらりと砂漠の乾いた風に靡く。
その様子に周りにいた男の傭兵共は目を奪われる。
血生臭い戦場にはあまりにも似つかわしくないほど、美しくも凛々しい様だったからだ。

 「今回の戦は侵攻戦だ!戦の勝敗は正規軍の方々の働き如何による!生きて報酬を手に入れたいなら敵大将を狙うような無謀なマネは避けるこった!」
スライヤはノードとして戦う事に誇りや忠誠心といったものは感じていない。
だが、この言い様には少し首を傾げる。
確かに自分達は我が身が一番、傭兵だ。
だが、軍としては己が命を削ってでもより多くの武功を挙げなければならないのではないか?
…まあ、そんな事はどうでもいい、戦の勝敗は正規軍が左右させる事、傭兵の分際で敵の大将首を狙うなどという事は無謀である事、それらは全くの正論だから。
「砂地での戦いだ。口の中が砂まみれになるぜ、覚悟しとけ!」
生死を賭けた戦い、などといった緊張感はあまり感じられない。
それがノードが劣勢を強いられている要因なのかもしれない。
「…そんじゃあ、出撃だ!!せいぜい稼いでこいよ貴様ら!!」
血眼になって敵へ飛び掛かっていく軍勢の中で、一人、ふうっ、と大きく深呼吸をするスライヤ。
いつも通りだ、いつも通りやれば良い。
そう自分に良い聞かせると、腰に佩いていた剣の鞘をぬらりと引き抜く。
戦いの始まりだ。


 まさに飛んでいる燕の如く、スライヤの動きは軽やかで、迅かった。
コンバットの中へ駆け込んで行ったかと思えば、3つ4つあっという間に黄色い面を着けた生首が飛んでいく。
あまりに鮮やかな手並みに味方も敵も舌を巻く。
「ウヘヘッ!美人な姉ちゃん、そんな細っそい体でどうしよっ…!?」
女だと舐めてかかった帝国兵が即座に首を刎ねられた。
飛び抜けて高い技量を誇るスライヤが傭兵の域を超えて、正規兵を含めてもノード軍の中で目立つのは時間の問題であった。
次第に女だからと襲い掛かってくる痴れ者はいなくなり、真に腕前に自信がある者しか彼女の前に立たなくなっていた。
かの高名な"玉鋼のガスパール"もその一人であった。

 「はぁぁっ!」
舞うような動きで騎馬に乗った帝国兵を刻むと、馬上からなます切りにされた帝国兵の男がどさっと倒れる。
「おうおう姉ちゃん、随分威勢が良いじゃねーの」
こもったように聞こえるダミ声。
スライヤの周りに円を作るように帝国兵がはけているのと同様に、彼の周りにはノード兵が成す円ができていた。
「…何じゃ?」
振り向けば鉄の塊と言うべきものがそこに立っていた。
人で言うなら頭にあたる部分には、鉄のやかんを逆さにして二つの穴を開けたような奇妙な兜。
指まで覆われた鉄の装甲を身に纏い、異様に大きなハンマーを持っている。
まさにその姿は鉄でできた怪物であった。

 「が、ガスパール様だ…!」
「ガスパール様が、あの女に…」
凄腕同士の対峙。
次元が違う、と目を見張る事しかできない兵士達。
だが、彼らの目的は強者同士の戦いを見たいなどという真っ当なものではなかった。
ガスパールに負けた女は漏れなく慰みものにされる。
上手くいけば、ガスパールに負けたスライヤを彼らが美味しく頂ける可能性もある訳だ。
彼らの眼差しは飢えたハイエナのように欲望でぎらついていた。
あの強く凜々しい美人女剣士をどう辱めてやろうか、頭にはそれしかなかった。

 「重そうな金槌じゃのー。いっその事、両手首落としたらそんな重たい物持たんで済むぞ?」
片手で長剣をガスパールの方へ突き出して挑発するスライヤ。
それも彼が実力者であると認めた上で、計算づくの作戦であったが。
「あ?お前こそ女の癖に舐めた口きいてんじゃねえぞ?」
鎧で顔が見えなくとも、彼が今の挑発で激昂したのは誰の目にも明らかであった。
周りの雰囲気がいっそう緊張したものになる。
「身の程ってやつを教えてやるぜ」
ギイギイと鎧を鳴らしながらガスパールがゆっくりと接近する。
スライヤは抜き身の剣をぶら下げたまま微動だにしない。

 「今からでも土下座して謝るんだったら痛い目には遭わずに済むぜ?代わりに天国に行かせてやる」
「痛い目に遭うのはどっちかの?儂が天国に行くならおぬしが行くのは地獄じゃな」
居合いのように半身に構えて、のっしのっしと歩いてくるガスパールを迎え撃つスライヤ。
所詮鍛えても女の細腕は女の細腕。
当然、目の前の鉄の塊を一刀両断するような力は持ち合わせていない。
ならば、速さで勝り装甲の薄い所を一極的に攻めていくしかない。

 ピチャッ
ギャラリーの帝国兵の頬に一滴の血が飛んだ。
「えっ?」
気が付けば、スライヤはガスパールと入れ違うように彼の背後にいた。
切っ先が血濡れた剣を振り抜いて。
「…ぐっ?」
鉄の籠手から溢れる鮮血。
ガスパールも斬られた瞬間、何が起こったのか分かっていなかった。
スライヤの動きがあまりに速すぎて気付けなかったのだ。
「「「うおおおっ!!?」」」
どよめく両軍の兵士達。
スライヤは剣を一振りして、付着した血を払うと余裕げな表情を浮かべて言う。
「言ったじゃろ?両手首を落とすと」
だが、完全に手首を斬り落とす事ができなかった事も分かっていた。
ガスパールの手首が太すぎて骨を断つ事ができなかったのだ。
「クソっ…このアマ…!!」
誰より女を見下すこの男の事だ。
手痛い先手を取られた事は何よりも屈辱だった。
「お前には一番乗りで俺様の剛直をくれてやるぜ」
出血の止まらない右手首を押さえるガスパール。
あまりに握力が強いせいかみるみる内に出血が止まっていく。
あるいは、思ったほど致命傷でなかったのかもしれない。

 「ほぉ…なら次は貴様の股を刺し貫いてやるとするかの」
おぞましくも下品な言葉にも屈する様子を見せないスライヤ。
剣の持ち方を変えて、刺すような素振りを見せてさらに挑発する。
こういうパワータイプは息切れするのが早い。
あんなごつい鎧を着て戦っているのだからそれも当然の話。
自身の経験を交えつつも常識の範疇で考えて、スライヤは知的に立ち回ってみせる。
挑発を繰り返しながらスピードで翻弄して、持久戦に持ち込むつもりだった。

 やかんが沸騰しているようだった。
二つの空いた穴からシューッ…シューッ…と息が噴き出る音が聞こえ、それがどういう事なのか分かった時、見ていたノード兵と帝国兵はいっそう二人から距離を開ける。
あのガスパールが激怒しているという事への恐怖心からであった。
「…っらァ!!!」
大きな図体が蜥蜴のように素早く動いたかと思うと、ハンマーを横薙ぎに振るう。
だが、そこにスライヤの胴は無かった。
「ふぅッ…!」
彼女は地に這うように身を屈めて躱すと、剣を逆手に持って切っ先をガスパールの股へと向ける。
つい焦って後ろに飛び退いたのが失敗だった。
スライヤの長い脚が蛇のようにガスパールのグリーブに掛かると、後ろに飛んだ勢いのまま仰向けに倒れる。

 どさあぁぁぁぁっ!!!
広大な砂漠に巨魁が倒れる音がこだまする。
股を貫く、というのは言動も含めてのフェイントだったのだ。
スライヤが一人の女であると同時に、ガスパールも一人の男だ。
男の一番大事な所が刺し貫かれそうになれば、武器も投げ出して逃げ出してしまいたくもなる。
彼は急所を潰される危機を感じ取った瞬間、無意識に逃げるという選択肢を取った。
「な、何が起こった?」
「なんか、すげえ音が…!」
だが、スライヤにとっても誤算があった。
ガスパールの体重がありすぎて、倒れた瞬間に舞った砂埃で彼の姿が見えなくなってしまったのだ。
「ちっ…」
本来であれば、すぐに倒れた彼にのし掛かり首を抉り刎ねるところであったが、相手の姿が見えないという事はこちらが不利な状況であるとも言える。
すぐに舞った砂埃から離れて、360°全方位を見渡せる構えをとる。
「…やってくれるじゃねーか、クソ女が」
だが、どさくさに紛れて背後をとるような小賢しい芸当ができる男ではない。
砂埃にのっそりと大きなシルエットが浮かぶと、徐々にそれが近付いてくる。
外傷は無いが、後ろ向きに倒したのでもしかすると彼の脳はまだ揺れているかもしれない。
依然としてスライヤ優位。
だが、彼女は忘れていた。
ここが普段剣を振るう道場の板の間ではなく、不慣れな戦場である事を。

 「ふん、さっきまでの威勢はどうしたのかのー?でかいのは図体だけか?」
「…」
さらなる挑発行為を繰り返すスライヤ。
いや、普段の彼女の素が出ているだけかもしれない。
目の前の鉄の塊に対する言葉は、日頃彼女が弟子をおちょくる時のそれとよく似ていた。

 決して油断している訳でも、舐めている訳でもなかった。
だが、この後に起こる彼女への災難は、ここが不慣れな戦場であったから、とそれ以外に言い様がない。
要は彼女は綺麗に戦い過ぎていたのだ。
生きた者が強く、死んだ者が弱い。
そんな戦場と、礼節を重んじ一定の決められたルールに沿って稽古をする道場とではどうしても勝手が違う。
彼女も傭兵稼業をやる事があるとはいえ、頻繁にやっている訳では無い。
対するガスパールは、帝国最強とも評されるほどの猛者で且つ戦場の常連であった。
「オラァッ!!」
「…くぅっ!?」
バフッ!という音と共にぶつけられた掌いっぱいの砂。
それも、常人の倍以上もあるガスパールの掌いっぱいに掴んだ砂だ。
全身に砂をぶちまけられる格好になり、砂をかけられただけでバランスを崩してしまうスライヤ。
何よりも目に砂が入ったせいで、視界が封じられてしまった。
(ふ、不覚…!)
「っッッらぁ!!!」
腹に受けた衝撃、その一撃で全て引っ繰り返されてしまう。
「ぐ、ぶッッ!!!」
剣も、身体も、意識も吹き飛ばされてしまう中で、スライヤは敗北を認めさせられた。
体に力が入らなくなって、身動きもとれない。

 「お、おおー…」
地に伏せるスライヤを見て、唸るように声を上げるギャラリーの兵士達。
あの剣士がまさか負けるとは…戦場での華麗な戦いぶりからは想像もできないほど惨めな負けた姿を見て、驚きを隠せない。
勿論、ガスパールが負けるとも思っていなかったのだが、いざこうして現実を見せつけられるとたじろぐほどに驚いてしまう。
「オイ!この女は俺様が一番乗りで頂く。手出したらブッ殺すからなぁ?」
「は、はい!!」
ガスパールは疲れと苛立ちが募ったどら声を響かせる。
失神したスライヤの身柄を運ぶ帝国兵達。
彼の言葉通り、スライヤは他の誰の手にも汚される事なく、ガスパールの慰みモノにされてしまうのであった。


 やがて、戦の終了を告げる声が聞こえてきた!
此度の戦は…帝国軍の勝利となった!

 茫漠と広がる砂の海が落ち行く夕日を映すように、橙色に染まってゆく。
帝国側の圧勝で終わった此度の戦はあぶれるほどのノード兵捕虜をもたらした。
無論、彼女達は帝国兵達による"宴"の供物にされてしまう。

 「手こずらせやがって、このクソアマぁ」
鈍い痛みとともにスライヤが意識を取り戻すと、視界に映ったのは自分を打ち破ったあの忌々しい男であった。
乱暴に彼女の服を掴むと、紙きれのようにいとも容易く引き千切ってみせる。
ビリビリビリーッ
「―――っ」
思わず息を呑むスライヤ。
咄嗟に両腕で露わになった胸を隠す。
抵抗しようとしても体が言う事を聞いてくれない。
剣も失くし、もはやただの女と化してしまった彼女にできるのはそれだけだった。

 戦場に出るからには如何に自分が剣士として優秀であっても、負けたらどうなるのか、それを理解する事はできた。
だが、当然スライヤは自分が帝国兵ごときに引けをとるとは思っていなくて、当然このような最悪な結末に陥るとは思いたくもなかった。
自分は女だ。
戦場で負けた先にあるものは…凄惨な陵辱だ。
「てめえにはたっぷりとお返ししてやるからな」
ボロンッ…
ガスパールが下半身を露出した瞬間、スライヤは自身の目を疑う。
反り立った肉棒は天を衝き、ありえない大きさに膨れ上がっていた。

 「…え」
剣に一途に生きてきたスライヤとて、異性との経験くらいはある。
だが、今目の前にしているソレは、今まで見てきたどの男性器よりも確実に大きかった。
まるで別のモノなのではないかと疑うほどに。
「オラァ、股開けや」
ガスパールがスライヤの細い足首を鷲掴みにすると、両脚を引っ張り上げるように強引に開かせる。
股間の部分だけ黒いストッキングと下着を引き千切ると彼女の膣が顔を覗かせた。
「な、何をする…!やめ…」
急かすような様子からおそらくガスパールも性欲を滾らせていたのだろう。
彼の今日一発目の相手が自分とは、スライヤも不運だった。
「感謝しろよ?今から天国に連れて行ってやるからなァ」
スライヤはまだ現実を直視できていなかった。
目の前にある巨大過ぎるその肉棒を自分の膣に挿入するなど不可能だと思っているからだ。
あまりに大きすぎる。
そんなデカブツを膣に入れようなど無理だ、絶対無理だ―――スライヤはごく一般的にそう考える。

 だが、ガスパールはその不可能を強引に可能にしようとしている。
「くくく、行くぞぉ?」
ズチ…
掌大くらいの亀頭が膣口に触れる。
濡れてもいないのに、そんなモノが入る訳がない。
ガスパールはスライヤの長い脚を押し広げるように固定して、覆い被さるような格好で挿入を試みる。
息苦しくてしょうがないが、それよりも底知れない恐怖が彼女の心を満たす。
「む、無理じゃ…そんなモノ入る訳が…!」
「あァ?てめえ何弱音吐いてんだ?」
思わず弱音が漏れてしまうスライヤ。
だが、ガスパールは彼女の身体の事など一切気遣わない。
「てめえは黙って俺様の肉便器になってりゃ良いんだよ。女の癖につくづく生意気な奴だな」
ズチ…ズブブブブブ…ッ
「―――っ!?」
びくりとスライヤの全身が緊張する。
挿入、と言うより押し付けられている感触だ。
とてつもなく巨大で硬いモノを小さな穴に押し付けられている。
到底入らないと思っていた。
だが、少しづつ少しづつ、彼の悪辣な欲望はスライヤの身体に入り始めていた。

 「クソッ!狭くてキツいマ○コだな!一気に貫いてやるよぉ!!」
亀頭の一部がスライヤの膣に入っている状態で、彼は彼女のほっそりした腰を両手で掴む。
「ちょっ、待て…やめろ…ッ、そんなモノ、入る訳が、無い…!」
息も絶え絶えながらにスライヤが小さな悲鳴に似た呻きを上げる。
胸の下で何やらブツブツ言うのが鬱陶しいのか、チッと舌打ちを鳴らすと両手にさらに力を入れるガスパール。
「だから言ってんじゃねえか。黙って肉便器になってろって…言っ、てん、だっ!!」
「あっ」
ズブブブブブッ!!!ブチッ!!…ズリュリュッ!!!
ガスパールが腰をせり出すのと、彼がスライヤの腰を引き寄せるのが同時だった。
それまでガスパールのデカチンを拒否していた膣が一気に押し拡げられ、巨大なソレで満たされる。
まるで張り裂けてしまいそうな痛みと衝撃。
剣術の猛者で知られるスライヤでさえもそれは耐え難いものだった。

 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーー!!!!!」
美しい見た目には似つかわしくない無様で悲痛な悲鳴を上げて、仰け反るスライヤ。
白目を剥いて痙攣しながら絶叫する姿は、元の美人女剣士の面影さえも消し去る。
「おおーっ、手こずらせただけはあるじゃねえか。俺様のを受け止めるなんてよ」
普通の女であれば挿入した時点で身体が壊れるか精神が壊れるか、そのどちらかだ。
だが、スライヤは一応は耐えてみせた。
なんとか身体も精神も、壊れる一歩手前の所で押しとどまっている。
「オラッ、愉しませろよ、女ァ!!」
腰を掴んだままガスパールがゆっくりと腰を動かし出す。
「あがッ!?ひぎィッ!!」
情けない声を上げてしまうスライヤ。
背筋を反らせたまま、激痛と恐怖と屈辱に打ちひしがれる。

 ガスパールはゆっくりと腰を揺り動かしていたつもりだったが、あまりに逸物が大きすぎるせいで少し動いただけでもスライヤには肺が潰れそうになるほどの衝撃になっていた。
それほど男性経験の豊富ではないスライヤの膣を穿つようにガスパールの剛直が押し拡げる。
スライヤは無様にも口をパクパクと、魚のようにさせながら白目を剥いて全身を痙攣させていた。
「あ…ぁ…っ」
「オラッ、まだ壊れるんじゃねえぞ!!」
グチュッ…
「んあぁああああああああーーーーーーーーーーっ!!!!」
ガスパールがいっそう腰をせり出すとメリメリッ…とスライヤの膣が悲鳴を上げて、限界を伝える。
美しい顔は渋柿のようにクシャクシャになり、搾り出た涙が顔中を濡らす。
そこに剣豪スライヤ、としての面影は影も形も無くなってしまっていた。

 己の無力さが故に男に負け、己が女であるがために男に嬲られ…
乱世でも剣の腕があったから飄々と生きてこれた。
他の女相手にであれば通用する無法も彼女には通用しなかった。
だが、負けてしまえば同じ事。
今、彼女のか細い腕はガスパールの節くれ立った手に掴まれて、綺麗な桜色の膣には巨大な男性器が埋まっていた。
「あぁ…そろそろイくぞ、おらッ…!受け止めろッ!」
「なっ…!?」
どくん…!とスライヤの体全身を揺らすような脈動。
それが数度続いた後に、下腹にマグマのような"何か"が流れ込んでくるのが伝わってきた。
「うおおおおおおおおお…っ!」
並みの女であればとうに壊れている。
低く唸るような声を上げると、ガスパールはスライヤの腰をがっちり掴んで固定する。
「う、うああぁ…!嫌ぁあああああっ!!」
泣きながら首をしきりに横に振りながら、その現実を受け容れまいと拒絶の意を示すスライヤ。
だが、注がれる精液を前にその行為は無意味だった。
丸太のようなソレがどくんどくんと太鼓でも鳴らしているかのようにスライヤの体ごと震わせると、熱い白濁を大量に子宮へ吐き出す。
彼女はその熱に打ちひしがれるのみであった。

 「…ふいーっ、気持ち良かったぜえ」
ズリュッ…と自らの精液で濡れそぼった膣から肉棒を引き抜くと、それを彼女の紫色の美しい髪に擦り付ける。
未だ白濁が細かく迸っていて、彼女の髪を汚した。
ひとまずはあの痛みから解放されて、スライヤは少女のように泣き咽びながら体を横たえる。
全身を大きく揺らしながら、「はぁはぁ…」と肩で息をする様子がガスパールの欲望をさらに昂ぶらせてしまう。
「よし、じゃあ次は後ろの穴を頂いちまうか」
「…は?」
その言葉の意味は分からなかった。
白くぼやける視界の中で起き上がるガスパールの姿が見える。
彼の肉棒は一発出して萎えるどころか、さらに硬さ太さを増しているようにさえ見えた。

 意味は分からずとも、何となくまずいのは分かる。
逃げようとしても体が言う事を聞いてくれない。
ガスパールに無理やり四つん這いの体勢にさせられると、露出した尻たぶを掴まれる。
「へへへ…さっきよりもイイ声で鳴いてくれよ?」
ズチ…
肛門に何か熱い物が触れるのを感じる。
彼がしようとしている事はスライヤの想像の範疇からは遠く離れたものであった。
"それ"は普通じゃないし、それ以前にそれこそ不可能だろうと、高をくくっていた。
だが、ガスパールの行き場の無い猛る性欲は、スライヤの肛門にまで襲い掛かる。

 一度射精したせいで肉棒が濡れて入りやすくなっているというのもあるかもしれない。
肛門に突き立てられたソレは極めて狭いその門を開けようとしていた。
「ちょっ…待っ、て、何を…?」
「あァ?何をって…さっき言ったじゃねーかよ」
ググ…とガスパールがスライヤの引き締まった尻を引き寄せながら喋る。
とてつもなく嫌な予感がした。
膣に入れられる以上の、もうそれこそ地獄の所業を…今ここでそんな仕打ちに遭うのではないかと、そんな予感がしていた。
「ケツの穴にブチ込むんだよぉ。俺様のチ○ポをな」
そんな事、あってはいけなかった。
いや、ありえないのだ。
膣に入れる事がもう限度だったソレを、肛門に入れるなど。
それこそ本当の不可能だ。
ガスパールの一言で氷水に浸けられたかのように冷え切ったスライヤの心境はそう考えた。
いや、不可能だと思いたかっただけなのかもしれない。
実際、あの巨大な肉棒が膣に入らないと踏んでいたのに入ってしまった。
本当はやってみないと何事も分からないのだ。
だから、もしかしたら肛門にも入ってしま…いや、もうその先は何も考えなかった。

 「や、やめろ…そんな事、できる訳が…」
掠れた声で呟くようにガスパールに向けて言うスライヤ。
だが、当然お構いなしにガスパールはその剛直で"不可能"をぶち壊しにくる。
ズブ…グググ…
まさか?いや、まさかな…まさか…そのまさかだよ!
普段は排泄器官としてしか使われていないそこに、熱く火照った肉塊が確かに侵入してきているのが分かった。
膣以上に狭い空間だ。
侵入していると言ってもほんのわずかだけれども、入っている事には間違いない。
だが、このまま続けられてしまったら?このまま侵入が続いたら?
果たして自分の身体はどうなってしまうのか?
暗澹とした想像という海の中にその答えはあった。

 「や、やめ…て…?お、お願いだから、もう…」
「あ?テメエこの期に及んで何ほざいてんだ?」
スライヤの口調が急に弱々しいものに変わったのにガスパールも気付いたようだ。
だが、興味なさげに依然として尻を掴んだまま自らの腰を押し出す。
「おぉ…流石にキツいな…」
流石のガスパールも肛門の狭さきつさに苦戦しているようだ。
その狭き門を剛直でブチ破って女を鳴かせるのが彼の最上の悦びでもあるのだが。
「お願い…そんな事されたら、し、し、死んでしまうっ…!」
「勝手に死んでろよ。俺はテメエに斬り付けられた事まだ忘れちゃいねえからな?」
プライドなどかなぐり捨てたスライヤの必死の乞いもガスパールには無情にはねのけられる。
彼にとってはこれも一種のスライヤに対する報復であるらしい。
ガスパールが戦場で相まみえた相手の事を覚えているなど希有な事ではあったが。
いつの間にかスライヤの口調がいつもの古風なものではなく、弱々しいものになっていた。

 ググッ…
「ひッ!?」
徐々に押し迫ってくる感覚に、恐怖が止まらない。
もしも、完全にソレが入ってしまったら…多分、自分は死んでしまうだろう。
本能的にそれを悟っていた。
膣に入れられた時ですら意識が朦朧として、死にかけたのだ。
肛門などに入れられた際には、もう一溜まりもないだろう。
腸が破裂し、大量出血して、死ぬ。
想像という海の中から現れた答えは"死"だった。
戦場に出る以上、そこで死ぬ事は覚悟していたが、まさかこんな無様で惨たらしい最期を迎える事になるとは。
いや、そんな最期は迎えたくない、そんな最期を迎える訳にはいかない。

 「…や、やめてください」
「はァ?」
涙混じりながらもはっきりとした言葉に、思わずガスパールも腰を止める。
「お願いします…もう、やめて…ください…」
すすり泣きながらの命乞い。
スライヤにはこの上ない屈辱だろう。
「あ、謝ります、ど、土下座も…しますから…だから」
だが、彼女にとってはもはや恥も外聞もクソもなかった。
今死ぬか生きるかの瀬戸際まで来ているのだ。
生きるためだったら何でもする、それが人間としての性。
涙と涎にまみれた表情で必死に許しを乞う。
その様はいつもの凜々しい姿とはかけ離れていた。
「先程は、その…申し訳ありませんでした…あの…わ、わ、わた、私、何でもするので…」
不慣れそうに言葉を紡ぐ。
気が付けばいつもの喋り方は露の如く消えていた。
勿論、スライヤは意識してこの口調にしている訳でもないし、こんな喋り方は今までした事がなかった。
『媚』という文字の成り立ちは、商売女が眉を動かして男相手に気を引こうとする様子からだそうだ。
窮地に追いやられて、スライヤの女としての性が出てしまっているのだろう。
強者に媚びへつらうその様子はただの商売女以下にまで成り下がっていた。
「だから…お、お願いします、許して下さいぃっ、ガスパール様ぁっ!」
「やだね」
グググッ…ズブッ、ズボッ!!
最も太い部分であるカリが完全にスライヤの肛門に入ると、あとは押し込むだけだった。
一気に腰をせり出すと、肉棒が全て肛門に埋まった。

 「お、らァッ!!」
「ヒギィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!」
狂った獣のような声を上げながら、スライヤは電撃でも流されたかのようにビクリビクリと全身を痙攣させる。
白目を剥きながら、口の両端からは唾液を汚らしくびちゃびちゃと撒き散らす。
痛み、不快感、異物感、危機感…
それらの感情が全身のシナプスを駆け巡って、頭の中が何度も明滅する。
いくつか神経が焼き切れてしまったようにさえ思えた。
「おおぅ…ケツの締まりも良いじゃねーか、こりゃ良い拾いモンしたぜ」
ぴしゃぴしゃとスライヤの引き締まった尻を軽く叩いて称賛するガスパール。
今、彼女が生死の境を彷徨っているとは知らずに。
「はギィィィーーーーーッッッ!!!!はぁっ!!?あっ、あっっ!あっ!あっ!!はぁっ!あっ、あっ、あっ!!」
あまりの激痛に過呼吸に陥ってしまうスライヤ。
心臓が飛び出そうなほど跳ね回って、内臓がはち切れそうになる。
彼女のか細い身体はもう限界を迎えようとしていた。
「なに喚いてんだ?俺は満足してないからまだまだイクぞ?」
無慈悲にも、過呼吸の収まらないスライヤに対してピストン運動を開始するガスパール。
今まで数多くの女を犯してきたが、ここまで"もった"女はいなかった。
膣に入れただけで絶命してしまう女もいる中、肛門に入れられてなお意識を保っていられるのは逸材としか言い様がない。
兜の中の彼の表情もおのずと緩んでしまう。
「はがッッ!?やめ、やめて!お願いっ!!も、もうッ、もう、死んじゃうううっっ…!!」
泣き咽んで、もうメチャクチャになりながら命乞いをするスライヤ。
もう喉も枯れて、搾り出した声は言葉になっていなかった。
殺される獣がその間際に上げる叫び。
それに似ていた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛―――――――――――――
どすん、と一突きされた瞬間、プツン、となにも感じなくなる。
女として生まれてこなければ良かった。
剣士になんてならなければ良かった。
戦場になんて出るんじゃなかった。
意識に刻まれたのは『後悔』ただそれだけだった。
生まれてきた事さえ懺悔させられるような痛みに、彼女の精神も肉体も耐えられなかった。
最期に感じたのは、喉を伝う血の味だった。


その後、女剣豪スライヤの姿を見た者は誰一人としていなかったという。